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2014年9月17日 (水)

T-ROCK LIVE~D-DAZE <後編>

さて、岡井大二さんのご還暦を祝うコンサート、『T-ROCK LIVE~D-DAZE』レポートの<後編>は当日の第2部に当たるパートをお送りする。
このシリーズ、今回で4回目を迎えたことは<前編>でも触れたが、毎回超満員で、今回も富山でいえば豪華な出演者が鱒(ます)で、お客さんがシャリの状態。「すし詰」めってことね。
別に富山に意味はない。少しの間住んでいたことがあるということだけだ。
だからもちろん、ネタが「サバ」ならバッテラでもいい。
…とここまで書いて思い出した。この「すし詰め」という表現は「押しずし」みたいに上下にギュウギュウ押している状態からではなく、「握りずし」を折詰にビッシリと隙間なく敷き詰めることに由来しているのだった。
でも、今の若いバンドのコンサートは「押しずし」だね。ネタ(ミュージシャン)がしょっちゅうシャリ(お客さん)の上に乗っかってるもんね!

第2部は第1部のややポップ路線と一部に比べて、ハードなギター大会となった。
主催者の高橋さん、Neon ParkのTシャツ渋いわ~。

1_img_0711 もちろんそう来りゃ、Marshall!当日はJVM215Cが2台セットされた。

1_img_0137_2そして主役の大二さんのドラム・キットはNATAL。Led ZeppelinもFleetwood MacもT.RexもThe Rolling StonesもDeep Purpleも愛用した1965年創業のイギリスの老舗のブランド。現在はMarshall傘下となっている。

2img_0129ベースアンプはEDEN。ヘッドがWT-800でキャビネットがD410XLTだ。

2img_0639第2部のトップバッターはエージ・ファーナー。
前回登場してセンセーショナルなステージを展開した。今回も出演者もお客さんも期待している人がたくさんいたようだ。

1_img_03321曲目は「Heartbreaker」。
中学生の時に渋谷陽一氏がDJを務めていたFMの番組でこの曲を初めて聴いた。「次はとても長い曲です。終わるかと思うと終わらない」と紹介したのを覚えている。

1_img_0375エージ・ファーナー

2_img_0395エンリケ

2_img_0396富岡"グリコ"義広…という強力な布陣。

2_img_0414超レアな機材も本家通りという凝りよう。イヤ、これこそ本当のリスペクト!

1_img_03192曲目は「Inside Looking Outside(孤独の叫び)」。

1_img_0324何も臆することのない、完全な成りきり状態!ここまで入り込んでる姿は見ていて実に気持ちがいい!

1_img_0354そんなエージを猛然とバック・アップするリズム隊がまたエクセレント!

1_img_0383ロック度1000%のグリコさんのヘヴィなドラミングが素晴らしい。

2_img_0447今日の出番は2曲。もっと見たいような、放っておけば永遠に終わらなくて恐ろしいような…。
お客さんも展開がよくわかっていてヤンヤの拍手!

1_img_0401アメリカに行けば本人に会えると思って行ったら本当にMark Farnerに会えたという。そんなバカな…でもホントの話し。
そこで観たGrand Funk Railroadのコンサートは最高だったらしい。何しろ演る方も観る方もかなりの高齢。お客さんなんかはみんな70歳台。それでもGFRの音楽を楽しもうという雰囲気が横溢していて実に素敵なものだったらしい。

2_img_0399残念がらMark FarnerはMarshallのプレイヤーではないが、一時期ラック・プリアンプ、JMP-1を愛用していたことがあった。
私は何となくGFRに夢中になったことは一度もないけど、そんな話しを聞くとうれしくなる。
やっぱりGFRは一世を風靡した替えのきかないアメリカの名門バンドだし、未来に伝承されるべきロックの財産のひとつだと思うからね。
もう本家は日本には来れないかもしれないが、大丈夫。エージ・ファーナーがいるから!

2img_0409_2続いての登場は…

1_img_0482ルーク篁

2_img_0421リズム隊ははそのままの~、エンリケさんと…

2img_0405…グリコさん。

2img_0451曲はT.Rexの「20th Century Boy」。
今日は9月17日。今から37年前の前日、Marc Bolanが交通事故で亡くなった。私は中学3年生の時で結構驚いたが、クラスではほとんどMarc Bolanを知っているヤツがいなかったナァ。

チョット調べてみるとT.Rexの来日公演は1972年の11月。東京の会場は武道館。
人気絶頂時の来日にもかかわらず、機材のトラブルもあったりしてお客さんがあまりノラず、Marcは大層困ったとか…。今みたいに何でもコンサートでギャーギャー大騒ぎする時代ではなかったからね。
それでも後半は機材のトラブルも解消し、お客さんもノリ始めて「Get It On」でピークを迎えたという。
武道館でのコンサートには不満も残ったらしいが、日本を気に入って突然東京でレコーディングをしたいと言いだし、その時吹き込まれた曲のひとつが「20th Century Boy」だった。
1_img_0446
ん~、ナンカちょっとルークさんのイメージに合わないような感じもしたけど、Marshallから飛び出して来たルークさん奏でるところのあのおなじみのイントロの「♪ジョコジョーン」を聴いた瞬間…快感。

1_img_0424オラオラオラ~!的なルークさんの押しがまたタマらん!

1_img_04672曲目こそ意外だった!…というのは何と「White Room」!
今までルークさんとCreamの話しなんかしたことないぞ…。

1_img_0440_2 T.Rexはまだわかる。「Get It On」とか「Children of Revolution」とか「Solid Gold Easy Action」とか出てきそうにない感じがしないワケではない。
あ、それと忘れちゃいけいないのは…先述の通り、T.Rexのパーカッショニスト、Micky FinnはNATALの大ユーザーだったのね。
それを知っててT.Rexの曲を選んでくれるなんてさすがルークさん!

しかし、ここでCreamが出るとは思わなんだ。
じゃ、ついでに言えば、CreamはClaptonもJack BrceもMarshallですから!
またしてもさすがルークさん。

1_img_0496 この曲での入魂のギターソロは大きな聴きどころだった。

1_img_0471

演奏しながらエンリケさんとヒソヒソ…。エンリケさんもしきりにうなずいてる。
一体ナニを話していたのかと思ったらルークさん、「今、スゲェ感電しちゃった!」とおっしゃっていたそうである。
ナニも演奏中の今言わなくても!それになんかうれしそうだし…。

1_img_0514_2 ここで恭司さんが登場!リズム隊も交代する。

1_img_0524山本恭司

2_img_0499ルーク篁

2_img_0460

満園庄太郎
1_img_0597
岡井大二

大二さん、着替えてきた。

1_img_0566_2このセットは1曲だけだったのだが、選曲がこれまた「なんで?」の「In Memory of Elizabeth Reed」。
大二さんがAllman Brothers Bandのトリビュート・バンドを手伝ってはいいるものの、サザン・ロックっぽい人は誰もいないじゃんね~。
ところが演奏は絶品!何しろ曲が問答無用でカッコいいしね。すごく得した気分!

1_img_0542ここで恭司さんコーナー。

2_img_0492ア・カペラでギター・ソロを披露してくれた。
恭司さんのソロはどういうシチュエーションでもストーリーがしっかりと組み立てられる。いわゆる「起承転結」だ。
音楽の種類を問わず、もちろん誰しもコレを十分に考えて演奏するのが普通なのだが、恭司さんが織り上げるソロは実によくできていて完璧なシナリオなのだ。
この日もそのよく歌うソロに観客の目と耳は釘付けにされた。

1_img_0643そして、バンドとともに「I Put a Spell on You」。
2_img_0483
CCRがWoodstockでも演奏したこの曲、John Fogertyのガナリ節も実にカッコいいがオリジナルはScreamin' Jay Hawkinsという人の1956年の作品。この人、基本的にはリズム&ブルースの人だが、Alice CooperのようなShock Rockの元祖と言われているらしい。

そして、この曲はアメリカの「Rock and Roll Hall of Fame and Museum」が選ぶ「ロックンロールを作った500の名曲」の1曲に選出されている。「500も選んでんのかよ?」とお思いになるかもしれないが、全世界が対象だからね、モノスゴイことだよ。
ついでに、米Rolling Stone誌がこれまた選ぶ「The 500 Greatest Songs of All Time」にもチャートインしている。

ここで今回初めての大脱線。このRolling Stone誌のソング・リストは1940年から2000年代のロックの名曲を選出しているんだけど、ここでクイズ。

「さて、いつの時代の曲が多く選ばれているでしょうか?」

答えは1960年代。195曲が選ばれていて、そのシェアたるや39%。ついで70年代の131曲で26.2%。もうこれで全体の65%を占めている。
ホ~ラ、だからオジちゃん、言わないこっちゃない。
ナニナニ、80年代?ブフッ!吹き出しちゃった。55曲で11%だって。90年代は22曲で2000年代は26曲だそうだ。ネタがなくなってしまったことを数字が物語っている。
おもしろいな~コレ。
もうちょっと付き合ってね。

ほんじゃ、誰の曲が最も多く選ばれているか…これは簡単。The Beatlesだよね。23曲が選ばれている。
ついでThe Rolling Stonesの14曲、Bob Dylanの13曲と続く。
以下、Elvisで11曲、U2が8曲、以下7曲でThe Beach Boys、Jimi Hendrix Experience。
その次に6曲が選ばれたLed Zeppelin、Prince、Sly & The Family Stone、James Brown、Chuk Berry。
5曲で同位なのはElton John、Ray Charles、The Clash、The Drifters、Buddy Holly、The Whoとなる。

ハイ、ここで集計。英米の構成を見てみましょう。(U2はイギリスに含む)
まず、アーティスト数は18のうちイギリスが7つ。アメリカが11。チッ、負けた。
じゃ曲数は?153曲中、イギリスが66曲でアメリカが87曲だって。イギリス比43%。
ダメだ、このリスト、わかってねーな!と言いたくなる気持ちがなくもないが、半数近くがイギリスの曲というのはむしろ快挙か?
ナゼ、これほどまでにブリティッシュ・ロックが本場のアメリカン・ロックの地位を脅かすようになったのか?それは極めて政治的な理由による。そしてこのことは今はや日本も無関係ではない。
この辺りのことは時期が来た時に詳しく触れたいと思う。

…話題を戻す。
恭司さんのきれいなピッキング・フォーム。それだけじゃなくて、手自体も尋常じゃなくきれいなんだよね~。
ギタリストはみんな手がきれいだ。そしてフワフワと柔らかい。ギタリストだけではなく、かのCharlie Parkerの手も赤ちゃんのようだったという。

私の手は大工さんの手だよん!汚い上にゴツゴツしてる。
あ、でも私、釘打たせたら雑だけどメッチャ早いですよ。親父にさんざんやらされた。
それと生コンとセメントの話しならなんでも訊いてください。
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2曲目は恭司さんのオハコ「Purple Haze」。
恭司さん、前の曲「I Put a Spell on You」でタイトルの説明をしてくれた。
「put a spell on~」で「~を呪縛する」みたいな意味なんだけど、この言葉、「Purple Haze」にも出てくるのよ!「♪That girl put a spell on me」って。
「spell」で揃えた恭司さん、さすが!

2_img_0469庄太郎ちゃんも着替えてきた。
自家薬籠中のこの曲、もちろん暴れまくった!

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いつか恭司さんとルークさんと3人でおしゃべりをする機会があって、「もはや『山本恭司』というのは人名ではなく、ひとつの強力なブランド名ですよね~」なんて話をしてルークさんと盛り上がった。
ルークさんも私も若かりし頃(ルークさんは今でも超若い!)武道館のKISSで恭司さん体験をしているのだ。私はその前のAerosmithの時が初体験だった。
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そしてまたメンバーが入れ替わる。

1_img_0608西山さんが戻って四人囃子の「Lady Violetta(レディ・ヴィオレッタ)」。
ああ、いつ聴いても最高の名曲。
どんなに激しく弾いてもどこまでも美しいのが恭司さんと西山さんのギターの魅力。このコンビにうってつけの美メロだ。

1_img_0629ベースは駒沢さっき
実はさっきちゃんはMarshall Blogには2回目の登場となる。前回は大分前に「Jeff Beck Night」というイベントの司会というポジションでお目見えしてくれた。
今日は本職、ベーシストとしての登場だ。
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ドラムはもちろん大二さん。ホンモノの「Violetta」だからね。

1_img_0671_2ソロもバッチリとキマった!
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最高に美しい「Violetta」であった。

1_img_0653最後はトリオでThe Shadowsを…。

2_img_0521ドラム・フィーチュアの「Little B」。
最後の最後に出た大二さんのダイナミックなドラム・ソロ!
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ここではさっきちゃんとのコンビネーションも!

1_img_0636_2
♪ゲロンゲロンとベースをスティックで打擲するワザ。コレひっさしぶりに見たな~!
ヤンヤヤンヤの大拍手で会場も大盛り上がりだ!

2_img_0560このコンサートはセッションなし、アンコールなし、のサッパリ完結が特徴なんだ…ということでココで終わり。
最後に大二さんを讃えて締めくくられた。

2_img_0529CROCODILEの西さんから花束が!
西さんにあこがれてドラムを始めたという大二さん。メチャクチャうれしそう!

2_img_0532大二さん、ホロっと来ちゃったんだよ。
続けて大二さんから最後のご挨拶。ここで衝撃発言が…。
実は大二さん、すでに61歳になられていて、還暦を迎えたのは去年だったということが判明!!
いーの、いーの。誰も「今年が還暦」だなんて言ってない。パーティがちょっとズレ込んだだけなんだから。
大二さん、おめでとうございます!!

2_img_0541最後に記念撮影。
あ、庄太郎ちゃん、横向いちゃった!

1_img_0724 もう一枚。あ~、いい写真だ~!
今回も最高に楽しかった~。
次回んp『T-ROCK』は皆さんもゼヒ!チケットがすぐ売り切れちゃうから要注意だよん。

1_img_0723 大二さんのTシャツ。Jethro Tullの『Too Old to Rock'n'Roll : Too Young to Die!』。
まさにこのコンサートにふさわしい。
『ロックンロールにゃトシだけど、死ぬにはチョイと早すぎる』ってか!全然トシじゃない。

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NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年7月21日 原宿CROCODILEにて撮影)