【35th Anniversary】 TERRA ROSA FES.2024 <後編>~Team Endless Basis
2チームの演奏を終えて『TERRA ROSA FES. 2024』もいよいよ最後の段階に入る。。
アルバム『The Endless Basis』を中心としたステージを披露するTeam Endless Basisの出番だ。もちろんこのセットでも岡垣さんのメジャー・デビュー35周年を記念する。Team PrimalもTeam Honestyも、曲よし、演奏よし、とそれはそれは素晴らしいパフォーマンスで私もシャッタ―の切り甲斐があったというものなのだが、正直さすがに2時間以上狭い脚立の上で同じ姿勢を保っているのがシンドくなって来た…疲れた~。
ところがTeam Endless Basisの5人がステージに上がって音を出した途端、その疲労感がいっぺんにスッ飛んだ!…というのはウソです。
さすがに「疲れがスッ飛ぶ」ことはありませんでした。
コレは私の歳のせいです。若い頃だったら間違いなくスッ飛んでいたゼ。
でも、疲労感が少し和らいだのは間違いない!
荒木真為岡垣正志
三宅庸介関勝美堀江睦男1曲目は『The Endless Basis』のオープナー「One of Sections "LAP"」。「♪ズンズクズンズク」と凄まじいエネルギーで疾駆するバンドを背に真為さんがいきなりの大激唱!再び衣装を替えて鍵盤に向かった岡垣さん。
そのパワー、まさにエンドレス! 三宅さんのソロ。
ああ、三宅さんの音だ~。
誰が聞いても即座に三宅さんのギターの音だとわかる。
ワーミー・バーを巧みに操って三宅さんだけのフレーズを組み立てていく。もちろんその三宅さんの音を出しているのはMarshall。
今日は「JCM2000 DSL100」。
かつての三宅さんの愛器だ。
そのサウンドで奏でる豪快なギター・リフは「Petruchka」。堀江さんのフィルで…アニかつさんのベースが加わり、ひたすら8分で刻むノリがストレートで小気味よい。 この曲は他に比べて少々歌メロがポップなのね。
そんなメロディを真為さんが巧妙に歌いこなす。
三宅さんのギターが真為さんの歌にカラむ展開部が独特だ。そして大きなベンドから三宅さんのソロ。ナンだろう?…今日はさっきからチューニングをエラく気にしているな。
もちろんチューニングに人一倍シビアな三宅さんのこと、こうしてソロの間にも音を整える光景は決して珍しくないのだが今日はいつもと様子がチョイと違う。エンディングのキメがカッコいい。
だから岡垣さんもこのポーズだ。「ハイ、やってまいりました。TERRA ROSA FES.2024』、Endless Basisチームでございます。
よろしくお願いします!
ところで皆さん、さっきからココぞとばかりに歌っておられるのではないですか!
皆さんの口元を私はカンニングしておりますのでよろしくお願いしますよ!
さて、TERRA ROSAがメジャーデビューして35年…」
「ハイ、35年です。その前の年にアナログ盤を出しているんですけどもう感慨深いですね。
皆さんはアナログ盤の頃はご存知ですか?
(客席から大きな拍手)
素晴らしいですね…まぁまぁいいお歳ですよね?」
「私はメジャー・リリースからなんですよね。
まだちっちゃい子供だったんですが、メジャー・レーベルから『The Endless Basis』のCDが出た時、よく行っていたレコード屋さんのオジさんが『こんなん好きやろ?』と言って押し付けてきたんですよ。
オジさん、聞いてますか~?
それで髪の長い人たちの写真が出ている裏ジャケを見て『お、コレは好きかも』と思い、オジさんに薦められるままに買って帰りました。
針を落とす…じゃない、その頃はもうCDになっておりましたから、最初の曲を聞いて『ドッヒャー!』っていう感じでした。
私、先ほど出演されたHonestyチームのきらりんさんとは同い年なんですよ。
学年は彼女の方が1コ上…ソコ、大事なんですけどね。
きらりんちゃんもTERRA ROSAをよく聴いていらした。
だから私ときらりんさんはTERRA ROSAの栄養でこうなったワケですよ。
素晴らしいことだと思って頂けますか?皆さん!
こんなに大きくなりました!
自分が影響を受けた音楽をこうやって歌わせてもらってね、みなさんと楽しむことが出来るって本当に幸せなことです」
コレはスゴイことです。
私の場合だったらフランク・ザッパのバンドに入るか、黒澤明の映画に出演するようなものだからね。
「大人になったね。
さて、忘れちゃならないメンバーを紹介します。
さっきも言うたように昨日三宅さんと2人で車で来たんですが、御殿場で事故があっていつもより2、3時間余計にかかって東京に到着しました。
そして彼はこの晴れやかな舞台を今迎えたばかりです。
今日は三宅庸介のギターをタップリと堪能してください」…と切り出してTheam Endless Basisのメンバーを紹介した。MCに続いては「My Poor Soul」。
コレも三宅さんが弾くリフからスタートするミディアム・テンポのヘヴィ・チューン。こういう「リフ曲」ってのはいいね。
「ロック」という音楽の大きな特徴だ。
言葉のリズムの関係からか、日本のロックはこういうスタイルの曲が欧米に比べると少ないんだよね。
UFOなんかほとんど「リフ曲」だもんね。
グイングインと鍵盤を前後に揺さぶっている。
岡垣さんがノッている証拠だ。
ちなみにライブ盤『LIVE FROM CODA』ではこの曲の前に岡垣さんのオルガンの独奏が収録されている。
コレもカッコいいのでご存知ない方はゼヒ聴いてみてね!
そして三宅さんのソロ。
ソロをキメるたびに大きな歓声が上がる。それはいいんだけど、まただ。
よっぽどチューニングが気になっているのね? 曲は表情を変えることなく最後までヘヴィに突き進んだ。
ステージが暗転する。
スポットライトがひとり舞台に残った岡垣さんを捉える。
「On keyboards, Jill Okagaki!」待ってましたのキーボード・ソロ。
重厚なストリングスに鋭角的なシンセサイザーで奏でるアグレッシブなメロディが映える。
やがて音色は豪壮なオルガン・サウンドのパートを経て再びシンセサイザーの音色で次の曲のイントロに差し掛かった。
それを合図にしてメンバーがステージに戻っていたが、三宅さんの姿が見えない…。すると、まだソロを弾いている最中の岡垣さんのところに堀江さんがやって来て何かを必死に伝えている。
この堀江さんの深刻極まりない表情!
コリャ絶対三宅さんに何かあったに違いない!
まさかステージに上がる階段で足を滑らせて大ケガを負ってしまったとか?
トイレのカギが壊れてしまって出て来られないとか?
ハラが減ったので「すぱじろう」へパスタを食べに行ったとか?
イヤ、目黒だから「とんき」の豚カツか?
一体ナニがあったんだッ!?
堀江さんの伝令を聞いてとうとう演奏を中断してマイクを握った岡垣さん。
「良いところ所だったんですが、三宅さんは今弦を張り替えています。
スミマセン、仕切り直します。
でも今、カッコよかったですよね?」
とお客さんにかかる状況を説明した。
すると客席からは「もう1回!もう1回!」の熱烈なラブ・コール。
「これはもう1回演らなイカンな!」
さすが「日本様式美党総裁」、全く動じることなく各メンバーのスケジュールなどについて話して場をつないだ。
次期総裁選も当選間違いなしだ。
それでも三宅さんが現れない…すると真為さんが心配そうにひとこと。
「全部の弦を張り替えてはるんですかね?」
コレには吹き出してしまった!
1弦と2弦だけ張り替えたそうです。
ようやく三宅さん登場。
どおりで今日はハナからチューニングを気にしていた様子だったんだ?
コレで納得。
そして安心。
1977年、私が中学3年生の時にロイ・ブキャナンが来日して後楽園ホールへ観に行った。
チケット代は多分3,000円だったと思う。
で、すごくマッタリとしたブルースを演奏している時だったように記憶しているが、パツンと1弦が切れてしまった。
ま、普通であればギターを持ち替えればコトは済むんだけど、ロイはあのトレードマークの1953年製のテレキャスター以外のギターを用意していないようだった。
それでどうしたかと言うと、バンドには演奏を続けさせて、お客さんが見ている前でしゃがみ込んで歌を歌いながら悠然と弦を張り替えたのだ。
子供ながらに驚いてしまったが、今にして思うとギターテクに任せるのではなく、ロイは常に自分自身で弦を張っているということだったのかもしれない。
ロイは大分前に亡くなってしまったのでかなり貴重なシーンを目にしたと思っている。
今日のこの「三宅弦交換事件」もかなり貴重だと思うよ~。
滅多にないトラブルだったけど、Marshall Blogとしては「もの言わぬ顔」をキメ込まずこうしてキチっと記録しておきました。
Marshall Blogは真実を伝えるロック界の「ひとつのメディア」だから。
とにかく三宅さんが無事でヨカッタ。
メンバーが揃ってホッとしたところでキーボード・ソロのテイク2。
岡垣さんのソロが2度聴けるというのでお客さんは大喜び。
もちろん岡垣さんは2度目だからといって手を抜くなどということは絶対にしない。
1回目同様、全霊を傾けて鍵盤に向かいスケールの大きなプレイを披露。そして「♪グバ~」っとダイナミックに仕上げて見せた。ソロの終わりには例のシンセサイザーの音色で次の曲のイントロを奏でた。曲はアルバムのクローザー「もの言わぬ顔」。堀江さんのフィルが「もの言う」スケールのデカいイントロ。
ノビノビとした声で激しく、ただし丁寧にメロディを歌い上げる。
まさにTerra Rosaの音楽への尊崇の念を込めた歌唱。
さぁ、弦を張り替えた三宅さんのソロ。
今度はどうかな?
ディミニッシュ・フレーズをキメてソロを締めくくる。
後半のソロもバッチリ駆け抜けた。
この表情なら大丈夫だ!
しかし、この音!
問答無用で「やっぱりMarshallっていいナァ」と思わせてくれるサウンドだ。
今度は真為さんがステージを降りた。
弦の交換でなければよいのだが…。
曲はインストゥルメンタルの「Fatima」。この曲も最高に引き締まった「♪ズンズク」ビート。鉄壁のリズム・セクションが猛然とドライブだ!岡垣さんのシンセサイザーが宙を駆け抜け…三宅さんのギターがドラマチックに歌う。
「Fatima(ファティマ)」というのはポルトガルの地名なんですかね?
メチャクチャ話を端折ると、1917年5月13日、このファティマの3人の子供の前に聖母が現れた。
子どもたちはマリア様とその後も何度も会い、色々なメッセージを託された。
そしてこのことをカトリック教会が公認しているという。
気味の悪い話だ。「ハイ、いかがっでしたでしょうか?
皆さん『The Endless Basis』を聴くのは久しぶりではないですか?
こういう風な流れですと1988年に戻った感じですね。
この様式美の佇まいをなんとか続けようじゃありませんか!」…ってんでさっそく様式美を礼賛するような1曲「As Lond as Our Lives」。客席の狂熱度が更に増していよいよクライマックスが近づいて来たところに…三宅さんのソロ。
その曲調に完璧に馴染んでいるフレーズの数々はまるで真為さんの歌のパートをそのままギターに置き換えたかのようだ。
「皆さん、生きている限り様式美を愛していきましょう!
もうしゃべることはがあらかた言いつくしまいました。
『あらかた』どころか、もうたくさんだって感じだと思います!」
堀江さんのフィルがフィルとともに次に曲が駆動開始!
「皆さん、良い声出せますよね? 発声練習といきませんか?
みんなの声をもっともっと聞きたいぜ!
♪ア~
♪イエイ~
♪ワ~ワォ~
最高~!
もうコノ曲が何かが皆さんはわかっているはずだ。
最後まで一緒に歌ってくださいね!」
ブレイクとともに三宅さんが繰り出したのはあのリフ!お客さん大喜びのタイトル・チューン「The Endless Basis」だぁ!
ココぞ「TERRA ROSA愛」のアッピールしどころ!
真為さんの声に一層力がこもった。岡垣さんもノリノリ!三宅さんがソロを弾いて…
岡垣さんがそれを迎え撃つ!
エキサイティングな掛け合いからの2人のアンサンブル!
最高の盛り上がりだった! 「それでは、最後の曲になります!…一応。
最後の曲、聴きたいかい!
カモン!」真為さんが客席をアオって、Team Endless Basisは「Vision Of The Lake Bottom」で本編の幕を降ろした。 こうして熱狂のウチに『TERRA ROSA FES. 2024』の本編が終了。
もちろんすかさず「アンコール!」の呼び声がかかる。
「ありがとうございます。
今日頑張ってくれた皆さん、アンコールありがとうございます。
まぁまぁ、足腰シンドイ…本当によくわかります。
ボクもいろいろやっていますがまぁまぁシンドイです」「まぁまぁシンドイんですけど、まだガンバります!
最後にあと1曲…みんなの応援があればもう1曲演らせて頂きます」
大きな歓声が上がる。「皆さん、良い声出てますね!
そして良い顔してます!
皆さん、大丈夫ですか?!」
「イエ~!」…とお客さんの生存確認ができたところで「Friday's Free Fair」。「速い曲が聴きたいか!?」
岡垣さんがチョット触れた通り、まだまだ皆さん大丈夫そうだったので「Battle Fever」でさらにもうひと暴れしてTeam Endless Basisのステージが終了した。 「どうもありがとう!」最後はTeam PrimalとTeam Honestyのメンバーもステージに上がってごあいさつ。お疲れさまでした~! 「皆さん、ありがとうございました。
長い長いライブでしたが本当にありがとうございました!」
最後にもう一度出演者の紹介をして…
「最後にキーボーズ、岡垣でした。
これからも応援よろしくお願いします!」
こうしてTERRA ROSAの祭典が終了した。
約3時間半、冒頭に書いたように「楽勝!」と言ったらすぐウソになるが、脚立の上でガンバって写真を撮った甲斐が十分にある充実した演奏会だった。
出演者の皆さん、岡垣さん、そしてファンの皆さん、お疲れさまでした!
ガンバレ様式美!
岡垣正志の詳しい情報はコチラ⇒Official Website
<おしまい>
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