FATE GEARのニューアルバム『The Sky Prison』~メイキング・オブ・「The Sky Pirates」
スッカリ日も短くなって朝晩が寒くなりましたな~。
私は冬生まれのせいか、暑いより寒い方がゼンゼンいいんだけどね。
今日のスタートはひと月前のまだ暑い頃の某田舎エリアから。
暑いことには違いないんだけど、東京のソレとは明らかに違って気持ちがヨカッタ。
空気のせいなんだろうネェ。
タマには田舎もいいもんですな。向かったのは採石場。
なつかしいナァ。
というのは、昔務めていた会社で関係会社の管理を担当していたことがあったんだけど、その中に砂利屋が2社あった。
「砂利屋」というのがナニをやっているのかというと、まさに砂利や砂を採掘して、サイズに分けて、あるいは特定のサイズにあてはまるように砕いてそれらを販売する仕事。
「骨材屋」なんて呼ばれたりもする。
主な売り先は生コン屋か道路工事屋だね。
皆さんの生活の中で「砂利屋」なんて職業について考えたことは一度だってないでしょう?
それが当たり前だと思う。
私だって仕事で関わるまで知らなかった。
でも、岡林信康の「山谷ブルース」ではないが、砂利屋がないとビルも道路も作ることができない。
この曲を中学2年生で初めて聴いた時にはかなりショックを受けた。
もっと大きなショックだった曲が同じ岡林信康の「チューリップのアップリケ」。
ビートルズよりゼンゼン衝撃的だったもんね。
こんなにも悲しく悲惨な歌が世の中にあることが信じられなかった。
これらの曲に出会ったことは、私の45年に及ぶ音楽人生の中でも最も大きな出来事のひとつだったと思う。
さてこの業種、原材料がタダみたいなものだから、潤沢に原石が取れされすれば大変に分のいい商売だ。
ところが、この原石を確保するのがなかなかに大変なケースがありましてね。
私が担当していた会社のひとつは山奥にあって、「川砂利/川砂」と呼ばれる川に集まる砂利や砂を原材料にしていた。
しかし、それらが少なくなってしまうと県から採掘ストップの命が下ってしまい、商売ができなくなってしまう。
あんまり川の石や砂を取ると水害が起きやすくなっちゃうのね。
だからいつも「人災のない台風」を待ち望んでいたな…上流から大量の土砂が流れ出てくるから。
もうひとつの会社は平地にある砂利屋だった。
こっちは「岡堀り」といって、地面に埋まっている砂利を採集する。
地主と契約を交わしてお金を払い、地面を掘って、砂利を採って、また元通りに埋め戻して地主にお返しする。
生コンの品質の良し悪しはこの砂利や砂によるところが大きく、良質なそれらの原材料を確保するのが難しくなって久しいはず。
特に私が関わっていた2社は砂の確保に苦心していた。
「砂なんて海に行けばいくらでもあるじゃないか」と思うでしょう?
残念ながら海の砂はそのまま使うことができない。
海の砂は塩分を含んでいるので、生コンにして打設すると鉄骨を腐食させてしまうからだ。
塩分を取り除くために洗浄するコストがかかってしまう。
訊くと、訪れた骨材屋さんは砂が主な商品で、その辺りの山には良質な砂が豊富に埋蔵されているのだとか…。
うらやましい。
それじゃココの砂を、砂のないところへ持っていけばいいじゃん?となるんだけど、そうはいかない。
セメントとか骨材というのは「自己輸送負担能力」とかナントカいって、値段の割には輸送コストがベラボーにかかる商品なので、「採れた場所で使う」という商売の鉄則がある。
「地産地消」のチャンピオンみたいな商品なのです。
はい、ココで今日のマーブロの脱線の第1部が終了。ココから脱線の第2部。
ナニせ今日は記事の主役の方から「脱線」の許可を頂戴しておりますから。
もちろんいつも許可を取って「脱線」しているワケではないんだけど、今日は「脱線」のネタを半ばご指定頂いているのだ…こういうのはうれしいね!
その脱線のお題は「海賊」。
私の「海賊」はEmerson Lake & Palmeの『Works, vol.1』。
中3か高1の時にこの3年ぶりのELPの新作が出るといって期待して買ったけど、ガッカリだった。
感動したのはリード・チューンに据えたアーロン・コープランドの「Fanfare for the Common Man」ぐらいだったかな。
コレは今聴いてもいいアイデアだったと思うんだけど、このクラシックからの素材拝借の手法もこのあたりが限界だったのではなかろうか?
後期にプロコフィエフとかも演ってたけど、クリエイティビティがゼンゼン感じられなくなってたもんね。
そんなことをするもんだから、この頃はハード・ロックもプログレッシブ・ロックも一般大衆から飽きられてしまってヘロヘロになっていたんだね。
一方、ヴァン・ヘイレンの登場によりロック・ギターのテクニックが一気に頂点に上り詰めてしまい、凡百のフォロワーが登場し、完全に速弾きの金太郎飴になってニッチもサッチもいかなくなり、やはり一般大衆から飽きられてしまった。
そこへパンクだのニューウェイブだのが入ってきて、みんなそれらが「新鮮」と思い込んでしまったところに今のロックの不幸のひとつがあると私は思っている。
そんな時代のアルバムだった。
ほとんど聴かなかったアルバムだけど、後年、最後に入っている曲がメッチャかっこいいことに気が付いた。
その曲のタイトルが「Pirates(海賊)」だ。いつも「音楽変態」とか「へそ曲がり」とか「アマノジャク」と自分で言っている私でもELPを盛んに聴いた頃があったのよ。
何しろ数寄屋橋のハンターで、14歳の時に生まれて初めて買った中古レコードは『Tarkus』だったからね。
そのELPを10年前にロンドンで観ることができたことは私のロック人生の中の自慢のひとつなのだ。
その後、3人のメンバーのうち、2人が亡くなってしまったので、もう永久に再結成はあり得ないから。
さて、その「海賊」。
日本では「ヴァイキング」と完全にゴッチャになっている感じがするけど、それは違う。
「海賊(pirate)」は、文字通り絶海で悪事をする「賊」のこと。
一方、「ヴァイキング(Viking)」は、海賊等の武闘行為もしたが、スカンジナビア半島付近に住んでいた農民や漁師たちの種族の名前。
いわゆる「海賊」をテーマにしている類の話とはそもそも時代が違う。
ヴァイキングは10世紀あたり。
海賊は16世紀ごろ。
600年も時代が違う。
だからビッケはタイトルの通りヴァイキングだね。
よくホテルの朝食なんかで「バイキング」っていうのを見かけるでしょ?
アレは日本語だから海外で使っても通じませんからね。
そもそも何であのスタイルを「バイキング」というか…。
その昔、帝国ホテルの支配人がデンマークに行った時に「スモーガスボード(smörgåsbord)」と呼ばれる食べ放題の食事形式を目にした。
「コイツぁイケる!」と踏んだ支配人が日本に持ち帰って、さっそく帝国ホテルでやってみることになったが、どうも名前がよくない。
「朝食スモーガスボード」じゃ言いにくいし、なんか爆発しちゃいそうな名前だもんね。
そこで社内で名称を公募したところ、デンマークといえば北欧⇒北欧といえばバイキング…コレで決まったのだそうだ。
当時、リチャード・フライシャーの『ヴァイキング』という映画がすぐ近くの日比谷映画でかかっていたことも命名の後押しになったらしい。
しからば「バイキング」は英語でどう表現するかというと…そう「ビュッフェ」ですね。
でも、「ビュッフェ」と発音したらなかなか通じにくいかも知れない。
「バフェ」と「フェ」にストレスを置いて発音しましょう。
下はインターネットで拾ったどこかのホテルの掲示板だけど、海外の宿泊者向けに「MORNING VIKING」というアルファベット表記を加えたのであろう。
「『朝のヴァイキング族』って一体何のことだ?」と海外の人には何の意味もなさないハズ。
感覚としては「Two Man Live」のように間違えた英語表現をわざわざアルファベット表記する知性の無さを強く感じさせる光景だ?
もうひとつ言うと、「¥1.000」となっているけど正しくは「¥1,000」と千のくらいには「.(ピリオド)」ではなく「,(カンマ)」を使ってね。
ところがこのホテルの主人がドイツ系の人だとコレは一気に正しくなる。
ドイツは「€12.345,60」と「.」と「,」を反対に使うんだよね。
チョットしたことなんだけど慣れないとすごく気持ち悪い。イケね、海賊、海賊。
「海賊」といえば、この骸骨の下に大腿骨が交わっているフラッグ。
実にカッコいいデザインだと思う。
欧米ではこの旗のことを「Jolly Roger(ジョリー・ロジャー)」と呼ぶ。
骸骨がらみのデザイン…ということであればGratful Deadの「Skull and Roses」と…
『Steal Your Face』もカッコいい。
私はDeadの音楽はどうしても苦手だったけど、ジャケットは比較的どれもヨカッタ。
いかにも不吉なシャレコウベのデザインは何のためかというと、もちろん海賊であることを示すためのモノ。
「このジョリー・ロジャーが目に入らぬか!」と相手をビビらせるためのモノなんだね。
ジョリー・ロジャーではなく、無印の黒旗を掲げている海賊船もあった。
当時、「暗黙の海のエチケット」みたいなものがあって、この黒い無印の旗はその主が海賊であることを示すだけではなくて、「抵抗せずにおとなしく降参すれば積み荷の1/4は見逃してあげるよ!」というサインだった…っていうんだよね。
「冗談じゃねーぜ!」とばかりに逃げたり、交戦の意思を見せると今度は海賊船に赤い旗が上がる。
コレは「あ、そう?いいのね?容赦なくイジめちゃうからね!」というサインだった。
海賊にしてみると、黒旗を上げている間におとなしく降参してもらった方が手間が省けて助かるということと、反抗すると「ホラ、こんなヒドイ目に遭っちゃうんだからね」という他への見せしめのために、赤い旗を上げた際には相当むごたらしいことをしたらしい。
あの、読者の中にはどこかで『パイレーツ・オブ・カリビアン』が出て来るだろうと想像している方もいらっしゃるかも知れませんが、私、まったく観たことがないのでこの先も出て来ることはありませんのであしからず。
コレね、海賊のことも調べ出したらオモシロそうな話がゾロゾロ出て来ちゃって、それを取り上げ出したらまったくキリがないことがわかった。
ひとつ、我がイギリスがらみで「ハハン」と思った話があったのでそれを脱線の第2部の最後に記しておく。
それは「私掠船(しりゃくせん)」という制度。
話はいきなりロンドンへ飛ぶ。
写真はマザー・グースの「♪ロンドン橋落ちる、落ちる」でおなじみの「ロンドン橋」。
こういう子供向けの言葉遊びの歌を「nursery rhyme(ナーザリー・ライム=子供部屋の韻)」という。
「ずいずいずっころばし」みたいな日本で言う「わらべ歌」ですな。
コレをモジったのが「プログレッシブ・ロックの名盤」の誉れ高い、Genesisの1971年の『Nursery Crime(ナーザリー・ライム)』ね。
日本語ではできない、英語の「音のシャレ」。
意味は「わらべ歌」から一転して「子供部屋の犯罪」となる。
オモシロイね~。
関係ないか…イヤ、昔のGenesisが大好きなもんだから…つい。
ロンドン橋を渡ってチョット行くと「Borough Market(バラ・マーケット)」という1,000年以上続く市場がある。
その裏手にあるテムズ川に面したパブ。
夕方になるとこうして仕事帰りのサラリーマンでゴッタ返すのはココの店も同じ。
コレは5年前の写真ね。
数日前の規制強化でロンドンっ子もこんなことができないのが現状だけど、彼らからパブを取り上げるのは酷だと思うよ。
規制強化に反対してデモをする気持ちもわからなくはないが、しょうがねーじゃねーか!
そしてグレーター・マンチェスター(マンチェスター周辺の大都市圏。ロンドンは「グレーター・ロンドン」という)が国が定めた規制に反対声明を出したもんね。
スゴイなぁイギリスは。
この写真の奥の方に注目。
船が見えるでしょ?
「Golden Hinde」というガレオン船のレプリカ。
エリザベス1世の時代にこの船で、サー・フランシス・ドレイクという人がイギリス人で初めて世界一周を成し遂げた。
なんて言うとドレイクがただの冒険家のように聞こえるが、実は海賊だった。
今も昔も海事には大変金がかかることに変わりなく、その当時は国が「私掠船免状(Letter of Marque)」というものを海賊に発行して海軍として国が使役していたというんだな。
1588年、有名な「アルマダの海戦」でドレークは指揮を執り、スペインの無敵艦隊を破った。
そして、当時三流国家だったイギリスは世界最強のスペイン海軍を撃破したことにより世界の第一等国に躍り出たワケだ。
そこからはやりたい放題なのね。
ちなみにこの「無敵艦隊(Spanish invincible Armada)」という名前はスペインではなく、イギリスが付けた名前だったという話を聞いたことがある。
「invincible」というのは「征服できない、無敵の」という意味。
自分たちが勝っちゃったもんだから、その偉業をグレードアップするために、相手の地位を上げちゃおうというセコい手法。
ホントかどうかは知りませんけど。
「Marylebone(マリルボン)」にあるフィッシュ&チップス屋さん。
この店、名前を「The Golden Hind」という。
ココはフィッシュとチップスのオーダーを別にするスタイル。
コレは「Haddock」だったかな?小型のタラ。
油っこそうでしょう?
でも食べると全くしつこくない。
パブなんかで食べる冷凍を揚げるフィッシュ&チップスはひたすらコロモがバカでかくて、とても最後まで食べられたものではないけど、ココのは見るからに薄いでしょ。
ペロっとイケちゃう。
Marshall Recordsのヘッドのスティーブ・タネットも偶然この店の常連だった。
ロンドン生まれ&ロンドン育ちのタネさんが好んで行く店だからして間違いない。
ロンドンへ行ってフィッシュ&チップスを食べる機会があればおススメです。 この映画にしきりに海賊が登場するのはこういう背景があったということ…を今回知りましたとさ。 さて、本題。
2020年に2度目のヨーロッパ・ツアーを成功させたFATE GEARが12月23日に4枚目のフルアルバムをリリースする。
付けられたタイトルは『The Sky Prison』。
実在した女海賊、アン・ボニーとメアリー・リードを題材に「空の牢獄」と名付けられた。
今回もジャケットがいい。そして、今日の記事のコアがコレ。
アルバム・リードチューンの「The Sky Pirates」のMV撮影にお邪魔してきたのだ!
その撮影現場が冒頭でゴチャゴチャ言ってたヤツ。Mina隊長
ゲスト・シンガーとしてこの撮影航海に搭乗したのはTHEO NOVAのNANA。
そして同じくゲストで登場したヴァイオリニストは、Unlucky MorpheusのJill。
「Seven Years」に続いてのMV登場だ。これまでビデオの撮影にはMarshall/NATAL/EDENを登場させてくれてきたFATE GEARだが、今回は撮影場所の環境が環境だけにNATALだけを設置。
バーチの3タム仕様。
フィニッシュはタバコ・フェイド。
NATALドラマーのHarukaちゃん、NATALのウェブサイトにご登場頂いております。
↓ ↓ ↓
NATAL日本版公式ウェブサイト
さて、脱線の第3部。
もうひとつ「海賊旗」を。
こういうのを観たことがあるでしょ?
ガイコツは同じだけど、大腿骨の代わりにカットラスと呼ばれる刀剣を交えた図案。
剣の部分だけ見る祖開成中学みたいだけど、ドクロが付くと話は別だ。
これは「ジョン・ラカム(John Rackham)」というジョン・ラカムという18世紀にカリブ海で活動していたイギリスの海賊のオリジナル・ロゴ
ホネのバッテンよりこっちの方が「海賊」っぽい。下がそのジョン・ラカム。
当時イギリスで人気のあった薄手のインド綿「キャラコ」で作った帽子や衣服をいつも身にまとっていたことより「キャラコ・ジャック」の名前で知られていた。
要するにものすごいオシャレだったということ。
そして、「他人を傷つけたことはない」と公言する海賊としてはとても良心的なキャラだった。
当時はまだ空はないから、海の安全を確保することが国の安泰を確保することであり、どこの国も私掠戦を雇って海賊の取り締まりに力を入れていた。
ラカムは零細な海賊だったため、そうした状況では海賊の商売にウマ味が見出せないとして足を洗う決心をする。
その頃、「海賊を辞めてマジメに働きます」という誓書を入れると、それまでの悪事が不問に付される海賊に対する「恩赦」のシステムが時折発令された。
莫大な金をかけて海賊を取り締まるより、こっちの方が安全で安上がりだっただろうからね。
ラカムはバハマでこのシステムに応じ、堅気の人になった。
エラい、エラい。
こうしてバハマでおとなしく暮らしていたラカムだったが…。
運命の女性に出会ってしまうんだな~。
その女性が今回のFATE GEARの『The Sky Prison』の題材になっている女海賊のひとり、アン・ボニー(Anne Bonny)。
悪事で「ボニー」なんて名前を聞くと「ボニーとクライド」の「ボニー・パーカー」を思い浮かべちゃうね。
アンはアイルランド生まれの私生児で、経済的には困らない環境に育ったが、気性が荒く、癇癪を起して使用人をナイフ刺殺したことあった。
アンには海賊出身の旦那がいたが、バハマでラカムに出会い、駆け落ち。
そして、ラカムはせっかく恩赦を受けて堅気に戻ったのにまた海賊になっちゃった。
アンは男としてラカムの海賊船に乗り込み活躍する。
その後、ラカムが襲った客船に乗っていたのがロンドン出身のメアリー・リード。
メアリーの母親は夫と幼い息子を亡くしたが、元夫の母親に養育費を出させるために、元夫とは別の男との間に生まれた娘のメアリーを少年として育てた。
みんなたくましい。
そしてメアリーはそのまま男として成長し、軍艦に乗り込むようになるが、除隊して女性として結婚するが夫を亡くし、失意のうちに再び男となりオランダの兵士となる(どんな女なんだ!)。
それもうまくいかず、アメリカを目指して客船に乗った。
その客船をラカムが襲撃したワケ。 そのラカムの船で出会ったアンとメアリーは男同士なのに恋仲になってしまうんだな。
本当は女同士なのに…一体コレはどういう話なんだ!
アンが「自分が女性であること」を打ち明けるとメアリーは「イヤ、実は自分も」と2人はビックリ仰天。
「へ?じゃ、ダメじゃん!」ということになるんだけど、2人は大の親友になり、どんな時でも一緒に勇敢に戦った。
メッチャ強かったらしい。
ラカムたちは1720年、ジャマイカの港に酒盛りをしている最中にジャマイカの総督から命を受けた私掠船に踏み込まれてしまう。
ヘベレケになっている男たちが逃げ惑うばかりの中、アンとメアリーの2人は最後まで勇猛に戦ったが、結局はお縄と相成った。
ラカムは死刑。
アンとメアリーも死刑を宣告されたが妊娠していたので当時の取り決めにより出産が終わるまで猶予が認められた。
妊婦を殺すと罪もないお腹の子の命まで奪うことになるからだ。
最後の最後までギンギンに戦った海賊が女性だったことに当局はヒックリ返って驚いたらしい。
またスゴイのが、アンはラカムの死刑が執行される時にこう言ったという。
「あの時アンタらがちゃんと男らしく戦っていたら、犬のように吊るされずに済んだんだよ!」
まだ怒ってたのね。
メアリーは出産する前に獄中死。
アンは監獄で出産した後、幼児の母親を死刑にするのは哀れだということで刑の執行を何度か延期しているうちに姿を消してしまったとさ。
…と、Mina隊長はこんなストーリーの女性2人を今回のアルバムの題材に選んだ。
アンとメアリーの話は紙幅の都合もあって大分端折ってますからね。
興味のある人は各自調べてみてください。
…ということで乗組員はみな海賊の装束というワケ。
この日、撮影の間はカンカン照りを免れて、ほぼ曇天だったのは助かったんだけど、それはそれで雨が心配でね~。
何回かポツリポツリと来たものの、ナントカ最後までもった。
その代わり蒸し暑いのなんのって!そんな環境の中、6人の女海賊たちはアンとメアリーに負けない熱演を見せてくれた。隊長は崖の上まで登っての演奏。
その姿は縦横無尽に飛行するドローンによって捉えられた。撮影した曲は「The Sky Pirates」。
「我ら、空の海賊」と歌い出す歌詞は海外マーケットを意識して前半は英語、後半は日本語という構成。
いいんだわ~、Jillちゃんのヴァイオリンが!
私はヴァイオリンの入ったロックはすべてウェルカムなのです。
この曲を聴いた人が「洋楽かと思いました」と言っていたようだが、そうなの。
その方は前半の英語の歌詞のパートを耳にしてそうおっしゃったのかも知れないのだが、私が思うには、日本の若いメタル・バンドの曲のサビにありがちな過度にキャッチーでおおよそロックらしからぬ幼稚なメロディが出て来ないことがこの曲を邦楽らしからぬモノに仕上げているのではないか。
どこまでもダークでヘヴィな仕上がりがストレートで聴いていてとても気持ちが良い。
ということで、『The Sky Prison』のリードチューン「The Sky Pirates」をご覧あれ!
今回もビデオ撮影のスチール写真だけでなく、各女海賊の皆さんのアーティスト写真も撮らせて頂いたので、お気に召して頂いていればどこかでご覧頂けるだろう。
アルバムにはNANAちゃんとJillちゃんの他に大山まき(vo)、RAMI (vo)も参加している。
そして翌月、1月27日にはシングル「Scars in my Life -English edition-」をリリースすることが決定している。
2か月連続リリースね。
ノリにノッてるFATE GEARなのだ!
あ、下の「♪Bon voyage」のアイデアはベリー・ナイス!
こうやって使ったのね?
尚、『The Sky Prison』にはお楽しみの特典も用意されているそうなのでFATE GEARのウェブサイトをチェック!⇒FATE GEAR official site
最後にオマケの「プリズン」脱線。
「geol」という英単語がある。
なんて読むと思う?
コレ、「ジェイル」と発音して「監獄」を意味するイギリス英語。
要するに「jail」と同じ。
さて、アルバムのタイトルは「The Sky Prison」。
「prison」はご存知「刑務所」という意味。
そして「The Sky Pirates」の歌詞の中には「jail」という言葉も出て来る。
この「prison」と「jail」どう違うか?
「prison」は長期にわたって収監されるところ。
そして、「jail」は拘置所のように短期間に収監する施設のことを指す。
海外で被告人として裁判に出廷する時はこの違いに注意しよう!
それと吉村先生の「巣鴨プリズン」を題材にした『プリズンの満月』。
「巣鴨プリズン」は今のサンシャイン60の場所にあった太平洋線の戦犯たちを収容するための刑務所。
もう最後の方はダラダラになって囚人たちは家から刑務所に通っていたとか…。