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2012年10月5日 Shige Blog初出
イギリスでもっとも早い時期から、膨大な数のセッション・ワークをこなしてきたファースト・コール・ギタリスト、ビッグ・ジム・サリヴァンが10月2日、永眠した。
Big Jim Sullivanは1941年、ロンドン西部のアクスブリッジ(Uxbridge)の生まれ。熱心なマーシャル・ファンの方ならおなじみの地名だ。
何故なら、この通りにあったジム・マーシャルの楽器店からマーシャルの第1号機が生み出されたからだ。
この通りの両側にジム・マーシャルの第1号店と第2号店があった。そして、ピートやリッチー、クラプトンらが毎日のようにここに遊びに来ていたのだ。その中の一人がBig Jimで、ピートらとともにジム・マーシャルへ新しいタイプのギター・アンプのアイデアを伝え、開発に取り組みキッカケを作ったのだ。
Jimのお店の詳しい情報はコチラ⇒【イギリス‐ロック名所めぐり vol.2】 マーシャルの生まれ故郷<後編>
Big Jimは1958年からセッション・ワークをはじめ、リッチー・ブラックモアのギターの先生でもあった。
共演したアーティストの名前を上げればそのままイギリスの軽音楽史がつづれそうなラインナップだ。ビリー・フューリー、ヘレン・シャピロ、シラ・ブラック、ダスティ・スプリングフィールド、トム・ジョーンズ、シャーリー・バッシ―…。
イギリスで初めてワウ・ペダルを使ってレコーディングしたのもこの人で、1962年のアレクシス・コーナーのアルバムでは、ジミー・ペイジからファズを借り、これまたイギリスで初めてファズ・サウンドをレコーディングしたという。
さらに、ザ・ウォーカー・ブラザーズ、ドノヴァン、デヴィッド・ボウイ、エンゲルベルト・フンパーディンク、ロング・ジョン・ボールドリー(エルトン・ジョンの「ジョン」はこの人から取っている)、マーマレイド、スモール・フェイセズ、ザ・トレモロズ、ジョージ・ハリソン等とのレコーディングでプレイした。
加えて、キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』の序曲を手掛けたり、『Tommy』のオーケストラ・バージョンのアレンジ、ザッパの『200 Motels』にまで参加している。
一体どれだけスゴイのよ?!
とてもイイ感じの動画があった。
ここで演奏されているのはガーシュインの『Porgy & Bess』から「It Ain't Necessarily So」とボサノバの定番「The Shadows of Your Smile(いそしぎ)」のメドレー。
バキンバキンとしたタッチが、ジョー・パスやウェスあたりのソロ・ギターと異なりいかにもイギリス人らしい印象を受ける。
音楽を作って来た世代の本物の音楽人がまたひとりこの世からいなくなってしまった。
こころからご冥福をお祈り申し上げます。
2012年9月24日 Shige Blog 初出
マーシャル創立50周年記念コンサート『50 YEARS OF LOUD LIVE』が無事にそして華々しく終了した。
前日のリハーサルが延びに延びてホテルに帰ったのはもう真夜中のこと。もうどこのレストランも開いてなくて、仕方なく仲間とハンバーガー屋へトホホ、よりによってハンバーガーか…。今日、昼もハンバーガーだったんだよね…。
明けてコンサート当日。ここはイギリスか?ってくらいの快晴!音楽の神様がマーシャルの50周年を祝ってこの晴れ空をプレゼントしてくれたとしか思えない!
開場を待つ客席。
ロビーにはシグネチャー・モデルでマーシャルの歴史をたどるディスプレイがセットされた。ピート・タウンゼンドが一番最初に来ているところが泣かせるじゃないの!
お客さんがジャンジャン入場してきてアッという間に客席が埋まっていく。
老若男女を問わず、マーシャルロゴシャツを着ている人がなんと多いことよ!
50年…一口に言ってもとてつもなく長い道のりだ。それにしもジム、あなたがいないのはさびしい。
マーシャルを愛するギタリストたちの饗宴で会場は興奮のるつぼと化した。
まだまだ先だと思っていたのに、この日が来て、アッという間に終わってしまった…さびしいけど、また次の50年への晴れ晴れしいスタートだ。100周年はとても立ち会えない。一生に一度のこの大イベントにスタッフとして、そして、オフィシャル・フォトグラファー参加させてもらえたことを誇りに思うし、心からマーシャルに感謝している。
今日はここまで。コンサートの本番のようすは言うに及ばず、前日と当日のリハーサルや会場の設営のようすもバッチリ撮影させてもらった。アーティスト写真使用の許可が出て、近いうちに詳細なレポートを掲載できるようになることを願ってやまない。
2012年9月21日 Shige Blog初出
おっかしいナァ~。毎日いい天気だわ~。ま、いい天気に文句をつける必要は何もないんだけど、あまりにも前回と違うもんだから驚いちゃう。
イギリスに来て屋外で写真を撮る時は絶対に雲を入れなきゃソン!日本と違って手に取れるようなところに浮かんでいるし、形に恐ろしく多彩なバリエーションがあって実に美しい。
音楽を聴きながら歩いてるでしょ?するとね、面白いことに気が付いた。当たり前かもしれないし、自分だけかもしれないんだけど、やっぱりね、この空にはブリティッシュ・ロックがマッチするの。それもね、プログレ。メタルもいいけど、絶対にプログレ。特にジェネシスあたりがいい。イエスとかジェントル・ジャイアントとかね。不思議なことにピーター・ガブリエルやジョン・アンダーソン、イアン・アンダーソンたちの声が異常に合うんですよ。クリムゾンは何故かちょっと合わない。
ああ、ブリティッシュ・ロックっていいナァ~。そういえば今日ミーティングをしたマーシャルのポールに「最近の日本の若者の間ではどうも『ブリティッシュ・ロック』という言葉は死語になっていて『UKロック』っていうらしいよ…って言ったら仰天してた。
彼から教わった言葉をひとつ…「Jingly Jangly(ジングリー・ジャングリー)」。これはクリーン・トーンのギターをバックに展開するややソフトなロックを指す言葉で、ポールはアークティック・モンキーを例に聴かせてくれた。そこへダニーが入ってきて、彼が例えに出したバンドはThe ByrdsとTom Petty &The Heartbreakersだった。
話は戻って、プログレ以外ならThe Whoかスモール・フェイセズ。The Moveもいいな。いくらアメリカの音楽に感化されてできたロックとはいえ、やっぱり、こういうところだからアメリカとは一線を画したああいう音楽ができたんだろうな~、とひとり悦に浸る。
実際やってみたけど、アレサとかオーティスは合わなかった。ソロモン・バークなんてミス・マッチもいいとこだった。これが一転してセヴンス・アヴェニューなんかをブラブラするならエラとかサラがピッタリ来るに決まってる。音楽の大半はやっぱり空気でできてると感じちゃう。
これは何でしょう?
今日のランチ。すっかり気に入ってしまったテスコのBritish Ham & English Mustardに日清どん兵衛。もちろんどん兵衛は日本から持ってきたもの。ああ、インスタントでもおいしいナァ~、ダシ。
土曜日のコンサートに向けて世界中から関係者が集まるので、その前日にTheatreでマーシャルの取り扱い商品のデモンストレーションが行われる。今日はそのリハーサルがあった。
Marshall、NATAL、EDENのトリオ。そういえば、後ろにデカいザックのパネルが貼ってあるでしょう?昨日、ザック本人が来た時、携帯で写真撮ってたっけ。
『恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)』のデザイン・フレット・クロス。ギーガーですな。
ポール、ダグ、ザック、イングヴェイ、サトリアー二等々、コンサートにはキラ星のごとくスーパー・ギタリストが集まるワケだけど、みんなアメリカ人。イギリスのギタリストがいないのがチトさびしい…。
マーシャルの連中に「もしゲイリー(ギャリー)が生きてたらコンサートに出てたと思うか?」と訊くと全員が「当たり前じゃん!」と答えてくれた。ああ、ゲイリー、なんで逝っっちまんだ!
AAA(All Area Access)のパス。わつぃは当日プレス用のパスをもらうことになってんだー。
明日はロンドンまで出向いてリハーサルのようすを撮影してくる予定。そうそう、演奏曲目がもう決まっていて、セットリストをもらったけどすごくいい感じ!楽しみだ。
今日の一連のゲイリー・モデルの写真、三宅さんとケリーさん、よろこんでくれたかな?
つづく