BERED~Doogie White 'Stranger In Us All'
レインボー、イングヴェイ・マルムスティーン、マイケル・シェンカー・グループでボーカルズを務めたドゥギー・ホワイト(Doogie White)の昨年11月の来日公演のレポート。
公演は2日にわたって開催され、その2日目にお邪魔してきた。
この日の出演は4バンド。
一番手でステージに上がったのは「BERED(ビーレッド)」だ。
寡聞にしてバンド名の由来を存じ上げないが、「BERED」が「Be red」という意味で、世が戦前戦中であれば大変厄介なことになることは間違いなかろうが、まだ何とか平和な世の中でヨカッタ。
ナンとならば、コレが実にいいチームなのだ!
Marshall Blog初登場。
ショウのイメージからするとBEREDは異色のラインアップで、私も当然のごとくメタル系のバンドだと思い込んでいたのだが全くさにあらず。
ロックの原点を追求しているとしか表現のしようがないプリミティブな魅力にあふれた素晴らしいステージを展開してくれた。
BEREDはクインテット。
メンバーは…
REINA
JIN
LUIS
NAOTO
MATTHEW
オープニングは「99 Degrees」。
ミディアム・スローのドッシリとした1曲。
トライバルな要素を含みつつ、REINAさんのシャウトをフィーチュアした飾り気のないストレートなロックの雰囲気が実にカッコいい。
スラっと背が高くて、軽くジャンプをしたり、クルっとターンをキメたり…
歌だけではなく「女性ロックシンガー然」としたREINAさんの佇まいがこのバンドの魅力に拍車をかける。
上手ギターのJINさんはMarshall。
やっぱり自分がビビビとくるバンドのギターのサウンドがMarshallだとうれしいね。
この仕事冥利に尽きるというモノだ。
この日のJINさんは「JCM900 4100」と「1960A」を使用。
ケーブルを正面に挿した正統な使い方でゴキゲンなギター・サウンドを聴かせてくれた。
コレが一番音がいいから当然なんだけどね。
JINさんはコーラスでも大活躍。
というか、曲を重ねているウチにわかったのだがコーラスもBEREDの大きな強みなのだ。
「皆さん、こんばんは!BEREDです。
よろしくお願いします!」
と、まずは簡単な挨拶を済ませてさっそく2曲目へ。
2曲目は「Hard Hit」。
ドラムスと…
ベースの完璧なコンビネーションがミディアム・テンポでウネリを上げる。
そんなリズムに乗ってREINAさんのシャープな歌い回しが曲をキリっと引き立てていく。
随所に挟み込まれるコーラスが実に効果的。
そしてJINさんの熱血ギター・ソロ。
ア・カペラのパートも盛り込まれて曲はドラマティックに幕を下ろす。
やっぱりいわ~。
♪ドスドスドスドス…2曲目が終わるやいなやMATTHEWさんが踏むバスドラムをバックに…
♪ドスドスドスドス…
「BEREDを初めて見たよ~という方も多いかと思いますけれども、トッパーということでココで盛り上げないとどうするの?って話じゃないですか!
皆さんの力も必要なので、もっともっとコブシを上げて、もっともっと声を出して一緒に楽しいライブにしていきましょう!」
♪ドスドスドスドス…
「Are you ready? All right…Go!」
3曲目は「Bad Boys' Beats」。
これまたミディアム・テンポのドッシリとしたナンバー。
我々世代が若い時に夢中になった「大人のロック」と波長が似ている感じがする。
もちろん「古臭い」なんてところは万にひとつもありはしない。
突然こうしたバンドが出て来るからオモシロいよね。
一体、コレは誰の影響を受けているのだろうか?
昔から何度もココに書いて来ている通り、トラディショナルなロックのエキスを今の若い人たちが自分たちの感覚で料理してくれるバンドの出現を切望しているのだが、BEREDはそれを実現してくれているバンドのひとつだと思う。
何事も「未来」は「過去」からやって来るのだ。
力強く分厚いコーラス。
思った通りアンサンブルに掛け合いに、コーラス・パ―トが6人目のメンバーと言っても過言ではなかろうぞ。
「我々、オリジナル曲を演ってるんですが、次が1番王道ロックかな?
ロック・ナンバーには、みなさまの黄色い歓声が必要ということで…私が途中でこうやって手上げたら、みんなで『フゥ~!』とか『キャ~!』とか何でもいいので大きな声で叫んでくださいね!」
…チョットその「フゥ~!」の練習をして「Hey Sister」。
コレまたBEREDらしい無駄な飾り気をすべてきり落としたビート感テンコ盛りのナンバー。
聴いていて実に気持ちがよい。
「一番の王道ロック」と言ってもBEREDがやっていることはすべて「ロックの王道」と言っていいでしょう。
「ロック」という音楽はこういうモノだから。
Marshallが送り出すヌケのよいギター・サウンド!
ココでもJINさんがタップリとソロをカマすと…
ステージ下手ではLUISさんとREINAさんが肩を並べて雰囲気を盛り上げる。
このおふたり、実のご兄妹でいらっしゃるそうだ。
ちょっとここで「ルイス」という名前で脱線。
説明不要の「ルイ・アームストロング」、ジャンプの大御所「ルイ・プリマ」、さらに「ルイ・スミス」。
ナゼか3人ともトランぺッター。
一方、アイルランドの「ルイ・スチュアート」はスゴ腕ジャズ・ギタリストだ。
この4人の「ルイ」の綴りは「Louis」。
フランク・ザッパがよく取り上げていた「Louie Louie」なんてロックンロール・ナンバーもあった。
「Louis」はドイツだと「Ludwig(ルードヴィヒ)」、イタリアだと「Luigi(ルイージ)」になる。
王室を見ればわかる通り、もちろんフランスも「Louis」。
任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」の「マリオ」と「ルイージ」というのは1953年のフランス映画『恐怖の報酬(Le Salaire de la peur)』の主人公たちの名前だ。
高額の報酬に目がくらんだマリオとルイージが、化学工場の大火事を消すためのニトログリセリンをトラックで運ぶ話。
ハラハラドキドキ…とてもオモシロい映画です。
フランス映画だから「ルイージ」ではなくて「ルイ」だと思うのだが、そこはチャンとしていて、映画に出て来るルイージはイタリア人なのだ。
そして、「Louis」の女性形は「Louise(ルイーズ)」。
「ルイーズ」といえばPANTA&HAL。
イギリスで1978年に世界で最初に誕生した試験管ベビー「ルイーズ・ブラウン」をテーマにした「ルイーズ」という名曲がある。
で、話は長崎に飛ぶ。
長崎市の中心に「フロイス通り」という官庁が立ち並んでいるエリアがある。
コレは1563年に長崎に来て30年以上滞在し、織田信長や豊臣秀吉らに謁見したポルトガルのイエズズ会宣教師「ルイス・フロイス」にちなんでそう名付けられた。
このルイスさんの綴りは「Luis」なのね。
つまりスペイン語系では「Louis」を「Luis」と綴るワケ。
ちなみにこの標識の左端のアジサイのイラストはシーボルトの日本人妻「お滝さん」に由来している。
長崎の人なら誰でも知っている話…あ、私は生まれも育ちも東京です。
オマケでサブ脱線をすると、このフロイス通りにある「長崎地方法務局」の入り口には坂本龍馬の奥さんの「お龍さん」が月琴を弾いている銅像が立っている。
ウチは坂本龍馬をやっていないので詳しくは書かないが、かつてココには海援隊等を支援した「小曽根」という豪商の邸宅があって、晩年のお龍さんが寄宿して月琴の弾き方を習っていたそうだ。
ちなみに森鴎外の子供は長男が「於菟(おと)」、長女が「茉莉(まり)」、次女が「杏奴(あんぬ)」、次男が「不律(ふりつ)」と来て、三男坊が「類(るい)」という。
人気作家の朝井まかてはこの「類」さんを主人公に据えたその名も『類』という小説を書いている。
下は鴎外の家があった場所に立つ千駄木の「森鴎外記念館」。
鴎外の家は「観潮楼」と呼ばれ、その名の通り、明治の昔は文京区千駄木から東京湾が見えたのだそうだ。
ハイお客さんの出番だよ!
「♪フゥ~!」
バッチリとキマった!
この曲でも力強いコーラスが大きな効果を発揮していた。
「まだまだイケるかぁ~!」
イケます。皆さんチケットを買っているので大丈夫です。
だから安心して暴れちゃえ~!
ヘヴィなリフが鳴り響くのは昨年7月にリリースしたファースト・アルバムのタイトル・チューン「Back to the Action」。
コロコロと変わるリズムに…
ギター・ソロのリレーと聴きどころ満点!
コーラスとともに展開する中間部の「♪ Back, back to the action」のリフレインがとても印象的だ。
「さて、駆け抜けるように色んな曲を披露させて頂いたんですが…」と前置きしてココでライブと物販の告知。
「最後はみんなで歌えるような曲を持って来ています。
ということで最後まで歌って、楽しんで、盛り上がっていきましょう!」
「♪ヘーイエイ、ヘェ~エ~」
REINAさんのソウルフルなア・カペラの歌声が場内に響き渡る。
最後を締めくくったのはパワーあふれる「Burning」。
今日はミディアム・テンポの曲が中心のセットリストだったが、ココへ来て生粋のドライビング・ナンバーを持って来た!
REINAさんが猛シャウト!
NAOTOさんのベース・ソロも炸裂!
JINさんのソロから…
ギター2人のアンサンブル・パートも飛び出した。
まさに全員のベクトルがピッタリと合致しているかのような鉄壁のパフォーマンス!
REINAさんがMCで触れていたが、間違いなくこの日の一番手としての重責を見事にこなしていた。
ウ~ム…このチームはもっともっと色んなことをやっていそうだな。
コリャ、また新しい楽しみが増えたゾ!
この日のBEREDの屋台村のようす。
終演後多くのお客さんが詰めかけていた。
BEREDの詳しい情報はコチラ⇒BERED Official Site
<つづく>
(一部敬称略 2025年11月16日 新宿HOLIDAYにて撮影 ※協力:Rubicon Music)