祝20周年!犬神まつり千秋楽<前編>~人間椅子登場
先日もレポートした犬神サアカス團の結成20周年を記念するツアーが千秋楽を迎えた。
冒頭、司会の最鋭輝さんに続きメンバーが登場し、満員の客席に向かって一言ずつあいさつが発せられた。
自分たちのお祝いごとだけど、お客さんとステージ上のメンバー全員が楽しめるイベントにしたい…と凶子姉さん。
この日のために共演者の音源が集められ、聴いているうちに寝不足になった…と情次兄さん。
それほどスゴイ内容になりそうだってこと!
客席で見たかった!…ジン兄さんの希望を幸運にも叶えることができたのが今日のお客さん…だという。
リハーサルを重ねているうち、時間が経つにつれて、「20年」というグ~っと胸に来るものを感じたという明兄さん。
お祝いにかけつけてくれたのは大槻ケンヂさん。
10年以上前に大阪のコンサートでオーケンさんがゲストで出演してくれたのが最初だったとか。
犬神サアカス團を指して「ガチでヤバい狂人集団」!
…とにぎやかなオープニングに導かれて、『祝20周年!犬神まつり千秋楽』はじまり、はじまり~!
先のアルバム『萬燈籠』収録の「此岸御詠歌」がオープニングSEに流れる中、人間椅子が登場して記念すべきイベントの本編の幕を開けた。
既報の通り、今年は人間椅子にとっても結成四半世紀を迎える記念すべき年にあたっている。
そして6月には『無頼豊饒』というニューアルバムを発表した。
都内のあるレコーディング・スタジオでミックス中の和嶋さんにバッタリお会いした時、このアルバムについてうかがって期待を募らせたものだが、なるほどその期待を決して裏切らない快作に仕上がっている。問答無用でカッコいい!
まずジャケットがイカす。浮世絵を使ったジャケットといえば私の場合、Dave Brubeckの『Jazz Impressions of Japan』が思い浮かぶが、あれは広重の作品をただそのまま引用しただけ。
そこへいくと、この『無頼豊饒』は素晴らしい!カッコよくもユーモラス!
やっぱりいい音楽はいいジャケットに収められてしかるべきなのだ。
1曲目はニュー・アルバムから「迷信」。
おお、ドヘヴィにして実に深い歌詞!「♪迷信」のリフレインが意外な展開。
アッという間に会場は人間椅子の迷信に満ちてしまう!この曲、メチャクチャかっこいいな。
2曲目はスタンダード、「賽の河原」。
最近、Paul Gilbertも「Stone Pushing Uphill Man」というニュー・アルバムを出した。コチラはギリシャ神話が元ネタがだ、これも「賽の河原」的なイメージだそうだ。
鈴木さんのあの声で…
「犬っこのみなさん……20周年おめでとございます……犬っこのみなさんに合わせて……犬らしい曲を用意して来ました…」
…と鈴木さんからも祝辞が寄せられた。
和嶋さんとMarshallとSG。
日本のロックの風景になくてはならない取り合わせだ。
もうすっかりファンにはおなじみとなったこの曲。
「♪ねぷたのもんどりこッ」のパートは大合唱だ!
ノブさんのボーカルで「蜘蛛の糸」。
『無頼豊饒』でもノブさんは「宇宙船弥勒号」という自作曲でボーカルを取っているが、今回は前作からのチョイス。
規格を超えた強引なシャウトが小気味いい!
「黒い太陽」。
これもスゴイ歌詞だ。人さらいの歌。
毎回書いているけど、こうした人間椅子ならではの言葉の連なりを言語のまま楽しむことができるのは日本のロック・ファンにとっては大きな幸せのひとつだ。
そういえば「神隠し」という言葉も聴かなくなった。私が小さい頃は夕方まで遊んで家に帰ってこないと「赤いチャンチャンコを着たお婆さんにどこかに連れて行かれちゃうよ!」と脅かされたもんだ。
なんてこととは全く関係ない鮮やかなギター・プレイ!
典型的な人間椅子のヘヴィ・チューン。
こんな曲カマされたら、ナマケモノは飛び起きて、子供は泣き出すわ!このバンドの絶好調ぶりを如実に表す胸のすく1曲!
すでにお客さんも自家薬篭中のものにしていてなまはげのお面を付けている人すらいた!
最後の曲はおなじみ「針の山」。ウン、何回聴いても本家より人間椅子バージョンの方がカッコいい!
激しくステージを飛び回る和嶋さん。この曲でのお定まりのアクションに観客席も興奮の骨壺と化した!
和嶋さんのMCで「『きょうこ』の『きょう』は『凶』と書く」なんておっしゃっていたが、浅草寺のおみくじは「凶」が出やすいことで有名だ。
外人を連れて行っておみくじを引かせると、「大吉」が出るまで引き続けるヤツがいるんだよね。中にはどっちが先に「大吉」を引くか友達と競争したしりして…バチ当たるゾ。
そんな「凶」を奏で続けて25年!ドンドン「大凶」を出し続けて欲しい!
現在、『無頼豊饒』のレコ発ツアー真っ最中。すでに各地の公演ではソールドアウトが続出しており、ファイナルのリキッドルームのチケットも完売したそうだ。
まさに「イス取りゲーム」の様相を呈している。そして、人間椅子の快進撃は留まるところを知らない。
人間椅子の詳しい情報はコチラ⇒人間椅子オフィシャルサイト