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2016年12月27日 (火)

I FEEL SO GOOD!~FEEL SO BADのレーベル発足! <前編>

Marshall Blogで頻繁に脱線している通り、映画やミュージカルは大好きなのだが、どうも演劇ってのが苦手でしてね。
「苦手」…というより、鑑賞するチャンスがなかったということなのだろう。もうチョット言うと周囲にも観劇を楽しみとしている人がいなかったと言えるのかもしれない。
だからココの存在も全く知らなかった。
場所は六本木。
現在は「新世界」という名称になっているライブハウスは、元は「自由劇場」という演劇の聖地だったとか…。
今日のライブ・レポートはココからお送りする。
その前に…

10v「演劇」には縁遠くても、「新世界」は実に愛着のある名称だ。
それは私が天王寺の出身でも、生野の学校に通っていたというワケでも決してない。
大阪の新世界の思い出と言えば、30年近く前に箕面に住んでいた時のこと…名物の串カツを食べた翌朝、猛烈な胃痛で目を覚まし、近所の病院に行ってそのまま手術を受けたことぐらいなのだ。
急性虫垂炎だった。
もちろん串カツだけが原因で罹患したわけではないのだろうが、ビックリするほど胃が痛くなって、いいように脂汗が流れた。
「ホラ見てみい、もうチョット遅かったら死んどったでェ~!」…と執刀医がピンセットでつまみ上げたホタテガイのはらわたのような物体。そのオレンジ色の鮮やかさが忘れられない。
私の「新世界」は大阪のそれではなく、浅草の「新世界」だ。
「新世界」というのは六区の今のJRAがある場所にあった娯楽施設で、父が当時もあった場外馬券売り場に馬券を買いに行っている間、「ココで遊んでいなさい」と過ごした場所だ。

201959年にオープンしたプラネタリウムから温泉まで揃った、今ではとても考えられないアクロバチックな複合施設だった。
5~6階が吹き抜けになっていて、私はゲームやお化け屋敷があるそのスペースが大好きだった。何となく「花やしき」よりも大人のイメージがあったんだよね。

30なんたって「歩ききれない娯楽のデパート」ですからね。
今にして思うと、幼稚園ぐらいの私をひとりココに残して、よくもひとりで馬券なんか買いに行けたもんだと、父の無責任かつダイナミックな行動に呆れもするが、まだそういう世の中だったのだろう。
この頃はまだ浅草がにぎやかな時代だった。
あのね、皆さん、今でこそ寂しく老いさらばえた、斜陽の街の代表の感が定着した浅草だけど、戦前までは東洋一の歓楽街だったんですよ!
それが、関東大震災で大きなダメージを受け、空襲ですべてを焼失してしまった。
戦後、「歴史や伝統を守るため」として、行政からの区画整理の指導を断った浅草は、申し出を受け入れた新宿や渋谷に街の主役の座を奪われ、凋落の一途をたどって今に至っている。
スゴイよ、平日の昼間の浅草は。人なんか歩いちゃいない。空いててせいせいすらぁ!
コレがもう4日もすると何十万人もの人が全国から集まって来るのですよ。
初詣、三社、花火、サンバと台東区のおまわりさんは大変だぜ!

40で、大変なのが今日の本題。
この「新世界」へお邪魔したのはコレ。
今日の記事のタイトルにもあるようにFELL SO BADが『FSB TURBO DREAMS』なるレーベルを発足。
ここ新世界で『TURBO DREAMS NIGHT』と銘打ち、そのお披露目のイベントが関係者を相手に開催されたのだ!

50vステージに並ぶおなじみのバックライン。

60Marshall JVM410Hと1960B。

70vMarshall JVM210Hと1960A。
ベースはEDEN WT-800とD410XSTが2台。
さらにラックには「25/50 Jubilee Bass Series 3560」ヘッドの姿も見える。

80そして、ドラムはNATALのアッシュ。
もうこれらのバックラインを見ただけで、使っているバンドが「Rockのカタマリ」だってことがわかるね。
やっぱ機材が作るイメージというのは大切だ。ロックにはロックの要素が詰まった機材を用意することが肝要なのだ。

90冒頭ステージに登場したのはARESZの瑠海狐(るみこ)。

100ARESZや瑠海狐さんについては後ほど詳述する。
とにかく「立て板に鉄砲水」のようなトークの達人の挨拶によってこの日のイベントがスタートした!

110さっそくFEEL SO BADのメンバーをステージに呼び込む。

120そして、新レーベル「FSB TURBO DREAMS」のレーベル是や運営方針がメンバーの口から説明された。

130内容はテロップの通り。
まずは国内でシッカリと足場を固める。「LOUDNESSと共演する!」なんて目標も述べられた。
そして、企業と手を組んでカッコいい音楽を作りたい!…というのが2番目。
Marshallのこともバッチリ紹介して頂いた。

140そして、新しい才能を発見・発掘していく…という。
そこでまずは紹介されたのがこの2人。
サングラスの人は違いますよ。右から2人ね。
右からFEEL SO BADのもうひとりのギター、Chris。
そして、真ん中がベースのSyoi(しょうい)。
まった世の中狭いもんで、Chrisくんは田川ヒロアキくんと近しい関係だというし、SyoiくんはSTANDやStrange, Beautiful and Loudの山本征史さんととても仲良し…と昨日征史さんからお聞きしたばかり。
2人とも若さと才能にあふれた将来有望なミュージシャンだ。
180
さて、次。

150それは、このテロップにある5つの「C」と捉えているそうだ。
まったくこの通りだと思う。
私なんかは「Comical」をすごく支持しちゃうね。
歌謡曲の死後、巷にいわゆる「いい歌」ってのが圧倒的に少なくなったじゃない?その分、「笑い」で稼いでもらいたいと思っちゃうんだよね。
生意気にも、もしもうひとつ「C」を付け加えさせてもらうなら「Consistency」かな?いわゆる「一貫性」。
日本人は同じことを繰り返すことを「ワン・パターン」言って軽んじる傾向があるのだが、「コレ」と決めた持ち味を最後まで貫き通すことは芸術の根本だと思うワケ。
そして、あってはならない「C」は「Copy」。「Cover」はまだよし。
「entertain」とは「楽しませる」ということ…コピーで人を楽しませるのはどうかと思うのだ。

160…ということで、ここからFSB TURBO DREAMSのショウケース・ライブとなった。
まず初めに演奏したのはFEEL SO BANDのメンバー2人によるバッキング・トラックを使用したインストゥルメンタル・デュオ。

190ギターのFuyukiと…

200ベースのSyoi。

210v曲はFuyukiさん作の「火の鳥[Transparent to Radiation]」。
2人のテクニックを存分に活かしたトリッキーなナンバー。
後半のコード進行の展開がスリリング!

E つづいてはSyoiくんをフィーチュア。
ソロでのパフォーマンスだ。

230コチラもバッキング・トラックを使った「6弦ベースのための超絶技巧曲 第1番 ロ短調」。
「アナタ、ベースはピアノじゃありませんよ!」と教えてあげたくなるぐらい両手を駆使しての込み入った演奏。弦も100本ぐらい張ってあるし!
何でもFuyukiさんが作った曲をベースで弾いてみせてご本人に認めてもらったそうだ。
James JamersonやらChuck Raineyあたりから見渡すと、「ベース」って楽器もずいぶん遠いところまで来たよね~。
この日のために死ぬほど練習したというSyoiくん。「身体中の穴という穴から何かが出ていると思う」なんて言っていたが、まったく堂々たるプレイだった。
「何かが出てる」ってナニが出てくるんだろうか…知りたい!

240v2人のテクニカルな器楽演奏を楽しんだ後は、だりあさんがマイクを握ってのバンド演奏となった。

250川島だりあ

260vギターはARESZの那都己(ナツキ)。

270vベースは冒頭で紹介されたChris。

280vドラムはTakayuki Tashiro。

290vライブで歌うのは初めてだというこの曲はだりあさんの3枚目のソロ・アルバム、『LIFE=NOW』収録の「譲れない場所~HOME TOWN~」。
LINE友達である地元茂原の整形外科の先生から作曲を依頼され、存外にいい曲ができたので歌を入れてレパートリーに仕立ててしまったのだそうだ。

310v

那都己さんのシャープなソロもバッチリきまった!

300「コミカル」をのぞくエンターテイメントの5大要素がいくつも入っている曲だった!

320再びメタル界の天童よしみ、瑠海狐さんがステージに上がる。

325ARESZの出番だ!

330vコレはスゴかった!
初めて見たんだけど、いわゆる「度肝を抜かれた」っていうヤツ!
私はこういうの好きでね~。
「こういうの」ってのはどういうのかっていうと、こういう風に見た通りの音を出すバンドのこと。

340今日の司会進行も務めるボーカルの瑠海狐。

350vギターはさっきだりあさんのバンドで弾いていた那都己。

360ベースは雅己。

370vもうひとりのベースはライブ・コーナーの冒頭から活躍しまくりの翔己(Syoi)。
3人とも「己」で統一してるんだな?

380vドラムは先ほども登場したサポート参加のTakayuki Tashiro。

390vARESZは活動歴23年。
訊けば犬神サアカス團と同期で、瑠海狐さんは凶子姉さんとも仲良しなのだそうだ。
拠点は大阪なるも、月に3回は東京で演奏しているっていうんだよ。
私は年間に150回ほどライブに出かけているんだけど、どうして今まで接点がなかったか不思議。

400ご覧の通り、もう何しろメンバー全員がすさまじい個性!

410曲はまずFuyukiさんプロデュースの「我が生き様誉れ」。

420自ら「声がMarshall」とおっしゃる瑠海狐さん。
確かにスゴイ声だ!
どちらかというと声も見た目も「Marshallの壁」だ!
実はですね、Fuyukiさんに事前に情報を頂戴して、YouTubeでARESZのパフォーマンスを見てはいたのね。
その動画では瑠海狐さんのトークに感動してしまってね。
私も人前でしゃべるのがキライな方ではないので、こういう弁の立つ人をホント尊敬するワケですよ。
そして、今回ナマでその歌声を聴いて再度感動。ノドは痛くないのかっ!
450v
もちろん楽器陣の一糸乱れぬハードで完璧な演奏も申し分なし!
445

そして、このアクション!
やっぱエンターテイメントはコレぐらいやんなきゃダメだって!
大変だよ、髪の毛伸ばして、衣装揃えて、曲作って、練習して、演奏して、暴れて、それでまた機材車に乗って大阪まで帰るんだから!
しかもですね…書いてもいいっていうから書くけど…この人たち、ツアー先では経費節約のために機材車に寝泊まりしてるんだって!
昔はそういうバンドもいたけど、今時ね~。
しかも!つい最近までは大阪から東京まで高速道路を使わず、片道12時間かけて一般道で往復してたんだって!飛行機ならロンドン着いちゃうよ!
車が好きでない私なんかはそれを聞いただけでブルっちゃうね。
それを23年もやってるっていうんだからまさに「我が生き様誉れ」でしょう!
スゲエな~、ARESZ。ゼッタイ入りたくないな…。
とにかく観ているのが一番!
観てる分には最高だ!

4402曲目はお客さん参加型ナンバーの「Soldiers of Cause」。

Img_0141超ドハードなメタル曲!
…なんだけど、途中で瑠海狐さんの「Crush!」の雄叫びの後の言葉に合わせてポーズを取らなければならないのだ。
コレが滅法楽しい!
このポーズは「スカイ・ツリー」ね。大阪では当然「通天閣」でやるらしい。
ロンドン公演の時は「ビッグ・ベン」、ニューヨーク公演なら「エンパイア・ステート・ビルディング」だ。
パリなら「エッフェル塔」、イタリアではチョット斜めに構えて「ピサの斜塔」ね!
世界中でできるじゃん!
あ、ちなみにエッフェル塔は、どんなに英語らしく発音しても英語圏の人には「エッフェル・タワー」では通じない。
「アイフル・タワー」と言わなくてはダメ。
ナッシュビルの世界的フィンガー・ピッカーDoyle Dykesから教わった。海外の色んな都市の話をしている時、彼はしきりに「シゲはエッフェル塔に上ったことがあるか?」と訊いてきたんだけど、「アイフル・タワー」がわからなかった。
彼は完全に私が「エッフェル塔」を知らないと思っていたようだ。知ってるよ!

460ホラ、お客さんもみんなやってるよ~!
一番奥のだりあさんも楽しそう!

470コレはたこ焼き。
ナニが出て来るかはわからない実に緊張感あふれるナンバーだ!

480ドラムの人もよろこんでる!

490コレはグリコ。
他にも「桜」だの、「しゃちほこ」だの、「招き猫」だの、「人形焼き」だの…盛り上がることこの上なし!
何となく幼稚園でやるヤツに似てなくもない気がするが…。

500続いての曲は「闘争本能」。
まさに闘争本能丸出しのような瑠海狐さんのようだが、本当は実に腰が低くて丁寧な方だ。
やっぱりね、そういう人じゃないとバンドなんて23年も続かんて!

S41a0117
ベースが2人というのは珍しい編成だが、いわゆるベースの役割は雅己さんが担当していて、Syoiくんはもはやキーボード、もしくはバリトン・ギターを弾いている…と考えた方がいいかも知れない。
そして、那都己さんのギターとカラフルなコンビネーションを生み出す。
あ、なんか「さん」づけと「くん」づけが混同しているけど、落ち着くまで待っててね。

430
剛速球の連続で投げているかのような演奏は一時も目を離すことはできない!
そして、もちろん雷のようなMarshallサウンドからも!

510イヤ~、また楽しみが増えたわ~。
終演後、瑠海狐さんに「犬神サアカス團と共演すればいいのに!」なんて話をしていたら、ナント、早速来月そういう企画があるとのこと。
1月18日高野馬場CLUB PHASEだ!
コイツぁ春から縁起がいいねェ~。
520ARESZを見てて思ったんだけど…。
ま、普段から「人間、『毛』じゃないよ、『気』だよ!」なんて強がりを言っているけど、ロックは『毛』だね~。

530イヤ、「毛」があるとか、ないとかじゃなくて、長いかどうか…ということ。
ヤッパリさ、ロックたるものロング・ヘアを振り乱して情熱的に音楽を奏でないと雰囲気が出ないよね。
だってそういう音楽なんだもん。坊主が袈裟を付けるのと同じで、ロックの場合はロングヘアが正装なんだよ。

540ナニが言いたいのかと言うと、髪の毛伸ばして手入れするだけでも大変じゃない?
手間と費用をかけてそんな面倒なことを音楽のためにやるのは、やっぱり一流のエンタテイナー精神であると考えるワケよ。
若者よ、毛はせいぜい生えているうちに伸ばしておきたまえ!
無くなったら染めるどころか、伸ばすことだってできないんだぞ!

550ARESZ、ごめんなさい!期せずして毛の話になっちゃった。
イヤ皆さん、あんまり立派なお髪だったものですから…つい。
次回もメッチャ楽しみにしています!

ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official web site of ARESZ

550v<後編>につづく

(一部敬称略略 2016年12月16日 六本木 新世界にて撮影)