SHOW-YA ニューアルバム『AURORA』リリース・ツアー <前編>
江戸時代、ご婦人方の最大の楽しみはお芝居…すなわち歌舞伎だった。
また、男女共通のお楽しみは寄席だった。
そして、殿方の「遊び」とくれば「飲む・打つ・買う」と3通りあって、その内最も誰しもが夢中になったのは「買う」の遊郭通い。
遊郭といえば「吉原」。
今、他のバンドさんのところで「吉原」の研究結果を「私のディープ浅草」と銘打ってシリーズで発表している。
江戸の粋な文化が色々とわかって来て実に面白い。
わかったことのひとつが、その頃の吉原というのは、表向きは一般の人が思っているような陰湿なところではなく、江戸の一大観光名所で、今で言う「テーマパーク」として家族連れで訪れたということ。
そして、その殿方の遊び方には「上中下」とランク分けがされていた。コレは今でもそうか?
「上」は来ず…つまり廓(くるわ)には足を踏み入れない。遊びに行かないということね。
「中」は昼来て昼帰り…吉原は最初、昼間しか営業していなかった。
「下」は夜来て朝帰り…見世(店)によってはかなりの資金が必要だった。
実はまだその下があって、
「下々(げげ)」は居続け。
「そのまた下々」は居残りをする。
…有名な落語「居残り佐平次」のマクラである。
いかにも江戸っ子らしい見栄の効いたランク付けだ。
「ナカにも飽きたことだし、今日はミナミへ繰り出そうじゃねぇか!」と噺は始まる。
他に「北国(ホッコク)」などという別称もあるが、この「ナカ」とは吉原のこと。
そして、「ミナミ」とは品川のことだ。
他にも洲崎(今の江東区東陽町の方)は「タツミ(辰巳)」、新宿は「ニシ(西)」などにも大きな遊郭があって、それぞれにそうしたアダ名がついていた。
そのうちのひとつで千住は「コツ」と呼ばれた。他が皆方角を示すのに対し、千住だけは「コツ」。
「コツ」などという方角はない。
コレのタネ明かしはその「吉原研究」で開陳することにします。
さて、品川は「江戸四宿」のひとつにして東海道の初宿…すなわち最初の宿場で、ものすごく栄えていた。
「江戸四宿」とは、五街道の起点である日本橋から二里(8km)にある宿場のことで、他に千住、板橋、内藤新宿(今の新宿1~3丁目あたり)があった。
広重の浮世絵なんかを見ると、品川は青い海が眼前に広がる実にステキな宿場町だ。
その後東海道は、川崎、横浜、程ヶ谷(今の保土ヶ谷)と宿場を連ねて行く。程ヶ谷宿が私の家内とかなり近しい関係にあることは他の記事に「生麦事件」を絡めて書いた。
さて、今日はその品川から。
新幹線が停車するようになって、猛烈な勢いで再開発が進んでいるが、品川にもホールができたのね?
その名も「品川インターシティホール」。
国鉄の操車場の跡地にできた「品川インターシティ」という総合ビジネス施設の中というロケーション。
今日のMarshall Blogはそこで開催されたSHOW-YAのニューアルバムのレコ発ツアーのようすをレポートする。
すでにニューアルバムに関するイベントを他でもレポートしているが、今日がクライマックスよ。
そしてコレがニューアルバムの『AURORA』!
原点に回帰したかのような、SHOW-YAらしい日本のハードロック・サウンドがギチギチに詰め込まれている。
大阪、名古屋をめぐりココ東京で迎える千秋楽のオープニングは「私は嵐」。
☆sun-go☆さんはいつものMarshall JVM410H。
ステージにはド~ン!
コレがロックのステージの正しい造作。
古くも、前時代的でも、ナンでもない。
「ロック」っていうものは、こういう見た目をした音楽なのだから。
もし、この見た目が好きでない人は「ロック」が好きではない人だ。
だってそうでしょう?
仙波さとみ
既報の通り、さとさんは手首の骨折により、今日は涙を飲んで欠席。
『AURORA』の発売イベントとして川崎でイベントを開催したものの、アレはアコースティックのセットだった。
よって「電化SHOW-YA」としての公演は7月のCLUB CITTA以来となった。4ヶ月ぶり!
☆sun-go☆さんのソロ!
そして、観客の目は下手に集まる。
さとさんのベース・ソロ!
私もカメラを手に下手に走る!
あ、そうか…いないんだった。
寂しいな~!
♪ゴンゴロゴンゴロとギターのイントロがうなるのは…「流星少女」ダァ~!
オラオラオラオラオラオラオラオラ~!回せ、回せ~!
なんか恵子さんになった気分で書いております。
もはやSHOW-YAのステージには欠かせないスタンダード・ナンバー。
みずみずしいパフォーマンスでショウの雰囲気をグイグイとヒートアップさせた。
「Yeah! Yeah! 『AURORA』ツアー、最終日です!
何かがおかしい…いるべき人がいない…。みんなも知っていると思います。
さとが左手首をケガしました。
期待している人もいると思いますが、その期待通り今日はさとも来ています。
でもベースは弾けません。まだ骨がくっついていないから!」
と「さとさん事件」の経過を説明してから早速『AURORA』コーナーへ!
残念ながらさとさんは不在だけど、待ちに待った『AURORA』の実演コーナー!
みんな「待ってました!」でしょう?!
まずは「そうよRunaway Home」。
恵子さんと☆sun-go☆さんが向かい合うアクション。
こんな感じはいい感じ。
ガッチリしたハードなエイト・ビート・ナンバーだけど、副題は「人類は愛でしか救われない」とやさしく、あたたかい。
サビ前のパッシング・ディミニッシュがありがたい。ヘヴィなギター・ソロもバッチリ!
出た~!
ウルトラ・ドライビング・チューン!
「Day Breaker」だ!
「daybreak」とワンワードにすると「日の出」という意味。
もうひとつ、似た言葉に「dawn(ドーン)」というのがある。こちらは「夜明け」という意味。
この違いが面白い。
「daybreak」は最初にお日様がチョットだけ顔を出した瞬間という意味。その後が「dawn」。でも「dawn」も太陽がまだ見えない状態を指すらしい。
総じて大ざっぱな言語である英語にしては珍しく繊細な使い分けだ。
そういえばDawn Adamsというイギリスの女優さんがいたな。Marshall社にもDawnという女性がいて私の面倒をみてくれている。
疾駆するmittanのドラムが愉快爽快!
「暑い~!皆さん、楽しんでますか?」
…とココでアルバム『AURORA』の説明。
「今回はさとちゃんやmittanが作った曲がいっぱい入っています。変わった曲があったり、変わったメロディラインで歌っていてスゴク楽しい…んだけど、そういう曲は今日は演りません」
ナンダ…。
「でも、全員で歌える曲をキャプテンが作ってくれました。とてもさわやで、純粋無垢。
もうすぐ還暦の人が作ったとは思えない」
そういえば、あと4年もすればMarshallも還暦です。
これからも夢と希望を持って、できるならみんなで一緒に歌いたい…と紹介したのは「All Together Now」。
この曲もSHOW-YAのステージには欠かせない曲になりそう。
一転してガツンと重く演るのは「Monster」。
「♪エロすぎる兆発」という歌い出しからしてモンスター。
「♪モンスター」中間のキメからギター・ソロ、そしてまたキメに戻るところが何ともスリリング。
それとエンディングの奇抜なフレーズは秀逸!
「どう?今回はアルバムを作って、5人でツアーしようと話していたんだけどそれがかわなわかったの。
それが悲しいんだけど、さとチャン、死んだワケはないんだから!(骨が)くっ付けばいいんだから!
今回のツアーは参加できなかったけど、今日、会場に来ています」
「皆さん、ご心配をおかけしました。今回は私の不注意によりステージに立つことが出来ず申し訳ありませんでした。
ベースを右肩にかけて、両手に荷物を持ったまま階段からコケてしまいました。
自分が(公演に)穴を空けてしまうのではないかと思うとすごく不安だったんですが、すぐさま動いてくれたのがメンバーたちでした。
そして、ファンの方々から温かいメッセージを頂戴して勇気づけられました。
心強かったです。
どうもありがとう!
チャンスがあれば『AURORA』ツアー…リベンジしたいです!」
恵子さんがアコギを手にして「On my Crossroad」。
mittanはカホンをプレイ。
前々回の時はmittanが右手の小指の骨を折っちゃっていたんだった。
既にmittanはめでたく完治。
別の機会に「年齢が重なって来ると、なかなかくっ付かないんですよ~!」とお互い大笑い。
ウチのセガレは昨年末にヒザをグシャグシャに壊して大手術をしたのだが、信じられないぐらいのスピードで回復している。
やっぱり若いっていうのはスゴイね。パワーのカタマリだよ。
左手の黒いサポーターが痛々しいさとみさん。
でも、お会いしたところ、とても元気だったので安心した。
今頃はバリバリとベースを弾いていることでしょう。
☆sun-go☆さんもアコギにスイッチ。
次は野音かな?
またステージ下手で暴れ回ってくれるのを楽しみにしていま~す!
「身体の傷はいつか必ず治る。でも心の傷は厄介で、傷つくたびに酒を飲んで…傷つくたびに酒をのんで…。
そうやって女は年を取るのです。
そんな…酒に人生を捧げたブルースを聴いてください」…と、源空寺あけびの「女は酒場でひとり泣く」を熱唱。
ウソ、ウソ!そんなのないから!
青いライトを浴びて恵子さんが歌ったブルースは「Blue Rose Blues」。
キャプテンのピアノが物悲しく響きわたる。
恵子さんのオハコだけあって、感情豊かに歌い上げるその姿と歌声が聴く人の心を揺さぶる。 アコースティック・コーナーはまだ続く。
SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YAオフィシャルサイト