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2017年9月28日 (木)

HEAVY METAL TRIANGLE <前編>~ARESZ & HELL DUMP

  

どうにも手が回らなくて2日も更新を休んでしまった。
習慣とは恐ろしい。
「生活のリズム」っていうのかな?
こういうことを通算10年近くやってきて、生活の中心がMarshall Blogになっちゃってるでしょ?
2日も休むと、もう何か月も記事を書いていないような錯覚に陥るんだよね。
もちろんコレっきりやっているワケではないんだけど、生活のリズムが崩れちゃうワケ。
でも、どうにもならなくて…。
毎日の更新を楽しみにして頂いていらっしゃる皆さんには大変失礼しました。
少しでも仕事の効率をよくしようと周囲の方々にご協力を仰いでいるところなのですが、これからもこんなことがあるかも知れません…ゴメンちゃい。
さて、お休みしたお詫びと言ってはナンですが…今日は大脱線から始めることにしますわ。
ハイハイ、おっしゃる通り。
「脱線だ!」なんてやってるから執筆が進まないってんでしょ?
でも、存外にコレをお楽しみにしている方が多いので遠慮なく脇道を進ませて頂く。
  
さて、まず今日のライブ・レポートはなんなのよ?…ということになると、今日はコレ。
『HEAVY METAL TRIANGLE』と銘打ったヘヴィメタル・バンドのトリプル・ヘッドライナー。
出演はCONCERTO MOON、ARESZ、HELL DUMPの個性派たち。
濃いよ~。

1_img_4388 トップ・バッターはARESZ。
しかしさ、我々って最初に何かをする人のことを極々自然に「トップバッター」って言うじゃない?
この表現は、かつては「野球が第一」であった日本人が作った和製英語だから海外では通じない。もちろん野球の試合の中では海外でもコレでOK。
では、英語でどういうか…。
ま、私は耳にしたことはないんだけど、「Trailblazer(トレイル・ブレーザー)」という言葉があるらしい。
「trail」は「道」、「blaze」は「目印をつける」という意味。
カッコよくね?
もうこれだけでバンド名みたいじゃん。
ちなみに日本でいう「ブレザー」っていう上着があるじゃない?
アレは「ブレーザー」と発音するのが正確なところ。
「blaze」には「炎」を意味する別の単語があって、ケンブリッジ大学のボート部のユニフォームであるそのブレザーがスクール・カラーの燃えるような赤い色をしていたところから「ブレーザー」と呼ばれるようになったらしい。
19世紀前半の話。
話は戻って「トップバッター」。
もうひとつ「First Mover」という言い方もあるらしい。
コレもカッコいい。
で、今日のトレイルブレーザーのバンド名でまずは思い切り脱線させて頂く。
つまり、ギリシャ神話の「軍神ARES」。

10 話はギリシャに飛びたいところだが、さにあらず。
「ナンダ、またかよ~!」のロンドン。
最近、行きたくてウズウズしているのだ。
ココはロンドンのウエスト・エンドの中心、ピカデリー・サーカス。
テレビでロンドンの話題になるとたいていこの景色が出て来るのでおなじみの方もたくさんあろう。
TDKにSANYOの大きな広告。
この写真を撮ったのはもう10年以上も前のこと。
まだ日本の企業が元気な頃だった。

10コレが最近の光景…といっても、この写真を撮ってからもう3年ぐらい経っているので様子はすでに変わってしまっているかもしれないが、TDKやSANYOのロゴ・サインはもうサッパリない。
韓国の企業のロゴに打って変わってしまった。
SANYOは1988年から2011年まで長期にわたって登板していたが、今では広告どころか会社モロとも消え失せてしまった。
世界でも一、二を争う人気の観光地&歓楽街だけあって、この広告を目にする人の数は年間で10億人にもなるそうだ。
過去にこのスペースに広告を掲げた日本の企業は、キャノン、パナソニック、富士フィルム等々。
Marshallもやればいいのにな…。カッコいいじゃん?
イヤイヤ、やめとけやめとけ!
値段を調べてみるに、このHYUNDAIのスペースで年間9億5千万円だって!

15で、そのピカデリー・サーカスのシンボルがコレ。
渋谷でいえば「ハチ公」?
ハチ公もいいけど、アレじゃ待ち合わせ場所に着いてから相手を探すのに苦労するので、最早待ち合わせ場所に適さないよね?
今なら「モヤイ像」かしらん?
ココは世界でも有名な待ち合わせ場所の名所だ。
観光客や実際に待ち合わせに利用する人たちで始終にぎわっているが、ハチ公前みたいなメチャクチャ感はまったくないし、朝9時ぐらいだと人っ子ひとり歩いていない。
日本に比べて人口半分、国土2/3のイギリスだけど、ナンでもユッタリしてるんだよな~。
その中でも待ち合わせの目印となるのがコレ。
アルフレッド・ギルバートという人が1892年から1年かけて建造した噴水。
元は近くの別の場所にあったが、1980年代に現在の場所に移設された。

20v上に乗っかっているのは「エロスの像(Eros Statue)」と呼ばれているが単に「エロス」とも。
ギリシア神話に出て来る「恋心と性愛をつかさどる神」。
なかなかですね~、日本人としては「エロス、エロス」とは呼びにくいもんですよ。
恐らく世界でもそんな変な誤解をしているのは日本人だけだと思うけど、コレは「キリスト教的慈愛を表す天使(The Angel of Christian Charity)」なのだね。
エロスの持つ黄金の矢で射られると激しい愛情に憑りつかれ、それが鉛の矢だと恋愛を嫌悪するようになる。
しかもですよ、ギルバートさんは、この天使ちゃんを「エロスくん」ではなくて、双子の弟である「アンテロスくん」を意識してモデルにして創作したのだそうだ。
双子だったらデザインは同じだと思うけどな。
今はこのことを知らなかったことにして、断然「コレはエロス!」ということで話を進める。

40vエロスくんが裸なものだから、建造時には「公共の場でマッパはヤバくね?」という意見もあったが、「ヘンテコりんなつまらん彫刻よりはゼンゼンよくね?」ということでセットされることになったそうだ。
そうして「エロス」はロンドン・タウンの象徴のひとつとして認識されるようになり、1827年に創業したタブロイド判のフリー・ペーパー、「イブニング・スタンダード(Evening Standrard)」は奥付にこの像のイラストを刷り込んでいる。

Escomment_0_2さて、みんな知ってるこのエロス。
お母さんは誰だか知ってる?
あ…ココで「サブ脱線」していいですか?
この下の写真、実はもう完全に日没後のかなり暗い中で撮ったの。
後でCGでここまで明るくしたのね。
つまり逆「アメリカの夜」というワケ。
『アメリカの夜』というトリュフォーの有名な映画があるが、撮影の技術が未熟だった昔は、夜のシーンを撮影するのが大変だった。
なので、昼間の明るいうちに撮ってしまって、フィルムをアンダーで現像して暗く仕上げて夜のシーンを強引に作り上げていた。
コレを業界用語(?)で「アメリカの夜」という…ハズ。
黒澤明の用心棒で三船敏郎が夜陰に乗じて丑寅の家から這い出して逃げるシーンがあるでしょう?
アレ、実は昼間の明るい中で撮影したそうだ。
ね、だからこの写真は「逆アメリカの夜」…イヤ、「ロンドンの夜」なのだ。
その後、撮影技術が発展し、キューブリックは『バリー・リンドン』でローソクの明かりだけで夜間の室内のシーンを撮影してみせて世間を驚かせた。公開当時ずいぶん話題になっていたのを覚えている。

30で、エロスのお母さんはこの人。
優しそうで感じのいい人だね。
名前は「アフロディーテ」。

1_2aphrodite Marshall Blogによく出て頂く岡垣さんのバンドはAphroditeでしょ?
今日はギリシャ神話でやっているので、ギリシャがらみでもうひとつ。
『炎のランナー』でアカデミー作曲賞を獲得したヴァンゲリスはギリシャ人でかつて「Aphrodite's Child」というバンドをやっていた。
この『666』ってLP2枚組のアルバムはプログレッシブ・ロックの名盤に数えられている。
実際、私も好きで昔はよく聴いた。

Ac666 そして、エロスのお父さんは誰か?
それはこの人。
剣を手にして、何かをにらんで…チトこわいね。
このお方が軍神アレス。
アルファベットでは「z」を付けずに「Ares」とだけ綴る。
おもしろいのは「エロス」、「アレス」、「アフロディーテ」…この3つはすべて日本に実在するバンドの名前なんだよね。
一家総出で音楽に取り組んで頂いているというワケ。
音楽の神様「ミューズ」もさぞかしよろこんでいることだろう。
あ、MUSEっていうバンドもいるね。
お後がよろしいようで…。
あ~、イッパイ脱線してスッキリした。
やっぱりマーブロやってないとダメだな、アタシャ。

1_2ares さて、新宿のアレスは~。
瑠海狐<るみこ>

20v那都己<なつき>

30v那都己くんはMarshall JCM2000 DSL100と1960A。

40v翔己<しょうい>

50v翔己くんはMarshall Jubilee Bass Series 3530と1960A。

60v雅己<まさみ>

70vサポート・ドラムの鉄兵。

80v1曲目は「蝕まれ」。
いつものようにドッカ~とアタマ回してくるかと思ったら以外にもジトっとヘヴィに攻めて来た。

90_2それはこの衣装のせい?
いつもは白やエンジの特攻服に身をくるむ瑠海狐さん。
今日は夏をテーマに据えてか、浴衣姿での登板だ。
それに合わせて浴衣姿の女性が客席にもチラホラ。
いいもんですな…皆さん、ARESZの出番が終わったら洋服に着替えてたけど。

100vハイ、来ました。
ドッカ~ンとARESZらしくカマしてくれたのは「蠢き」。

110v瑠海狐さんの声を十分に活かしたヘヴィ・チューン。
ARESZのラップとでも呼びたくなるような、ドスのきいた声の語りっぽい歌い回しがカッコいい。

140「新宿場所が始まったワケではありませんよ!」
わかってます、わかってます。
この後、そういう方々が出て来ますから。
「日本の心を歌わせて頂きます。人生、女は80歳から、男は110歳からスタート!」のキメ台詞をやっておいて3曲目は「咆哮」。
ポール・ギルバートを思い出すな~。自分のソロ・アルバムの邦題なもんだから、それを覚えて「ホーコー、ホーコー」ってよく言ってた。

130パートが「自由」の翔己くんは今日も自由に大暴れ。
タッピングを駆使して6弦ベースの機能を極限まで探求する。

120vそしてこの2人のリズム隊。
堅実にそしてパワフルにフロントの自由人たちをサポートする。

150鉄兵くん、ゴメンね~。
マイクのケーブルがどうしても邪魔で!

160続けてARESZスタンダードの「我が生き様誉れ」。

180ココでも翔己くんのソロが炸裂!

200vそれを那都己くんの華麗なシュレッディングが引き継ぐ。
ARESZサウンドの真骨頂だ。

190ARESZは大阪が地元。
こうして毎週のように東京に機材を積んで遠征しているのだが、昔は高速道路を使わずに通っていたという。
8年間、ひたすら国道1号線を走り続けた。
その後、高速道路使用に格上げかと思ったら…「246号線を発見した」だって!
チョットまた書くけど、最近のバンドさんはホントにスゴイと思うわ。
ヘタをすると東名高速を走っている車の半分ぐらいはバンドの機材車だったりして…。
昔はこんなに日本全国アチコチ回らなかったよ。
子供ばんどぐらいだったんじゃない?
レコードをリリースして全国的に名前が知られているバンドは別にしても、そうでない無名のバンドはどこか離れた場所に演奏をしに行ったとしても、そのバンドを知る人はまずいなかったんだからラチがあかない。
せいぜい自主制作で音源を作るにしてもカセット・テープだよ。
それを作ったとしても今度は宣伝する手段がなかった。
もちろん「インディーズ」なんて言葉すらなかった時代。
とにかくレコード・デビューしない限り全国規模で知名度を上げることはほぼ不可能だった。
それが今では「ENTER」を押すだけで自分たちの音楽が全世界へ運ばれていくんだから恐ろしい。
ナニが恐ろしいかはここにはもう書かないけど、ひとつ言えるのは、そうして音源を含むバンドの情報が簡単に拡散され、高速道路網が整備されてツアーが容易になった今、間違いなく儲けが増えたのは日本道路公団だな。
ARESAは例外だけど。
「コーダン」か…なつかしい言葉だな。

170v_mc「地獄に落ちろ~!!!」
コレも定番ナンバー、瑠海狐さんのタイトル絶叫で始まる「Going to Hell」。

210v今日は各バンドとも比較的持ち時間が長いイベントだが、それでももうARESZのステージも最終セクションに入る。

220「烈火昇竜」…

230v「DOPPO」…

250「Soldiers of Cause」と立て続けにおなじみのナンバーを演奏してフィニッシュ!
最近「闘争本能」をゼンゼン演らないナァ。

260vそしていつも通り、瑠海狐さんのご講話でクールダウンをしてステージを締めくくる。

28011月18日には単独公演を控えているARESZ。
ますますの活躍を期待している。
  

ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official website of ARESZ

270続いてステージに姿を現したのはHELL DUMP。

290ボーカル/ギターのサタン鈴木。

300vギターはアメーバ伊澤。

310vアメーバもMarshall!

320ベースにパイソン大塚。

330vマグニチュード森田がドラム。

340v以上、筑波から来た4人の人造人間によるチームがHELL DUMP。
Marshall Blogには約1年ぶりの登場。

3501年見ない間にサタンの肩に立派なトゲトゲが!
軌道に乗ってきてんだな?
いいことだ!

360変化はそれだけじゃない。
この1年でパフォーマンスがものすごく進化している!

370v冒頭のテーマ・ソング「HELL DUMP」からして以前観た時とゼンゼン違う!
390またファンのノリようがスゴイのだ。

400v2曲目は人気曲「殺人力士」。

380「♪ハッケヨ~イ ドスコイ、ドスコイ、ドスコイ…」。
初めて観る人は「一体何が始まった?」のかとビックリしたのではなかろうか。

420しかし、カッコいい声だ、サタン。
人造人間にしておくのはモッタイない。
以前も書いたが、ミュージカルかなんかやるといいよ。
こんな声の日本人歌手って最近見ないもんね。

410途中で燃料補給。
もちろん手にしているのは油。
イッキに飲み干さなかったのが残念だ。
燃料タンクの空きが少なかったのかもしれない。

430v何せおもしろい!
前回より格段に仕上がりがよくなってる!

440各メンバーをフィーチュアしたお楽しみコーナーも充実。

450vネタばれしてしまうので、ココには内容は書かないが、パイソンのくだりもメッチャおもしろかったナァ。

460vそして、大フィーチュアされたのがアメーバ伊澤の独演会。
この人は人造人間の落研かなんかに入っていたのかしらん?
小噺を披露したのだが、実にウマい。
素人はあんなにうまく上下振れるもんじゃありませんよ。

470ココでもネタばれを避けるが、ひとつ。
あの「ねずみ」のネタはすぐにサゲがわかりました。
アレは有名な落語の小噺で、実際、時折マクラに使われたりするからね。
ねずみは落語と縁が深く、実際「ねずみ」という噺もあるし、「鼠穴」という人情噺なんかはもう感動の渦よ。

480v「ねずみ」といえば…こんなの知ってる?
これは長野県は埴科郡坂城町にある交差点。
昔から気になっていたんだけど、去年長野に行った時にとうとう写真を撮った。
コレ、この辺りはネズミがたくさんいて…というワケでは当然ない。
それだったらおもしろいのだが、由来は至極シリアスで、ココは上田と接していて、その上田から攻め込まれないようにこの場所で「寝ずに見張っていた」ということらしい。
つまり「寝ず見」で「ねずみ」。
最初見た時は驚いたわ。
ちなみに山形県酒田市に「こあら」という所があるらしい。
酒田はユーカリの木がたくさん生えているからね…ウソウソ!
コチラは「古荒」と書くのだそうだ。
ガックシ。

1_3nezumi 他にも地元つくばを歌った曲やらなにやら大盛り上がり!

490そして、最後はヒューマニズムあふれる一編、「パワーを信じて」。

500ソリッドでストレートなハードロックと気の利いたお笑いの連続。
いいね、HELL DUMPは!
そんなステージもMarshallがサポートしている。

500vHELL DUMPの詳しい情報はコチラ⇒WE ARE HELL DUMP!!

510<後編>につづく
 
(一部敬称略 2017年8月27日 新宿Wild Side Tokyoにて撮影)