Sound Experience 21~ Strange,Beautiful and Loud編
『Sound Experience 21』の後半は、いつも通り三宅庸介のStrange, Beautiful and Loudが登場する。
リズム隊が使用している機材は昨日紹介した通り。
MarshallとNATALだ。
三宅さんの機材についても紹介するまでもないが…
昨日、このSound ExperienceをMarshall Blogで果たして何回レポートしてきたか?…なんてことを書いたが、ひとつの答え方として、「スケジュールが合えば全部取材した」ということが言える。
三宅さんを取材するのはこのシリーズだけではないので、Marshall Blogへの登場回数はかなりの頻度に上る。
早速三宅さんと連絡を取り合って調べて頂くと、一番最初にココGrapefruit Moonで取材をしたのは、2009年の10月のことだったそうだ。
その時は、リズム隊が金光さんと河野充生(BLIIND BIRD)で、三宅さんは1960ではなく、1936Vを使用していた。
そういえばそうだった!
ところが、その時は『Sound Experience』というタイトルではなかったとのこと。
『Sound Experience』名義を使いだしたのは、2010年11月2日、令文さんのブラックタイガーとの共演の時からだそうだ。
SBLではなくて、Orchestra Fourというユニットで三宅さんが出演された際も『Sound Experience』の名前が使われた。
調査の結論をまとめると、7年間にわたって三宅さんの活動や、Strange,Beautiful and Loudを定点観測していることになるワケ。
ナゼ、そんなことをしているのかというと…三宅さんに何かをもらっているワケでも、弱みを握られているワケでも、はたまた親戚縁者というワケでもない。
私とて人の子、イヤ、人よりも音楽に関するワガママがキツイことは日頃からお付き合い頂いているは方々はよくご存じの通り。
でもね、Marshall Blogのネタに関しては、ホンのごく一部の音楽を除いて極力横断的に何でも取り扱おうと努めている。
その中にあって、三宅さんがやっていることが最も替えが利かない音楽なんだよね。
ユニークということ。
ア、ユニーク(unique)という言葉は、日本では「変わっている」という意味で使われている感じだけど、言葉に「uni」が含んでいる通り、「ひとつしかない」という意味なんですよ。
他にも「たったひとつ」という意味では、「only」とか「sole」という単語があるが、コレらは同じ。「ひとつだけ」という意味。
「unique」は「一種類しかない(one of a kind)」…すなわち「他とは違っているからひとつしかない」という意味なのだ…と思う。
ま、「変わってる」ということか?
こんな説明を聞かされるより、三宅さんの音楽を聴けば一発でその意味がわかるであろう。
(ちなみにFreddie Hubbardの「One of a Kind」という曲はやたらカッコいい!)
私はジャパメタ・ブームというもの経験していないものだから、Terra Rosaの音楽やそこでの三宅さんの活躍を知らなかったワケ。
それで、初めて聴いた三宅さんのプレイは、いきなり今の三宅さんの音楽だったの。
アレは…令文さんの音頭で、ゆかりのあるミュージシャンが大勢集まり、ジュンペイさんを壮行するコンサートでのことだった。
確か三宅さんが一番最初に登場したように記憶している。
それで、前に触れた通り三宅さんのことを知らなかったので、そのパフォーマンスを目の当たりにしてショックを受けた。
「なんじゃコリャ?」
私もクラシックから民族音楽まで、いい加減いろんな音楽を40年以上聴いてきたので大概の音楽にはもう驚かないつもりだが、こういう音楽を演っている日本人がいることに驚いた。
それは一聴するとマイケル・ランドウのようでもあったが、その後、何回か演奏に接しているウチにそんな印象は完全にスッ飛んでしまい、「三宅ミュージック」が残った。
そこで、世間ではコレを「大きなお世話」というのだろうが、Marshall Blogではこの他で決して聴くことのできない音楽を徹底的に紹介しようと思いましてネェ。
それで、毎回レポートを掲載しているというワケ。
大きいコンサートはいくらでも情報を掴むことができるけど、こうした小規模な会場での演奏はよっぽどの縁がない限りめぐり合うことすらできない。
それならMarshall Blogがめぐり合わせて差し上げましょう…ということなんだな。
この毎回薄皮を剥ぐようにして、命を削るようにして演奏される音楽はもっと多くの人に聴かれて然るべきだと思うのですよ。
実物を見て、そして聴いて、「誰もやらないことをやる」ということがどれだけパワーを持っているかを確認してほしいのだ。
さらに、三宅さんがMarshallをMarshallとして鳴らしてくれる人であることももちろん視野に入れている。
三宅さんのようにMarshallを鳴らす人はもう若い人の中からは出てこないだろう。
それは時代や世代が違うのだから当然だし、不可避のことだ。よくわかってる。
だからこそ、こうしてヘタな文章とはいえ、その演奏を紹介することにより、興味を持ってもらい、実際の三宅さんのMarshallの音を聴きにきてもらいたいのだ。
もちろん三宅さんだけではない。
三宅さんの音楽に心酔したリズム隊の二人のパフォーマンスも同様だ。
一曲一曲、音のひとうひとつに自分の命を注ぎ込むような演奏を是非楽しんでもらいたいと思うのだ。
さて、ステージの中盤では、STANDの時とは反対にSBLにノンちゃんが加わった。
この二人が選んだ曲はRoy Buchananの「The Messaih Will Come Again」。「メシアが再び」ね。
Royがオフィシャルのファースト・アルバムで取り上げ、後に『The Street Called Straight』で豪華になってよみがえった日本人好みの泣きのバラード。
かなり意外な選曲!
でも、SBLバージョンは聴いた途端、私が知らないGary Mooreの曲かナンかかと思った!
…というのはウソで、予めノンちゃんからこの曲を演ると聞いていたので、「ハハン、コレか~」とニヤリとしてしまった。
この曲の特徴である最後の演歌っぽいリフレインを弾かないもんだから余計にメシアっぽくない。
私は高校の時、ホンモノ観てるでね。
もちろんコレはコレでふたりの個性が出ていてとても面白かった。
三宅さんがMCで触れていたが、家でこの曲を練習していたら奥さんが「ゲイリー・ムーアかナニか?」と尋ねたとか…さすが三宅さんの奥さま、ナイス・フィーリング!
「ノンちゃんとロイ」なんて人生で一度も連想したことなんてないけど、こういうバラードでのノンちゃんのプレイは素晴らしい。
キチっとフレーズを折りたたんでいくサマを見ているのが快感なのだ。
一方、ひたすら本能的にフレーズを綴っていくのが三宅さん。
決して気を衒ったりすることはないのだが、やはりユニークな歌い回しだ。
ロック界にメシアは来るのか?!
今日はいつもの記事とは違う展開になっていることは皆さんすでにお気づきの通り。
三宅さんの音楽に関するエッセイみたいにしてみた。
コレがホントの「エッセイ・ミヤケ」だ…ナンチャッテ!
当日のメニューを紹介しておくと;
1. solitary past〜 devil
2. bloom
3. murt'n akush
4. The Messiah Will Come Again
そして、ココから後半に入る。
まずは三宅さんの愛奏曲「petal」。
そして、最後は「virtue〜 solitary past secret of view」。
STANDの時とは精神性が異なるプレイに終始するリズム隊のテクニックと適応性も特筆しておくべきものだ。
草食系ロックやコピー・バンド、勢いだけの粗雑な音楽に辟易している、ギター好きでシリアスな音楽がお好みの方は是非足を運んで頂きたい。
それと若い人ね。
特にギターを演っている人。きっとギターに対する考え方が変わると思う。
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange,Beautiful and Loud
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
(一部敬称略 前半:2016年8月25日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)