D_Drive Drove Music CHINA 2019 ~ 私の上海 vol.6
さて、早くもMusic CHINA最終日。
この日は当初1回の演示(デモンストレーション)が予定されていたが、開催直前になって2回演奏することになった。
結果、大正解。
2回とも大変なにぎわいを見せた。
その前に…。
昨日までのデモンストレーションでD_Driveの人気が期待以上に大きいことがわかり、サイン入りポストカードをまずは大量に増産。朝、控室に入るなりスタート。
そして、第1回目のデモ…の前にMarshallチーム全員で舞台で記念撮影を撮ることに。
コレ、写真を撮っている私の後ろにはもうお客さんがゴマンといて、演奏の開始を「今か今か」と待ってるのよ。
平気でこんなことしちゃう。
そして、スタート。
いきなり出て来てシレっと演奏するのも不愛想なので、数回前からalgam Chinaの楊さんに中国語で呼び込みしてもらうことにしていた。
中国語で「スタートする」ことを「開始」っていうのかな?
どうも私には「D_Drive開始!」って聞こえたんだよね。
楊さんの隣の少年はもう耳をフサいでる。オイオイ、これからからだぞスゴイのは!
今日も1回目のデモはレギュラー・チューニングのナンバーを演奏。
Seijiさんのディレイ・トリックを使ったイントロから…
「The Lat Revenge」だ。
そうだ、今日は上海Last Dayだからね。
暴れまくるToshiくんの後ろ…ジョンがシッカリ見てくれてるよ~。
エライな~。
毎回必ず演奏を傍らで見守ってくれる。
やっぱり『Maximum Impact』収録の曲を取り上げよう…ということで「M16」。
そして最後はおなじみをカマして「Cassis Orange」。
今回も大ウケの演示となった!1回目の記念撮影。
もうたくさんの人がこの裏の撮影コーナーへ移ってD_Driveがやって来るのを待ってるよ。
そして、あのポストカードをプレゼントすつというワケ。
さて、今回は本場の上海を離れて東京は根津の上海へやって来た。
ココは「海上海(はいしゃんはい)」というその名の通り上海料理を取り扱う中華料理店ね。
LOUDNESSのマネージャーの隅田さんに教わって以来スッカリ気に入っちゃって、家族でしょっちゅうお邪魔している。
チョット変わったメニューも良くて、ナニを食べてもとてもおいしいの。
上海から帰って数日後、GALAの準備を手伝ってくれたスタッフを伴ってお邪魔した。
それだけ気に入ったお店だけあって、もう何度も来ているんだけど、全く気が付かなかったのが店内の壁に飾ってあった古い写真。
恐らく80年ぐらい前に撮ったモノであろう。
ま~、驚いたね。
コレはどこかはわからないけど、おそらくは実際に見てきた光景であることは間違いない。
上海初の近代建造物と云われている「Broadway Mansion」。
そして右下の「Garden Bridge」橋も全く今も同じ!
スゴイよね。
浅草あたりは別として、80年前の東京の写真を見せられて「ドコソコ」と言い当てることなんてほとんど不可能であろう。
いつも言っているように関東大震災とアメリカによる無慈悲な空襲により東京は完全に昔の姿を失ったからね。
そしてこの夜景も80年前のまま。
もちろん照明の進歩で夜景の見え方は変わっているだろうけど、基本的は変わらない。
繰り返すが、東京にこんな光景はほとんどない。
浅草?
もう羽子板市の光景もほおずき市の光景も「風前の灯」だ。
そう言う意味では関西の方がマシだろう。
いまだに千日前や新開地の景色は50年前の浅草にソックリだ。
正直、あまり気が進まなかった上海行きもこの夜景で完全に自家薬籠中に入った感じ。
それだけに川辺の散歩道はものスゴイ人!
そうかと思うとモダンな建物が入り込んでくる。
川の向こうは対照的に近未来的な光景。
いいね~、「我♥上海」。
このナイト・クルーズはさぞかし見ごたえがあるだろうね。
両岸がスゴイから。
以前紹介したギューツラフ信号台も夜になるとこうして美しくライトアップされる。
読んだのです。
この信号台を作ったドイツ人キリスト教宣教師、カール・フリードリッヒ。オーギュスト・ギューツラフが登場する小説を!
それは『氷点』でおなじみの三浦綾子の『海嶺』という作品。
あのね、問答無用でオモシロいです。
文庫で3巻組、1,000ページチョット…一気に読んだ。
主人公はギューツラフではなく、天保年間の岩松、久吉、音吉という3人の伊勢の漁師。
江戸に向かう途中、遠州灘で嵐に遭い。1年2か月太平洋を漂流した挙句、アメリカ/カナダ国境に漂着し、現地のインディアンに助けられたのはいいが、奴隷としてこき使われる。
それをイギリス人に救出されてロンドンまで行ってしまうという実話。
もう、とにかくオモシロい。
うれしいのは物語の中に幼少の頃のラナルド・マクドナルドやハリー・パークス出て来るところ。
ラナルド・マクドナルドは日本に憧れ単身来日し、オランダ語一辺倒だった鎖国時代に日本の通詞(通訳)に英語を教えた人。
ハリー・パークスは幕末から明治初期に駐日英国公使を務めた人。
私は三浦綾子をよくは知らないが、以前読んだこの『夕あり朝あり』というクリーニング業大手の『白洋舎』を創始した人の物語はヤケクソにオモシロかったので『海嶺』にも安心して飛びついた。
基本のテーマはキリスト教、もしくは「神」です。
でも、全く押しつけがましいところがなくて気持ちよく読める。
しかし、漂流モノといったら何といっても吉村昭(また出た!)。
この『大黒屋光太夫』も最高にオモシロかった。
そして、吉村昭は前掲のラナルド・マクドナルドの物語も執筆している。
『海の祭礼』という作品。
コレも最高にオモシロかった。
…いうことで夜の散歩もおしまい。
公共厠所へ寄ってホテルへ戻った。
しかし、いつから「便所」なんて言葉を使うようになったんだろうね?
昔の日本人はトイレのことを「厠(かわや)」と言った。
中国に教わったんだね。
「厠」のままでよかったのに!
「机上、枕上、厠上(きじょう、ちんじょう、そくじょう)」…コレ、最も勉強に適した場所。
すなわち、人間が最も気持ちを集中しやすい場所なのだそうだ。
孔子だか、老子だか、孟子だか、養子が行った言葉。イヤ、養子さんは言わないか…。