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2017年8月 9日 (水)

犬神サアカス團ショートプレミアム興行~怪談 首つりの森

平日の夜に…
犬神サアカス團が…
過去のアルバム単位で…
ショウを構成する…
『ショートプレミアム興業』…
あな恐ろしや…。

05イヤ、全然恐ろしくない。
こんなことができるのも長い活動をしているバンドならでは。
以前にも同じ趣向のショウを開催しているとのことだ。
今回取り上げたアルバムは2002年にリリースした『怪談 首つりの森』。

10cd「怪談」か~。
今でも稲川淳二なんかがライブハウスに出演して「コワイ話」を語って人気を得ているようだ。
みんなコワイ話が好きだよね~。
人生もガッツリ後半に入って、生まれた時よりあの世の方が近くなる年齢になると、「コワイ話」もそうコワくなくなってくる。
それでも時折、心理を突いたゾッとするような話に出くわすこともあるよね。
ホラ、雪山で遭難した4人の話みたいなヤツ。
ご存知ない方のために書いておくと…雪山で遭難した4人のパーティが山小屋を発見する。
ジッとしていると夜間睡魔に襲われて凍死してしまう危険があるので、ひとりがその対策を発案する。
「まず、4人が部屋の四隅に立つ。そのうちのひとりが隣の角まで歩いて行き、そこに立っているヤツの肩を叩く。肩を叩かれたヤツは次の角に立っているヤツに同じことをする。大変だけど、コレを夜明けまで繰り返せば誰も眠らずに凍死を防げやしないか?」
そして、実際に4人がコレを実施して助かった…という話。
コレ、5人いないと絶対に続かない。
同じような話でもっと簡単なのは、やはり5人のパーティが雪山で視界が悪い中行軍していて、シンガリ(一番後ろの人)がフト自分の前を見ると5人歩いている…とかね。
こういうのはゾッとするナァ。
  
大きなお世話なんだけど、ひとつ「怪談」で心配していることがある。
それは「昔の怪談」のこと。
『四谷怪談』とか、『真景累ケ淵』とか、『番町皿屋敷』とか、『牡丹灯籠』などのクラシックな日本の怪談が伝承されておらず、このまま行けば絶滅してしまうのではないか?ということ。
昔は夏になると映画やドラマで必ずテレビで放送していたものだけど、もうトンとご無沙汰だ。
コレらの話はロックで言えば「Smoke on the Water」とか「21st Century Boy」とか「Purple Haze」みたいなモノだからね。
絶対に後世に継承させるべきモノだと思うワケよ。
ア~タ、『四谷怪談』なんてヒデェ話だぜ…エエ?田宮の!
でもさ、今の世の中、現実の方が怪談よりよっぽど残酷で理不尽な事件が日常的に起こっているんだよな~。
そんなもんだから、若い人は『四谷怪談』ぐらいじゃコワがらないか…。
しかし、エアコンのない時代、蒸し暑い夏の夜にコワイ話を聞いて涼もう…なんて風流じゃあ~りませんか。
怪談に限らずそうした昔のイキな文化がおっそろしい早さで抹消されていることの方がよっぽど「怪談」だわな。
  
下は葛飾北斎の『百物語』。
子供の頃、『妖怪百物語』とか、『妖怪大戦争』なんてのが好きで夢中になって映画を観たよ。
『百物語』というのは例の「百物語」ね。
コワイ話を百個話して、話し終わると何かが起こる…みたいな。
北斎はソレに倣い、100の絵を描こうとしていたらしいが、5つで終わっちゃったんだって。
そのウチの1枚がコレで、『四谷怪談』の「お岩さん」が描かれている。
普通、お岩さんというと伊右衛門に毒を盛られ、目が醜くただれ上がった姿を想像するが、北斎はサスガで他の人と同じことをしない。
どうしたかと言うと、お岩さんを提灯にくっつけちゃった。
やっぱり生半可なオリジナリティじゃなかったんだね。

20v井上ひさしの伊能忠敬の伝記、『四千万歩の男』の中にこういうシーンがある。
保土ヶ谷宿(昔は「程ヶ谷」)には大きな旅籠が2つあって、双方奇策を講じて客を取り合っている。
片や大繁盛。
その旅籠の客寄せのためのアトラクションを講じているのが「北斎」という男。
それに負けじとライバルの旅籠が雇った男は「十返舎一九」。
その勝敗はいかに…。
もちろんフィクションであろうが、さすが井上ひさし、面白おかしくリズミカルに読ませてしまう。
ロック界も葛飾北斎のような強力な個性が出て刺激が与えられればいいのにネェ。
  
この『四千万歩の男』には他に間宮林蔵が出て来たりもする。
こうした脱線やオフザケが過ぎるパートも少なくないが、それが井上流だったから。
そう、Marshall Blogの文章は井上ひさしも手本にしております。
ところが、伊能忠敬と間宮林蔵というのは実際に接触があったようだ。
得意の吉村昭作品から引けば、彼の『間宮林蔵』という伝記小説にも伊能忠敬が登場する(…ように記憶している)。
この『間宮林蔵(講談社文庫刊)』ってメッチャおもしろいよ。
当時、「世界の七つの謎」のひとつだった、「樺太と中国大陸が陸続きか否か」という疑問を実際に何度も現地に赴いて結果を出した男の話。
ま、私が「おもしろい」とススめる小説や映画はたいていおもしろいよ…小ムズカシイことがなくて単純だから。
でも、音楽のおススメはかなり危険だから要注意。
伊能忠敬については素材も揃っていて、一本記事を編みたいんだけど、どうにもMarshallとからまネェ。

7_2img_4080 こんな映画観たことある?
1964年の小林正樹監督の『怪談』。
私が中学の時にリバイバル公開されて有楽町に観に行った。下は多分その時のチラシ。
まだ「フライヤー」なんて言葉は日本になかった。
以前、Marshall Blogで紹介したことがあるが、子供の頃映画狂だった私はチラシの収集に精を出していた。
ある時、確か日比谷のスカラ座だったと思うが、「〇〇のチラシをください」と映画館の係りの人に頼むと、「チラシ?あのね、ボク、ウチは寿司屋さんじゃないんだよ」と親切に教えてくれたことがあったっけナァ。
『怪談』に戻って…コレ、音楽が武満徹なんだよね。
当時、武満は猛烈な勢いで映画音楽の仕事をしていて、確かこの作品で初めて電子楽器を使ったんじゃなかったかな?
この映画はその時、すなわち40年ぐらい前に観ただけなのだが、岸恵子の「雪女」が美しかったのと、「耳なし芳一」で平家の亡霊を演じた丹波哲郎がスゴイ迫力だったのを覚えている。

7_kd

こんな映画も昔はしょっちゅうテレビでやってたんだよ。
ロジェ・バディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニの競作オムニバス。
ま、あんまりおもしろくなかった印象かな。
『バーバレラ』がキッカケでジェーン・フォンダと結婚したロジェ・バディムが奥方を起用して当時話題になったらしい。
『バーバレラ』に出て来るマッド・サイエンティストの名前が「デュラン・デュラン」だということはロック・ファンであればたいていご存知であろう。
またフェリーニが撮った話の主演を務めたのがテレンス・スタンプ。
イギリスの役者で、大スターだった。
ウィリアム・ワイラーの『コレクター』なんて最高にヨカッタ。
で、人類が地球上に存在する限り朽ち果てることがないであろうThe Kinksの必殺の名曲、「Waterloo Sunset」に「♪Terry meets Julie, Waterloo station, every Friday night」というくだりがあるのだが、このTerryはテレンス・スタンプ、Julieがジュリー・クリスティのことではないか?と当時ウワサになったが、Ray Daviesはこのウワサを否定した。
今からちょうど50年前のお話。

40vさて、犬神さま。
今日もバラエティ豊かな犬神グッズが並んでいる。

50物販コーナーは「腐乱腐乱」だからね。

60ステージはこんな感じ。

70MarshallはJCM800 2203と1960A。

80vEDENはTERRA NOVA TN-501とD410XST。

90vそして、NATALはアッシュ・フィニッシュはブラック・スウォール。

100このライブハウスは初めてだったんだけど、お客さんを割ってステージに上がるのにはチト驚いた。
誰が呼んだか「プロレス入場」。
うまいこと言ったもんだ。

110犬神凶子

120v犬神情次2号

130v犬神ジン

140v犬神明

150vオープニングもクソもない。
アルバム『怪談 首つりの森』に収録されている曲を順番も含めてすべてそのまま演奏するんだから。
Jethro Tullが『Aqualung』や『Thick as a Brick』を、Yesが『Close to the Edge』を全曲丸々演奏したのと同じだ!
犬神サアカス團もそういうレベルなのだ!

160っつーことで1曲目は「無限の海の阿鼻叫喚」。

170ご挨拶のMCをはさんでタイトル・チューンの「怪談 首つりの森」。

180v15年前のアルバムながら全く時間が経った感じがしない。
コレは『怪談 時間が止まる家』とかいう話ではなくて、犬神サアカス團の音楽がまったくブレないから。

190ギンギンンのドライビング・チューンは「花嫁」。

200vハードなギター・ソロから中間部のキメに展開するところがカッコいいな。

210続けて「お金を払って」を演奏した後は、珍しくメンバーの楽器自慢コーナー。
ジン兄さんが使っている楽器は実際に『怪談 首つりの森』をレコーディングした時に使ったモノだそうだ。

240一方の情次兄さん、今日は珍しくレス・ポール・モデル。
高校に入学が決まった時、お父さんがお祝いに買ってくれたものだそう。
情次兄さん、私と同じ高校なんだよね。私が大先輩…イヤイヤ、情次兄さんが大後輩!
しばらく使っていなかったがメンテをしたらすごく状態が良くなったので今日使うことになった。

250「明兄さんはナタール?」
「そうだね」

260

楽器コーナー…そんなコーナーはない!…の後は「真夏の夢」。
7_img_0191お客さんも一緒に「×」で盛り上がった!

7_img_0052ココから後半。
「黒い血」、「地獄へ堕ちろ!!」、「私もう駄目かもしれない」と続け、「爆走All Night Long」では凶子姉さんがお立ち台に乗ってエキサイト!

220超満員の会場に中盤では「酸素が薄いのかな?」と息苦しそうに何度も帯を締め直していた凶子さんだったが、元気に最終コーナーまで走り抜けた。
残るは2曲。
「人形」。

280

そして最後は「涅槃に咲く白い花」。
明兄さんと…

265v情次兄さんのセリフ入りだ!

266vこうして『怪談 首つりの森』収録されている全12曲を演奏し終えたのであった。

270アンコール。
一旦楽屋に帰っちゃうとまた出て来るのが大変なので、その場でナニを演るかの打ち合わせ。

320

アルバムの曲はすべて演奏してしまったので、ココはやっぱり今が旬の「暗黒礼賛ロックンロール」!
330
しかし、ナンだね。
こうして犬神さんのライブに来ていてフト気がついたことがある。

290v犬神サアカス團は今年で23年目になるのかな?
ということは、生まれてすぐに子守唄がわりに犬神サアカス團の音楽を聴いていた赤ちゃんが、23歳にもなっているワケ。
それほど時が経っているのに客席の皆さんが比較的お若いのよ。
どうもファンが世代を超えて代謝を繰り返しているフシがある。
言い方を換えると、犬神サアカス團、古くは犬神サーカス団の音楽が間違いなく伝承されているということに他ならない。

300vコレってスゴイことだと思うんですよ。
長い間同じことをやっていると、「新しいことをやれば既存のファンに受け入れられないかも知れない」という恐怖と「このままだと飽きられてしまうかもしれない」というジレンマが常に付きまとうハズで、犬神サアカス團は自分たちの音楽性にブレを与えることなく、ウマい具合にマイナー・チェンジを繰り返し、その辺りを潜り抜けてきたのだろう。

310vこのまま徹底的に「犬神道」を貫いて行ってもらいたい。
こう書くとスゴイな…「犬」の「神道」みたいになってる。
  
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

230vこうしてトラディショナルなハード・ロック・サウンドでゴキゲンな一夜を締めくくった!
ほんじゃコレで。
来月は『地獄の子守唄』だよ!

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<<<NATAL NEWS>>>
NATALのドラム・キットが叩けるスタジオ、高田馬場のバズーカスタジオに新しい仲間が増えました。
それは14" x 6.5"のスチール・スネア・ドラム。
コレね。
見た瞬間、「オオ~!」っと声を出したくなるようなたたずまい。
実にゴージャスじゃあ~りませんか!
普通のスチールとは異なりチョット黒味がかっている。

1_3img_4207パーツはすべて「ブラッシュト・ニッケル(Brushed Nickel)」という仕様。
新型のスネア・スロー(Snare Throw)の感触も実にいい感じ。

1_2img_4208カ~!
居合わせたドラマーにチョット叩いてもらったんだけど、何たる音ヌケ!そして深い!
こりゃアンサンブルの中でもクッキリ音像が浮かび上がってくるのは間違いないな。
自分がドラマーだったら欲しいわ~。
  

1_2img_4212

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★上記のスネア・ドラムだけでなく、NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。
ドラマーの皆さん「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。

 

(一部敬称略 2017年6月28日 神楽坂TRASH UP!にて撮影)