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2020年6月30日 (火)

I've Got Music in Me~MVT:イギリス版「ライブハウスを救え!」

 

人の迷惑顧みず、Marshall BlogやShige Blogでしつこいほどレポートさせてもらっているけど、去年の6月は3週間ほどロンドンで過ごした。
その前にロンドンを訪れた時も6月で、4年前のことだった。
その4年の間に様子が大きく変わっていたことがあった。
それは「キャッシュレス化」。
元々、日本に比べればはるかにキャッシュレス化が進んでいたイギリスだったけど、今回はその差が格段に広がっていることを目の当たりにした。
中国も「キャッシュレス化がスゴく進んでいる」なんて聞いていたけど、上海なんかはゼンゼンそんなことなかった。
ロンドンはもうとにかく何がしかのカード。
パブなんかは、以前は圧倒的に現金派が多かったが、今はもうレジでカードを差し出す人の方が圧倒的に多いし、お店の方もそれが完全に当たり前になっていて、カードの読み取り機がカウンターの上で威張っていた。
私は「キャッシュレス化推進派」では全くないが、店側の受け入れ態勢さえシッカリしていれば…便利だネェ。
そんなイギリスでキャッシュレス化に際して大きな問題が発生しているという。
多分、日本は問題にはなることはないであろう問題。
それは、Donationについて…つまり「寄付」。
キャッシュレス化が進んでしまって小銭を手にする機会が激減してしまい、募金やホームレスの人たちへの施しがしにくくなっているというのだ。
コレ、良いとか悪いとかは別にして、土台日本人と精神性が違いますからね。
元々「Nobless Oblige(ノブレス・オブリージュ:地位や権利を持つものは義務を負うという精神)」という精神が根付いているし、連中は子供の頃から「貧しい人を助けてあげなさい」、「困っている人に手を貸してあげなさい」と徹底的に教育される。
実際、去年もトッテナム・コートロードのパブでD_Driveの女子会と家内とでエールを楽しんでいたら、こっちで言う小学校2年生ぐらいの子がテーブルにやって来て、なにやらボードを見せて「寄付をしろ」と言う。
そのボードに何が書いてあったのかはサッパリ覚えていないが、「ゴメンね、オジちゃんたちは旅行者で英語がわからないんだよ~」とその子に伝えると、ウンでもなきゃスンでもない、ニコリともせず次のテーブルに移って行った。
そんな調子。
寄付が生活の一部になっている感じ。
この「キャッシュレス vs. ホームレス」の話はMarshall Rocordsの若いスタッフから聞いたんだけど、もう彼なんかも寄付したくてウズウズするって言うのよ。
Jim Marhallだってヘタをすると「Marshallブランドの創設者」というより「篤志家」としての方が有名だったかも知れないからね。
実際、慈善活動には熱心だったし…。
今でもMarshall社はそうした活動に頻繁に関わっている。
…と、こんな話を聞いた直後、テレビを見てまた驚いた。
確かにロンドンではそういう問題があって、ストリート・ミュージシャンへの投げ銭なんかにはカードが使えるようになって来たというのだ!
ミュージシャンがカードの読み取り機を持って歩いているワケ。
オモシロいな~、イギリスは。

610 さて、そのイギリスはヨーロッパにおけるコロナ大国になってしまって、多くのライブハウスが休業に追い込まれ廃業の危機に瀕している。
イギリスはロックダウンの処置も日本とは比べ物にならないぐらい厳しいからね。
それでも7月4日からレストランやパブなんかの営業は再開できることになった。
連中からあんまり長い間パブを取り上げたらアタマがおかしくなっちゃうからね。
しかし、チョット前に書いた通り、世界のエンターテイメントの中心地であるウエスト・エンドの全劇場は年内の全公演をキャンセルすることを打ち出した。
あまりにも恐ろしいことだ。
そんな状況だからして、ライブハウスの再開など全く目途が立っていない状態だ。
そこで立ち上がった団体のひとつがMarshall。
MarshallはMUSIC VENUE TRUST(以下「MVT」)とタッグを組んで、寄付を募るためのTシャツを新しく制作し、「#saveourvenues」というキャンペーンに乗り出したのだ。
#saveourvenuesは、数か月前から休業を余儀なくされているイギリス中のライブハウスが、コロナ禍の後に営業を再開するための資金を集めるMVTによる活動。
イギリス国内中のアーティストや周辺の関係者は、ライブ音楽産業の重要な部分を占めるライブハウスを救済するためにインターネットを通して寄付をし続け、4月27日にキャンペーンを開始して以来、その寄付額は2百万ポンド(約2億8千万円)に到達した。
 
Logo2ところで、MVTは長い歴史を持つライブハウスによって伝承され続けているイギリスの音楽をさらに発展させるべく、将来の経済的保証を担保することを目的に2014年に設立されたチャリティ団体だ。
その「長い歴史を持つライブハウス」の名前が例として挙がっていたのでいい機会なので調べてみた。
 
例えばハルの「Adelphi(アデルファイ)」。

Adelphiターンブリッジ・ウェルズの「The Forum」。

Tunbridgewellsforum サウザンプトンの「The Joiners」。

Southampton マンチェスターの「Band on the Wall」。

Bow そして、ロンドンはおなじみオックスフォード・ストリートの「100Club」。
Img_9965エクセターの「Cavern」。
さすがブリティッシュ・ロックの本場、どれも貫禄タップリのライブハウスではあるまいか。CvMVTのCEO、Mark Davydの言葉…「業界でよく知られるブラント(Marshallのこと)と関係を構築し、募金活動をより一層前進させることがきてとてもうれしく思っています。
しばらくすれば、皆さんもまたライブハウスに行くことが出来るかもしれませんが、その前にキャンペーンTシャツをゲットして#saveourvenuesの活動を支援してください」

Logo1 
そのキャンペーンTシャツがコレ。11_mvtshirt続いては『Marshall GALA2』のシャツを着てるけど、Marshall社の社長、ジョナサン・エラリーの言葉…「私たちがMarshallやMarshall Recordsで取り組んでいることはすべてライブ・ミュージックに関係しています。
そして、我々はMVTの#saveourmusic活動に敬服しています。
MVTとタッグを組んでライブハウスがライブ・ミュージックを発展させ続けるための寄付を募るお手伝いを出来ることに興奮しています」

11_dsc_4994 ココに載せている文章の大半はこのキャンペーンのプレスリリースの和訳なんだけど、「ライブハウス」としているのは意訳。
「ライブハウス」という言葉は和製英語なので英語圏にで存在しない。
彼らはライブハウスのことを単に「club」と呼んでいるけど、このプレスリリースの中では「grassroots music venue」という言葉を使っている。
直訳すれば「草の根ライブハウス」ということになるが、上の写真にあるように、小規模な「町のライブハウス」を救援しようとしているワケ。
 
プレスリリースにはこんなことも書いてあった…「バッキンガムシャーに本拠地を構えるMarshall社のMarshallやNATALといった製品は「MK11」や「The Craufurd Arms」といった地元のライブハウスだけでなく、全国のライブハウスのステージで活躍している」
その通り。
今や消滅の危機に瀕しているそれらのステージに救済の手を差し伸べるのは、ジムから受け継いだMarshall社の本質的な精神なのだ。
 
「MK11」はミルトンキーンズにあるっていうんだけど、そんなの知らなかった。
こんな感じ。

11_mk11_2

11_mk112_2  一方の「The Craufurd Arms」 はよく知ってる。

11_0r4a0303昨年D_Driveとお邪魔したのです。

11_0r4a0327『Marshall Live』の前々日、230Vに電圧に慣れておくためにD_Driveがココでリハーサルをしたのだ。

11_0r4a0497バー・コーナーもこんな感じでとっても素敵なの。
ガンバって欲しいな~。11_0r4a0217そして、キャンペーン。
Marshallが動画制作したのでまずコレを…。


Tシャツは着るとこんな感じ。
モデルがヒドくて悪かったナ。
これじゃ売れるもんも売れなくなる…ってか?0r4a0391背中はこう。

0r4a0426今回は現場への浸透度を考慮してEDENはお休み。

0r4a0436A面は終始線のついた五線に「I've got the music in me.」のデザイン。
「私の中には音楽がある」って。
ガーシュインの代表作に「リズム・チェンジ」で有名な「I Got Rhythm」ってあるでしょ?
アレと同じ。
イギリス人は「~がある」という時、ちゃんと「have got」と言う。
ジョンも「I have got a.....」ってよくやってる。
私もそのマネをするように努めているんだけど、つい「アイガッタ~」とか言ってしまう。
イギリス英語はムズカシイ。

0r4a0433「I've got the music in me」はこのキャンペーンのテーマソング。
1974年のKiki Deeのヒット曲だ…といっても私は知らなかったんだけどね。
こういう曲。

Kiki DeeというとElton Johnと共演したヤツぐらいしか知らなんだ。
「Don't Go Breaking my Heart(恋のデュエット)」ってのが70年代にヒットしていた。
上の曲のプロデューサーがGus Dudgeonだった関係で共演したんだろう。
90年代にはこの2人、「True Love」で再共演してるのね?
コレはゼンゼン知らなかった。


この曲のオリジナルは1956年の『Hgh Society(上流社会)』の挿入歌。
申し訳ないけど、コッチの方が格段にいいんだよナァ。

Hs_2 それがコレ。
Grace Kellyってのは本当に美しい。こういうのを「美人」って言うんだよ。
大海原の船上で2人、こんなシチュエーションなら歌のひとつも歌いたくなるよナァ。
何せBing Crosbyのビロードより滑らかな声だ。
そして、素材はCole Porterの魅惑の旋律。
ああ、男の私でもウットリすらぁ。


余談ながらGeorge Harrisonも『33 1/3』でこの曲を取り上げているのも全く知らなかった。
試しに聴いてみると…ディミニッシュ、ド~ンのハリソン節でかなり笑けた。

33 さて、軌道を元に戻して…上のMarshallのビデオでキャンペーンのテーマソングの「I've Got the Music in Me」を演奏しているのはD_Driveのレーベル・メイトのBad Touch。
そのビデオがコレ。

カッコいいナァ~、ボーカルズのStevie Westwood!
まずは髪の毛が羨ましい。
最近こういう「ロック・スター丸出し」のシンガーがいなくなったじゃない?
特に日本ではまったく見かけなくなった。
Excuse me…そのBad Touchの最新アルバムが下の『Kiss the Sky』。
実はまだ聴けていないのだが、チョコチョコ出ているビデオを見るに…いいネェ~。
いいバンドだよ。Bt Tシャツは日本からもお求めになれるようです。
お求め先をリンクしておきますが、販売、発送の際に撮ら売るが発生した場合、当方は一切の責任を負いかねますこと予めご了承ください。
 
お求めは⇒Marshall公式t特設サイト(英語版)

11_mvtshirtおっかしいな~、もっと簡単にやるつもりだったのに大作になってしまった。
 

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