2023 春の夢美月~梵天の巻
大阪と東京のツアーを組んで開催された『2023 春の夢美月』。
出演は梵天とStrange,Beautiful and Loudの2バンド。
3月下旬に大阪公演を済ませ、今日は10日ほど前に開催した東京での公演のようすをお送りする。まずはこのライブの仕掛人、『Soul of Rock』の'はらやん'こと原田明彦氏からひとことごあいさつ。
「こんばんは!お足元の悪い中お集まり頂き誠にありがとうございます。
『Soul of Rock』も89回目を迎えまして、今日はナント!…3年半ぶりに三宅庸介が東京に帰って参りました。
今回は『梵天』と『Strange Beautiful and Loud』の2バンドをお楽しみ頂きたいと思います」まずは梵天がステージに上がる。準備OK。
「皆さま、こんばんは。『梵天』です。
久しぶりです。
今日という日を楽しみにしていました。
先月はこの『春の夢美月Tour』のオープニングで大阪、そして今日は東京でファイナルです。
久しぶりの東京でのStrange,Beautiful and Loudとの共演とあってとても楽しみにしていました。
最後までよろしくお願いします」
CharlieはTroubled WingsやMoonshineで何度かMarshall Blogにご登場頂いているが、「梵天」としてはすごい久しぶりなのよ。
調べてみると、2019年7月の『Sound Experience』が最後だったようだ。
だから4年ぶりのご登場となる!
しかしいいね、こうして記録を残しておくということは。
ワーミー・バーを使ったギターで始まるイントロ。
曲は「Arion」。
Carlie Tanaka セキタヒロシ星山哲也CharlieはMarshall。
そういえばJim Marshallの本名は「James Charles Marshall」だからね、「Charlie=Marshall」はとてもよい組み合わせなのだ。
JCM2000 DSL100ECと1960Aのコンビネーション。
コレがでてくるたびに毎回書いているけど、このDSLは20年近く前に私がMarshallにオーダーして作ってもらったビンテージ仕様の限定モデル。
なつかしいの~。
Charlieが大事に使ってくれているのを目にするととてもうれしくなる。さて、曲の方は5/4という変拍子を感じさせない自然にハードなナンバー。縦横無尽に駆け巡るCharlieのギター。フレットレス・ベースの特徴をモロにいかしたダイナミックなセキタさんのベース。そして、繊細にして大胆な星山さんのドラミング。コレが梵天。
「Arion」というのは古代のギリシャの音楽家のことなのだ。演奏はそのまま「Pluto」へ。♪ニュインニュインと実に心地よいベースの響き。
こういうサウンドを耳にすると「フレットレス・ベース」というのは普通の「フレッテッド・ベース」とは全く違う楽器というのがわかるね。
美しいクリーン・トーンのバッキング・アルペジオ。クレッシェンドしてヘヴィなアンサンブル・パートに移る。
ココもテンポの緩い5/4拍子。
「Pluto」とは「冥王星」のこと。
ローマ神話の「Pluto(プルートー)」が冥界を司る神様であることから「冥王」という訳語が当てられた。
このプルートーのギリシャ神話版が「Hades(ハデス)」。
最近Marshall Blogで「hades(ヘイディーズ)」というバンドを紹介したけど、アレがそう。
このローマだのギリシアの神話はオモシロイんだけどどうも勉強しづらくて困る。
登場人物の名前が思えられんのじゃ。
冥王星は太陽系で一番外側を回っているヤツね。
Charlieのギターソロはまさにその冥王星の向こうまでスッ飛んで行きそうな迫力だった!シャープなキメが入り、場面は一転。
ココから「Tango o'five」。
この「o'」は「on」かな?「of」かな?
いずれにしてもタイトルは「『5』のタンゴ」ということ。
でもリズムは「タンゴ」ではない。
タンゴってのもいい音楽だよ。
発祥のアルゼンチンの「アルゼンチン・タンゴ」もいいけれど、それがヨーロッパに渡って発展した「コンチネンタル・タンゴ」もとても魅力的だ。
「フィーニッシュ・タンゴ」といって、フィンランドなんてのはタンゴがとても盛んな国だったんだよ。
日本でも昔流行ったけど。
フランク・ザッパのフィンランドの首都、ヘルシンキで収録したライブ・アルバム、『You Can't Do That On Stage Anymore vol.2』の中で演奏している「Satumaa」なんて曲はフィンランドの大スタンダードらしい。
「フィーニッシュ・タンゴ」のコンピレーション・アルバムを聴いていて、突然この曲が出て来てビックリしたことがあった。
生きているウチに色んな音楽を聴いて楽しまないとモッタイないよ~! これまたタイトル通り5/4拍子でグイグイ押しまくるミディアム・テンポのヘヴィ・チューン。 しかし「5」が好きね~、梵天さん。
梵天さまというのは「五」にユカリがあるのかしらん? ここでも鬼気迫るCharlieのソロを聴くことができた。
他では聞くことができないCharlieだけのオリジナル・フレーズの数々。
こういうギター・プレイを私は支持したい。
ちなみに「梵天」さまは「帝釈天」さまとコンビにされることが多いんですってね。
イヤ、そんだけ。
チョット前に50年ぶりに柴又へ行って来たもんだから…。
「大阪からの帰り、車のエアコンが壊れましてね。
まだ暑い季節でないので助かりましたが、夏だったら死んでました。
また切なかったのが、修理代がすごく高かったんですよ!」
夏ともなればまさかエアコンのない車にのれないからネェ。
でも昔の車ってエアコンが「オプション」だったんだよね。
そのまた昔の車には開閉できる三角形の窓が付いていた。
あの三角の窓は走行中に外気を取り込む効率が高く、アレがエアコン代わりだったそうだ。
もっと昔はヒーターすらついていなかったらしい。
そういえば、「オートマチック」ってのも完全に当たり前になって久しいナァ。
私が教習所に通っていた頃は、まだマニュアルが普通で、オートマチック車というと「いいね~、ラクで」なんて会話をよくしたものだった。次の曲はミディアム・スローで「New Moon」。なんか不思議とワルツか7/4拍子に聞こえて来るのは「梵天トリック」に引っかかってしまったからなのか?
でも普通の4/4拍子。
フワリフワリと漂うCharlieのギターが心地よい。セキタさんの自由きわまりないベースがこの曲のスケールを押し広げていく。曲が後半に入るとCharlieのギターが静かに爆発していく。
何ともバランスの取れた3人のインタープレイ!またギター単独によるコーダがシャレているのだ。「チューニングしながらだとしゃべれない。
でも、しゃべるとチューニングできなんだよね…。
REACTIONのユキさんもしゃべりながらチューニングするとどっちかが止まってる」
そうそう、実際にREACTIONのライブの時にユキさんは自分でそうおっしゃっていました。ヴァイブレーションを深くかけたギターから始まるのは「鬼火」。スローで「これから何が起こるかわからない」的なサウンドがタイトルによくマッチしている。まずはCharlieの絶叫にも似たテーマの提示。そして、ベース・ソロ。
ハーモニクスをグリッサンド。
ジャコが出て来た時、みんなこのテクニックにビックリしたモノだった。
この曲の後半でもCharlieの熱情がほとばしる激しいソロを聴くことができた。
でも、この曲のソロは「鬼感」はなくて、むしろ「優しさを感じる」フレーズを紡いだように感じた。
続けて「Alma」。
「alma」とはスペイン語やイタリア語で「魂」や「霊魂」の意味。
この曲もヴァイヴレーションをかけたギターの独奏でスタートだ。
ク~!そこへスッと入って来る星山さんのドラムスがタマらん。
リズムはワルツ。Charlieがリフを刻み出すとリズムが4/4拍子に変わり…テーマが提示される。ソロのパートではCharlieのギターの「ショウケース」と呼べるようなバラエティに富んだプレイが飛び出した。 その後ろのセキタさんの自由奔放としか言いようのないベース!
ベースだけ聴いてごらん、どっちがソロを演っているんだかわかんないから!
それとは別にチャンとソロのパートもありますから。
「告知とかありますか?アニソン系の?ない?今日は朝まで飲めるね」
このチームは大人しい。
ツマらんことをベラベラ、グダグダとしゃべる人がひとりもいない。
「音楽を演る」大人のバンドだ。
梵天のステージは2曲続けて演奏して締めくくられた。
まずは「Siesta」。
まさに昼寝をしているかのようなスペイシーなギター。
CD『梵天~Bonten~』のオリジナル音源ではアコースティック・ギターでのプレイがフィーチュアされている。
ブラシに持ち替えた星山さん。やがてシーンは一転。
「気持ちよく寝ているのに起こしやがって!」的な爆発!もちろん星山さんはスティックに持ち替えてガツンと行った~! Charlieはといえば、ひとしきりハードに暴れた後、またまどろみの世界へ戻って行った。 この「Siesta」の他、本日梵天が演奏した「Arion」、「New Moon」と次に演奏する「La valse du chat noir」はこの『梵天~Bonten~』に収録されている。
ということで最後に演奏したのは「La valse du chat noir」。
タイトルはフランス語で「chat」は「ネコ」、「noir」は「黒」。
「valse」はチャンとジャズを聴いている人なら意味を知っているハズ。ナンとならばソニー・ロリンズの超名盤『Plus 4』に「Valse Hot」という世紀の名曲&名演が収録されているから。
「valse」は「ワルツ」という意味。
だから「La valse du chat noir」は「黒猫のワルツ」。
黒猫といえば「タンゴ」だけど、タンゴはさっき演ったからココはワルツね。
4/4拍子と6/8拍子のパートが入り組み、3人が一丸となってヘヴィなパフォーマンスを見せてくれる。
ココでもセキタさんのベースが上へ下への大騒ぎ!フロントの2人をバッチリ管理しているかのような星山さんの端正なドラミング。そして、ベース・ソロをタップリ。 セキタさんのベースは「熱いドライアイス」という撞着がピッタリ当てはまるようなプレイですな。
冷たいんだけど触るとヤケドをする…みたいな。
いわゆる「肝大心小」ってヤツかな?
そして、ソロはCharlieにパスされて…思う存分弾きまくった~!そして、エンディング。
短いカデンツァもバッチリきまった!梵天の詳しい情報はコチラ⇒Charlie Tanaka's Website<つづく>
☆☆☆Marshall Music Store Japanからのお知らせ☆☆☆
バディ・ガイに認められた実力派ギタリスト/シンガー、ローレンス・ジョーンズ。
<Anywhere With Me>
コチラはMarshallのアーティスト紹介ビデオ<Artist Spotlight>。
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