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2013年9月16日 (月)

アンビエント・ミュージックの愉しみ~NEBULA『On Earth』発表

それにしても多彩な人だ…伊藤広規。

「才能のある人」ということになるのであろう。いくつもの楽器を巧み弾きこなし、本職のベースを弾いては数々の名バンドを猛烈にグルーヴさせ、自らも高水準な音楽をクリエイトする。

しかし、才人特有の気難しさが見事に皆無で、居酒屋では濃い目に割ったキンミヤ焼酎の大きめのグラスを片手に、「レンソウとカキのバターいため」や「特製ジャンボ・メンチ」をおいしそうに口に運ぶ姿が実に魅力的だ。

そんな広規さんが大きなステージで必ず使うベース・アンプはMarshallだ。1992S UPER BASSのフル・スタックやVBAのハーフ・スタックを背負って絶妙にバンドをドライブさせる様子はカッコいいことこの上ない。

Nbimg_2727これは今年6月に発売されたアルバム『Water Color』。伊藤広規のアーカイヴ・シリーズの第1弾。

まったりムードが横溢する世界にドップリつかり、愛聴している人も多いと聞いた。
私は光栄にもライナー・ノーツを執筆させていただき、ジャケット内の写真も私が撮影したものをご採用いただいた。うれしいなったらうれしいな!

Wc2

そして、これは8月28日に発売された松下誠とのユニット「NEBURA」のアルバム『On Earth』。
いわゆるアンビエント・ミュージックの作品だ。

「聴かれることを拒否する音楽」…とはNEBULAの音楽に対する誠さんの言葉。誠さんのこの言葉はまさに至言と言えよう。

昔、父に命ぜられて千葉の禅寺へ行かされたことがあった。お坊さんからその時に教わったのは。「座禅を組む時にな何も考えてはいけません。『無』になるのです」…ということ。そう言われると「何も考えない」ということを考えてしまって『無』になることなど到底できやしない。
そこで、薄眼を開けて畳のヘリに目をやりながら1~10までひたすら繰り返し数えろと指導される。ところがこっちはまだ血気盛んな時分で、雑念の権化。とてもじゃないけどできなかった。

もし、あの時『On Earth』が座禅の最中にBGMで流れていたら『無』になれたかもしれない…。

Th_img_1288
今回も『On Earth』の解説を書かせていただいた。

私をよくご存知の方は「アンビエントなんて聴くの?!」なんて驚くかもしれない。
実は私はアンビエント・ミュージックとは以外に早い時期に出会っている。中学3年の頃な?1977年ぐらい?

当時、King CrimsonやRoxy Musicが大好きで、ひと通りバンドのオフィシャル盤を聴き終え(双方、もう活動をしていなかった)、メンバーのソロ作や周辺のミュージシャンに興味を持っていた頃だった。
そこで「ナニこれ?!Robert FripとBrain Enoがいっしょにやってるアルバムなんてあるの?!」と狂喜乱舞した。

『(No Pussyfooting)』である。

まだ、「アンビエント・ミュージック」などどという言葉は一般の人の間では知られていなかったと思う。国内盤が出ていなかったので輸入盤を買った。

聴いて愕然とした。
ナニも起こらないのだ。山も谷も、ヨコもタテも、表も裏も、上も下もない音楽だったのだ。「ナンダこの音楽、どっか壊れてるんじゃねーの?」と、繰り返し聴くことはなかった。
つまり、私はどちらかといえばアンビエント・ミュージックの門外漢なのだ。

それだけに今回は新鮮な感覚で『On Earth』に接することができた。
アンビエント・ミュージックに関して調べているうち、ライナーに書いた通りEnoが意外な音楽から影響を受けていることも知った。

Th_img_1289『On Earth』を聴いた人が寝入ってくれれば、我が意を得たり…なんて広規さんはおっしゃっていたが、イヤイヤ、やっぱりこの2人の才気あふれるミュージシャンのこと。
自然にその演奏に耳が張りついてしまうのは仕方がないことなのよ。
もちろんボーっとするなり船を漕ぐなり味わい方は自由だ。

「癒し系の音楽」がお好みの方、あるいはそうした音楽をお探しの方、是非、聴いて頂きたい。

Nbimg_2841この後、広規さんが参加した未発表音源盤がもう一作発表される。これも楽しみ!
それまでは上記2作以外にも既発のアルバムで「伊藤広規」を楽しんでいただきたい。双方、私が解説と写真を担当させていただいた。一生懸命やりました。


『A*I』
青山純との超ド級のリズム隊の至芸を収録した名盤にして奇盤。何せ2枚組のウチの1枚はベースとドラムだけ。そして、もう1枚はそのベースとドラムの音源をゲスト・ミュージシャンが好きに料理した曲が並ぶ。
AとIのコンビネーションがなぜ日本のリズム界の最高峰に君臨しているかが理解できるアルバムだ。
プロデュースはホッピーさん。

Ai

『Relaxin' at IWAKi ALIOS』
2010年10月「いわき街かどコンサート」のライブ盤。
A*Iのリズム隊に森園勝敏、中村哲、そしてKaz南沢という音楽達人が集って奏でる大人のロック。タイトルはCharlie ParkerのCのブルース「Relaxin' at Camarilo」から拝借した。
スルメを5枚重ねたような噛みごたえのある味わい深い演奏は何回聴いても飽きないわ~。

Alios

伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規公式ウェブサイト

Nbimg_2702(一部敬称略)