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2020年6月11日 (木)

【Marshall Blog Archive】島紀史インタビュー <後編>

 

キャビネットについて
M:スピーカー・キャビネットについてはいかがですか?
S:最初にJCM800時代の1960Aを持っていて、15歳の時です…。
M:15歳で!?
S:でも、ボクのキャビネット遍歴はオモシロくないですよ!(笑)
M:何で?
S:三段積みにしたくて18歳の時にBキャビを買い足したんです。
その時のBキャビを今だに使っています。
あ、もちろんスピーカーは入れ換えていますよ!
M:スピーカーが飛んじゃったんですか?
S:イヤ、使いすぎてヘコヘコになっちゃったんです。
その時楽器屋でアルバイトしていて色んなスピーカーを試したんです。
それで一番ビタってきたのがセレッションのVintage30。
それ以来Vintage30ばっかりです。
そして、その最初に買ったAキャビは…今でもそのBキャビの上に乗ってます!
ダミーですから中はスカスカです。
M:あ、アレ?
それじゃ1回もキャビネットは買い換えていないんですか?
S:ウン。
だからボッロボロ。自分でビンテージにしたみたいなルックス。
とにかく自分のイメージする音を出してくれるのが1960とVintage30の組み合わせって完全に決まってしまっていますね。
M:信頼できるってワケですね?
S:色々試したんですよ、G12T-75とかも。でも少し余裕がありすぎたりして。
 
弾いてみたいMarshall
M:新旧を問わず弾いてみたいMarshallって何かありますか?

Jtm45_2S:古いのだったら、あの1号機みたいなヤツ。
M:一番最初のJTM45?
S:そうかな?
M:いわゆるオフセットですな?
Marshallが最初1965年にあのモデルを売り出す時に23台の予約が入ったんですが、予約リストの中にリッチーの名前が入っていたんですって。
実はピート・タウンゼンドだけでなく、リッチーもMarshallの開発には結構協力したらしい。
S:ヘェ~。そんな話を聞いたらなおさら弾きたい!
あとMajorですね、200W(モデル名1967、1967~1974年に製造されていた)。
自分でも持っていたことはあったんですけど…。
あと、ザックのシグネチャー(2203ZW)も弾きたかったナァ。

 <マーブロ写真館1>
コレが現在の島さんのMarshall。
ヘッドは1959ではなくMAJOR1967。
帰ってきたMAJOR!
そして、向かって右側がそのボロボロのキャビネット。
ノンちゃんが語っている通り、Aキャビにはスピーカーが入ってないことがわかる。
とにかくMarshallのキャビネットは丈夫なのよ!
40
<島紀史写真館5>
2003年、クラブチッタ川崎で開催された『Pure Rock Japan』出演時のCONCERTO MOON。
17年前か…。
こうして見るとノンちゃんは全然変わらないナァ。

11_2003_purerock 

CONCERTO MOONの再開
M:Double Dealerの活動に終止符を打たれて、心機一転CONCERTO MOONの活動に集中されて行くワケですが、何かその活動の中でMarshallの位置づけというものはいかがでしょう?
S:ま、Marshall以外のアンプで大きな音を出すということは絶対にないでしょうね。
イヤ、今後の人生においてもMarshall以外あり得ないかな。
ただ、信頼度とか、最近の新商品の動向とかも考えると、お世辞やおべんちゃらじゃくなくて、ますます重要になっていますね。
はっきり言ってライブもレコーディングもVintage Modernに変えようかと思っています。
今までクリニックや自分の機材が持ち込めない場合、アンプは必ずMarshallを指定してきました。
「アンプ:Marshall」って書いてあれば、JCM900でも2000でも自分の音を作ることができるし、信頼度は何者にも代えがたい。
CONCERTO MOONは来年結成10周年をむかえてメタル度もますますアップしています。
より一層Marshallでないとダメです。


 
レコーディングとステージ
M:レコーディングでもステージでもMarshallをお使いいだいているワケですが、それぞれのシチュエーションで気をつけていることというか、使い分けているようなことはありますか?
使い方のコツとか。

Is3S:やっぱりレコーディングの時はマイクで録られて、それなりにコンプレッションもかけられた音になるでしょ?
だからステージで背中に音の風を感じて弾いている時と全然違います。
たとえ同じセッティングにしてもね。
なので、レコーディングの時は更にゲインを下げます。
だから、さっきお話したオーバードライブなんかは完全に切ります。
音を小さくするという意味ではありませんよ。
ゲインを下げた音にコンプレッションなんかをかけた音が返ってくるわけです。
その音のニュアンスがステージの音と近いかどうかにこだわります。
ボリュームは落とせないんです…そこでゲインを落とすんですね。
それから、さっきベースはゼロと言いましたが、レコーディングの時は4ぐらいまで上げます。
M:なるほど。
S:ステージで感じるあのゴンと押してくるようなニュアンスはマイクでは絶対に拾えないんです。
だから、ベースを上げてやるんです。
その違いは気をつけてます。
M:それでもプレイバックを聞いて音がイメージ通りでないと後から加工したりするんですか?
S:ボクは極力しないようにしています。
録るときよりもミックスする時にEQ処理をすることはあります。
とにかく背中で鳴っているMarshallの音を再現することの試行錯誤には時間を費やしますね。
 
<島紀史写真館6>
2005年、札幌クラップスホールのDouble Dealer。
ノンちゃんの背後のMarshallは、向かって左が<前編>に出て来た1988年製の1959。
見えないけど真ん中が当時メインで使用していた1973年生の1959。
右はサブの1959。
キャビネットは真ん中と右の2列、計4台を持ち込んでいる。
ギターはシェクターの一番最初のシグネチャー・モデルだ。
 
Double Dealerは2007年に渋谷のO-WESTに観に行ったことがあった。
その時、ちょうど来日していた業界のアメリカ人を連れて行ったんだけど、ノンちゃんのプレイにとても喜んでね。
「Great!, great!」って…草津か!?(ココはノンちゃんに合わせてプロレスネタです)
詳しい感想を尋ねると「イングヴェイみたいにシュレッドするけど、彼は断然リッチー・ブラックモアでしょう」と言ったので私は「Hit the mark!」と答えておいた。
日本人だったらそのアメリカ人のような感想は持たなかったのではなかろうか?
やっぱりロックの本番の欧米の人たちは日本人と音楽の聴き方というか、接し方が違うと感心したものだ。

2005_dd_sapporo


カッコいいリフはMarshallから!
M:島さんの感じるMarshallの魅力を一口で語るとなると…。
S:最大の魅力はガッツのあるこもらないローですね。
あの6弦をミュートして弾くゴンゴンと弾いたニュアンスはMarshallじゃないと出ないんです。
そのガッツ感。パンチ力。
ボクがヘビィメタルをプレイしていて一番重要なのはそこなんです。

Is1M:あ、だからDeep PurpleにしてもLed Zeppelinにして低音弦を使ったカッコいいリフ曲ができたのかな?
S:そう!カッコいいリフづくりにMarshallは一役も二役も買っていますよ、間違いなく。
M:そういわれてみるとThe WhoにしてもThe Kinksにしてもコードでリフ曲をつくるバンドはMarshallを使っていない…。(The Knksのレイ・デイビスは後年マーシャルを使っているようですが)
S:違うアンプでそれをやるとパンチがなくてぼやけちゃうんです。
ボトムがすごく出ているのにぼやけちゃうんですよね。
Marshallはガッツ。
ベースをゼロにしておかないとパンチが出すぎちゃう時があるんですよ。
ストラトでもそう感じます。
そして、明らかにピッキングのニュアンスを客席に届けてくれるハイがあるんです。
「何kの周波数帯」とはわからないですけど、せっかく何年も練習してきたピッキングのニュアンスを完璧に再現してくれるのがMarshallなんですよね…ということは逆に使うのも難しいといえますね。ゴマカシが効かないもん。
そして、偉大な先達を見てください。
リッチー、イングヴェイ、全員ピッキングのニュアンスがメチャクチャ豊かでしょ?それを再生する能力がズバ抜けているんですよ…Marshallはそこだ!
オッ、今ええこと言うた!何も考えてなかったのに!(爆笑)

 
<島紀史写真館7>
コレは2010年の楽器フェアかな?
ノンちゃんの演奏を耳にして出前に来たソバ屋が油を売っているシーン。
Class5をリリースした時。
もうこの頃はアンプの小型化が定着して、同時にデジタル・アンプが跳梁して来たように記憶している
そういえばノンちゃんと初めて会ったのも楽器フェアだった。
2006年、ナニかのデモをされる時にMarshallを貸し出したのね。
そのデモが終了した後、ワザワザひとりで私にご挨拶しに来てくださった。
「島です」って。
もちろん私は「島紀史」は知っていたけど、その時はまだ個人的には存じ上げなかった。
でも、ワザワザ挨拶に足を運んでくれたことで「島紀史」がどういう人かがすぐにわかった。
人間の付き合いってそんなものです。
その後も個人的に大変お世話になってしまったこともありました。

11__marshall 
 
Vintage Modernの魅力
M:最近、島さんはギター・クリニック等ではVintage Modernを使用していただいていますが、あのアンプのどこが島さんにアピールしているんですか?
S:もちろん、名前の通りですよ!
ビンテージMarshallを長年使ってきた人間にとって、これほど違和感のない新商品はまずないと言っていいでしょう。
ビンテージMarshallはボリュームのコントロールがむずかしかったり、ご機嫌斜めになったり…どうしても古いからね…そんなことがVintageModernにはありませんからね!
モダンという要素で言えばBodyとDetailのPre Ampの部分。
ビンテージものでリンクしてもああはいかない。
うまくミックスできても今度はボリュームが調節できませんもんね。
特にクリニックでは音量の自由がきかないことが多いわけですから、ボリュームを下げても出したいニュアンスを出してくれる…この部分は最高です。
クリーンが欲しければギターのボリュームを下げて上げればいいだけだし。つまみは200個もついてないし(笑)。
ボクはそんなにツマミは要らないと思ってる。
JVMだってツマミが多そうに見えるけどただ各チャンネルのコントロールが独立しているだけで全然シンプルですもんね。まったくもってわかりやすい。
M:それでは実際のライブ・ステージで使ったとしたらどうでしょうか?
S:そりゃ、そのままマスターボリュームを上げてあげればいいだけ。
 
<マーブロ写真館2>
Vintage Modernネェ…いいアンプだった。
私は特にコンボの2266Cが好きだった。
チョット歪み気味にしてレスポールのボリュームを下げて弾く音がお気に入りだった。
Marshallも企業なので、販売が思わしくない商品はトットと生産を終了せざるを得ない。
Vintage Modernは時代の移り変わりの犠牲者になってしまったのではなかろうか?
もっと可哀想だったのはASTORIAだ。
私は4台のASTORIAを大事に保管している。
もうしばらくはあんなアンプは出て来ないだろうから。
Vintage Modernにしても、ASTORIAにしても、1959SLPにしても、そうしたトラディショナルで、流行に背を向けたマジメな楽器が息絶えてしまうのは、本当に残念で悲しく、また音楽の将来に大きな不安を覚えてしまうんだよね。
 
もうVintage Modernのことを知らない若い人もいると思うのでアーカイブついでにサラっとおさらいしておこう(若い人はこのブログを読まないんだけどよ!)。
2006年10月、Marshallの工場でVintage ModernとJVMの発表会が開かれた。
私はこの年の3月のフランクフルトで既に弾かせてもらってすごく気に入っていたので、この発表会が楽しみだった。
11_rimg0004Vintage ModernはMarshallの1962年の第1号機に使われたKT66をパワー段に採用したビンテージ風味タップリのシリーズだった。
設計したのは元The Animalsのスティーヴ・ドーソン。
ビンテージMarshallを知り尽くしたギタリストらしい仕事だった。
今、スティーブはアンプのリペア業の傍ら、AC/DCのブライアン・ジョンソンがが以前在籍していたニューカッスルのバンド、Geodieでギターを弾いている。
「ジョーディ」はニューカッスル生まれの人のニックネームね。
マンチェスター生まれの人は「マンキュニアン」。
リバプール生まれの人は「スコウサーズ」ね。
だから「ファブ・フォー(Fab Four)」はスコウサーズだ。

11_rimg0090Vintage Modernのデモンストレーションはダグが担当した。
 
個人的にこの時のことで一番思い出深いのは、タバコを止めたことだったりして…。
約1週間、マジで苦しかったわ。
でもホント、タバコは止めてヨカッタ…。11_rimg0043Vintage ModernとJVMをフィーチュアしたこのジムのポスターも懐かしい。
フランクフルトで一体何千枚クルクルしたことか…。
コレは確かジムが最初に倒れてから数日で撮った写真だったハズ。
11_2jmそしてノンちゃんは使い慣れた1959からVintage Modernにバックラインを換えたのだった。
キャビネットはそのまんま。
なんかこのフロント・パネルに貼られたゼッケンがなつかしいな。Prj2009_1v2009年の『Pure Rock Japan』。

Prj2009_2v1959とはまた違った甘めのサウンドがヨカッタんだよね。

Img_0079そうしてCONCERTO MOONはしばらくの間、Vintage Modernのサウンドで暴れまくってくれた。

3v

4  
<マーブロ写真館3>
昔はイギリスのマネっこをして、Marshallのプロモーションとして『Marshall Roadshow』というデモンストレーション・ショウをよくやっていたんだよね。

100 東京を中心に、大阪、神戸なんかでやったネェ。

300大宮でJMDのデモンストレーションの時には今は亡きジーノ・ロートが観に来てくれたこともあった。

200また、この頃はJVMやVintage Modernの他にもランディ・ローズの1959RRやケリー・キングの2203KK等、新商品が目白押しだったからね。

310まったく懐かしいもんです。

330  
 
シンプルにしてディープ
M:それでは最後に読者の皆さんにMarshallに関するひと言頂戴できますか?
S:たまたまボクはヘビィメタルを演っていますが、フュージョンであれ、ブルースであれ、はたまたジャズであれ、アンプに関して言えばMarshallで解決できると思っているんですよ。
とことんクリーンで行こうと思えばいけるし、ラウドにディストーションかまして行こうと思えば右出るものはいないでしょう?
シンプルですよね。
そして、シンプルだけにディープですよね。
トーンをいじっていて「あ、ここを上げればこうなるのか~」なんて発見は今でもあります。
ディープだからどんな要求にも応えてくれる。
Marshall以外のアンプを選択する理由がないんです。
ボクにはね!
M:ありがとうございます!
 

    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

 
ああ、うれしいお言葉が次から次へと飛び出す楽しいインタビューだった!
  
さて、ノンちゃんは冒頭で紹介した通り、現在2台のMAJOR1967を手に入れ、例のキャビと共に愛用してくれている。
そんなノンちゃんになんかの折に「コレでゴールだねェ」みたいな話をしたことがあって、するとノンちゃんは「イヤイヤ、やっぱりPigが欲しいんですよ!」と答えてくれた。
Pigというのは「MAJOR」の初代モデル。
何でも今はすごいお値段だそうで…。
写真はMarshallの工場にあるヤツかな?

1967みんなこのモデルを普通に「Pig」と呼んでいるけど、このモデルが販売されていた時はそんな名前はなかった。
「Pig」という名前を付けたのは下の写真の向かって右から2番目の人。
『HISTORY OF MARSHALL』の著者、マイク・ドイル。
本を著した時にこのモデルをそう呼んだのだ。
だから後で出来た名前なの。
下は今年1月のNAMMの時に撮った写真。
『HISTORY OF MARSHALL』の最新版の日本語版(『アンプ大名鑑:マーシャル編』)の監修をした私がMarshallのブースにいることを知って、マイクは私にお礼を言うためにワザワザご挨拶に来てくださったのだ。
イヤ、ノンちゃんと同じだナァと思って。
右端はおなじみMarshallの社長、ジョナサン・エラリー。
向かって左は私の古い友達JC(=Jean Claude、アンプじゃないよ)。
驚いたことにJCは今マイクと同じ職場にいて、私がNAMMに来ていることをマイクに知らせてくれたのだ。
楽器業界はホントに世界的に狭い!

11_img_2741さて、CONCERTO MOON、新ボーカルズの芳賀亘が加入し、昨年の5月にセルフ・カバー・アルバム『OUROBOROS』をリリースしたのは皆さんもご存知の通り。20cdそして、今ニューアルバムの制作中!
楽しみだね。
アルバムが出る頃にはコロナも終息して、またド迫力のレコ発ライブを開いてくれることでしょう。

Nr お、その前に!
もうすぐ『Marshall GALA2』でのノンちゃんの雄姿をお送りしますからね。
しばしお待ちを!
来週末かな?

島紀史の詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

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