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2017年9月13日 (水)

犬神サアカス團ショートプレミアム興行~地獄の子守唄

 

またまた神楽坂から。
「神楽坂」なんていい名前だよね。
ちょうど「神楽坂まつり」なんてのをやっていた。
フーン、ここも「ほおずき市」をやっているのか。
「ほおずき市」といえば、何と言っても浅草寺。
ナゼ、浅草寺にほおずきの市が立ったのかは、吉原が近かったからという説がある…この先は書いたことがあったっけかな?
興味のある人はインターネットで調べてみてくだされ。
神楽坂も古い歓楽街で、ほおずき市が浅草寺と同じ理由で立ったのかどうかは私は知らない。
…と、いかにも犬神っぽい話題で今日の記事はスタートしたよ。

10表通りは色々なアトラクションで大賑わいだった。
普段はメッチャ交通量の多いこの通り。
この坂の交通方式は、実は全国でも極めて珍しいんだって。
いつも午後しか来ないから知らなかったんだけど、「逆転式一方通行」っていう交通方式を採っていて、午前は下り、午後は上りと一方通行の方向が時間によって交替するのだそうだ。
ナゼそうなったかと言うと、田中角栄が午前に目白の私邸を出て、この通りを下って飯田橋を経由して永田町に出向き、午後はその反対に坂を上って目白の私邸に帰ったから…とされているのは都市伝説らしいが、ホントなんじゃないの?
故郷に新幹線を通しちゃうぐらいの人だもの、神楽坂の一方通行の方向を決めるなんてことは朝飯前のような気がするけど…。
300kmの行程を3回曲がるだけで、田中角栄の目白の家から新潟の実家まで行けちゃう…というのは有名な話。初めてこの話を聞いた時にはかなり笑ったが、さすがにコレは偶然か…。
20この坂を上りきったエリアを「矢来町(やらいちょう)」という。
新潮社や旺文社の本社があり、その周辺には出版に関連する編集プロダクションやデザイン事務所が群がる。
また、飯田橋には角川書店があり、神保町も近い。
そして北側には印刷会社が集まっている。そういえば大日本印刷の本社もすぐ近くだ。
そんなだから、この辺りは「出版ベルト地帯」と呼ばれているそうだ。
下の写真をしばらく行って左に折れると新潮社の社屋がある。
大正時代初期に新潮社の初代社長が同地に家屋を買い求めたところから始まり、現在新潮社はこのエリアに広大な不動産を所有しているそうだ。
すごい資産だ。
そして、同じ場所にはかつて夏目漱石も住んでいたことがあるとか。
そんな「出版の街」らしく、かつてはこの神楽坂を大勢の作家が着流しで行き来していたらしい。風情があっていいね~。
ところで、皆さんは「文庫本」というと、どの出版社を真っ先に思い浮かべる?
若めの人なんかはやっぱり「角川」かな?
私は「新潮」。
大好きな吉村明先生の文庫版を多く上梓しているせいもあるが、やっぱり網羅している作品の幅も広く、一番数多く手にしてきた文庫本だ。
それに慣れているので、「講談社」は文字がパツパツで紙が白すぎるし、「文春」はモノによって活字の級数が低すぎるのと、今度は紙がすぐに茶色く、そして臭くなってしまう。
「角川」には読みたいと思う作品がそう多くないし、「中公」も同様。
そうなると私の場合、圧倒的に「新潮」なのだ。
最近は新書も文庫も見慣れないブランドが増え、高くなったよね~。チョット厚手の500ページぐらいの文庫本に800円なんて値段が付いているとアホかと思うわ。
どんなに読みたくてもブックオフで税抜き100円になるまで何年でも待ったるわ。
あ、あと、「岩波」があったか。
昔はパラフィン紙に包まれて「岩波は★ひとつが〇〇円」なんてなってたけど…高尚すぎてね~。
最後に読んだ岩波の文庫本は「インディアスの破壊についての簡潔な報告」というヤツ。
コレ、スゴイよ。
16世紀の記述なんだけど、にわかには信じられない悲惨な南米の歴史が綴られている。どうして南米でスペイン語とポルトガル語が使われるようになったかがわかる。
…なんてことを書いていますが、私、まったく大した読書家ではなくて、音楽と同様に自分の興味のあるモノ以外はテコでも読みませんので、文学の話題は決してフラないように。
  
もうひとつ、噺家はよく住まいの地名を別称にした。
有名なのは八代目桂文楽の「黒門町」、五代目古今亭志ん生の「日暮里」、林家正蔵(彦六)の「稲荷町」などなど。
で、志ん生の息子、古今亭志ん朝もこの辺りに住んでいたことより「矢来町」と呼ばれていた。
カッコいいな~。
こんなのね、街の名前がカッコいいからできるんだよ。
ところが役所のバカどもは利便性を考慮してかナンカ知らんが、古い街の名前をジャンジャン抹殺してしまった。
「東ナントカ」とか「新ナントカ」とか…。
私はね、何でもかんでも古いモノがいいというつもりは全くなくて、「いいものは残そう!」とだけ言いたいのだ。
60~70年代中盤ぐらいまでのロックとかね。

30さて、今日は先月に引き続いて神楽坂TRASH UP!!にて開催された犬神サアカス團の『ショートプレミアム興業』のレポート。
85今回のお題は1999年リリースの『地獄の子守唄』。
18年前の犬神のマスターワークのひとつ。
発売時には、ジャケットのイラストを手掛けた日野日出志をゲストに招いてレコ発ワンマンを開催したそうだ。

40「地獄の子守唄」ね~。
1977年か…。
すると私は15歳。
間違いなく読んではいるんだけど、もっとそれ以前、小学生の時分に読んだイメージがあるな~。
「地獄の子守唄」だったかどうかは覚えていないが、確か本屋で偶然日野さんの単行本を見つけて、かなりビックリした記憶がある。
母が中身を見て「気持ち悪い!よくこんなの読めるわね~」と言っていたっけ。

50m確かに…。
気持ち悪いながらもスッカリ日野作品が気に入ってしまい、当時書店で目についたモノは全部買って読んだな。
私は中学の頃よりほとんどマンガを読まなくなったので、それらはすべて手元に残っておらず、また、この時分のごく限られた期間にしか日野さんの作品を読んでいないので、細かい内容はほとんど覚えていない。
しかし、どれもかなりショックを受けたことは確かだ。

60m日野さんの作品ってタッチは非常にグロテスクなんだけど、登場人物のデザインは結構カワイイんだよね。
またその落差が余計にグロテスク感を強調する。
「こんなマンガ一体どんな人が描いてるんだろう?」と常々思っていたのだが、ある日、日野さんの当時の近影を目にすることがあって、それを見てまた驚いた。
ニコニコとほほ笑む実に優しそうなオジサンだったからだ。

70mん~、コレも読んだ。
この子の顔に見覚えがあるもん。
「蝶を繰れ、蝶…」って蝶のコレクターなんだよね。それで、ある日身体に変調をきたしたかと思うと、この子がイモ虫かなんかになっちゃう…じゃなかったけ?
この能面がまたスゴイ。

75v今回、この記事を書くに当たって、日野さんの本を探しに近所のブックオフへ行って探してみたんだけど、全くありゃせんね。
そもそも、出版社とか掲載マンガ誌別に商品が展示されているのでとても探すことができん!
アレ、ナンでああなってんだろう?
作者の五十音順に並べてくれれば大変助かるのだが…。
だからアマゾンになっちゃうよね~。
アマゾンはアマゾンでほとんどが電子書籍化していたわ…なので諦めた。
しかし、今日のMarshall Blog、イギリスのMarshallの連中が見たらコレラの絵をどう思うのだろうか?
でも、日野さんの作品は海外でも人気があるとか…コレが日本のマンガだ!

80m日野さんの作品ではないんだけど、相当昔に読んで忘れられない奇妙なマンガがあった。
知ってる人いるかな?
こんな話。
あの子は母子家庭だったのかな?
お母さんが出かけて家でひとりで留守番をしていると、ナゼかその子の腕がもげ落ちてしまう。
まずこの辺で荒唐無稽がすぎるんだけど、とにかく取れちゃう。読んでるこっちは子供なもんで、ビックリしながら細かいことは気にせず読み進めちゃう。
両手がもげると、今度は足ももげ落ちて身動きが取れなくなってしまう。
するとノドが乾いて水が飲みたくなるのだが、どうするのかというと、そのままトイレにズッて行って便器の水を飲むんだな。当時は和式が普通だったから。
そして、いよいよ空腹になると、部屋に出て来たコオロギかなんかをそのまま口に入れて食べてしまう。
もうこのクダリが子供にはショックでネェ。
その後、どうやって話が終わるかはサッパリ覚えていない。もう虫を食うのがショックで…。
昔は独創性に富んだ変なマンガがたくさんあった。
    
さて、犬神サアカス團。
今回もプロレス入場を果たし、ステージに4人が上がった。

90犬神明

100v明兄さんはNATAL。
今日はアッシュでブラック・スウォール・フィニッシュ。

110犬神ジン

120vジン兄はEDEN。
おなじみのスピーカー・キャビネットはD410XST。名器だよ。重いけど。

130vヘッドはWTP-600。

140犬神情次2号

150v情次さんは大愛用のMarshall JCM800 2203と1960A。

160vそして、犬神凶子。

170v元天井桟敷の昭和精吾さんの口上と共に始まる『地獄の子守唄』。
CD通りに進めるワケだからセットリストはカンタン。

1801曲目は「あんたは豚だ」。

200v犬神サアカス團得意の「語り」タイプの曲。
カッコいいな~。
コレ、凶子姉さんの声がピッタリだ。

1901曲終わったところで凶子姉さんのごあいさつ。
「今日も酸欠になるかも知れないので皆さんも気をつけてください」
そうなの、もう超満員!
「人の吐いた息を吸って、その吸った息を吐いて、その吐いた息をまた吸って」…犬神サアカス團の歌に出てきそうじゃん?そんな状態よ。
3502曲目は「廃墟の街」。
センチメンタルなワルツ。

210v私は今日も高い脚立の上で身動きひとつできずにシャッターを切っております!
よってどうしても似たカットが多くなっちゃうのはご愛敬。
いつか武道館で犬神を撮ってみたいナァ。
みんなで応援しよう!

2203曲目は「常世の蟲」。

230洋楽では絶対に、永久に聴くことがないであろうメロディ。
転調するところがカッコいいね。
ジョニーちゃんの作品。

240v「1時間の上演時間なのでサッサと演っていきます」という凶子さんの言葉通りサッサとショウはアルバムの収録順に進んでいく。
5曲目は「青蛾の群」。
美しいバラードのワルツ。

250続く「基準停止装置」はまた語りナンバー
「♪あなたが放尿した電柱が恋しくて一滴残らず舐めほしました」…って誰だ?こんな歌詞書いてんのは?!
また明兄さんか?…と思ったら、凶子姉さんだわ、コレ。

260アルバムでは前の曲と組曲みたいにして始まる次の曲は「夜が終わっちまう前に」。
今回のステージではMCをはさんでつないだ。
「次の曲盛り上がっていくぞ~!」
純和風の4/4と2/4を組み合わせたリフがカッコいい。
でも、コレで盛り上がれるのかッ?!
「♪新宿の裏通りにあるスナックの入り口にしゃがみ込んでゲロを吐いているのが それが現在の私」…と凶子さんが叫ぶようにして歌うパートがあるでしょ?
この曲の聴かせどころでもあるんだけど…。
コレね~、どこかで同じ周波数のシーンを体験してるな~と思ったんだけど、どうしても思い出せない。「新宿のゲロ」のことじゃないよ、曲のことね。
そして、考えに考えたあげく、とうとう思い出した。
それは、Andrew Lloyd Webberのミュージカル『Sunset Boulevard(サンセット大通り)』の「Salome」というシークエンス。
『サンセット大通り』についてはココに記したことがあるので重複は避けるが、私が持っているオリジナル・ブロ―ウェイ・キャスト盤のGlenn Closeに比肩し得る凶子さんの熱演がスゴイ。
この曲、犬神サアカス團の(この時代だから犬神サーカス団か)代表曲って言っていいんじゃない?
音楽に期待する「毒」がふんだんに盛り込まれている。
作者はマエストロ、犬神明。

270vサクサク続ける収録曲。
これまた超和風、エンヤトットの「黒髪」。

290vそして、キラーチューンのひとつ「白痴」。
今回は『地獄の子守唄』の完全再現ということで、原曲通りのテンポで演奏した。
「♪どうでもいいことをワザワザ難しく語りやがって!」…か。
この曲を聴くといつも自分を戒めるんですわ、ハイ。

1_img_0285 直後のMC。
「メッチャ遅い!最近この曲を演ってて呂律が回らなくていつか歌えなくなっちゃうんじゃないかと心配したんだけど、テンポが早いだけだったのね!」
とマジでうれしそうな凶子姉さん。
あのね、このぐらいのテンポでも十二分にカッコいいですよ。
素材がいいからどんなテンポでもOK。

300「基準停止線の網目」、「鬼火」とつなげる。
ところで、犬神サアカス團のステージではおなじみの赤い幟。
6つの〇に△がひとつ、それに「た」…あ、コレは『七人の侍』だ。
「狗餓身稲荷」と「女殺火箸地獄」っていうヤツ。
この「女殺火箸地獄」の方、古くからの犬神ファンならご存知なんだろうけど、明兄さんからコレにまつわるイヤな話を聞いてショックを受けた。
同時にすごく興味を持って私的取材を敢行した。
次回のレポートの時にその内容を掲載するつもり。
ま、例によって本題からハズれた変な内容だけど。知らない人はお楽しみに!

1_img_0071_2 ココで「思い出の楽器コーナー」。
アルバム録音当時の楽器を振り返ってみようというトークね。
「そのベースはレコーディングで使ったの?」

310v「レコーディングする時に失業保険で買ったんですよ!ボクのベースの中で一番高いヤツなんです」

320「ドラムスのこともしゃべれば?」と凶子姉さんにフラれる明兄さん。
「そうだね~、当時のモノはもう一切ない!」
すると凶子さんが「今はナタールだもんね!」と言ってくれたよ。
うれしいじゃないの。
「NATAL」というブランド名が刻一刻と普及してる。
日本語のウェブサイトもないっていうのによ!
時期を見て取り組みますからね。
今日のところは、犬っさん、犬っ子さん、「NATAL(ナタ―ル)」という名前だけ憶えといてね。
「明兄さんのドラムスは『ナタール』っていうんだけど、すごくいいんだって!」…というのを口癖にしてください。

330今日は酸素が行き届いているようで、笑いの絶えない凶子姉さん。

340残りは3曲。

1_img_0070 ヘヴィにそしてロマンチックに「灯蛾」。
コーラスの最後の2小節のメロディがスゴイな。
マァね、私なんかコレよ。
照明の当たるところへのみレンズを向けてシャッターを切り続ける。明かりがないと写真は撮れないからね。
実はマジで「ああ、何のことはない、カメラマンって街灯に群がる夏の虫と同じだな」と常々思ってた。

360vこれまたヘヴィなワルツで「路上」。
ドラマチックな展開が素晴らしい。

370そして最後は今でも時折演奏しているアルバムのタイトル・チューン「地獄の子守唄」。
サビのメロディは秀逸だ。

380このアルバム、こうして聴くとスゴイね。
「日本のロックのクリエイティビティ」みたいなものが存分に盛り込まれている。
試しに『地獄の子守唄』の直後にThe Beach Boysの『Pet Sounds』を聴いてみた。
この落差がどういう効果をもたらすか…何ともなかったよ。
名作はどれもテンションが同じということか?

390v犬神さんがグッズも魅力的だわね。
凶子さんの可愛いこと!
この頃は「目玉飛び出す」だの「腐乱した死体」だの「死ねばいい」だのなんて歌を歌うなんて夢にも思ってなかったのでしょうね。
それが今ではこんなにカッコいいシンガーになって!
「カッコいい」ということの意味のひとつは「替えがきかない」ということだ。覚えておこう。

400先月同じ場所で演じた『怪談 首つりの森』がもうDVDになってる。
マメなのよ、犬神さんは。
だから、客層も回転して、「伝承」がうまくいっているのだ。

410アンコール。
凶子姉さんからニュー・アルバムをリリースすることが発表された。

295凶子姉さんが手にしているのはコレ。
レコ発ツアーも決定している。

1_2img_4454_2アンコールに選んだ1曲は「白痴」。
今度は現在のテンポでブッ飛ばした!

1_img_0077 グワァァァ、は、早い!
ホンマか!

430今回も思いっきり盛り上がりました~!
  
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

440

<<<NATAL NEWS>>>
NATALのドラム・キットが叩けるスタジオ、高田馬場のバズーカスタジオに新しい仲間が増えました。
それは14" x 6.5"のスチール・スネア・ドラム。
コレね。
見た瞬間、「オオ~!」っと声を出したくなるようなたたずまい。
実にゴージャスじゃあ~りませんか!
普通のスチールとは異なりチョット黒味がかっている。

1_3img_4207パーツはすべて「ブラッシュト・ニッケル(Brushed Nickel)」という仕様。
新型のスネア・スロー(Snare Throw)の感触も実にいい感じ。

1_2img_4208カ~!
居合わせたドラマーにチョット叩いてもらったんだけど、何たる音ヌケ!そして深い!
こりゃアンサンブルの中でもクッキリ音像が浮かび上がってくるのは間違いないな。
自分がドラマーだったら欲しいわ~。
  

1_2img_4212

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★上記のスネア・ドラムだけでなく、NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。
ドラマーの皆さん「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。

 

(一部敬称略 2017年7月26日 神楽坂TRASH UP!!にて撮影)