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2014年5月 8日 (木)

また観た!~関雅樹+岡井大二セッション

前回、あまりにも充実した演奏で大満足させて頂いた関雅樹+岡井大二セッション。また演るってんで駆け付けた。

1s_img_0004 今回も素晴らしい演奏!
いつも通りの2部構成で、最初のセットはFreddie Hubbardの「Straight Life」。ま、私の場合、「Straight Life」というとArt Pepperが真っ先に来ちゃうんだけど、Freddieのもいいよね。
実は「Red Clay」にしたら?と関ちゃんに提案したんだけど、「Red Clay」はポピュラーすぎるということでこっちになった。
CTIの頃もBlue Noteの頃のFreddieもいいけど、私の一番の愛聴盤はMPSの『The Hub of Hubbard』。この剛速球のようなスピードチューンをハードに決めるFreddieがメッチャかっこいい。ジャズの初心者にジャズの爽快感を味わってもらうに適した一枚と言えるのではないか?
それともうひとつのFreddiの魅力は時折出てくる必殺のオリジナル。「One of a Kind」とか「Breaking Point」とかものすごくカッコいい。

1s_img_0023前回同様、関ちゃんのアカペラのルバートのソロでスペイシーに始まった。派手にかけたリバース・ディレイが気持ちいい!

1s_img_0042 そこに石井為人のエレピが絡んでサウンドがより幻想的に…エレクトリック・マイルス風?

2s_img_0030インテンポになって岡井大二がバスドラムを踏んだ瞬間に最初のクライマックスがやって来る。

2s_img_0162 宮野和也のベースが複雑に絡んでくるところで役者がそろう。

2s_img_0097ちょうど良いクランチ加減でペンタトニックとアウト・フレーズでソロ組み立てる関ちゃん。

2s_img_0066ピアノ・ソロでガバッと転調。実にスリリング。

1s_img_0054リズム隊のグルーヴが半端じゃないぞ!

2s_img_0166短3度で無節操につないでしめるエンディングも印象的だ。

1s_img_0070続いてはRoberta Flackの「Feel Like Makin' Love」。MCではタイトルの意味がスゴイとか言ってたけど、このリズム隊の方がよっぽどすごい。
Roberta Flackは私のガラではないけれど、代表曲ぐらいは知ってる。
この曲をこんなにヘヴィにグルーヴさせるのは大二流!宮野さんとのコンビネーションがまた抜群だ。甘さのカケラも見せない。

2s_img_0043そこへ為人さんのウォームなピアノ・ソロ。為人のソロは実に歌う。フレーズのひとつひとつが生き生きとしている。

1s_img_0074関ちゃんのカッティングがまた気持ちいい!
ソロでは素直にブルージーにキメていたがジャブジャブにかけたディレイが関スタイルだ。

2s_img_0059 関ちゃんのオリジナル、「K.T. Street」。「K.T.」とはなんぞや?
関ちゃんによると、青山の骨董通りに夜中しか開いていない靴屋があって、値段も安く、好きでよく寄ったそうだ。そこの主人が大変な説明好きで、そのつまらない説明を我慢して聴くと値段が下がるという奇特な店だったらしい。
おいおい「K.T.」って「Kottou=骨董」の頭文字かよ!

2s_img_0018その靴屋の主人とのやり取りを表現したかのようなユーモラスなイントロ。リズムはファンク。
コレは褒め言葉で申し上げますが、この曲、メジャー・キーの「Moon Dance」を連想させる。
「Moon Dance」はアイルランド出身の大シンガー、Van Morrisonの名曲。
セカンド・アルバムに収められた自身の演奏も素晴らしいが、ドラマーとして有名なGrady Tateが渋い喉を聴かせてくれる『Jazz Gala Concert』というドイツのビッグバンドの演奏が実に魅力的だった。
男が聴いてもトロけるようなのバリトン・ボイスでGradyがラブ・バラードをつづる『All Love』というアルバムも好盤だ。

1s_img_0030今日の関雅樹のバックライン。
アンプはMarshall。メインに使用しているのは縦においてある1987のコンボ、2187。

1s_img_0017足元のようす。隠し味ではなく、メインの調味料としてこれらのエフェクターが活躍する。それが関流。

1s_img_0019曲は為人さんのファンキーなオルガンソロで締めくくられた。

2s_img_0032第一部の聴きどころのひとつ「So What」。待ってました…である。
ハードにスイングする大二さんがあまりにも素晴らしい。今回はスイング・スタイルのドラムのようにバスドラの4つ打ちで攻めまくる。

2s_img_0172ロリンズ式モールス信号ソロ。バックの4ビートに挑むかのようにパワフルなロック・フレーズで切り込む関ちゃん。
この選曲の元はLarry Carltonなんだね。

2s_img_0063大二さんはやりたい放題、し放題!

2s_img_0135その壮絶なドラミングにピタリと寄り添い猛然とスイングする宮野さん。このベースも大いに見ものだ!

2s_img_0037今日もEDEN WT-800を弾いてもらっている。この音抜け…いつ聴いても度肝を抜かれる。

1s_img_0008正統派ジャズ・フレーズでたたみ込む為人さん。カッコいい~!

2s_img_0048_2実はこのコンサートの数日前、関ちゃんと電話で選曲の話をした。…というより、「アレやって」、「コレやって」と私がリクエストするだけなのだが…。
で、前回スゴかった「So What」を演ることは決まっていた。でもね、毎回同じ曲を演られると記事を書くのが辛いのでColtraneの「Impressions」にしてほしいとリクエストした。「So What」と「Impressions」は同じ曲だからね。
実際に演奏したのは「So What」。でも、ソロの間中、思わせぶりに「Impressions」のテーマをチラチラ弾いたりもしていた。
「結局、弾かないな…」とがっかりした矢先、思いっきりあのカッコいい「Impressions」のテーマを弾きやんの!やるナァ、関ちゃん。意地の悪い演出も計算した上でのことか?!
このDmとEbmのしか出てこないモード・ジャズの代表曲、ロック・ファンにも結構おなじみですな。
「So What」が収録されているMiles Davisの『Kind of Blue』はMilesの作品を代表する、モード・ジャズを代表する、さらにはモダン・ジャズを代表する名盤として、古今東西のジャズのアルバムの中で最も売れた(売れている)作品なのだそうだ。

1s_img_0036

1s_img_0070_2一部の最後は定番の「Lady Violetta」。何百回聴いても、何千回聴いても飽きない名曲中の目名曲。こんな曲を今から40年も前に演っていたんだからナァ。昔の日本のバンドは海外なんかにいかなくても十二分にスゴかった。

2s_img_0093歪みを深くして臨んだギター・ソロ。行き当たりばったりでインとアウトを繰り返しているようにも聞こえるが、音が行き着く先々でメロディアスに解決させてしまう。緊張と弛緩の連続、それが関流ソロ。2s_img_0086第二部はNATALの紹介から…恥ずかしい~!

1s_img_0068今日の大二さんのキットはバーチのサンバースト・フェイドというフィニッシュ。

1s_img_001212"、16"、22"、14"×5.5"というコンフィギュレーション。大二さんが叩いていることもあるが、とにかく音がデカい!こっちから見ているとホント、撫でているだけのように見えるんだけど、出てくる音は大きく美しい。そしてまったくうるさくない。これが名人のなせるワザなのだ。

1s_img_0015感想は前回と同じ…「NATALのドラムは伝統的な音と新しい音が実にいい具合に混ざっている」。
偉大なるドラマーとしてだけではなく、ズバ抜けた耳を持った名音楽プロデューサーの口からそのようなコメントいただけるのは本当に光栄なことだ。
「ドラムはバンドの中で一番頭の悪い奴が担当する楽器。皮を張った筒を木の棒で叩いているだけなんだから!」なんておっしゃって大ウケしていたけどトンデモナイ!
優秀なミュージシャンはみんな頭がいいけど、特にドラマーさんたちの記憶力ってのは恐ろしいものがあるよね。それとも度胸がいいのかな?
メロディやコードを完全に記憶する必要がないのは確かだが、ドラマーがキメを少しでも忘れたりミスったりしたら間違いなく大きな責任がのしかかる。特にビッグバンドなんかはそうだ。
手もかかるし、大変な楽器だ。
敏子さんも『Road Time』の中のMCでPeter Donaldを指してそうおっしゃっている。

2s_img_0070「Giddy Up」という曲。Mick Taylorの曲なんだって。ハードなロック・チューン。
Blues BreakersもStonesも聴かないからMick Taylorはわからんな~。
唯一なじみがあるのはGongの『Expresso II』か。それじゃMick Taylor聴いたことにはならないよね。確か「Tublar Bells」の生演奏なんかにも加わっていたよね?

2s_img_0121次に飛び出したのは「Freedom Jazz Dance」。スミマセン、私の勝手なリクエスト。ワンコードだし、テーマはアホほどカッコいいし、適度にポピュラーだし。

1s_img_0040しかし、このテーマがギタリストにとっては鬼門中の鬼門。フレーズが4度と5度音程でできているから。指板に対して垂直移動で弾くとなると異弦同フレットの連続で右手が極端に難しい。左手もツライ。
今度は水平で弾くとポジション移動が多くなり左手が難しくなる。
慣れれば垂直策の方が成功率が高いような気もするが、関ちゃんは水平作戦を採ってうまく弾きこなした。
そして、ややこしいテーマ・メロディから解き放たれたかのように自由に動き回るソロ。

2s_img_0004為人さんはシンセサイザーで応戦。

2s_img_0156カバーも多い、この曲の作者はEddie Harris。『The In Sound』というアルバムにそのオリジナル録音が残されている。コレ、聴いたことある人って多いのかな?私も「Freedom Jazz Dance」のオリジナル・バージョンがただ聴きたいだけでこのアルバムを買ったんだけどね。
演奏はファンク調のリズムでかなりシレっと演奏されている。どこかのスタジオに楽器を持って入って、「とりあえず何かワン・コードでジャムってみようか?」みたいな演奏で、テーマが過ぎるとこの曲が「Freedom Jazz Dance」であることをスッカリ忘れてしまう。ま、コレはコレでいいんだけど。

Eh_2Milesの「Freedom Jazz Dance」は『Miles Smiles』にキラー・チューンとして収録されている。この緊張感に満ち溢れた演奏はEddie Harrisのリラックスしたノー天気な演奏とは同じ曲とは思えない。「♪ジャーン、チカタチカタチカタチカタチカタ…」というTony Williamsのドラムのイントロだけでチビるわい。後半8ビートになるとこもタマラン!

Md ロックファンにも比較的聴かれているのはこのヴァージョンではなかろうか?Miroslav Vitousの『Infinite Search』。ナゼならJohn McLaughlin(もう一回言っときますが、英語圏の人は「ジョン・マクラッグリン」と発音する)が参加しているから。これまた修行然として厳しい演奏はもはやEddie Harrisの演奏の微塵も感じられない。

Mv
このBeigles Daisy Toastsってのはフランスのグループなのかしらん?ファンキーなドラムにウッドベースがからんで展開する「Freedom Jazz Dance」。なかなかにカッコよろしいな。
このアルバム、中古で300円(税抜き)以上の値段が付いているのを見たことがないような気がする。でもね、他にもGeorge Bensonの「Clockwise」とかWesの「Cariba」、おなじみ「Mercy, Mercy, Mercy」なんかも取り上げていて300円では十分に安い。極めつけは「Caravane」。Ellington-Tizolの「Caravan」のことなんだけど、よくやるサビで4ビートにする手法が冴えわたっていて爽快感満点。
これギタリストがリーダーなのかな?さもなきゃ「Clockwise」なんて演らないよね。

Bg キテレツなのはコレ。イタリアの女性ヴォーカリーズ・グループ、Le Pause Del Silenzio。「♪ふり~、だむ、じゃ~ず、だんす」と繰り返すところが恥ずかしい気もするが、バック陣の演奏が強靭でかなりカッコいい。
考えてみると、今回紹介した「Freedom Jazz Dance」のウチ、完全に4ビートで演奏しているのはこのバージョンだけ。
スミマセン、長々と…。イヤ、リクエストした手前、ちょっとウンチク固めておこうかと思いまして…。

Vi さて、関+大二バージョンはというと、宮野さんと大二さんに支えられた頑強なファンク・バージョン。

2s_img_0101全員一丸となったハードな演奏に第二部のハイライトを見た!

2s_img_0165ここから2曲続けてJeff Beck。
「Behind the Veil」と「Diamond Dust」。
「ジェフ・ベック好きなんでしょ?」とよく訊かれるが、「それほどでもない」という関ちゃん。その割には「Diamond Dust」で激しく弾きまくる。今日も一番の弾き込みようだった。

2s_img_0149そして最後はThe Beatlesの「Dear Prudence」とオリジナル・アレンジの「Every Breath You Take」。

2s_img_0124大二さんからビートルズの話しで…。昔、何かのレコーディングの時にRingoっぽい音で録りたくて試行錯誤をしたことがあった。ドラムのサイズやらマイクやら悩みに悩んだが、向こうのレコーディング・エンジニアに相談したところ答え一発。「アビィロード・スタジオの録音機材を使えばいいのさ」と言われ試したところ、リミッターひとつで満足した結果が得られたんだそうだ。
つまり、奏者でもなく、楽器でもなく、レコーディングのカギは録音機材だけが握っている…というお話し。大二さんの話しはいつも興味深い!
いつかMarshall Blogでインタビューして大二さんの頭の中にある貴重な知識や経験を文字に残しておきたいと思っている。

2s_img_0047今日もありとあらゆるベースのパターンを披露してくれた宮野さん。実に頼りがいのあるスーパー・プレイヤーだ!

1s_img_0058「Deer Prudence」にはベートーベンの第九を、「Every Breath~」ではWebberの「Memory」のメロディの断片を差し込んでくれた為人さん。Dexter Gordonに代表されるこのQuotationはジャズの常套手段だ。もちろんセンスよくやらなきゃダメ。為人さんは完璧!

2s_img_0111アンコールでナニをやるかまた迷っていたので「Stratus(ストラトゥス)」をリクエストしたが却下。今回もThe Metersの「Sissy Strut」にて打ち止め~!
ああ、今日も大満足!!

1s_img_0030_2関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒Seki's Web
岡井大二の詳しい情報はコチラ⇒四人囃子Official Website

9NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。
おかげさまでNATALが設置されている部屋のご指定もたくさん頂き、ますます高い評価を頂戴ております。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年4月4日高田馬場音楽室DXにて撮影)