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2018年8月30日 (木)

若手Marshallギタリストの集い <前編>

  
Marshallも1962年の創立以来56年の長い月日が過ぎ去って行った。
ついこの間「50周年」の記念コンサートを開催したと思ったら、もう「60周年」が目の前に迫って来ているから驚きだ。
私はMarshallと同じ年でしてね。14歳の時からだから知り合って42年にもなる。
こっちはと言えば、朝は必要以上に早く目が覚めるわ、30秒前にやったコンピューターの操作を覚えていないわ、階段の下りではヒザが怪しいわ、老眼鏡がありがたいわ、耳毛がボーボーだわ、で年老いて行く一方だけど、Marshallはいつまでも若々しいナァ。
それもこれも生き馬の目を抜くような音楽業界や楽器業界の中に合って、世代を超えて若いミュージシャンたちに愛されてきていることが大きいと思う。
そこで、いつもは「70年代だ!」、「真空管だ!」と騒いでいるMarshall Blogだが、今回はMarshallが大好きな若手のギタリストに集まってもらって、Marshallの魅力や商品のアイデア等、色んな話を聞かせて頂いた。
チョット盛り上がり過ぎちゃって、後半はほとんど文字起こしができないような騒ぎになってしまったが、私には若い人たちの考えていることや望んでいることがよくわかって、とても貴重な時間を過ごすことができた。
病気や保険の話も出ないし…。
その「座談会」と称した「プチMarshallパーティ」の様子の一部をお届けします。

1_img_0830まずはパネラーのご紹介。
 
この会をオーガナイズしてくれた、おなじみIOSISの真壁雄太。別名、真壁六郎太。
1_img_0751 Tears of Tragedy/THOUSAND EYESのToru。

1_img_0797 銀幕一楼とTIMECAFEの寒河江宏樹。

1_img_0793 Fate for Blue BulletのTakuya。 

1_img_0757 CASPAのNatsumi。

1_img_0770 元OZ RAM INDIOのKaeDe。

1_img_0812 それでは、素面状態ではじまり、はじまり~。
 

Marshall(以下「M」):それでは手初めに真壁くんから…。まずギター歴を教えてください。
真壁雄太(以下「Y」):ギター歴は10年です。

660_img_0753M:今、Jubileeのハーフ・スタックを使ってもらっていますが、Marshallとの出会いは?
Y:初めてMarshallと出会ったのは楽器店のスタジオですね。
M:まずはよくあるパターンですな?
Y:ハイ。で、どうしてMarshallを所有しているかと言いますと、以前はJCM900ぐらいしか使ったことがなかったんですね。
それで、タマタマ専門学校の先生が持っていたJCM800 2210を弾かせてもらったんですよ。そしたらゼンゼン印象が違うじゃありませんか!
M:JCM900とJCM800じゃ印象がゼンゼン違って当然だよね。
Y:ハイ。で、こんなに歪みが細かくて、アンプ直でも十分イケちゃうじゃん!と感動したんです。そこからMarshallのイメージがガラリと変わって欲しくなっちゃったんです。
でも、2210なんて普通は手に入らないじゃないですか?
M:国内に流通した量も2203に比べたら圧倒的に少なかったので中古も出にくいだろうからね。
Y:やっぱり…。じゃ、ジュビリーはどうかな?と思ったんです。でも、それも売っていない…。

1_img_0204_2M:雄太くんのケースとは違うけど、消費者はそのモノが無くなると欲しくなるんだよね。普通に流通している時に買っていれば何でもないのに…いつもそうなの。

Y:そうですよね~。でも、その時は何かしらのギター・アンプを買わなければいけならない事情があったものですから、ローンでもっと高い別のブランドのアンプを買ったんですね。
M:アチャ~…知ってるけど。で、どうだったの、そのお高いアンプは?
Y:「スゲエいいな~」と思って使っていたんですが、Jubileeが復刻すると聞いて、「エ、じゃもうこのアンプいいや!」と思って、売っちゃいました。その打ったお金でJubileeを買いました。
M:ヨカッタね~、高いアンプを買っておいて。Marshallは安いから余裕だったでしょう。
Y:ハイ。それでキャビネットも揃えちゃいました!
M:どうもありがとう。
それで、雄太くんの憧れのギタリストというと誰ですか?
Y:憧れのギタリストはポール・ギルバートとマティアス・クピアイネンとイングヴェイ・マルムスティーンです。

1_img_0750_4M:ストラディヴァリウス?
Y:ハイ。マティアスがJubileeを使っているというのもあったんですね。

M:我々の世代で「マティアス(Matthias)」というとScorpionsになるかナァ。マティアスって結構いるよね。Freak Kitchenというバンドにマティアス・エクルンドってのもいた…ザッパ好きの。あの人はとても感じのいい人だった。
マティアスってのはドイツ語圏の名前だよね。英語圏では「マシュー(Matthew)」になる。元は「マタイ」だったかな?

 

 
M:はい、続いてはTakuyaくん。Takuyaくんが初めてですね。ようこそMarshallファミリーへ!まずはどれぐらいギターを弾いていますか?

660_2nc3_3Takuya(以下「T」):ギター歴は10年弱です。
M:Takuyaくんはこの名刺を見れば一目瞭然、Marshallが大好きなんだよね?
T:JCM800 2203と1960BXを使っています。Marshallとの出会いが自分の中で「ああ、コレがMarshallの音なんだ」とわかったのは、高校の時、入ったスタジオにVintage Modernが置いてあって、いわゆる「オールドのMarshall」ってこんな感じなのかな?」って自分の中に残ったんです。
M:Vintage ModernはMarshallの第1号機のJTM45に使われていたKT66をパワー・アンプに採用して、現代のテクノロジーを導入した上で原点回帰を図ったモデルですからね。今はもうMarshallを辞めてしまいましたが、今でも仲良くしているVintage Modernの

1_img_0764_2設計者がTakuyaくんの言葉を聞いたらきっと喜ぶと思いますよ。
T:そうですか!で、それ以降はライブハウスやスタジオのJCM900とかJCM2000を使っていたっていう感じですね。
M:Vintage Modernが入っているスタジオなんてそうはないですもんね。
T:ハイ、残念ながら…。それから、どうしてMarshallを使うようになったのか…偶然が重なったんですね。
M:いいね~「偶然」!偶然っていうのはスゴいパワーを持っているからね。
T:どうしてJCM800が欲しかったかと言うと、正直「何となく…」だったんです。
M:「何となく」も理由のひとつ!
T:さっき言ったオールドっぽいVintage Modernの音が自分の中で「好きな音」という印象として残っていたんですね。その後、色んなMarshallを弾いて、耳が肥えて来た時にたまたまオリジナルのJCM800を弾く機会があったんです。で、そのJCM800の音がボクが好きなその音に近いと思ったんです。
M:偶然自分が好きな音がわかった。それでリイシュー・モデルをゲットした…と。
キャビネットは?1960BXっていうチョイスは珍しいよね?
T:キャビネットに関してもBXを狙っていたワケではなかったんです。ボクのギターの師匠が「Marshallのキャビネットの掘り出し物があるぞ!」って教えてくれて…。
現物を見に行ったら、すごくキレイで、音もバッチリで自分の2203とつないで弾いてみたらホントーーーに自分の好きな音が出たんです。
M:なるほど偶然見つけて、偶然つないだら偶然自分の好きな音がドンズバで出てしまった!
T:ハイ、そんな感じです。そういう偶然が重なって自分の手元にMarshallのスタックがやって来たんですね。
M:Marshallを「理想の音ありき」で手に入れる、というのは今の人たちならではの話です。
我々が若い頃は、とにかく「Marshall」というだけでもう何のリクエストもなかった。スタジオに置いてあるなんてことはほとんどなかったし、私が中学生の頃は楽器屋さんでもウインドウの中に飾って合ってMarshallのニオイをかぐこともできなかったんですよ!

1_img_0756_2T:ハハハ!で、そんな自分の好きな音が出たところで自分のルーツを探そうとしたんです。
M:それはとてもいいことです。
T:ボクはメタルの出身ではなくて、ELLEGARDENやBUMP OF CHICKENやRADWIMPSが好きでギターを始めたんですが、ELLEGARDENの生方真一さんの音が好きだったんです。
M:Nothing's Curved in Stone?
T:ハイ、その生方さんがJCM800と1960BXを使っていたんです。
M:ウン、確かにこないだも2203と1960BXだった。
T:やっぱり?それで「自分のルーツはここか!」ってなったんです。その後、セミアコも自分のところに回って来て…。
M:うらやましい偶然だね~。
T:メチャクチャ追いかけた人はいないんですが、最初に好きな音を作ってくれた人ということで生方さんが好きかな?
 
Fate for Blue Bulletの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

 
M:では、次にNatsumiちゃんお願いします。またギター歴から。
Natsumi(以下「N」):ギター歴は4、5年で経験が浅くて多くは語れないんですけど…。

1_img_0772M:4、5年ッ?!
N:ハイ。
M:で、どういういきさつでMarshallを…?
N:Marshallを使用し始めたキッカケは通っていたスタジオのJCM900ですね。
M:やっぱり…。
N;近所にお父さんが使っていたスタジオがあったんです。お父さんも趣味でギターをやっているんですね。
M:お父さんは私よりお若いんだろうナァ…。
N:私のルーツはポルノグラフィティとかBUMP OF CHICKENとかなんですけど、そういう音がMarshallの音だと思って…ギターってそういう音だと思っていたんですね。
M:いいんじゃないですか?
N:それで、スタジオによくあるトランジスタ・アンプにつないでみたら、そういう音とゼンゼン違ったんです!で、Marshallにつないだら「アッ!あの音だ!」ってなって…。この音がカッコいいギターの音だ!と思ったんです。
M:うれしいことをおっしゃいますな~!
N:それから専門学校に進んで、色んなアンプを試したんですけど、やっぱりMarshallの音が一番好きです。
知識のない私みたいなモノでも音作りがしやすいと思うんです。エフェクターも色々と試しているんですが、最後はプレキシ系かな?みたいな。
M:昔の話ばかりして申し訳ないんですが、我々が若い頃はMarshallというものはとても扱いにくいモノでした。
あ、コレはもちろんギターを弾き始めのアマチュアにとっての話ね。

1_img_0781でも、今はギターを始めて間もない人がMarshallでギターを弾いて「音作りがしやすい」…なんて、まさに隔世の感があるよね。
でも、今あなたが挙げたようなバンドさんの音楽を聴いて、「曲がいい」ということならわかりますが、「ギターの音がいい」なんて思うものなんですか?
N:やっぱり最初は曲でした。で、ギターを始めてからやっぱりギターの音そのものに注目をするようになってMarshallを使っているということを知りました。
M:やっぱりね。曲が良くなければいくらギターの音が魅力的も聴くに堪えないですものね。実はこの話は私が「アーティスト」として尊敬している仲良しのギタリストとよくフザけながら討論をするんですが、彼は「まず音がよくなければダメ」っておっしゃるんですね。
「イヤ、曲だ!」、「いいえ音です!」なんてやるワケなんだけど、ウン、最近は「音」っていう感じがして来たんですよ。
ツマらない曲は音さえ普通であれば何とかガマンして聴くことはできるけど、聴くに堪えない音だと、どんなにいい曲でも聴いていられませんもんね。苦痛か公害以外のナニモノでもない。
<この話を聞いていて雄太くんが乱入>
Y:チョットいいですか?ボクが一番最初にギターの音が気になったのはイングヴェイ・マルムスティーンでした。
「曲」ではなくて、「音」がカッコいいな~と思ったんです。
<ココでトマトソースのパスタが登場>

1_img_0787Y:おお~!やった~!おいしそう!「おいしそう!シリーズ」が始まった!
M:あ、そのトマトソースはオレが作ったんだから。
あ、Natsumiちゃん、ゴメンナサイ。それで?
N:自分のギターとの相性もあって…今、レスポール・カスタムを弾いているんですが、JCM900との組み合わせがいいな…と。
M:やっぱり最初の感動が大きかったのかな?
N:時々JCM800をススメられます。でJCM900が好きなんです。
M:ゼンゼン問題ありませんから。憧れのギタリストは?

1_img_0780M:憧れのギタリストは、最初はそうやってバンド単位で聴いていたので特にいなかったんですが、今、色んな人のプレイを聴くようになって「あ、好きだな」と思うMarshallのギタリストはジョー・サトリアー二です。
M:ジョーのマネージャーさんはかなりご年配の方でしてね、初めて付いたバンドがハンブル・パイだったっんですって。そんな話を聞いて感動しちゃった!
一同:シーン。(誰もハンブル・パイを知らない)
M:あ、スミマセン。ジョーもズッとギター1本でスゴイよね。ギタリスト中のギタリストだと思う。私も長い間にずいぶんたくさんのギタリストのプレイを見て来たけど、ジョーのギターのうまさは別格だと思いました。まるで歌を歌っているかのよう。あのウマさは目の前で弾かれたらやっぱりビビります。
ああいうギターを聴くと「速弾き」だけが超絶ではないと思うし、派手なヴィブラートやベンドを使ってやたらとエモーショナルに弾く必要もないということがよくわかります。ま、それはそれでショウの一部としては欠かせないモノだとは思いますが…。
 
CASPAの詳しい情報はコチラ⇒CASPA Offcial Website
 

<つづく>

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(一部敬称略 2018年2月 Marshallオフィスにて)