CONCERTO MOON ~Prologue To Messiah Tour~
昨年10月にリリースしたアルバム『Tears of Messiah』が好評なCONCERTO MOON。
私なんかの好みで言うと、70年代のハードロックの原点に回帰したかのようなサウンドが垣間見られてこの仕上がりが実にシックリ来る。
そんな曲の数々を爆発的な生演奏で耳にすることを楽しみにしていた。
そして、レコ発ツアーが決定。
今日のレポートはそのツアーの目黒鹿鳴館における千秋楽なんだけど、『Prologue to Messiah』というツアー・タイトルが示すようにニュー・アルバムの内容をドップリ演奏する内容とはならなかった。
ノンちゃんだけに、「楽しみは島っておけ」ということか…。
で、どうなったのかと言うと、旧作を交えてのバラエティ豊かなショウとなった。
安定の島リグ。
最近、日本でもステージの機材を指す時に「バックライン」という言い方が浸透してきたけど、向こうの連中は「rig(リグ)」という言葉をよく使いますな。
「rig」というのは「用具」とか「装置」とか言う意味。
コレ、どうやって使い分けるのか一度Marshallのアーティスト担当のJoel(Joelは「ジョエル」ではなくて「ジョール」と発音する)に尋ねたことがあった。
「考えたことないな…。同じ『機材』だけど、backlineは借りモノ、rigは自分のモノっていういイメージがあるよ…」とか言っていたナ。
こういう話は実に面白い。
1967 MAJORが2台。
今、「Pig」ってスゴイ値段がついているんですってね。
前にも書いたけど、MAJORのオリジナル・モデルを「Pig」と呼ぶようになったのは大分後になってからのことだからね。しかも、Marshallがそう呼び始めたワケではない。
そして、今回もサポート・キーボーズ・プレイヤーはBLIND MANから松井博樹。
ノンちゃんのギターからスタートしたオープニング・ナンバーは1999年の『Rain Forest』から「Unstill Night」。
このスタートは珍しいんじゃない
「ありがとうございます。
今日は今年最後になりますが、とても感激しています。
今まで演ってなかった曲をふんだんに取り入れたセットリストを組んでいます。
これまで富士、名古屋、大阪と演って来ましたが、今日は全部詰め込んでやろうと思います。
長いですよ~!
最後まで是非楽しんで帰って欲しいと思います」
なるほど、だからこのオープニングだったのか。
ココでさっそく『Tears of Messiah』からのレパートリー。
コレもノンちゃんのギター・スタートで「Light in the Shadow」。
到底新しいレパートリーとは思えないこなれようだ。
やはり『Tears of Messiah』は自然発生的に生み出されたアルバムなんだな…などと勝手に想像していまう。
ところで「Noah's Ark」というのは「ノアの方舟」だわね。
コレってイスラム教の経典、「クルアーン」にも類似の記述があって、「ヌーフの方舟」という名前なのだそうだ。
もっともキリスト教もイスラム教も元は同じユダヤ教だからね。
で、この「クルアーン」。
コレはナニかというと「コーラン」のこと。
下の『偉大なるクルアーン』というCDはコーランの朗誦を世界で初めてデジタル録音したアルバム。
コレがですね、メッチャいいんですわ。
パキスタンのカッワーリーも大スキだけど、コレも実にいい。
微分音階をふんだんに織り込みながら、深みのある声で朗々と聖典を歌い上げる様子は感動ものよ。
ウットリしちゃう。
ただ「エキベン」という言葉がやたら出て来るのがすごく気になるんだよね。
何か神聖なものを指し示す言葉なのだろう。
チョット、脱線ついでに…。
私は、偏りはあるものの民族音楽が大スキでお買い得のCDを見つけて来て聴いてはひとり悦に浸っているんだけど、コレね、CDの選び方に鉄則があるんよ。
「日本で録音したモノは避けるべし」。
日本のレコード会社の企画で、東京のどこかのスタジオへこもって録った演奏はまず面白くない。
スタジオで録音した落語みたいなモノだ。
できればその音楽の本場へ乗り込んで行って録音したモノを聴いてくだされ。
このクルアーンはパリの録音だけど、コレはゼンゼン問題ない。
やっぱり世界の芸術が集まるパリと東京とでは大きな差がある。
下のJVCのシリーズは、ブルガリアン・ポリフォニーからケチャやジェゴグまでハズレがないので、まずどれを買っても大丈夫。
そこへ行くと某社の東京録音のCDはジャケットはいいのだが、内容がヒドイ。
バグパイプからアラブ、アフリカものまで、とても聴けたシロモノではなかった。
それでも聴きたくて買っちゃうんだけどね。
ただひとつ、『南インドの打楽器』みたいなやつでザキール・フセインがタブラの解説をしているのはメッチャおもしろかった。
まさかCONCERTO MOONでクルアーンを出すことになるとは思わなんだ。
脱線終わり。
スポットを浴びるノンちゃん。
ソロのギターがフィーチュアされたのは「Hold on」。
前の曲もそうだが、次のセクションでは既存のナンバーで固めた。
まずは2003年の『Life on the Wire』から「Stand by the Window」。
今日も正確無比なプレイが小気味よい河塚さんのドラミング!
キチっとしてるわ~。
それでいてパワフル!
今度は「Straight from the Heart」。
収録アルバムは2011年の『Savior Never Cry』。
『Savior』は久世ちゃんが参加して最初のアルバムだった。
各曲で炸裂するギター・ソロ。
音がいいわ~。
クリアで太くてヌケがよくて…コレがノンちゃんが出すのMarshallの音。
さらに2010年の『Angel of Chaos』から「Live to Win」。
今日は今まで演ってこなかった曲をセレクトするというので収録アルバム名を明記しております。
ま、いつもやっているけど。
チョット歴史をココで振り返ってみようかとも思ってね。
「教えてシリーズ その1」
ところで、皆さんこうしてソロを弾くノンちゃんを指さしますが、コレはどういう意味なんでしょうか?
「もっと弾け~!」とかいうこと?
「アンタの番よ~!」ということ?それはわかってますから。
まぁ、「encouragement」ということなんでしょうな。
私にはチョット不思議に感じるのです。
MCを挟んで「Into the Fire」。
お客さんの反応スゴし!
「Cry for the Freedom」は1998年の『Fragment of the Moon』から。
「Into the Fire」も「Dream Chaser」も1998年の『From Father to Son』からのチョイスなので、このコーナーは「1998年のCONCERTO MOON」となった。
このライブが開催されたのは2017年も押し迫った時期ではあったが、1998年から丸20年経ってるのね?
そう2018年はCONCERTO MOONのメジャー・デビュー20周年イヤーなのだ。
そんなことを意識してのこのコーナーかどうかは、皆さん演奏に没頭していて知る由もないが、とにかく「歴史」ってのはスゴイもんだ。
今日はレア曲特集になっているけど、20年+αの間に作った曲って、演奏はムリにしても、全部覚えてるのかナァ。
ノンちゃんは覚えていそうだな~。
本編最後のセクション。
「長い」と聴かされていたが、アッという間だった。
ニュー・アルバムのタイトル・チューン「Tears of Messiah」を持って来た~!
「教えてシリーズ その2」
このノンちゃんがいつも最後にやる右手の親指を左手で握るポーズはナンですか?
いつも訊こうと思って早十数年。
プロレス?
ヘビメタのなんか?
レアだろうが、スタンダードだろうが、怒涛の弾きまくりで今日も十分に暴れまくった島紀史なのであった!
アンコールの1曲目は、コレも『From Father to Son』から「Inside Story」。
コレも珍しいよね。
それにしても『From Father to Son』ってのは重要なアルバムなんだナァ。
というのはアンコール2曲目も同アルバムから「Change my Heart」。
コレはおなじみの曲だね。
一旦はステージから姿を消したが、「呼び戻し」が止まらず再び舞台に上がった5人。
本当はココで終わりだけど、何しろアンコールの声が大きく、もう一度ステージに上がり1曲披露した。
なるほど結局ノンちゃんが言った通り長かったね。
お疲れさまでした!
さて…。
CONCERTO MOONファンの皆さんは「来たか!」と思うでしょうナァ。
でも書かねばならぬ。
ボーカルズの久世ちゃんが脱退を表明した。
久世ちゃんがCONCERTO MOONに加入したのは2011年だというから、早7年。
脱退のニュースにも驚いたけど、そんなに経った~?と、いつも通り時のうつろいの早さにもビックリ仰天した。
だって、何のイベントだったか忘れちゃったけど、原宿のクロコダイルで久世ちゃんがゲストで出演してナニかを歌ったんだよね。
その時のベースが満園の庄太郎ちゃんで、「久世、ナニ、オマエ…CONCERTO MOONに入ったの?全然知らなかったよ!」なんてやってたのが、ホントつい最近のことのように思い出されるのよ。
せっかく日本を代表する正統派へヴィメタル・バンドの「声」として定着して来た時期だっただけにとても残念だ。
でもね、正直に言おうか?
『Tears of Messiah』の歌い方が今までとガラっと変わっていて、コリャおかしいな…とは思っていたのよ。
ミュージシャンが自分のスタイルを変えるなんてことはまず普通はしない。
ラーメン屋のスープの味や麺の種類を変えるようなもんだからね。メンマがもやしに変わるとか、チャーシューが薄くなるどころの騒ぎじゃない。
あるいは歌い方など変えていないのかも知れないけど、私にはそう聞こえた。
でもそれが脱退に結びつくとは思いもよらなかったし、実際には関係ないことなのだろうとも思うけどね。
いずれにしても7年間にわたって「CONCERTO MOONの声」を務めた久世ちゃんの前途にエールを送り、そして「ありがとう」と伝えよう。
そして、母体のCONCERTO MOON。
今回のツアーは「プロローグ」だったので、「本編」がまず残っている。
5月に名古屋、大阪、東京で開催される『TEARS OF MESSIAH TOUR 2018』がそれ。
ココまでは久世ちゃんがボーカルズを務める。
その後のボーカリストはまだ未定で、現在公募中だ。
誰かさ~、もうノンちゃんのギターを押さえつけちゃうぐらいの強烈な声と個性の持ち主はいないかね?
もう軟弱な声のロックはイヤだよ。
ロニーみたいな、ギランみたいな、ダン・マッカファーティみたいな、サタン鈴木みたいな…いるでしょうに、男っぽいのが!
頼むからそういう声でガッツのあるハードロックをオジちゃんに聞かせてくれ!
「我こそは!」という猛者はCONCERTO MOONのウェブサイトを通じて名乗りを上げてくれ!
日本のハード・ロック/ヘヴィメタル・シーンはキミのノドにかかってるのだよ!
詳しくはコチラ⇒公式ウェブサイト内「今後の活動に関するお知らせ」
CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒Official Website
(一部敬称略 2017年12月10日 目黒鹿鳴館にて撮影)