妖怪大戦争 <前編>~犬神サアカス團と絶叫する60度
総武本線の鈍行の起点は御茶ノ水。
秋葉原、浅草橋、両国、錦糸町、亀戸、平井、新小岩ときて、小岩。
「恋が小岩に来いよと乞うわ」…なんてね。
今日は小岩のオルフェウスから。
なかなかにスゴいイベント・タイトルだ…『妖怪大戦争』。
自分が母に感謝することのひとつに、私が小さい頃、ずいぶんたくさんの劇や映画に連れて行ってもらったことがある。
特に怪獣映画には片っ端から連れて行ってくれた。
それが昂じて「映画小僧」になり、ビートルズを聴いて「ロック少年」になり、ロックに飽きて「ジャズ兄ちゃん」になり、普通に会社に勤める「オジさん」になり、その後Marshallと出会って、今「マーシャルジイさん」になっていることを考えれば、母には感謝してもしきれない。
ゴジラやガメラは当然のこと、松竹の『宇宙大怪獣ギララ』、日活の『大巨獣ガッパ』、『恐竜グワンジ』…まだまだ沢山あったハズだが申し訳ないことに記憶が残っていない。
しかし、よく覚えている作品のひとつに『妖怪百物語』がある。
1968年の3月公開だっていうから、私が小学校へ上がる1年前のことになろうか?
併映は『ガメラ対バイラス』だったのか…きっとこっちがお目当てだったんだろうな。バイラスってイカみたいなヤツだっけ?
しかし、『妖怪百物語』はカラ傘オバケとルーキー新一のカラミや、のっぺらぼうやろくろ首など、おなじみのオバケがゾロゾロ出て来てすごく楽しんだように記憶している。
ひとつわからなかったのが、やたらと顔がデカいその名も「大顔(正しくは大首という名前のようだ)」とかいうオバケ。
あのオバケ、小顔がもてはやされる今の時代に出て来ていたら相当イジめられるぜ。
「あぶらすまし」とか「ぬらりひょん」とか「ぬっぺっぽう」とか、子供の頃に覚えたヤツは忘れないナァ。
今では5分前にやったコンピューターの操作方法が思い出せないで四苦八苦することも珍しくない。同じ年の年末に公開されたのが続編の『妖怪大戦争』。
もちろん母が観に連れて行ってくれたのだが、併映の『蛇娘と白髪魔』という作品はナニひとつ記憶がない。きっと退屈して見ていなかったのだろう。
この2本、どう考えてもヘッドライナーは『妖怪大戦争』の方で、きっと前作の『妖怪百物語』の評判がヨカッタんだろうね。
実際『妖怪大戦争』はオモシロかったナァ。
「ダイモン」という海外の妖怪が長い眠りから覚めて、どういうワケか来日しちゃって、日本の妖怪チームと一戦交えるんだよね。
ダイモンってのが悪くてさ、すごくコワかった。
昔はヨカッタな~。
CGに慣れきった今の子供たちがこんなの観るとどう思うのかな?
Frank Zappaの「Cheepnis」よろしく、やれ「糸が見えてる」だの「中に人が入ってる」とロマンのないことを訴えるに違いない。
そもそも映画館になんか行かないか…やっぱBlu-rayだよね~。便利だもんね~。
それじゃやっぱり風情がない!
映画館で知らない子と「♪ガンメラ~、ガンメラ~、強いぞガンメラ、強いぞガンメラ」ってやるのがいいじゃないか!
なんてことばかり書いているから若い人がMarshall Blogに寄りつかないんだよな。
言われなくてもよくわかってんだよ。
さて、こっちの『妖怪大戦争』もオモシロかったよ~!
まずステージに上がったのは「絶叫する60度」。
絶叫さんは昨年の『美女と金髪と野獣』にホンのチョットだけご登場頂いたことがあったが、Marshall Blogへの本格登場はコレは初めて。
以前はカラオケで暴れまくっていたが、今はバンドを引き連れて大騒ぎ。
コレを年間300回やってるっていうんだから恐ろしい。
こんなに動き回って…運動になっていいどころか、身体に悪いんじゃないか?というぐらいの激烈パフォーマンス!
「♪ポ~ニョポニョポニョ」なんて大人しくやっていたかと思うと…
ルドルフ・シェンカーがコレを見たら自分が若かった頃を思い出すことだろう。
この軍隊のような凄まじいまでの一体感!
コレを見ているだけでも絶叫する価値あり!
リハーサルの時に魁ちゃんが自家製のお立ち台に「Screaming Sixities」とマジックで名前を書いているのを後ろから偶然眺めていた。
「『Screaming Sixities』か。なるほど…ウマいこと言うな」と思っていたら!
この「絶叫する60度」というのは、南極地方の海域のことなんだってね~。
知らなかった~!
「Screaming Sixties」は「Shrieking Sixties('shriek'も'悲鳴を上げる'という意味)」とも呼ばれ、南緯60度から70度の風の強いエリアのことを指すのだそう。
他に「吠える40度(Roaring Fourties)」と「狂う50度(Furious Fifties)」というのがあって、南極に向かう船は南緯40度、50度、60度と猛烈な風の中を進まなければならないのだ。
ま、絶叫ちゃんのステージはコレ3つが合わさって「150度」に到達していたよ!
絶叫する60度の詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL WEB SITE
ジョニーちゃんはいつもと同じくJCM800 2203と1960A。
コレが犬神サアカス團のギター・サウンド。
Marshallもギターもいつもと同じだけど、それをつないているアイテムがいつもと違う。
いつもはワイアレスを使用しているが、今日はワイアード。
理由は「忘れ」。
切れ味のよいエイト・ビート。
耳に残る犬神ならではの歌詞…やっぱり何度聴いてもいいね。
こうした正統なブリティッシュ・ロック・サウンドにはMarshallがベスト・マッチする。
つまり正統派ロック・ギター・サウンドだ。
「あらためましてこんばんは、犬神サアカス團です。絶叫する60度ファンの皆さん、はじめまして~。銀幕ファンの皆さん、お久しぶり~。オルフェウスさんは2回目なんですが、今日は一番いいところを見せたくてセットリストを作って来ました。最後まで盛り上がっていきたいと思います」
アフロ・キューバンっぽいリズムから7/4拍子のリフへ。
いかにも犬神様らしいナンバー。
惚れた男に逃げられまいと、「何でもするわ」とすがる女…「ニコヨン、日雇い、運転手、クズ鉄拾いに犬殺し」と色々な職業がこの曲に出てくるけど、昔はね今では考えられないような仕事がたくさんあった。
「犬殺し」っていうのは私が小さい頃見た記憶があるな。
先に縄で作った輪っかがついている長い棒を持っていて、野良犬の首をその輪っかに通し、手元の縄を引っ張ると、その輪っかがギュッと締まって犬はもう逃げることができなくなる。
最近では宮古島で見た。アレは保健所の職員なんだろうな。
私が小さい頃は野良犬って結構見かけたけど、今はまったくいなくなった。
江戸時代は野良犬がたくさんいて、夜は恐ろしくて気軽に出かけられなかったらしい。住居があつまるエリアには野良犬が入って来ないように門を作っていたそうだ。
「犬神ファンの男性を『犬っさん』っていうんです。以前は『犬っ子』って言ってたんだけど、オジさんたちがドンドン増えて来たので『犬っさん』と呼んでいます」
犬神さんはこの5日後、以前にもMarshall Blogでレポートした『ショート・プレミアム興業』と称したワンマン・ライブを控えていた。
その「予告編」として次の曲に移った。
偶然チョット雰囲気がコレに似てる。
ナゼこの曲が「予告編」なのかは次回の犬神さんのライブ・レポートにて。
続けて犬神さんのライブでは定番の「光と影のトッカータ」。
胸のすくようなドライビング・チューン!
「今日はMarshall Blogの取材が入っています」
凶子姉さん、ありがとう!
「あと2曲です」
「エエ~!」
「その力強い思いで私と一緒に歌いませんか?」
そして歌うはアルバム『新宿ゴーゴー』のリード・チューン、「暗黒礼賛ロックンロール」!
シンプルでハードでものすごく「ロック」を感じさせてくれる名曲だ。
そして、最後も定番の「命みぢかし恋せよ人類!」。
なるほど、このあたりのたたみ込むような感じが「一番いいところを見せる」セットリストなのね?
今日もソリッドなギターをガンガン奏でてくれた情次兄さん。
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁