吉永GOKI訓春生誕祭<前編>~BRAVESTAKERとVAXPOP
今日は高円寺のShowBoatから。
お店の前の通りは「セントラルロード」っていうのね?…知らなかった。
なかなかに大ゲサな名前でよろしいな。
そして、この辺りはお店がチョクチョク入れ替わるのが興味深い。
頻繁には来ないせいか、訪れるたびに少しずつ様子が変化していることに気づく。
昔、紳士服の「三峰」が今でいうアウトレット店をこの通りに構えていて、売れ残り品や身につけるのには何の支障もない程度のB級品に格安の値段を付けて処分販売をしていた。
私、コレでも四半世紀以上前には毎日スーツを着て、ネクタイを締めて通うような会社に勤めていたんですわ。
その頃は必ずココの三峰へ来てそのお買い得の紳士服やネクタイをまとめ買いしていた。この通りには以前から古本屋が1、2店軒並んではいたものの、今回久しぶりに来て、3、4軒もの同業者が新たに軒を連ねていたのには驚いた。
うれしいね~…「高円寺の神保町」、イヤ「高円寺のチャリング・クロス・ロード」か?
私は古本屋が大好きなのだ。
さっそく3軒ほどにお邪魔してみた。
そのウチの1店の方に事情を伺ってみると、それらの新しいお店の正体はどれも1人の方が運営する「シェア型書店」と呼ばれる店舗だった。
「シェア型書店」というのは店のオーナーが書棚のスペースを有料で開放して、本を売りたい人や同業者から商品を預かって販売するシステムのこと。
要するに楽器屋さんでもよく見かける「委託販売」というヤツ。
簡単に言うと「本のフリー・マーケット」が店に中に収まった感じ…とでも言えばもっとわかりやすいか?
お店は書棚の貸し出し料と取扱手数料を出品者から徴収して運営する。
よく世間で喧伝されているように「町の本屋」が激減してしまい、今や書店が存在しない市町村は全国で26.2%にもなるそうだ。
ワーストは沖縄で56.1%。
驚くのは2番目…長野県の51.9%!
オイオイ、長野ってのは教育県として名高いハズではなかったか?
このザマじゃ藤村や新田次郎が泣くぞ!
イヤ、考えて見ると、私も長野市に7年半住んでいたが、確かに個人経営の書店は少なかった。
善光寺の参道に前時代的な書店が1軒あったのは覚えている。
あとは平安堂ばかりだった…「平安堂」は長野県南部の飯田が発祥だからね。
そんな中、この「シェア型書店」というのは、救いがたいまでの書籍文化の衰退を食い止めるひとつの有力な手段になっているのだそうだ。
…と述べているのが下にある去年の8月の東京新聞の記事。
既に閉店したものの、谷中でこのシェア型書店を営んでいた「安藤哲也」さんという方が紙面に登場している。
この人、実は私の中学から大学までの同級生で席を並べたこともあった。
安藤くんもロックが大好きで、お兄さんの影響でギターをやっていて家に遊びに行ったこともあった。
私とは正反対で大人しくて几帳面でマジメでね~、勉強もよくできた。
でもロックの知識とギターの腕前では一度も負けたことはなかったわ。
そんな高円寺のシェア型書店のひとつで見つけたのがコレ。
特に珍しいアイテムではなかろうが、長いこと探していたんよ~!
川端康成の『淺草紅團(日本近代文学館刊)』という作品。
昭和5年の初版を忠実に復刻していて、「大正ロマン」っぽい装丁がとても気に入った。
ホンモノの初版本は45,000円ぐらいの値がついているようだが、私が買った復刻本の値段はその1/90。中身も初版の時のまま。
漢字という漢字にルビが振ってあって読みにくいことこの上なし。
戦前までは新聞をはじめ、あらゆる出版物でコレをやっていたんだよね。
一般庶民の知的民度を上げようとしていたワケ。
当時はまだ活版の時代だったから、版組みに際しては印刷工の皆さんが大変な苦労された思う。
こんな紙面を見ると、またコレも「積ん読」の1冊になりそうだな…。
でも持っておくだけでもハッピーな1冊…浅草だし。
…ってんで、この小説が1952年に映画化されていることを知り、DVDを買って本より先に観てみた。
監督が『安宅家の人々』や『警察日記』の久松静児なのでマァ大丈夫だろうと期待したが、映画自体の作りはかなりドイヒ。
でも、私は主演している京マチ子も乙羽信子の大好きなので、その点では十分に満足できた。
言い換えると、大正13年生まれコンビ(ジム・マーシャルのひとつ年下)の京さんと乙羽ちゃんでなければとても観てはいられなかったろう。
京さんのカッコよさに加えて「百万ドルのエクボ」で宝塚の娘役のトップを務めた乙羽ちゃんのカワイイ
ことカワイイこと!
それに敗戦から7年ほどしか経っていない浅草や上野の風景が結構捉えられているのも大きな魅力。
埋め立てられる直前の六区の瓢箪池でロケをしているところなんて超レアだぞ。
ヘンな風に楽しめた1本。 それから下の写真の右。
その乙羽信子のご主人だった新藤兼人の『ある映画監督の生涯(映人社刊)』という1冊。
コレはチョット高かった。
というか、前の古本屋にあった時の値札が貼ってあって、今次はその倍の値段が付けられていたのだ。
交渉したけど当然値下げにはならず。
ま、見たことがない本だったので買っておくことにした。
コレは新藤さんの師匠の「世界の溝口健二」に関わった人たちへのインタビュー集で、新藤さんはそれを書籍を上梓した1975年に同じタイトルの映画を公開しているんだよね。
で、私はその作品がすごく好きでDVD(左)を買って何度も観ているのよ。
こういう好きなモノはたとえ読むことがなくても座右に置いておくだけでハッピーなのよ。
でも、不思議なことに興味や愛着を感じて手に入れる本って必ず必要になる時が来るんだよ。
私はコレを古本屋の書棚から救ってあげた本からの恩返しだと思っている。
そうでも考えないと読みもしない本を何百冊積み上げてなんかいられないってばよ。
さて、今日のShowBoatはコレ…「吉永GOKI訓春生誕祭」。
高円寺にあるロック・バー「Magic V」の主催。
ひとクセもふたクセもあるバンドが4つ集まってGOKIさんの誕生日をにぎやかにお祝いしたのだ。まずステージに上がったのはBRAVESTAKER。
いきなり密度の濃いツイン・リードギターが大噴火!井崎修二佐藤嘉哉安野昭次イタバシミノル宮尾誠今日のドラム・キットはNATAL(ナタール)。
12"、13"、16"、22"のブビンガのキットだ。1曲目は「Rising Sun」。
この日が初対面だったんだけど…うれしいネェ、こういうサウンドは!
まさにMarshallなくしては成立し得なかった音楽なのだ!2曲目もバリッバリのギター・アンサンブルを聴かせる。ひたすらドライブするこの曲は「Break the Wall」。
当然井崎さんが発するのは張り裂けんばかりのハイトーン・ヴォイス。その歌声をサポートする安野さんの背後には…Marshall。
「JCM2000 DSL100」と「1960A」のハーフ・スタック。安野さんの足元。
チャンネル切り替え用のMarshall純正のフットスイッチがうれしい。一方の佐藤さんの背後にももちろんMarshall。コチラは「JCM900 4100」と「1960B」のハーフ・スタック。
ね~、妙なモノを使わないで、お2人のようにチャンとマーシャルのインプットジャックにケーブルをつないで真空管駆動のプリ・アンプとパワー・アンプを使えばこうやって図太くて自然なギターのサウンドが得られるんですよ。
いくら流行とはいえ、まったくおかしなものが広まったものですよ…アレの話ね。
ワザワザお金をかけて音を細くして「音がいい」とか「悪い」とか。
おかしな世の中になった。そんな2人のファットなギターサウンドによるソロやアンサンブルがこの曲でもたっぷり楽しむことができた。「元気ですか~?こんばんは!
多分、『はじめまして』の方が多いかと思うんですが…『BRAVESTAKER知ってるよ~!』っていう方いますか?
(客席から手が上がる)
エッ!ウソ!ありがとうございます!
BRAVE STAKERは2000年に結成してナニ気に24年やっているんですが、今年の初めにやっとファースト・アルバムが出来上がってリリースしました。
今日、物販の方にも持って来ていますので、もし演奏を聴いて気に入ったらお声をかけてください。
結成24年でやっと1枚…エヘヘ。渾身の1枚なのでゼヒよろしくお願いします。
そんなわけでアルバムの中の曲をバンバン演っていきます!」これがこの日の屋台村で販売していたそのファースト・アルバム。3曲目は「Take the Brave Heart」。
宮尾さんのドラムスと…イタバシさんのベースがガップリと組み合って疾駆する1曲。サビでメジャーに転じるドラマチックな構成。そして、もちろんツイン・リードからソロへとつなげる定番の展開に納得。テンポを落として「In Our Mind」。ミディアム・ファストのヘヴィ・ナンバー。
サビのハイトーンのパートが圧倒的。この曲はイタバシさんが弾くベース・ラインがすこぶる強力だ。
しかしイタバシさん、デカい!
ヘッドレスとはいえもうベースがウクレレ・サイズだ。
そんな巨体を活かしての重量感溢れるベース・ソロ。情感あふれるギター・ソロも聴きごたえ満点!さらに続けて「Paradise」。
ホント、ギター・好きにとってはこのツイン・リードはパラダイスだろうよ。これまた直球勝負のドライビング・チューン。NATALのブビンガを豪快に叩き鳴らす宮尾さん。 ツイン・リードにギター・ソロ、どこを切っても伝統のロック・サウンドしか出て来ない!
まるで「福砂屋」か「松翁軒」のカステラだ!
「あと2曲なんですが、最後の曲はサビでみんなで歌うところがあります。
『Under the Flag of Steel』という曲なんですが、このタイトルを叫んで頂ければ間違いありません。
ゼヒ一緒に歌ってください!よろしくお願いします!」最後のセクション。
まずは「We Are the One」、これまた煙が出るような猛進タイプのナンバー!井崎さんとコーラスの掛け合い。
そう、このチームはコーラスも盛んでそれがバンド・サウンドをとても豊かなものにしている。
やっぱりイタバシさん、背が高い!
昔、とても身体の大きな方がボーカルズ/ギターをしているバンドがあって、ツアー先のライブハウスの天井がとても低く頭が当たってしまうため、仕方なくステージを取り除いて頭上に空間を作った…という話をご本人から聞いたことがあったっけナ。
いずれにしても背が高いのはうらやましいに尽きますね。
ベース・ソロからギター・ソロへ。 スリリングな器楽パートが続いて… 最後の曲に突入!
井崎さんが直前のMCで紹介した通り曲は「Under the Flag of Steel」。お客さん参加で盛り上がる5人!
最後の最後まで魅惑の「伝統のロック・サウンド」をブチかましてくれた!
BRAVESTAKERの詳しい情報はコチラ⇒BREAVESTAKER Official X
場面は替わって…
「こんばんは、VAXPOPです!イキます!」
当日、実際に二番手でステージに上がったのはMOONSHINEだったのだが、記事の構成の都合で3番目に登場したVAXPOPのステージを先にレポートさせて頂くことにする。VAXPOPは…
まずは今日の主賓、吉永GOKI訓春。
小栗昌彦菅沼行蔵shu-ya盛山こういちGOKIさんももちろんMarshall。
「JCM900 4100」と「1960A」のハーフ・スタック。
ね~、チャンとアンプ全体を使っている。
こういう人たちはああいうアンプやその類が出て来る前の「本当に良いギターの音」を知り尽くしているのだ。
今日は「本当に良いギターの音」を知っているギタリストばかりでうれしいわい。
1曲目は「World in Motion」。
キャッチ―なメロディをハードな演奏で聴かせるポップ・ロック。
私は寡聞にしてVAXPOPを存じ上げなかったが結成は1980年。
1992年に解散してしまったが、もし活動を続けていたら今年で44周年を迎えていた大ベテランなのだ。
早速GOKIさんのソロが飛び出した。
伸びやかなトーンで奏でる的を得たソロ・メロディ。小栗さんとのイキもバッチリだ!「♪Tonight, tonight, tonight」
コーラスもふんだんに取り入れたバンド・サウンド。GOKIさんのギターから始まる続いての曲は1989年リリースのシングル「DRIVE AWAY」。 これまたサビのメロディが印象的なポップロック・チューンが展開。この曲でも菅沼さんと…GOKIさんのコーラスが大活躍!「ありがとうございます。VAXPOPです。
今日は『Rock’n Freedom Bash GOKIやんの生誕祭』ということで、VAXPOPを演れと言われて駆けつけました。
この後にはDEALSが待ってますんでオレ達はサクッと…一瞬で終わりますんで乗り遅れないように!
皆さん、最後まで楽しんでください!
VAXPOPがこの間演ったのはいつだっけ?…数年前?」「エ~ッとね、コロナになる前の年か?」 再結成の時から参加している盛山さんのキーボーズで次の曲がスタート。
ストリングスとピアノによる美しくも壮大なサウンド。曲は1992年のシングル「TWO HEARTS」。GOKIさんのディレイ・トリックを使ってバッキングを固めた。 shu-yaさんのドラムスがゴキゲンなビートを打ち出すと…「もう後半戦です!手拍子お願いします!」とタンバリンを手にした小栗さんが客席をアオる。 手拍子をするお客さんを前に小栗さんがシャウト! そして、GOKIさんのソロから… 小栗さんがメンバーをひとりずつ紹介してソロを披露した。
「今夜のために必死に曲を覚えてくれました…タイトなビート、shu-ya!」「もうVAXPOPには欠かせないメンバーとなりました…せいやん!」「そして…もう40年の付き合いです!…こうぞう!」菅沼さんが小栗さんを紹介。
「すべてはこの男から始まりました!…小栗昌彦!」 「そして、本日の主役…吉永訓春、ゴ~キ~!」盛り上がりに盛り上がって最後の曲、「六月の空」。
1990年のシングル。
ストレートにドライブするポップ・チューンで賑やかに出番を終えた。 「どうもありがとう!最後まで楽しんでいってください!」<つづく>
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