SHOW-YA『HARD WAY TOUR 1991 in武道館 AGAIN』<前編>
「メルパルクホール」と聞いて「五反田か…」と思った人はどうも私だけではなかったようです。
芝ね。
寛永寺ではない方の徳川家の墓所がある増上寺に近いのが「芝」。
増上寺には秀忠(2)、家宣(6)、家継(7)、家重(9)、家慶(12)、家茂(14)の6人が葬られている。
一方、寛永寺はというと…
家光(3)、家綱(4)、綱吉(5)、吉宗(8)、家治(10)、家斉(11)、家定(13)の7人と、隣りの谷中墓地に眠っている慶喜(15)を含めれば8将軍で我が寛永寺の勝ち!
だからナンだ?って話よ。
もんのスゴイ久しぶりに「メルパルク・ホール」に来たのはSHOW-YAの35周年記念イベントのひとつ『HARD WAY TOUR 1991 in武道館 AGAIN』がココで開催されたから。メルパルク・ホールで脱線。
このヒゲのオジちゃんがわかる方いらっしゃいますか?
明治生まれの映画/音楽評論家、植草甚一さん。もうひとり…2015年に休刊したジャズ雑誌の草分け『スイングジャーナル』の元編集長だったジャズ評論家の中山康樹さん。
最後に…音楽評論家の中村とうようさん。
残念ながら3人とも故人になってしまったが、私は音楽に関する文章はこの方々が書いたモノしかほぼ読まない。
特に若い「ライターさん」と呼ばれている方々が、しかつめらしく、小難しく、無意味なまでに高尚な文章で今のロックを語っているのを見るにつけ、ここまで理屈をコネ回さないと今のロックを解説できないのかナァ…と驚いてしまう。
当然、このMarshall Blogもお三方の影響の基に文章を綴っている。
植草さんの文章なんて実にいいもんですよ。心から音楽を楽しんでいるサマが伝わって来る。
平易で楽しい表現で音楽の核心を突くい中山さんの文章をいつも手本にしている…つもり。
漢字とひらがなのバランスなんてのは植草さんの『スクラップブック』シリーズを参考にしている…つもり。
とうようさんからは音楽の聴き方を学んでいる…つもり。そのとうようさんが1969年に創刊したのが『ニューミュージックマガジン(現ミュージックマガジン)』。
もう50年以上続いているシリアス系音楽雑誌。
この雑誌の名物は巻末のレコード評で、毎月出て来るたくさんの新譜に100点満点で点数をつけて、良いモノとつまらないモノをバッサバッサと区別していた。
レコード会社とモメたのか知らないけど、途中からこの点数制度は廃止された。
同誌の編集長として、1969年から79年まで842枚のレコード・アルバムについて評価を担当したとうようさんは、たった1度だけ、たった1枚だけに100点満点を与えたことがあった。それは岡林信康の1977年の作品『ラブソングス』。
コレだけ。
私はこのアルバムを発表した時、あるいは発表した頃の岡林信康を観たんだよね。
その会場がメルパルクホールだった。
中学校3年生だった。
それから数年後、憂歌団もメルパルクホールで観た記憶がある。
40年以上前の話よ…。
妙な角度から私のメルパルク・ホールの思い出をつづらせて頂いた。。
その14年か15年後、SHOW-YAが武道館の大舞台に立っていた。
さて1991年、第1期SHOW-YA最後のツアーとなったのが『HARD WAY TOUR 1991』。
バンドとしては2回目の武道館でのコンサート。
35周年記念企画のひとつとして、その公演をこのメルパルク・ホールで再現した。
1991年というと、私は長野に住んでいて、リスナーとしてもロックから遠ざかっていたこともあり、全くそのことを知らなかった。
それがこうして時代を超えて体験できるこの日をとても楽しみにしていた。時間通りに客電が落ちる。
そして、今回はメンバーがひとりずつステージに現れた。
コレも武道館の再現なのかな?
1991年の日本武道館のはじまり、はじまり~!1曲目はアルバム『HARD WAY』のオープナー「METALLIC WOMAN」。
sun-go☆さんの奏でるヘヴィなリフ!
武道館の30年後、Marshallがこのリフを鳴らしております。sun-go☆さんの後ろで音を出しているのは1960BDM。
アンプ・ヘッドはJVM410H。
要するにいつもの「sun-go☆rig」てぇヤツ。
「rig」っていうのは「機材」のことね。
エキゾチックなフレーズから始まるギター・ソロ。
今日も轟音でブッちぎる!「どんなもんだい!?」的な恵子さん。
ものすごいパワー!
30年前も観たかったナァ。
2曲目は「LIFE IS DANCING」。
キャプテンのオルガンが唸る! さとさんのベースがゴリンゴリンとうねる!
いいね~、ブギ。
こういうロックを演るバンドが日本からいなくなっちゃったからね。
「SHOW-YA」と入ったペンライトを手にして歌う恵子さん。
声が出せないからね、お客さんにとってこういう小道具は重要なツールだ。
快適に飛ばす5人。
問答無用でカッコいい。
キメが実にいいんだよね。恵子さんも楽しそうだ!ギターとキーボーズの掛け合い。
「BATTLE EXPRESS」とはまた違ったバトルの雰囲気がいい。
次の曲もsun-go☆さんが奏でるリフから。
『HARD WAY』3曲目の「SWITCh BLADE St.」。
ココまでアルバム通りの展開。
どこまでもヘヴィに突き進む。ギター・ソロから恵子さんとsun-go☆さんのカラミ。
並んだり…向かい合ったり。
この曲もよろしいなァ。「サンキュー!明けましておめでとう!
今日は『HARD WAYツアー』の再現ライブになります。
30年前だっけ?
30年間のライブを体験した人?」
結構客席の手が挙がっていた。 「これからまた新たな歴史を作っていきましょう!
今日は最後まで楽しんで帰ってよ~!
さぁ、いきましょう!」 sun-go☆さんが弾くおなじみのリフ。ココでドカーンとブチかましたのは「私は嵐」。
フーン、武道館では4曲目で演ったのか…。恵子さんの衣装も30年前のモノを模した。
似ているヤツを恵子さん自らインターネットで探したとか。キャプテンのコーラスは今日も完璧でパワフル。
SHOW-YAの重要な武器のひとつ。愛奏曲だけあって、ホントに「嵐」のような演奏だ。ギター・ソロが終わったら…下手へ走れ!さとみさんのピックアップ・ソロ。
今度は上手へ飛んで「嵐」ポーズ!
このあたり、私の仕事のハイライトのひとつ。
カレコレ10年やらせて頂いております!
歓声は聞こえないけど、客席から熱気がガンガン放出されているのがわかる。もう1発sun-go☆さんのリフから「COME ON」。「♪カモン、カモン!」
ノリノリだ~!
次はmittanのドラムスから始まった。これまたストレートなエイト・ビート。
『HARD WAY』にもどって「WAY YOU ROCk ME」。
ジャズのスタンダードで「The Way You Look Tonight(今宵の君は)」という曲があるんだけど、もしかして「rock/look」のシャレなのかしらん?
オルガンのソロ。
いいナァ、キーボーズが鳴り響くロックは!チョイと小粋にジージャンをはだけて片肌を見せる恵子さん。
曲調にピッタリだ。ナント密度の濃い前半。
ハイライトの連続じゃん?
「30年前はあまりしゃべらなかったよね。
あ、2人きりになっちゃったけど、別にココで漫才をするワケじゃないからね。
ツマらないMCでしょう?
でも、30年前はコレぐらいでみんなも喜んでいたんだよ!」
そう、昔のロック・コンサートはしゃべらないのが当たり前だった。
というか、ロック・ミュージシャンは壊滅的にしゃべりがヘタでオモシロくないのがほぼ当たり前だった。
しゃべるコンサートはもっぱらフォーク。
いつの頃からロックのコンサートでこんなにしゃべるようになったんだろう?
若いバンドさんなんか、音楽どうでもしゃべりがオモシロくないと人気が出ないっていうもんね。
実際、トーク上手でオモシロい子が増えたけど、元のロック・コンサートからドンドン遠ざかっていくな。
恵子さんはトークが飛び切り上手なので毎回楽しみにしているけどね。ステージに2人。
曲はおなじみ「Blue Rose Blues」。
ジックリと歌い込む恵子さん。それをsun-go☆さんのアコースティック・ギターがブルージーに包み込む。ココも大きな見せ場。
ここから始まるコンサートの中盤も見どころが満載だった。メンバーがそろって「何故」。
SHOW-YAファンが大切にしている曲のひとつ。あふれ出るキャプテンの分厚いキーボーズ。
「♪何故 愛し合うの 何故 憎み合うの」
恵子さんバラードの真骨頂。そして情感豊かに奏でられる泣きのギター・ソロ。恵子さんの激唱。
客席からは舞台の上の熱演を一音たりとも見逃すまい、聞き逃すまいという雰囲気に満ちていた。そのままキャプテンのキーボーズ・ソロに突入。いつもながらの壮大なプレイ。密度の濃いメロディをジャンジャン放り込んでくるキャプテン。
そこから「BATTLE EXPRESS」のインスト・パートへと連結した。
どこまでもハードに…
ヘヴィにドライブするリズム隊。息もつかせぬスリリングなキーボーズと…
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