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2019年3月 8日 (金)

我が青春の数十ページに会ってきた!<上巻>~ウドー音楽事務所『海外アーティスト招聘の軌跡』

 
雨の夜の有楽町。
駅を背中にして見るこの光景が跡形もなく昔と変わってしまったことは以前に書いた。
今は改札を出ると丸井がドーン。
そういえば以前、上野で中国から来た観光客に「Zero One Zero Oneにはどうやって行けばよいですか?」と訊かれ、一瞬わからなかったことがあった。
今日は私もそのZero One Zero Oneにやって来たのだ。

10それはこの展示を見るため。

20入り口のロビーには看板が出ていて、その傍らには…

30Steve Lukatherのギター。
好きな人にはもうタマらない。

40 会場がある8階へ上がる。

50コレが入り口。

60ウドー音楽事務所の海外アーティスト招聘の50年の歴史を振り返る展覧会。
すごく楽しみにしていたのだ!

70ナントならばウドーさんが招聘した海外のバンドの思い出は私の青春のかなりページを占めているからね。

80開催は本日、3月8日からだが、Marshallとして少しばかりお手伝いをさせて頂いた関係で、前日の内覧会にご招待頂いた。

85あの頃は本当にロックを聴くのがうれしくて、楽しくてね~。
すべてのお小遣いと時間をロックに注いだよ。

90会場は関係者の方々でかなりの賑わいを見せていた。

110その50年の招聘の歴史に照らし合わせ、新聞を使って当時ナニが世の中で起こっていたのかを掲示していたのも面白かった。
 
ウドーさんの設立は1967年。
いつかやった「三億円事件」は1968年、アポロ11号の月面着陸は1969年。
私は小学校2、3年生だったけど、とにかく両方ともエライ騒ぎだったのを覚えている。
今では「あの月面着陸の映像はキューブリックが撮った」なんて話の方がゼンゼン興味があるけどね。アレは絶対にキューブリックだよ。

120年毎にウドーさんが招聘したアーティトのチラシやプログラムでクロニクルが綴られる。
130ボードの下部には、誰が、いつ、どこでコンサートを開催したかという詳しい情報が表示されている。
コレは貴重な情報だからして、後の調べごとに使えるように全部写真を撮ってきた。

140設立して間もない頃はサッチモや… 

150サラ等のジャズ・ミュージシャンを呼んでいたのね。
Quincy Jonesと組んだSarahの『You're Mine You』は1962年のアルバム。
ゴージャスなQuincyのオーケストレーションとまだ若き日のSarahの図太い声が絡んだ佳作ですよ…あ、そんなことはどうでもいい。
隣りはGlen Campbellですな?
この人、カントリーの歌手や俳優でよく知られているけど、アホほどギターがウマくて、Ovationからシグネチャー・モデルが出てたんだよね。

1601972年にもなると堰を切ったようにロックのビッグ・ネームが押し寄せて来る。
ロックの一番ヨカッタ時代。
私ももう10年、イヤ、5年でいいや、早く生まれていたらナァ…と今でも思わされるのがこのあたりの来日ミュージシャン。
全部ウドーさんが呼んでくれていたんだね。
 
後楽園球場のEmerson, Lake & Palmer。
ELPは2010年にロンドンで観る機会があって本当に救われた。
160v_21972年のTen Years Afterはprocol Harumとのダブル・ヘッドライナーだったんだね。
当時は「ツーマン」なんてみっともない言葉は当然使われていなかった。
この次に来日した時のことだと思うんだけど、Alvin Leeに向かって紙テープがわりにトイレットペーパーを投げつけた客がいたという記事を読んだ記憶がある。
そんなことをしては絶対にイケません。
Alvin Leeも死んじゃったもんな~。
まだ始まったばかりだけど、この2バンドのメンバー合計4人のウチ3人がもうこの世にいないんだからイヤになっちゃう。

165v_21972年のLed Zeppelin。

170v_22回目の来日だね。
大阪のフェスティバルホールのS席で2,600円だって。

180v_2観ることができず、私の人生の中で最も悔しい思いをしているのがコレ。
Jethro Tull初来日時の新宿厚生年金。
まだ、私は小学校4年生だったからね~、行かないわナァ。
岡井大二さんをはじめ、このコンサートを観た人は口をそろえて「本当に素晴らしかった」とおっしゃる。
『Thick as a Brick』を出したところで、Tullの一番いい時だもんな~。
後年、渋谷公会堂で『Aqualung』を全曲演奏するコンサートを観たけど、ま、それはそれでいいんだけど、やっぱり若くてピチピチしたIan Andersonを観てみたかった!
そういえば、会場で小川銀次さんにバッタリお会いしたんだっけ。
もう渋谷公会堂もなければ銀次さんも天国へ行ってしまった。

150v_2河合楽器の軽井沢の保養所に押し入った過激派が警察と銃撃戦を交えた「あさま山荘事件」は1972年2月のこと。
私はまだ小学校3年生だったかな?
父がテレビにかじりついて観ていた記憶がある。
その後、「総括」という言葉と共に、世にも凄惨な連合赤軍のリンチ事件が明るみに出てみんなビックリした。
私は高校の時…だから、この事件の7年後ぐらいか…頭脳警察の音楽を聴いて、当時の学生運動に興味を持った。
イヤ、「興味を持った」と言っても「思想がどうの」じゃありませんよ。アリャ難しくてナニを言っているんだか今でもサッパリわからん。
どうして、同世代の若者がそういうことをやったのか…ということがすごく不思議になって、角間隆の『赤い雪』だとか高木彬光の『神曲地獄篇』なんてのを読んだりした…とにかく「時代」ということなんでしょうナァ。
私は、学生運動盛んなりし頃にキャンパス内で殺人事件が発生した「某治大学」へ通っていたんだけど、まだあの独特な文字で書かれた檄文のパネルがそこら中に掲げられていた。

3001973~74年にかけてもタメ息が出るようなラインナップ。

190Three Dog Nightに夢中になったことは一度もないけど、今こそ観てみたい。

200v_2Mahavishunu Orchestraもウドーさんが呼んでいたのか…。
1973年は『Birds of Fire』をリリースした年。
McLaughlinはMarshallで演ったのかな?
ちなみに「マクラフリン」と呼んでいるけど、英語圏では「マクラッグリン」のように発音します。

210v_2「Mountainを観た」という人に不思議と会ったことないな。
コレは再結成のMountainだね。

230v_21974年のレジは2回目の来日。
前年に『Goodbye Yellow Brick Road』を出したところに『Caribou』のレパートリーが混ざったショウだったのかしら?
いずれにしてもElton Johnも才気が溢れる一番いい時でしょ。
でも、私もイギリスでDavey JohnstonやNigel OlssonにTwo Cellosが加わったコンサートを観たけんね。
ナニせ1曲目が「Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding」だったもんでナミダが出たわ。

240コレも「観た」っていう人に会ったことがない。
来日メンバーのギターがBill Connorsのところを見ると、『Hymn of the Seventh Galaxy』の曲をタップリ演ったんだろうな~。
いいな~。
ジャズ評論家の故中山康樹さんが「最近はChick Coreaの劣化が問題になっている」みたいなことを書いた文章があったが、この頃のChickはスゴかっただろうね。
うやりたい放題やった結果が最もクリエイティブだった時期だからね。

250vロンドンでは軽くEarl's Courtを2万人でイッパイにするSladeも日本では厚生年金とサンプラか…。
Noddy Holderの声ってのもホンモノで一度聴いてみたかった。

260vアラ、Tullって1973年に引退表明をしたのか…知らなかった。
「日本のために」甦って来日したのがこの1974年の公演だったようだ。
「引退」もウソだったんじゃないの?
それにダマされる方が「Thick as a brick」ということだった…とか?

270v「ギッタ~」なんて、このコンサートは楽しかったんだろね~。
メンバーの皆さん、飲む酒の量が尋常ではなかったとか。
私はヘソ曲がりなもんだから、例によって人気者のRodを好きになったことがないんだけど、The Facesあたり、今聴くと問答無用でカッコいいわな。Steampacketもいい。280v1975年。
まだまだロックが「ロック、ロック」していた時代だよ。

2901975年のFocusの2度目の来日の大阪公演の宣材物。
この頃ってミュージックライフ誌のリーダーズ・ポールでFocusってベスト10圏内にいたんだよね。
1位がELPだったりする頃。
いい時代だ。
Focusはベルギーのジャズ・ギタリストPhilp CatherineやJourneyのSteve Smithをメンバーに加えて来日したこともあるハズ。
だからこの頃3回来日したのか…。
Focusも8年前にロンドンで観た。タイスしかいなかった。
Janとはフランクフルトで写真を一緒に撮らせてもらって今も大切に保管してあるよ。
ちなみに…Jan Akkermanは向こうの人は「ジャナッカーマン」みたいに発音します。

310vGrand Funk Railroadの2回目の来日公演。
前座がカルメン・マキ&OZだって!

330vそうか、コレもウドーさんだったんだ。
スゴイよな~、大二さん、コレに出てるんだもんな~。
Jeff Beck Group、New York Dolls、Phelix Pappalardi、内田裕也クリエイション、四人囃子、マキOZが出て2,800円!

340vStatus Quoの初来日。
Quoは今でもイギリスではドーム級の人気だからね。
死ぬまでに一度観てみたいバンドだ…♪ザッカザッカって。

360v1975年にはPFMも来日して4公演を開催した。
『Chocolate Kings』の頃だね。

370vWishbone Ashの初来日。
当時「世界で一番美しい音を出すロック・バンド」なんて言われていたんだよね。
Ashはこの翌年にも来日している。

380vそうか…Bad Companyの来日公演は武道館で1回だけだったのか…。
アルバムを1枚だけしかリリースしていなかったにもかかわらず、武道館は満員になったそう。
やはり「Freeの再来」という期待が大きかったのだそうだ。
しかし1時間ぐらいしか演らなかったんだって。
390v1975年は3度目の来日。
MKIII?
昔のDeep Purpleって2回しか来日していないのかと思ってた。
…思ったら友人から助け船。
Tommy BolinのMK IVだよね。
酔っ払って腕を下にして寝てしまいギターが弾けなくなってしまったとかいう。
あのライブ盤って聴いたことは聴いたけど、何も覚えていないな。
でも『Come Taste the Band』はライザ・ミネリもビックリのすごくいいアルバムだよね。

400vQuoがまた来たよ~!75、76年と連チャンだったんだ。

410vハイ~、待ってました!
ようやく来ました、私の時代が!
コレが生まれて初めて言った外タレのコンサ―ト!
コンサートで日本武道館へ行ったのは「ケロヨン」以来だぜ!
前座は安全バンド。
もう、とにかく音がデカいのにビックリしたよ。
それまで人生であれほどデカい音って聞いたことがなかったんじゃないかな?
それが今ではMarshallの仕事をしているんだもんな~。

420v会場では「あ、コレ行った!」、「コレも行った!」、「なつかしいな~!」なんて声がアチコチ飛び交っている。
ま、私もその内の1人なんだけど。
Rainbowを皮切りにAerosmith、KISSと行ったよ。
武道館のテッペンから見下ろすSteven Tylerは小豆より小さかった。
私はKISSに夢中になったことは一度もなくて、その証拠にウチのレコード&CD棚にはKISSのアルバムが1枚もないどころか、1回も入ったことがない。
要するに、KISSのレコードやCDを人生で買ったことが一度もないのだ。
キライなワケではないんですよ。
でもね、この初来日のコンサートは本当に素晴らしかったし、美しかったし、何より楽しかった。
前座で登場したBOW WOWの恭司さんがまた最高にカッコよかった。
このコンサート・プログラムも現場では「ウワ!高い!」と思っちゃうけど、買っておいてヨカッタと思っている。
私はウエストエンドやブロードウェイでミュージカルなんかを観ると、例え高価でも必ずプログラムを買うようにしている。
その始まりはこのRainbowだったのです。

425ロッキードね~。
コレ当時はよくわからなかったけど、前の総理大臣が逮捕されたんだからスゴイ…と言いたいところだけど、今だったらナニが起こってもそうおかしくない世の中になっちゃったところがコワイわ。
下の新聞。
そういえば毎週金曜日の夕刊にはこうして翌日から封切られる映画の広告がドカドカ出てたよね。
コレは忘れていた。なつかしいな~。

430vRobin Trowerは行っておけばヨカッタと後悔しているコンサートのひとつ。
Robinは今でも熱心なMarshallプレイヤーで、15年以上前にMarshallに頼んでこっちのイベントに呼ぼうとしたことがあった。
ギャラが折り合わず諦めたが、その時のMarshallから寄せられた代案はMick TaylorとAlvin Leeだった。
実現はしなかったけどね。

435v私、もしかしたらFrank Zappaの次に好きなロック系のアーティストって10ccかも知れないんだけど(ただし『Deceptive Bends』まで)、コレ行ってないんだよね。
コレは15ccになってからの初来日。
そして、この何年後かにも来日が決まって、それは中野サンプラザの前から2列目の席をゲットした。
ところが、直前になってEric Stewartが事故を起こして急遽来日は中止!そ、そんな~!
それから何年経ったかな…最近だよ?
今はなき原宿のアストロホールでとうとう10ccを観た。
Graham GouldmanにRick FennとPaul Bergessがいたから7.5ccか?
メチャクチャ楽しかったな。
後にも先にも全演奏曲目を完全に知り尽くしていたコンサートってこの10ccとZappa Plays Zappaぐらいだよ。

440v1977年はこんなのにも行った。
Santanaは『Moonflower』のレコ発ツアー。
この時のドラムスはGino VannelliのところにいたGraham Learで、ドラム・ソロが途轍もなくスゴかった。
私が人生で観てきたドラム・ソロのベスト3に入る。他は順不同でJack DeJohnetteとUKで来日した時のTerry Bozzio。
Ian Gillan Bandはナンで行ったんだろうね?
とにかく「My Woman from Tokyo」を演ったことしか覚えていない。
このバンドはスター・ギタリストがいればもっと人気が出ていたと思うんだよね。
Ray Fenwickったってね~。
もったいないバンドだった。
だって、今聴くと滅法カッコいいんだもん!

445プログラムの中に挟んであった会場でもらったチラシ。
こういうのこそもっと保管しておけばヨカッタよ。
スコーピオンズね。
「マイケル・シェンカーがやって来る!」って書いてあるんだけど…スッカリやって来なかった。
憂歌団…「生聞」ですよ。コレ観たかったな。
アータ、前売り1,200円だって!

446<下巻>につづく
 
(一部敬称略 2019年3月7日 有楽町丸井8階特設会場にて撮影)

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