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2013年3月15日 (金)

Paul Gilbert Live in Japan~DAY2

ポール・ギルバート来日公演レポートの2回目。2013年1月16日のステージのレポート。

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アッチャ!皆さん衣装が昨日と同じだった。でも昨日アップしたのは15日の初日に撮った写真だけで構成しているし、今日は正真正銘16日撮影の写真でお送りします!

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両日とも満席。男性客圧倒的に多し!年齢層は高め。

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ギター好きが大集合したコンサートだ。

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バンド・メンバーは昨日紹介した通り、キーボードはエミ・ギルバート。

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ベースはケリー・レミュー。

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ドラムはトーマス・ラングだ。

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1曲目は『Vinrato』のオープニング曲でもある「Enemies (in Jail)」。

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イントロのホール・トーンのフレーズがカッコいい!

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このホール・トーンの部分はなんでもチャカ・カーンが演っている「And the Melody Still Lingers On」 すなわちガレスピーの「A Night in Tunisia」にヒント得たという。 このチャカの「チュニジア」を初めて聴いた時は興奮したな~…って実はチャカにではなくて、このアレンジにね。

もちろん曲の中に有名なチャーリー・パーカーの「Famous Alto Break」と呼ばれるピック・アップ・ソロを使ったところね。Dialというレーベルのレコーディングでのファースト・テイクで飛び出したバードの超絶神業ソロ。残念ながら他のレコーディング・メンバーのミスでそのテイクがボツになってしまった。その後何テイクかやり直したが、ファースト・テイクのような奇跡は起こらなかった。

チャカのテイクではバードのソロにユニゾンでハービーがシンセを重ねている。

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世の中スゴイやつっているもんで、大学の時いっしょにやっていたテナー・サックスのヤツがこのソロをラクラクと吹いていた。普通サックスなんて家で練習したりできないでしょ?だから「どうやってコピーしたの?」と訊いたら「え、家にあったリコーダーで…」っていうじゃない?リコーダーでチャーリー・パーカーをコピーするのもスゴイし、コピーしたということは、あの複雑極まりないフレーズをリコーダーで吹けるワケだから恐ろしい。その友達は当然のようにプロになって今でも大活躍している。今週彼のステージを撮影してきた。

ポールがアイデアを得たのはこの部分ではなく、さっきも書いたようにイントロのホール・トーンのヴォイシングだ。

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この曲、実に密度が濃くていいね。それにこの曲を私に聴かせるのが楽しみ…とポールが言ってくれていたのもうれしい。

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そういえば、一昨日に降った大雪で大変な目に遇ったって言ってたな…。FMの生ライブ番組に出るためにどこかそう遠くないスタジオに行ったんだけど、行きは40分で着いたけど、帰りは4時間かかったとか…。

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2曲目はアルバムの2曲目「Rain and Thunder and Lightning」 。

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一転してハードなリフのドライビング・チューン!

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4ビートになったりして、コロコロと曲が展開していく…こういう曲はいいねぇ。大好き。さすがトーマス・ラング!

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エミさんのジャジーなソロも大フィーチュアだ。

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ポールのソロも大爆発!

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4人がものスゴイ勢いで押し寄せてくるような演奏がタマラン!ポールはきっとこういうのやりたかったんだろうね~…というこのバンドのショウケース的な曲と見たが、どうなのよ?

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続いてタイトル曲「Vibrato」。オクターバーを聴かせたリフがクール!いかにもポールらしい軽快なファンキー・アメリカン・ロックだ。

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Racer Xのレパートリーから「Scarified」。

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あまり目立った場面はなかったが、着実に自分のパートをこなしたケリー。以前、フレディ・ネルソンと来た時もちょっと似た感じのベーシストだったな。こういう控え目なタイプのベースが好きなのかな、ポールって?あ、これは失言かな?

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もうひとつカバーが続く。パット・トラバースの「Go All Night」。ホント、パット・トラヴァース好きだな~!

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『Vibrato』から「Bivalve Blues」。こってりドップリのマイナー・ブルース。「Bivalve」っていうから真空管がプッシュ・プルで動いている歌かと思ったらトンデモナイ!

真空管の話が出たところで今回のマーシャルの話を…。写真にあるように今回はJVM410Hと1960Aのコンビを2セット。VintageModernも捨てがたかったようだが、JVMでいくことになった。

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その2台のJVMをステレオでふって、曲によってはそれぞれ回転数の異なるフェイザーをセットしてステレオ感を倍増させるという手法。11月のギター・クリニックの時と同じセッティングだ。

で、「Bivalve」というのは「二枚貝」のこと。「海の底で悲しい歌を歌う以外にやることがない」という切ない歌なのよ。このあたりはさすがポールで、ブルースの歌詞の傾向をそのまま踏襲しているということだろう。

「オイラがもし●●だったら~」とか「オイラは、●●なのさ~」みたいなヤツね。「Catfish Blues」とか…。この手の歌だと、私はサンハウスの「ナマズのうた(そのままだ~)」なんてのが大好き!菊さんの歌が猛烈にカッコいいからね。

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『Vibrato』からの曲が続く。「Put it on the Char」。何でもこれはもともと「char」ではなくて「chair」だったのをレコード会社のスタッフが「i」を落としてしまった。それでも意味が通じるのでそのままにしておいた…というこれまたいかにもポールらしい話。インストだからOK。

「char」というのは鉄板のこと。イギリスへ行くとレストランのメニューに「Char Grilled Stake」というのを見かける。これはよくステーキにアミアミの焦げ目をつけて焼くでしょ?あれを焼くのが「char」。ギタリストでもたむけんでもない。

オクターバーを使ったポール・ギルバート・フレーズ炸裂のへヴィ・チューン。ここでもホール・トーン・スケールをうまく使ってるね。

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そして先ごろ亡くなったデイヴ・ブルーベックの「Blue Rondo a la Turk」。家が牧場だったために若い頃は「カウボーイにジャズができるかよ!」ってな侮辱も受けたらしいが、何せ1959年にこの曲「トルコ風ブルー・ロンド」が収録された『Time Out』がビルボードのヒット・チャートの2位まで上がる大ヒットアルバムになっちゃたもんだから一気にスター・ピアニストになってしまった。このアルバムにはロック・ファンにもおなじみの「Take Five」が収録されている。

私はデイヴ・ブルーベックよりも「Take Five」を作曲した相棒のアルト、ポール・デスモンドの方が好きかな。どう聞いても病み上がりで録音したとしか思えないような元気のない音色が昔は好きでなかったけど、この頃とてもよくて…。枯れてて。ま、熱心に聴いているワケではないけど、聴いてるこっちも存分に「枯葉」状態になってるのね?

で、「Take Five」を演らないのがこのバンドのいいところ。

ここはエミさん、思いっきりフィーチュア!

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この9/8拍子の妙チクリンなテーマをやすやすと弾いて、ブルースのパートでは裏コードを駆使した過激なフレーズがバンバン飛び出した。

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ポールとの掛け合いの場面も幾度となくフィーチュアされ、キーボード・プレイヤーとしての実力と存在感を十二分にアッピールした。

さらに『Vinrato』から「Atmosphere on the Moon」。

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ここでトーマス・ラングのドラム・ソロ。これがまたスゴイときてら!

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トーマスを見たのはずいぶん久しぶりのことだ。大分前に親友のHudson Musicの社長、Rob Wallisにすすめられてフランクフルトで観た時以来だ。ロブはあのDCIの創設者。もう長い付き合いで、いっしょに仕事をすることはなくなったが、いまだに仲良くしてもらっている。先日もNAMMで行き会ってお互いの子供の成長の話しで盛り上がった。

さて、そのロブがすすめてくれたコンサートというのがドイツのシンバル・メーカーが主催したもので、当時、新進気鋭とされた3人のドラマーの腕比べ的な企画で、出演者がマルコ・ミネマン(マルコもポールとやってるよね?マルコはその後、エディ・ジョブソンのバンドで来た時にO-EASTで観た)、ジョニー・ラッブ、そしてトーマス・ラングという顔ぶれ。もちろん全編ドラム・ソロだったけど面白かった。あの、私、ドラム好きですから。

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テクニックとパワーがマッチしたすさまじいソロで会場を大いに沸かす!

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スティックも無事キャッチ!

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素晴らしいドラマーだ!

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Racer Xの「Technical Difficulties」をはさんでポールさんの弾き語りコーナー!

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完全にポールとギターだけという演出で音量的にはもっともおとなしい時間帯ではあったが、ストンプをしながらRacer XやMr.Bigのレパートリーを9曲演奏。コンサートのハイライトといってもよかろう。

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「To Be with You」

「Hurry Up」

「Mr. Spock」…

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「Paris Hilton Look Alike」

「Alligator Farm」

「Superheroes」…

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「Space Ship One」

「To Be with You」

「Green-Tinted Sixties Mind」

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いつも楽しそうに演奏するポールだけど、このコーナーは特に楽しそうだったな~。

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バッチリ決まった~!

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もうひとつ『Vibrato』から「Pronghorn」。プロングホーンというのはカモシカみたいなヤツ。

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ここでもエミさんのソロをフィーチュア。

上にも書いたが、ふたりの掛け合いは見応え十分だった。

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ポールが弾くフレーズを正確になぞるエミさん。完璧なアドリブ!エ、これも?といった長いポールの奏でるギターのフレーズもエミさんがキーボードで再現してしまう。

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本編最後はゴキゲンな「Down to Mexico」でしめくくった。

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ここでポールのMC…ソングリストには次の曲は「アンコール」って書いてあるよ。でも引っ込まないでこおまま演っちゃおうか!…とそのまま演奏を続けた。

アンコールはすべてカバー曲。ポール曰く「ボクのギターの先生はカバー・ソングなんだよ!」

もったいぶらず平気でカバー・ソングを演奏する。先人へのリスペクトとエンタテインメント精神を感じるね。カッコいいですよ。

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今回用意された曲はまず、フェイセズの「Stay with Me」。1971年のアルバム『A Nod Is as Good as a Wink...To a Blind Horse(馬の耳に念仏)』から。これいい曲だよね~。

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オリジナルではロン・ウッドのソロの前にロッド・スチュアートが「ギッター!」っていうんだけど、そこもちゃんと再現しているのがかわいかった。自分がギターなのに!

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そして「Still Got the Blues」。当然トリハダ。シングル・コイルでもメッチャ太い音!というかポール・ギルバートの音やね。ギターのボリュームを上げ下げして音色を的確に作るサマもカッコよかった!

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ここで出てきたのがジョージー・フェイム。1970年のシングル「Somebody Stole my Thunder」。なんでここでジョージー・フェイム?

ちなみに、ミッチ・ミッチェルはかつてジョージー・フェイムとブルー・フレイムスのドラマーだったんよ。で、バンドがなくなって、受けたアメリカ人ギタリストのバンドのオーディションで最後まで競ったエインズリー・ダンバーにコイン・トスで勝った。そのアメリカ人ギタリストがジミ・ヘンドリックスだったのね。

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ポリスの「Synchronicity」。

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エミさんのコーラスが素敵だった!

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そしてAC/DCの「C.O.D」と「Beating around the Bush」ですべてを終えた。

「♪Beating around the bush!」って叫ぶケリーがよかったね。「Beat around the bush」は「藪のまわりを叩く」という意味。「Don't beat around the bush!」で「まわりくどいことを言うな!」という意味になる。幸いまだ外人に言われたことはないがそろそろ言われそうだナ。

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アンコールに若干違いがあったが、本編は2日ともまったく同じセットリスト。

両日とも本当にエンタテインメント性に長けた素晴らしいコンサートだった。もちろんマーシャルの音も最高!

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Paul Gilbertの詳しい情報はコチラ⇒Paul Gilbert Official Site 

※現在のHomeのページに使われている写真は今回の来日公演時に撮影したものです。ってんで是非見てみてくだされ!

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(一部敬称略 2013年1月16日 赤坂BLITZにて撮影)

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