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2017年1月10日 (火)

BARAKA 単独公演

2017年の最初のライブ・レポートはBARAKA。
今年結成20周年を迎えるベテランのプログレッシブ・ロック・トリオ。
Marshall Blogには久しぶりの登場となる。
11月に開催されたワンマン・コンサートのもようだ。
さて、正月早々申し訳ないのだが、早速一席ぶらせて頂きたい。
「またかよ~」とお思いになることを承知で書くが、それは「ワンマン」という言葉。
「『ツーマン』、『スリーマン』は止めてください!」と泣いて頼んでいるにもかかわらず、ほんのごく一部の人しか「ダブル・ヘッドライナー」とか「トリプル・ヘッドライナー」に改まらないのはとても悲しい…どころか段々こっちも意地になってきた!
今年も記事の中で何回も触れることになるだろう。
一方、「出演者が単独のコンサート」のことを我々は「ワンマン・コンサート」と平気で呼んでいるが、これも英語圏の人にはおかしい…というか、言葉の意味が違うというのだ。
コレは以前にも書いたことなのだが、英語圏の人々にとって「One-man concert」というと、バンドの中のメンバーの一人が独立してギター一本で弾き語るコンサート…というイメージが強いらしい。
しからば、「ダブル・ヘッドライナー」や「ダブル・ヘッダー」よろしく、「出演者単独のコンサート」のことを連中は何と呼んでいるか…。
調べてみると、どうも特定の言葉はないようで、「a live performance without any supporting acts」とか言うらしい。
コレじゃ「言葉」ではなくて「説明」じゃんね。
「皆さん!いよいよア・ライブ・パフォーマンス・ウィズアウト・エニィ・サポーティング・アクツが決定しました!」、♪ドコドン、ジャーン!…なんてライブでやるのは無理だ。
「ねえねえ、あのバンドのア・ライブ・パフォーマンス・ウィズアウト・エニィ・サポーティング・アクツのチケット買えた?」なんてのもあり得ない。
ネイティブ・イングリッシュ・スピーカーが何というか、一緒になった時に毎回尋ねて調査をしてみるね。
恐らく、そもそもコンサートとかリサイタルなんていうのは、単独で演るものであって、わざわざ「ワンマン」なんて言葉を使う必要がないのではなかろうか?
「ベルリン・フィルハーモニック・オーケストラ・ワンマン・コンサート!」なんてはヘンだもんね。
それに昔はロック・バンドでも「ワンマン」なんて言わなかったような気がするよ。
何て言ったかな…「ピン」かな?
「ツーマン」は「対バンあり」って言ってたかな?絶対に「ツーマン」とは言っていなかった。
何だって正月早々、こんなことを書いたのかと言うと、今回のBARAKAはピンなのに、コンサートになんのタイトルもついていないのが逆に気になったからだ。
ライブハウスのスケジュールを見てもただ「BARAKA」としてあるだけで、「ワンマン」とも書いていないし、何ら修飾の語句が付されていない。
カッコいい~。気持ちいい~。
では私が代わりに言って差し上げましょう。
今日のレポートは、BARAKAのア・ライブ・パフォーマンス・ウィズアウト・エニィ・サポーティング・アクツだ!

10ベース&ボーカルズの依知川伸一(SHIN ICHIKAWA)。
もちろん「ボーカルズ」と複数形にしているところにも注目して欲しい。今年はコレを貫く(和重さん、ありがとう!)。

60

依知川さんはEDEN。

70

ヘッドは長年愛用しているWT-800。
キャビネットはD410XLTの旧タイプ。

80v
足元のようす。
90
ギターは高見一生(ISSEi TAKAMI)。

20v一生さんはMarshall。

30v1987Xと1960AX。

40v足元のようす。
このドバッと広がったセッティングがトレードマーク。

50ドラムは平石正樹(MAX HIRAISHI)。

100vオープニングは「Butterfly」。
1999年のファースト・アルバム、2003年の5枚目のアルバム、2008年のマキシ・シングル、さらに2012年の10枚目のアルバム並びにシングル配信と、何度も生まれ変わっては世に問われてきた。

110_bfドラムのフロント・ヘッドも「蝶」だ。
BARAKAにとって大切なイメージ・アイテムなのね?
しかし、なんで「バターのハエ」で「蝶」なんだろうね?「バターのイヌ」なら知ってるけど。
butterflyの語源を調べたんだけど、何パターンもの説があったので今回は触れないでおく。
120昔は歌が入っていたが、現在は7/4拍子のメロディをメインテーマに据えたインストゥルメンタル・ナンバーとなっている。

130v時間を追うごとにコロコロと変わっていく光景。

140vBARAKAの音楽を象徴するかのようなショウ・ケース的な一編で幕を開けた。

150続いては一生さんのヘヴィなリフとやや不思議なメロディがカッコいい「19-16」。
このタイトルはどういう意味なんだろう?まさか引き算で答えは「3」?

160v_19これまたムチャとも思えるスリリングな場面展開!目をつぶって針の穴に一発で糸を通すような演奏。
こういうのはいいナァ~。
日本はKing Crimsonの『宮殿』が今でも世界一売れるプログレ大国なのにこういう音楽を演るバンドが少なすぎるよナァ。
その点、BARAKAはありがたい。

170大英帝国の芳香漂うハード・ロックだけでなく、こうしたプログレッシブ・ロックも絶滅していくんだろうナァ。
若い人たちがこういう音楽を聴くワケがないもん。イヤ、聴くチャンスがないといったほうが適切か…。
冷や水をブッかけるようなことを書いて申し訳ないけど、先人の偉大な遺産をもっと大切にするべきだと思うけどね。(ああ、今年もまたコレか…)

180もう1曲続けて「Reflected Waves」。

180_rwBARAKAのシャッフル。
一生さん独特のフレーズがハードに飛び交う!

190v_2もちろん曲は素直に進むワケがなく、11/4(かな?)拍子の一生さんのカッティングからアクロバティックなパートに突入する。

9_s41a0173 そして、そのままスペイシーなワルツ、「Plung from the Darkness」へとつなげられる。
2010年の9枚目のアルバム『Inner Resonance』と同じ構成だ。

200_pfd「今3曲演ったんだけど、曲の切れ目がわかりましたか?」と依知川さん。
インストゥルメンタルで情景を表すことに取り組んでいる…と、BARAKAの音楽を説明し、昨年が19年目の活動であったことに触れた。

210v続いては、The Beatlesの大メドレー。

220BARAKAがビートルズとQueenのカバー・アルバムをリリースしていることは以前Marshall Blogで紹介した。
また、依知川さんが出演してくれたMarshall GALAでも触れた。
これが2013年に発表したそのビートルズのカバー・アルバム

230cdアルバムには14曲が収められているが、今日はその中から6曲を取り上げた。
まずは「Can't Buy me Love」。
この曲のタイトルってヘンだと思わなかった?訳では「愛はお金で買えない」となっていて、何となく英文からも意味がわかるんだけど、シックリいかない。主語は一体なんだ?となるハズ。
で、歌を聴いていると「Money」が主語だということがわかる。
すると文章としては「お金は私に愛を買い与えることができない」、すわなち「愛はお金で買えない」ということになるんだけど、イントロもなしにいきなり主語を省略したこんな歌詞が来るところなんか、当時すごく新鮮だったんじゃないかね~…なんて思うのよ。
ビートルズってその時代の背景も含めて色んなことを知って聴くと、そのおもしろさは留まるところを知らないんだよね。
さて、BARAKAの「Can't Buy me Love」…もちろん、原型は一旦破壊されている。
そして、三人の手によって新たに再構築されている。
「I Feel Fine」から始まる依知川さんのベースが唸るヘヴィ編だ。

240v続いては「Love me do」…って、どこかじゃい?みたいなアダルトな仕上がり。コレは結構「原曲当てクイズ」に使えるだろう。
「原曲当てクイズ」の「イントロドン」だったら正解者はまず一人も出まい。

250さらに「Norwegian Wood」、「Something」、「Day Tripper」、「She's a Woman」とカマしてくれた。

260すべてDNAはビートルズなれど、血肉はBARAKAというダイナミックなアレンジで完全にビートルズとは別の音楽として楽しむことができる。

270
私の手元に『Beatle Vibrations ビートルズのフォロワーたち(音楽之友社)』という、ビートルズのフォロワーやカバー・バージョンを山ほど紹介している1998年発刊のムックがある。
ま、この手の本はいくらでもあるんだろうけど、タイミングが合えばこの本にもBARAKAのアルバムが掲載されていたろうにナァ…というぐらいBARAKAのカバー集は立派な出来だ。
興味のある人は『THE BARAKA』、ゼヒどうぞ。

9_img_32372 ココで依知川さんから重大発表!
今年がBARAKAの20周年に当たることは先に触れたが、それを記念して11月2日に大コンサートを開催することをアナウンスしたのだ。
会場は東京フォーラムのCホール。キャパは1,500人!
スゴイね、BARAKA。
20年のキャリアと音楽的蓄積をそこで一気に爆発させてくれることであろう。楽しみだ!

280次の曲は依知川さんのベース・ソロから…

290依知川さんは決して派手にバカチコバカチコやることはない。
ごくオーソドックスな手法でこの「ベース」という低音楽器の深淵な魅力を伝えてくれる。
もちろん、そのプレイを支えるEDENのトーンは依知川さんのプレイに不可欠だ。

300vそして、そのまま「Let me in」へ。
開演前にセットリストを拝見したとき、「え、Rick Derringer?」とチト驚いたが、そんなワケはないね。
一生さんはギターをセミアコに持ち替えて渋めのバッキングに回る。
330v_at
依知川さんのボーカル。
広い声域が実現する豊かな表現力が日本人離れしている。
330v
しかし、この曲、依知川さんだけでなく、エラク日本人離れしてるな~。
それは歌詞が英語ということでは決してないのよ。
海外での演奏活動も盛んなBARAKAの特徴的な曲ともいえるのではなかろうか。

320vそして、2012年のベスト・アルバムのタイトルにもなっている「Atlantic」。
このあたりは今までのハードなパフォーマンスがウソだったかのような幻想的で静謐な世界を綴りあげた。
こんなBARAKAもまた佳き哉。

9_s41a0259 一生さんのMC。メンバーを紹介したんだけど、なんとも言えない、そして誰にもマネできない独特なトークなんだよね。
一生さんもおっしゃっていたが、依知川さんのお名前って「回文」ならぬ、「回名」になっているんだよね。私もGALAの書類を作っているときに気が付いた。
だって、「イチカワシンイチ…カワシンイチ…カワシンイチ…カワシンイチ…カワシンイチ…」と永久に続けられるんだぜ!スゴくない?
それにしても、こんなシリアスな音楽を演っているのにこのMC!この一生さんが作り出す落差もBARAKAのコンサートの楽しみのひとつ、間違いない。

340v本編最後の曲は大作「Bharmad」。

350v_bhmもうコレはガッツリBARAKAワールド。
変拍子を織り交ぜながらグルグルと情景が変わっていくサマは愉快痛快!

360vしかも余裕シャクシャク!
それにしてもこのバンドは毛の量がスゴイなぁ。ま、依知川さんは別格としても、みんなフッサフサでうらやましい。
405v
ドラム・ソロでMAXさんを大フィーチュア!

380
パワフルでストレートなプレイが圧巻!

370白熱のドラム・ソロを受けてさらにエキサイティングなアンサンブルで後半を奏で上げた。
いいね~、やっぱりこういうロックは!
このバンドはいわゆる「プログレッシブ・ロック」を標榜しているんだけど、やれジャズっぽいとか、やれクラシックの要素だとかいうことは一切ない。
ロックなんだよね。生一本のロック。
そこがまたとても気持ちいいところなのだ。

390アンコールまでの間にCM。
コレもGALAで紹介したけど、BARAKAのカバー・アルバムシリーズ、Queen編の『A Night at the Open』もおもしろいよ!
こちらも完全にやりたい放題のおもちゃ箱状態だ!

Qo
そこでアンコールはQueenの「Tie Your Mother Down」。
ボーカルが入るのは「♪Tie your mother down」のとこだけね。

400_tymdさらに続けたのは「Palm Tree of the Maldives」。
軽快な曲調にノ~リノリ。
そしてもう何でもアリ!

410「見て、見て!」と依知川さん。
依知川さんの指さす方に目をやると…

420_ptおお~!あんなところに一生さん!

430二階席からこんにちは!

440その場でソロをキメて…

450vおかえりなさ~い!
ホント、こうしたアクションとは縁遠い音楽のハズなんだけど…イヤ、コレでいいのだ!

460…と色んな要素がゴッチャ混ぜになった楽しいコンサートでした~!
20周年おめでとうございます!
今年も日本のプログレッシブ・ロックをよろしくお願いします。
そして、11月のフォーラム、楽しみにしていま~す!

470_3BARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA offcial website

480(一部敬称略 2016年11月11日 渋谷 Mt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて撮影)