摩天楼オペラ~飛翔
久しぶりの登場となる摩天楼オペラ。
今日は7月22日のコンサートの模様をお送りする。
「摩天楼オペラ」とくればMarshallの壁…ということもあって毎回コンサートを楽しみにしていた。
いつもはコチラから押しかけ気味に取材をお願いしているのだが、今回はありがたくも事前にマネージャーからお誘いを頂戴した。
「摩天楼オペラのとても大切なコンサートになる」…とおっしゃるのだ。
そして、電話口でその理由をお聞きして愕然とした。
さらに、「コリャ、是非が非でも取材をしなければ!」と早々とスケジュールを決め込んだ次第。
そして、アッという間に当日が来て…
彩雨 ~ayame~
使用ヘッドはJCM2000 DSL100だ。
そういえば開演前、Anziくんから面白いリクエストを頂戴した。
Vintage Modernの50Wヘッド、つまり2266がどこかで手にはいらないか?というのだ。
ココのところ、ポツポツVintage Modernの話しが出ることがありましてね…。
アレ、ヨカッタもんな~。
「時代の波に翻弄された悲劇のモデル」といえば大ゲサになるが、世が世ならMarshallを代表する機種として現在も「名アンプ」としての地位をキープしていたであろうに…。
それでもAnziくんの「50Wヘッド」のリクエストはなかなか叶うまい。
いかにJeff Beckが2266を使っていたにせよ、「ヘッド」とくれば日本は100W天国。
流通量が100Wと50Wとでは全然違うので中古でも出にくいのではなかろうか?
足元のようす。
こういうバンドのギタリストにしてはエラくシンプルなんだよね。
様式美に満ち溢れたスピード・チューン。
ドイツの「Faust」より全然好き!
続いてはライブでは必ず取り上げられるであろう「落とし穴の底はこんな世界」。
三曲目は「RUSH!」。
ドバ―っとスピード・チューンでたたみかけて来るのはいつものパターンだ。
「今日は集まってくれてありがとう!色々と考えていたけど、みんなの顔を見たらフッ切れたよ!」というMCから「Justice」。
ん~、メロディが独特でカッコいい曲だ。
ギター・ソロ炸裂!
「クシクシ」というピッキングの音が気持ちいい!Marshallだからだ。
ゾンゾンと張り出す低音が気持ちいい「Psychic Paradise」。
「Oh, yeah!」が印象に残る曲。
続いては、切なくドラマチックな「Innovational Symphonia」。
頭を振らずにはいられないドライビング・チューン。
あ、私は頭降れません。
三回も振ればめまいで立っていられなくなります。
とにかく怒涛のハード・チューンが目白押し。
Anziくんの弾くアコースティック・ギターのワルツで始まるのは「青く透明なこの神秘の海へ」。
ふたつめの配信シングルとなった曲。
このテイストも摩天楼オペラならではだよね。
ココで苑くんがステージから離れる。
キーボードの美しい導入部…「Utopia」だ。
Anziくんの激情ソロ!
よく練り込まれたメロディが悲しくも激しい。
ステージから姿を消していた苑が再び現れて「Helios」。
「Helios(へ―リオス)」とはギリシア神話の「太陽神」。
太陽神は世界中の神話に登場して、バラエティに富んだパターンがあるようだが、エジプト神話の「太陽神」のひとつが「Ra(ラー)」だ。
ナゼこんなことを急に言い出したのかというと、トッド・ラングレンというアメリカのミュージシャンはUtopiaというバンドをかつて率いて、1977年に『Ra』という超名盤を発表しているから。
「Utopa」に「Ra」と続いたのでつい書いてしまった。
若い人たちにも是非聴いてもらいたいナァ。
「暑いね(熱いね)、EAST!まだまだライブの序の口です!今日はものすごく気合を入れてきました。こんなに序盤から詰めたのは初めてだと思う。
この五人のライブは今日で最後だから後半は騒ぎまくります!」
このステージの後、Anziくんが七月末をもってバンドを脱退してしまったのだ。
コレが冒頭に記したマネージャーからの連絡だった。
公式発表より大分前のことだったので、その時が初耳でかなりのショックを受けた。
摩天楼オペラを初めて見たのは、DELUHIと共演したチッタのステージだったように記憶している。
何年前になるかナァ?
DELUHIのギタリストのLEDAくんとは付き合いも古く、Marshall Blogの取材でお邪魔したのだ。
その時に「摩天楼のギタリストもMarshallでプレイもスゴイですよ!」とAnziくんを紹介頂いたのが始まりだった。
「ずいぶんもの静かな人だナァ…」と思った。
言葉をひとつひとつ選んでいるかのようにユックリとしゃべる様は、ずいぶん年下にもかかわらず、私なんかより全然落ち着いていた。
その後、摩天楼オペラのライブに出入りさせて頂くようになり、メジャー・デビューを果たし、順風満帆の活動を目の当たりにしていたのだ。
AnziくんはMarshallの社長が来日した際のパーティにも来てくれたし、Marshallの本も買ってくれた。
そんなお付き合いをさせてもらっていただけに今回の脱退を耳にした時のショックが大きかったのだ。
そんな最後の演奏を噛みしめるかのような五人のパフォーマンス!
「Sexual Entrapment」~「Jolly Rogerに杯を」…
そして、「ANOMIE」。
ドバーっと矢継ぎ早にブチかますのが摩天楼式。
聴き方によっては、まるで組曲だ。
ライブ・ステージでのこの圧倒的な「迫りくる感」は摩天楼オペラの大きな魅力のひとつなのだ。
ここで久々のMC。
そうね、避けて通れないよね、Anziくんへの送辞。
まずは悠くんから…
「五人で演るのは今日で最後…。Anziくんとはこれからも野球を観に行ったりすると思う。イングヴェイのコピー・バンドをやったりするのもいいよね!」
するとAnziくんがイングヴェイ・フレーズを!
燿くん…「前向きな気持ちで納得はしているハズなんだけど、やっぱりさみしいね!今までのムチャぶりが思い出されてきた。Anziくんのギター・ソロを聴くのがいつも楽しかった」
彩雨ちゃん…「2016年は急展開の年でした。みんなの前で、この五人でこの日を迎えられてヨカッタです。
方向性の違いで解散していったバンドをいくつも見て来たけど、非常に寂しいです。
みんながいないとオレたちは音楽ができません!これからもAnziくんと摩天楼オペラをよろしくお願いします!
表現するモノや表現の仕方が違ってきてしまったらガマンしちゃいけないと思うんです。そんな思いを突き詰めた結果だけど全部正解だと思います。」、
予想通りクールなAnziくん。
でも客席からは「スンスン、スンスン」と多くのすすり泣く声が聞こえてきた。
そして当の本人から…「摩天楼オペラでの八年間、悔いはありません。このメンバーでやれて本当にヨカッタ。メジャー・デビューも果たすことができた。」
「オレはこれからも真摯に音楽をやっていきます。これからも皆さんも音楽を愛してください」
最後に苑くん…「とうとうこの日が来ちゃったね…。「表現する」という仕事ではガマンをしてはダメ。自分を貫いた結果だから!」
…とそれぞれの気持ちを言葉にした。
『飛翔』の本編も残すところあと二曲!
昔を懐かしむかのようにインディーズ時代の「瑠璃色で描く虹」。
シャープなギター・リフが魅力の「GLORIA」。
このスペクタクルなサビはいつ聴いても感動を呼ぶ。
あの野音の大コーラスがもはや懐かしい!
スリリングなキーボードソロからギター・ソロへ!
本編終了。
「♪終わらない世界へ」…壮大な「GLORIA」がAnziくんの未来を祝福しているかのようだった。
それにしてもファンの皆さんへのダメージは相当なモノだったろうな~。
もちろん五人のうち誰が欠けても寂しいにキマっているけど、まさかAnziくんが離れるとは…。
さあ、アンコール。
メランコリックになっていないでAnziくんの摩天楼オペラの最後の姿を見届けよう!
アンコールは四曲。
「Independent」~「21mg」~「天国の在る場所」とつなげた。
そして、最後は「喝采と激情のグロリア」で『飛翔』の幕を下ろした。
お疲れさま、Anziくん!
コンサートの最後には見慣れたポーズだが、五人も観客も今日はいつもとは違った気持ちが去来していたに違いない。
Anziくんのこれからの活躍が楽しみだ!
もちろんMarshallといっしょ!
驚きついでに…。
摩天楼オペラは10月19日にミニ・アルバム『PHOENIX RISING』をリリースすることが決定した。そのレコーディングでLEDAくんがギターを弾いているのだ!
そして、11月19日からスタートするそのレコ発ツアーも決定している・
摩天楼オペラの詳しい情報はコチラ⇒摩天楼オペラOFFICIAl SITE