犬神サアカス團単毒公怨「灼熱の氷塊」~TOKYO BAKA EXPO 2015より
「エッ!そういうことだったのか!」と背景を知り、忘れないようにどうしてもどこかに書き記しておきたいと思うことがある。
そういうモノのためのノートを作ったりしようとは思うのだが、そのノート自体がどこにあるのか忘れてしまいそうなのでいまだに取りかかっていない。
かの井上ひさしは、そうした小説のネタになりそうな事象を専用に作ったカードに書き記して、ジャンル別に仕分けして保管していたらしい。
ところが、殺人的に本を読む人だから、吸収したい情報が後を絶たず、カードの数が膨れ上がってしまった。
この手の仕事は情報を蓄えること以上に大切なのが情報の検索である。いくら豊富な情報を保有していても必要な時に引っ張り出せなければ何の意味もないからね。
案の定、井上さんは情報の仕分けが困難になり、このシステムもあきらめざるを得なかったという話しがあった。今ならパソコンを使えばうまくいくかもしれない。
実は今朝、「やっぱりそんなことをしてみようかな?」と思わせることを新聞で読んで知った。
決してMarshall Blogを備忘録がわりに使うつもりではないのだが、ちょっと紹介させてもらう。
ちゃんと今日登場する犬神サアカス團に結び付けてある。
それはまたしても「文学」。
「犬神サアカス團」がそのバンド名を寺山修司の『田園に死す』から拝借していることは前回書いた。
で、こっちの今日の文学は「ハードボイルド」。
ダシール・ハメットととかレイモンド・チャンドラーのアレね。
主役のサム・スペードやフィリップ・マーロウがどうして「ハードボイルド」と言われるのか?
このことである。
「ハードボイルド」というのは「卵」のこと。つまり「固く茹でた卵」のことね。
固く茹でた卵は当然かき回すことができないでしょ?固まってるんだから。
で、英語でこの卵をかき混ぜる時に「beat」という動詞を使う。
ハイ、英語を勉強している人はもうお分かりのことと思う。
ご明解!「beat」という動詞は「打つ」という意味がメインだけれども、転じて「打ち負かす」という意味があって、普通に日常の会話で使われている。
つまり、固く茹でた卵はbeatできないから「負けない」あるいは「無敵」という意味になるのです。つまりシャレなのです。
英語はおもしろいナァ。
…ときれいに「文学」で整いました。(ウソこけ!)
さて、今年もやって来ました『BAKA EXPO』。
驚いたことにもうコレ三回目のレポート。
何でもm年を取ると子供の頃より三倍時間が早く流れていうくらしいよ。
「あまりに早い過ゆく時の流れ…私は落ち葉に何を想ふ…」 あ、今エイディット・ピアフを聴きながらコレを書いているの。
シャンソンもいいもんだ。
そして、シャンソンと同じく儚い人生を歌う犬神サアカス團の登場だ!
いつも通り主催者のである橋沢さんのとろけるようなバリトン・ボイスによるご挨拶でスタート。
今年のネタも去年と同じく「いつ、どこで、誰が、誰と、どうした」ってヤツね。クジで引いたお題を各自が演じるってヤツ。
前回は凶子姉さんがいなかったからね。
そうだ!そういえば、前回は凶子姉さん、ビデオ・レターでの参加だったんだ。アレからもう一年かよ?!
やっぱ早ェな~。
ちなみに、私のパソコンは「きょうこ」とタイプすると「今日子」でも「恭子」でもなく「凶子」が変換候補のトップに来る。うれしいことだ。
みんな凶子姉さんが帰って来てうれしそうだな~。前回はZだったからね。
バックラインは、へへへ、いつも通りのMarshalファミリー。
ギター・アンプはMarshall JCM800 2203と1960A。
ドラムはNATALのバーチ。
今や鉄壁のバックライン・トリオだ!ナンチャッテ!
犬神家四人集まっての爆発的なパフォーマンス。コレが犬神サアカス團!
「朕は国家なり」と言ったのはルイ14世だったか?今、極東の島国にも…おぉっと、アブねぇ、アブねぇ、この先は言うまい。
二曲目は「アタシは国歌」。
「アメリカ病」とか最近のZ名義の「こんなのロックじやネェ」とか、犬神の社会派のレパートリーが大スキだ。
明兄さん、ドンドンやっちゃって!
残念ながら私は犬神キャリアが長くない方なので、記事を書く時にディスコグラフィと首っ引きになるのだが、イヤま~、ホントすごいわ。
Marshall Blogを1,700回以上書いてきた中、犬神の記事の時しか決してタイプすることがない不吉な単語がそこにはゴマンと並んでる。
二十年もブレずによくもまあこのエリアだけで創作活動を続けて来たものだと、明兄さんの才能を尊敬せずにはいられない。
しかし、明兄さんがどんなに感覚を研ぎ澄まして「不吉」、「不幸」、「理不尽」をクリエイトしたとしても、もはや現実の方がヒドくなって来たのではなかろうか?
がんばれ明兄さん!
凶子さん、MCでとても好きなことを口にした。
「私、音楽をやっていて、いつも楽しいから自分が貧乏だっていうことに気が付かなかったの…」
なんて美しい言葉だろう。
実はリハーサルの時「貧乏」の話しになって、「ギャラも額によっては米で頂いた方が助かる」とか言ってみんなで笑っていたワケ。
そこへ凶子さんが、この言葉をポロっと言ったのです。
私、なんか感動しちゃってサ…。
陳腐かもしれないけど、「音楽ってスゴイな」と思ったのです。
しかも本当に貧乏な人が言うから余計に感動させられた…あ、ウソウソ!凶子さん、ゴメンナサイ!
でも、コレはブルースと同じだと思ったよ。
来る日も来る日も朝から晩まで綿を積んだり、土木作業をさせられたり、何の楽しみもなく死んでいく人生…その黒人奴隷たち苦しみを癒しすために生まれたのがニグロ・スピリチュアルズとかブルースなワケだから。
犬神の皆さんが綿花畑に出たり、鉄道の敷設現場に入ったりするワケではもちろんないけれど、同じことではないかと感じた。
さて、ここからは新曲コーナー!
10月21日にリリースしたニュー・アルバム『ここから何かが始まる』、略称「ここナニ」からの曲を演奏するのだ!
コレ、いいんだぜ~。
安心してください。ロゴ入ってますよ。
まずはタイトル・チューンのバラード「ここから何かが始まる」。
例の天井桟敷の昭和精吾さんのナレーションのヤツね。
一番小さい海は?…涙。
シンプルな曲奏とアレンジ、そして深い歌詞とメロディ。コレが日本のロックの原点だよ。
いつか三文役者と対バンすれば面白いのにな…。三文役者は白塗りの大先輩なんだよ。
東京キネマ倶楽部あたりで演ったら雰囲気バツグンだぜ。
6/8の「空の色は何色ですか」。
家から逃げ出したいなんて気の毒だよね。やさしいメロディに乗った薄幸感が聴く者の悲しみを誘う。
ソリッドなギター・リフから展開するヘヴィ・チューン、「夜更けの数え唄」。
あのね~、もう言っちゃうけど、情次兄さんって、白塗りだったころの三文役者のちぇり~にソックリなんだよね。
聴けば、実は情事兄さんは、「兄さん」でも私の可愛い後輩なのです。そういうこともあってすごく親近感が沸いてくるのです。
長くトリッキーなリフが実に印象的。
70年代のブリティッシュ・ハードそのものだ!
そして、アンコール。
「死ぬまでロック」をバッチリキメて全13曲のプログラムを終了した。
さて、犬神サアカス團は『単独巡業「2015年~ここから何かが始まる~」』と銘打ったレコ発ツアーを敢行中。
今週の13日、渋谷TSUTAYA O-WESTで千秋楽が開催される。
この独特のアングラの世界…とくとご覧あれ!
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版作ってます。なかなかはかどりません)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
(一部敬称略 2015年10月21日 下北沢 楽園にて撮影)