チェリーを三つ入れてください。<後編>~私の三ノ宮
今日はまず、北野から。
この辺りに来るのは30年ぶりぐらいか?
前回来たのは箕面に住んでいる時で、上の子が家内のお腹にいた頃になろうか?
「KOBE JAZZ STREET」…マンハッタンで言えば西52丁目ですな?
52丁目は有名な「Birdland」を筆頭にクラブがひしめき合っていた1930~1950年代にかけての世界のジャズの中心地。
セロニアス・モンクに「52nd Street Theme(52丁目のテーマ)」という曲がある。
音楽好きの人に向けてチョット脱線。
モンクは66丁目、今のリンカーン・センターの場所にあったスラム街の住人だった。
リンカーン・センターを造るに当たって、その辺りの住人は問答無用で立ち退かなければならず、行き場がなくて困った貧民がたくさんいた。
そして、リンカーン・センターのオープニング・セレモニーの時のこと。
当局はアーロン・コープランドの「The Fanfare for the Common Man(庶民のファンファーレ)」で景気をつけようと、オーケストラの指揮をレナード・バーンスタインに依頼していた。
バーンスタインは革新系思想の持主で、スラム街の住人を追い出したことを大変不快に思っていたが、その仕事を引き受けた。
そして、大勢の観客やオーケストラの団員を前に、最初から最後まで一度も笑顔を見せずに棒を振って抗議の気持ちを表したという。
私もずいぶん前に52丁目に行ってみたけど、「ココはかつて世界のジャズの中心地だった」みたいな標識が1本立っているだけで、後は「ジャズの中心地」だったという痕跡は何ひとつ見出せなくてかなりガッカリした。
ココも確かにジャズ・クラブは見かけたけど、「ん~、なんでやねん?」という感じだった。
52丁目みたいにジャズで賑わっていたのは昔の話なのかな?
…と思っていたら昨日偶然テレビで見た。
日本で最初にジャズが演奏された場所が神戸だったのだそうだ。
モスクがあって見学できるというので見に来たけど、工事中ということもあってか、とても中を覗けるような状態ではなかった。
神戸ってのはホントに美しい街だと思う。
手塚治虫の『アドルフに告ぐ』にそういうシーンが出て来るでしょう?
ドイツに来てしまった神戸育ちのアドルフが、空襲されたことを知って「あの美しい神戸の街が火に海になってしまったって!?」と嘆き悲しむシーン。
アドルフのセリフを正確に覚えてはいないが、神戸生まれでも、神戸育ちでもない私にもグッとくる場面だった。
きっと戦前は家並みも古くさぞかし風情のある港町だったのだろう。
残念ながら神戸には三菱重工や川崎重工の造船所があるから空襲は免れない。
そして、1945年の2月4日の無差別絨毯爆撃。
神戸はその約1か月後に実施された東京大空襲の実験台になってしまったのだという。
アメリカ軍はそれまで軍事施設や軍需工場へピンポイントで爆撃してしたが、この神戸への空襲から焼夷弾を使って、焼いて焼いて焼きまくる作戦を摂るようになった。
どうすれば効率的に日本の家屋を燃やすことができるか…アメリカ軍は日本式の家屋を実際に作って研究したというのは有名な話。
そして、3月11日の東京大空襲では、わずか2時間半の間に10万の民間人を焼き殺したのがアメリカのしたこと。
神戸での実験の成果は大きかったのだ。
ゴメンナサイね、こんな話になっちゃって…。
私は「反米主義者」どころか、アメリカ人の親戚やとても仲の良い友達が大勢いるのね。
アメリカを恨んでいるワケでもなんでもなく、ただ歴史を知っておきたいだけなのです。
歴史を知るとモノの見方がガラリと変わるから。
さて、神戸。
神戸は阪神淡路大震災にも遭ってしまうが、立派に復活した。
美しいだけではなく強靭な街だ。
「美しいモノ」は強いのだ!
異人館街へ来たんだけど…前からこんなんだったっけ?
もう観光地化しすぎちゃって、ナンカもはや「沼津秘宝館」のノリっぽい印象を受けたな。
ちょっと覗こうとすると、客引きされる始末。
「イギリスの家、見て行ってくださ~い」なんて言われたけど、「しょっちゅうホンモノのイギリスの家に行っているので結構です!」って言っておいた。
でもね、ホントに築200年の古民家から、デタッチト・ハウス(イギリス独特の二棟長屋)、古い豪華マンション、新築マンション…と色んなイギリスの家にお邪魔してるのよ。
1915年落成の「ラインの館」。
フランスのJ.R.ドレウェル夫人の住居だった。
そこの売店で発見!
今回のイベントのD_Driveの衣装にあしらわれている「KOBE TARTAN」。
「タータン」といえばスコットランドじゃない?
スコットランドといえばエジンバラ。ま、グラスゴーもあるけど。
で、エジンバラに行くでしょ?
ベイシティローラーズのこともあって街の中はタータンだらけ!…かと思いきや、目に入って来るタータン・パターンは完全に土産物屋だけだったわ。
でもエジンバラはキレイなところだよ~、全然晴れないのが玉にキズけど。
30年ぶりに来てナニも見ないというのもナンなので、家内のチョイスでこの「Platon Decorative Arts Museum(プラトン装飾美術館)」というのに入ってみた。
家内のこういうところの勘は鋭くて、コレが存外にオモシロかったのだ!
「民家」と呼ぶにはゴージャスすぎるけど、大正初期に建てられた一般の住まいを転用した美術館。
これまで外国の有名企業や個人の借家として使われてきたが、1991年以降はオーナーの一家が実際に住居として使いながら母屋を中心に博物館として開放している。
あった!Foujitaの素描。
Foujitaとは藤田嗣治のことね。
美術は藤田、音楽は武満、映画は黒澤…コレが本当に世界で評価されている3人の芸術家。
その絵が飾ってあるのが「ザ・サロン」と名付けられている部屋。
ココはダイニングルーム。
実際にオーナーさんは機会があると友人を呼んでココで晩餐をされるそうだ。
このイタリア製を中心とした家具も自慢なんじゃ。
でも…ココに置くには狭すぎるって!
お!八っつぁんだ!
なんかもうスッカリ知り合いみたいな感じになってきたよ、ヘンリーとは。
コレもスゴかったよ。
ご主人が世界各地の有名ホテルやカフェへ行って、お茶を飲み終わった後、シレっとバッグにいれて持ち帰って来たカップのコレクション…というのはもちろんツマらない冗談。
係りの人にお尋ねしたところ、もちろんコレらは売り物ではないので、お店に通っているウチに仲良くなって分けてもらったモノのコレクションなのだそうだ。
イギリス、フランス、イタリア…一体どれだけ行ってんの?! 早速、ロンドンのモノはあるかいな?と探してみると…。
あった、あった!
ピカデリー通りにある高級ホテル、「The Ritz London」。
私も何度も行ったわ…前を通りかかっただけだけど。
The Ritzの並びの紅茶で有名な「Fortnum & Mason」。
ココは何度もお世話になっている…おトイレをお借りしにね。
男性用は6階だったかな?
「ベッド・チャンバー」と呼ばれている部屋。
「バーちゃんのベッド」じゃないよ、寝室ね。
ピアノやチェンバロも展示してあってステキきわまりないんだけど、やっぱ狭い!
イギリスへ行ってお城やマナーハウスみたいなモノを見学するとこうした立派な家具や装飾品がおいてあって実にピッタリはまっているけど、アレ、部屋が大きいし、天井も高いからああいう風になるんだね。
私にはサッパリわからないが、高級そうなワインがズラリ。
塩尻の五一ワインとはなかったようだ。
どんなヤツがあるの?
「シャトー・ムートン・ロートシルト」の1953年ものか…。
シャトーというのは、ボルドー地方にブドウ畑を所有し、栽培、醸造、熟成、瓶詰までのワインの製造を行う生産者のこと。
そして、オーク材の木製タンクを使用する製法が「ムートン式」。
「ロートシルト」は「ロスチャイルド」のドイツ読み。
それの1953年製、さてお値段は…。
Yahooショッピングによれば税込み308,000円だそうです。バカでかいトパーズ。
2005カラットですって。
何でも胃腸の病気や不眠に効くそうで…って、どうやって使うんだろう。
見てるだけで胃腸の調子が良くなるのかしらん?
「ラッセル夫人の肖像」というタイトルの石膏の彫刻。
作者はオーギュスト・ロダン。へ~。
コレは南イタリア風のお庭なのだそうです。
結構ジックリ見てしまった。
場所はガラリと変わって元町。
コレも家内がチェックしておいてくれた中華のお店。
コレを食べてみたかったのだ!
名物のネギそば。
このスープ!
私はドロドロしているスープのラーメンがどちらかというと苦手で、こういうアッサリしているヤツがいい。
でも、スープを飲み干したりなんてことはまずしない。
血圧とかヤバいじゃん?
…と思ったらやっちまった!
こんなのホント、滅多にない。人生で数回。
というぐらいおいしかった~。
昔この商店街に中古レコード屋さんがあってね、フランク・ザッパのいい海賊版をいくつか買ったな。
東京に比べるとゼンゼン安かったからね。
もうCDは出回っていたけど、まだまだ主流になる前の話。
でも、チャーリー・パーカーの『Royal Roost』がCDでしかリリースされず、CDプレイヤーを持っていなかった私は泣く泣くCDを買って、会社の女の子に頼んでカセットに録音してもらったんだっけ。
「レコードがなくなるかも知れない…」と、この世の終わりぐらいに思っていたけど、今はどうだ?
LPどころか、そのCDがなくなりそうではあ~りませんか!
言っておきますけどね、CDが出て来た時そこら中で「試聴会」なんてのが開かれてね、みんな「ああ、なんていい音なんだ」って涙を流して喜んだんですよ。
私は音の魅力よりもあのサイズがどうもシックリ来なくてしばらくの間は迎合しなかった。
それがナンダ?
「やっぱりアナログに限る」って!
人間の耳なんていい加減なものです。
あ、ひとつ言っておきますが…。
よくコンサートで「イヤ~、はじめ音がヒドくてさ!4曲目ぐらいから良くなった」なんてやっている人がいるでしょ?
ああいうのって、よっぽど音に問題がない限りPAさんって途中で音を変えることはしないんだって。
そりゃプロですから。
リハーサルの時にお客さんが入った状態を計算して完璧な状態にして本番に臨んでいるワケ。
スゴイのは人間の耳で、一旦「音がヒドイ」と認識すると、その人の脳ミソはジャンジャン聴覚を調整して、いい音に聞こえるように働いてくれるのだそうだ。
ま、実際に最後までヒドいコンサートも確かにあるけどね…。
この島村楽器さん。
ノンちゃん(島紀史さん)と『Marshall Roadshow』をやらせて頂いたことがあった。
私は前日から神戸に入っていて、ノンちゃんは当日東京から車で来ることになっていた。
すると当日の朝電話が入り、「高熱を出してしまった」と言う。
私が「キャンセルしよう」と言っても、そんなことをおいそれとOKするような人ではない。
「せめて新幹線で来れば?」とススめても「イヤ、大丈夫です。少し遅れかも知れませんが…」と車で東京を出てしまった。
マァ、こっちは心配だったよね。
途中で「今、名古屋まで来ました。それほど遅れないですみそうです」という連絡が入る。
それから早かったナァ。
アッという間に神戸に着いてほぼ時間通りに開演しちゃった。
ギターを持たせればこっちのもの、熱があろうがナンだろうが、最高の演奏を聴かせてくれた。
この時から私は島紀史のことを「鉄人」と崇め奉っている。
ということで、神戸もおしまい。
短い滞在時間ながら、久しぶりで楽しかった~。一路東京へ…2日後からはアナハイムなのだ。
今回のレポートは「Thumbs Up」からそのままつなげたChiikoちゃんのドラム・ソロから。
ポツンと置かれたNATALのフロアタムに近づく由佳梨さん。Chiikoちゃんもフロアタムに歩み寄りスティックを握る。
Chiikoちゃんのプリミティブなビートに乗って身体をくゆらすダンサーたち。しばしフロアタムだけでソロを披露したChiikoちゃん。
そして「Begin Again」。
ソフトにアレンジしたSEから、ホンモノの演奏が続いた。
場内はほとんど闇。
こうやって普通に写真を載せていますが…撮影大変でした。
そして、ナカジマさんの同時進行の映像とJuandrosさんの同時生成画像が加わり『チェリー』のすべての要素が重なる。
激しい「begin Again」から一変して曲は「The Shape of Your Life」。
確かこの曲はYukiちゃんが由佳梨さんをイメージして作った曲ではなかったか…。
同時進行映像と共演するダンサー。バラードながら熱気あふれる演奏と…
携帯電話を手にしたダンサーの緻密な群舞のコラボレーションが展開していく。
2人が寄り添ったりするシークエンスはなかったものの、私の目には曲のメロディに合わせて由佳梨さんとYukiちゃんが踊りとギターで会話をし、共演しているように映った。
ステージに残るD_Drive。
ココからアンコールということになる。
D_Driveが演奏したのはおなじみ「Attraction 4D」。
ココでは出演した全員がソロを披露してお客さんを楽しませた。
もうこの辺りは最後まで写真で雰囲気を味わってね!
そしてカーテンコール。
大きな拍手に包まれて大成功!
ショウは初日にマチネーとソワレ、翌日にもマチネーが開かれて合計3つの公演が大好評のうちに終了した。
そして、この2日後、D_Driveはロサンゼルスに旅立った。 さて…、今回の公演を実現させた「ENTERART」は由佳梨さんが主宰する神戸市に拠点を置くパフォ―マンス・グループだ。由佳梨さんはコンテンポラリー・ダンスを中心にニューヨークを基盤に世界中に活動の場を広げ、
メトロポリタン・オペラハウスやオフ・ブロードウェイの舞台や数々の映像作品、CM等に出演している。。
今回の『チェリー』の前、2014年には振付と出演をこなした『「White Sea」-//from the white room』というミュージック・ビデオがロンドンの「レインダンス・フィルム・フェスティバル」に招聘された。
また、ダンスのインストラクターとしての活動積極的に展開している。
ダンスと音楽とマルチメディアを融合させた今回の公演は由佳梨さんの才能や能力が十二分に活かされた、自身のマスターピースになったのではなかろうか。
今後の活動もとても楽しみだ。
逢坂由佳梨の詳しい情報はコチラ⇒Yukari Osaka Official Web Site
一方…、コロナのせいで47都道府県が頓挫してしまって気の毒だったD_Drive。
でも今、また色々とイギリスとやってるからね。
D_Driverの皆さん、どうかお楽しみに!
それと、上海だよ、上海!
今年も10月にMusic CHINAが企画されていて、既に皆さんにお知らせしている通り、またD_Driveが呼ばれているじゃない。
しかも、今回は大きなステージが用意されることになってるのね。
オイ、コロナ、何とかしろ!
年明けにはNAMMだって控えてるんだぞ!
こちとらせっかく世界の軌道に乗り出したんだから早く消えて失せろ!
それと…今週、13日にライブ配信があります。
コチラもよろしく!
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive OFFICIAL WEB SITE