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2016年8月22日 (月)

Sound Experience 19~ DUAL YOSUKE x CLASSIC ICHIRO

毎度おなじみ、三宅庸介の『Sound Experience』。
今回で19回目!
いつもNATALを挟んで左右にMarshallがセットされるシンメトリックなセッティング。
左右対称の図式をそのままに、今回はさらにその外側にASTORIAが配置された。

10三宅庸介

20v山本征史

30v金光健司

40vこれまでシリーズを通じて対バンを招くことが多かったが、前回に引き続いて19回目も本編はStrange,Beautiful & Loudのワンマン・コンサートという構成になった。

50もちろん三宅さんはMarshall。

60v安定のJVM210Hとキャビネットは1960BVだ。
上下2枚の写真の中のJVMのルックスの大きな違いにお気づきであろうか?
上は三宅バージョン、下はシゲ・バージョン。

70v征史さんもMarshall。

80こちらも安定の1992SUPER BASSのハーフ・スタック。

90v金光さんはNATAL。

10012"、16"、22"のバーチ。
フィニッシュはタバコ・サンバースト。
アルバム『Orchestral Supreme』のレコーディングで実際に使用されたキットだ。

110オープニングはその『Orchestral Supreme』のクロージング「Ring」。
後半に演奏されることが多い曲だが、今日は珍しく初っ端に持ってきた。

120金光さんが歯切れよく叩くスネアの音が印象的なイントロ。

140v
複雑ではあるが、三宅さんの曲の中では比較的スンナリ入ってくるといえようヘヴィなリフ。

130vそんな入り込みやすい曲ではあるが、三宅さんの作品にかけた想いは重厚だ。
ギターの指板の中にどれだけのメロディーやハーモニーの可能性が潜んでいるか?ということを追及してみたかった…という。
よって作曲に当たっては、本当に少しづつ、細心の注意を払いながら何度もやり直しながら進めたため膨大な時間がかかったという。
構成面に関しても既存のロック・インスト曲でよく見かけるようなタイプとは全く異なっていて、結果的には独自性の強い曲に仕上がった。

150v前からチラチラと、そしてウッスラと「武満徹」の名前がMarshall Blogに出だしていることに気がついた読者もいらっしゃると思う。
「あ~、また鬱陶しくなりそうだ…」とウンザリする方もいらっしゃるだろうが、残念ながら今、私は武満徹にご執心である。
「ノヴェンバー・ステップス」最高!
で、ナゼそうなのかというと、尊敬する立花隆が編んだ武満徹のインタビュー集なるものを読んでいるからだ。
こういう天才の頭の中は一体どうなっているのか…?
二段組で800ページに及ばんとする大著なのだが、これが滅法おもしろい。
武満さんのかなりムズカシイ発言も多いが、世界が尊敬する日本の天才の音楽作品をより楽しむためのガイダンスになれば…と思って読み進めている。

160で、やっぱり気になって、かつ一番おもしろく読めるのは創作の思考過程についてで、読んでいるとついつい三宅さんのことを思い出して、いつのまにかウッスラとふたりを重ね合わせてしまうのだ。
それは、いつも三宅さんが言っている「命を削るようにして自分だけの音楽を作りだす」という姿勢に共通項を見出だすからだ。
武満さんは重度の結核罹患者で実際に何度も「死」に直面していたらしいが、周囲の人が強引に止めない限り絶対に創作活動を止めようとはしなかったらしい。
そして、ここで武満徹を話題にしたもうひとつの理由は…武満徹にも「環(RING)」という同名の曲があるからなのだ。
私はといえば、コレを自分の中で勝手に符合させて悦に浸っている。
ただの音楽好きの凡人にできることといえばそれぐらいのものだ。180v

興味のある人はコチラをどうぞ。
譜面にも注目!

ところで!
この「Ring」が収録されたStrange,Beautiful & Loudのセカンドアルバム、『Orchestral Supreme』の再プレスが出来したそうだ。
欲しくてもゲットできなかった人はお求め逃しのないようご注意。
ジャケットもいいね~、やっぱり!

Os 三宅さんのワン&オンリーのギターはもちろん、その孤高の音楽世界をともに作り上げる、グループ・エクスプレッションの度合いを増したリズム隊の二人の強直な至芸にも注目だ。

170ギターのダビングやライブでは再現不可能なトリッキーな曲も収録されているので、まだCDを聴いたことのない人には、「実際の演奏と聴き比べる」という特大のお楽しみが残されている!

1902曲目は 「stratify」。

200そして、「bloom」と前作の『Lotus and Visceral Songs』からの曲を演奏。

210vもはや定番の「murt'n akush」。
コレも『Orchestral Supreme』の中でも重要な地位を占める作品だ。

220v(1弦から4弦に向かって)E、Gb、E、C、Aと少し和旋法のフィーリングを持つヴォイシングで始まるのは「solitary past」。
コレは改めて聴くとスゴイ曲だナァ。
聴きどころは多くあれど、何と言ってもインパクトが強いのは中間部のアルペジオだろう。
この曲が「垣根」と呼ばる元となっている、イントロのヴォイシングを踏襲した音列。
「♪垣根の垣根の」で始まる童謡の「たき火」にメロディの雰囲気が似ているからそう呼ばれている。

E→Gb→E→C    G→A→G(またはD)→Eb

まさにMiyake Arpeggio。こんな「たき火」は不審火に間違えられるのがオチだ。
そういえば、この童謡、タイトルを「垣根」と思っている人が多いと聞いた。正しくは「たき火」だ。
ところで、「トゥーランガリラ交響曲(←メッチャかっこいい)」で知られるフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンに「7つの俳諧」という1962年の作品がある。
メシアンが日本旅行の印象を元にして作った7つの曲からなる管弦楽曲。
コレはまったくの私見だけど、この第1曲「導入部」という曲のマリンバのメロディが三宅さんのこのアルペジオに似ていて驚いたことがある。音列がドンズバということでもないのだが、緊張感に満ちたその空気が近いのだ。
先ほど来触れている武満徹はドビュッシーに始まり、このメシアンに巨大な影響を受けたそうである。
というか、メシアンというのは現代音楽の大巨匠で、日本の作曲家に計り知れないほど大きな影響を与えたそうだ。
メシアンは、この曲の中で笙(しょう)や篳篥(ひちりき)の技法を自分なりにマネッコして取り入れ他の楽器に演奏させたとされている。
それから、5年後に武満徹はミューヨークフィルの委託を受けて「ノヴェンバーステップス」を発表し、尺八と琵琶というホンモノの和楽器をオーケストラと共演させて世界を驚かせ、ストラヴィンスキーやこのメシアンと比肩される現代音楽の世界の巨匠となった。
この和楽器のアイデアを薦めたのは当時ニューヨークフィルの副常任指揮者を務めていた小澤征爾だった。
このあたり、面白いでしょう、つながっていて。
ものごと、知れば知るほど面白い。
私はもちろんロックが大スキ(70年代中盤まで)だけど、30年チョット前からジャズを聴き始め、さらにクラシックを聴くようになって、人生が何倍も豊かになったですよ。その分「もっと聴きたい!」という欲望もどうしようもなく膨れ上がっているけど…。
ホント、いろんな音楽を聴くのは面白い。
今、現代音楽を頻繁に聴く傍らオペラにボチボチに挑戦しているんだけど、浪曲なんかも聴きたいと思っているんだ。
三宅さんの記事では久しぶりに大脱線しているが、もう「ひと脱線」。
日本の印象をテーマにした作品っていうのがジャズにもいくつかあって、例えばDuke Ellingtonの『Far East Suite(極東組曲)』、Dave Brubeckの『Jazz Impressions of Japan(日本の印象)』、Horace Silverの『Tokyo Blues』…どれもみんな秀作なんだよね。
日本オリジナルの文化ってホントにすごいと思うんですよ。みんなでブッ壊しちゃった!

240v『Orchestral Supreme』のキラー・チューン、「if」。
このギターの音!

260

曲を追うごとに激しくなる三宅さんの演奏を迎え撃つふたり。

250音と汗の壮絶なぶつかり合い!
290v

感情豊かに「petal」をプレイ。
三宅さんの愛奏曲だけあって最高に密度の濃い演奏だ。
300v

「一定のリズム・テンポで演奏する」ということを捨て去り、曲に命を与え、その曲と時間を共有する…という曲。

280v演奏していても、「曲に身も心も委ねる」感がとても強く、最も命を削られる作品だという。
それが三宅さんの「幸せ」なのだそうだ。

230v

最後は「virtue」。
「スリーピースのロックバンドが激しいブルースの演奏の演り方で、ヴィヴァルディがようなく美術的な旋律をプレイする」ことを標榜している曲。
ん~、わかるようなわからないような…とどのつまりはMiyake Musicだ!
270v

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange,Beautiful and Loud

310Strange,Beautiful and Loudの演奏をタップリ浴びたところでゲストが登場。

320ichiro!

330v緑コーナーのichiroちゃんはASTORIA CLASSICをプレイ。
以前にもMarshall Blogでレポートした通り、CLASSICはichiroちゃんのお気に入り。

340v

極上のクリーン・トーンが身上のASTORIA CLASSIC。

335対して青コーナーの三宅さんはDUAL。
前回のSound ExperienceではCLASSICをプレイしてくれたが、今回はDUAL。
三宅さんのDUALへの評価が期待よりはるかに高かったのは意外だった。

350クリーン/オーバードライブの2チャンネルがチャーム・ポイントのDUAL。

ASTORIAシリーズの詳しい情報はコチラ⇒【Marshall Blog】いよいよASTORIAが出るよ!

355曲はichiroちゃんの歌でJimi Hendrixの「Angel」。
ともにJimiを敬愛するふたりにふさわしい選曲。

360v

曲の後半は期待通りのソロの交換。

370キャリアの長いふたり…もちろん以前からお互いにその存在をよく知ってはいたが、ナント、先日開催された大阪のイベントで初めて実際に顔を合わせたという。
その時、「いつか一緒にできたらいいね!」という話をしたが、その機会がすぐにこうして訪れた。
すなわち、一緒に演奏するのはコレが初めてということになる。
二人の独自のギター・スタイルの激突だけあって、私もこの日をすごく楽しみにしていた。

3802曲目はまた「Littel Wing」かと思いきや…三宅さんの歌で「Manic Depression」。

390vイヤ~、お互いが自分の言葉で自分の物語を聴かせてくれる素晴らしい展開!
しかも、ASTORIA!
二人のスタイルをそのままアンプリファイすることにかけてはこれ以上の役者はいまい。

400_2ブルース色の濃いシャープなフレーズを三宅さんに付きつけるichiroちゃん!

410豪快にしかも繊細にichiroちゃんにのしかかる三宅さん!

S41a0020 この素晴らしいギター・サウンド!!ヨダレが出るわい。
日本ASTORIA史に残る名競演だった。
見た人ラッキ~!

ichiroの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

4301965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 前半:2016年6月22日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)