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2017年5月19日 (金)

BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOZE!!

今日は新人さんを紹介する。
札幌出身の23歳のチームで名前をBOOOOZE(ブーズ)という。
もちろん英単語の「booze」からきている。
「booze」というのはスラングで、名詞では「酒」を意味する。「酒」を意味する単語は他にも主に蒸留酒を指す「liquor」だの、ズバリ蒸留酒を表す「spirits」などがあるが、「booze」は「alchohol」同様、種類を問わず酒全般を指す。
でも不思議なことに、日本でいう「酒屋」は英語で「liquor store」とか「liquor shop」という。
イギリスには「corner shop」なる、大抵はイスラム系の人が営んでいる食料品から雑貨を扱うコンビ二のような小さな店がたくさんあって、普通は酒類も置いてある。
そこの看板には必ず「Off License」と記されている。
前にも触れたことがあったかもしれないが、この「Off License」ってのが長い間の謎だった。
こちとら、ライセンスがないなら酒は売れないんじゃないの?…という感覚だ。
で、ある日、この「ライセンス」というのは、「そこで客に酒を飲ませてもいい」ということを意味していることに気付いた。
つまり酒を売るだけ。税金の下限なのか、道徳的な理由なのかはわからないが、酒を売る場所と飲む場所を明確に区別しているんだね。
一方、酒を飲ませてもいい店は「On License」ということになるが、この手のコーナー・ショップでそういうサインを見たことがない。
今では滅多に見かけないけど、日本にも昔は「オン・ライセンス」の酒屋ってそこら中にあったんだよ。つまり、乾きものかなんかを出して、その場で酒を飲ませちゃう酒屋。
実際に私の実家のすぐそばにもそういう酒屋があって、夕方になると日焼けしたオジサンがわんさか集まって来てガヤガヤやっていた。子供ながらにガラが悪いとは思ったが、今にして思うとよき昭和の光景ということになる。
そこがセブンイレブンになってからもう40年は経ったか?もう「いい気分」になっているオジサンはそこにはいない。
お、イカン、「booze」だった!
一方、「booze」には動詞もあって、「大酒を飲む」という意味になる。
ハッキリした語源はわかっていないが、元はオランダ語という説が有力らしい。
そして、これから紹介するこのBOOOOZE、メンバー全員がアルコール好きということからこのバンド名にしたのだが、飲む量がスゴイことから「o」を4コも入れてしまったという。
体力の有り余っている若い連中と飲み比べてもかなうワケがないので、こっちは今日のタイトルには「o」を20コも入れてやったぜ…コレは完璧にワイルドでしょう~?
どこで接点を得たかというと、原田の喧ちゃんの紹介。
そのライブが昨日都内であったので早速お邪魔してきた。

10_2コレがBOOOOZE。
都内でチョコチョコとステージに上がっているのでご覧になったことのあるMarshall Blogの読者もいらっしゃるかも知れない。
では、ご存知ない方に…彼らどういう風に見える?
え、Marshallを使ってるようだって?
そりゃそうだ。
そうでなきゃMarshall Blogに出ることはできない。
パッと見てどんな音楽を演っているように見える?
今時の草食系ロック?
そう見えてもおかしくない。
でもそんな草食系のバンドをMarshall Blogが率先して紹介すると思う?

20コレがライブ会場の物販コーナー。
『GET BACK』というタイトルの5曲入りミニ・アルバム。
アタシャ、驚いたよ~。
コレ聴いて驚いたよ~。
勝手に解釈させてもらえば、この「Get Back」はポールの「Get Back」と同じ意味だろう?
ポールはジョンに向かって歌ったけど、BOOOOZEの「Get Back」はロックに向かって叫ぶ「Get Back」。
すなわち「Get back, Rock!  Get back to where you once belonged! (ロックよ、帰って来い!お前が元いた場所へ帰ってくるんだ!)」ということ。
そう、BOOOOZEの演っている音楽は「草食系ロック」とはかけ離れた70年代初期のサウンドを礎にした今風のロックだったのだ。
またいいのが出て来たよ~!
若いのにも~、オジちゃん、タマりまへんわ!

30メンバーは…

ボーカルズ&ギターに佐藤陽(あきら)。

50v_2ギターに伊藤大貴。

60v_2ベースは北川翔太。

Cimg_0076 ドラムは5107010(ごとうなおと)だって…イコール、後藤尚音。
80v
コレ、いつか書こうと思っていたんだけど、ちょうどおあつらえむきの連中が現れたので今書く。
いつの頃からか、フルネームで漢字でキチンと表記するステージネームが姿を消したでしょう?
みんな下の名前のアルファベット表記かアダ名になっちゃった。
ヘタすると長いこと付き合ってて苗字を知らないミュージシャンとかいるもんね。「え!アナタそんな名前だったの?」みたいな。
なんでこんなことになったのかしらん?
それにしても、コレはまさか野球のイチローの影響なのかしらん?
このバンドは古式ゆかしくチャンとフルネームを漢字表記している。
TORNADO-GRENADEなんかもほぼそうだ。すごくいい傾向だと思う。
やっぱり名前だけの芸名では大成した時にものすごく安っぽく聞こえると思うのですよ。
「hibari」じゃ何だかわからん。「美空ひばり」だからスゴイんじゃん?
「サブロー」とか「ハチロー」じゃいかんて。「北島三郎」、「春日八郎」だからカッコいいんだよ。チャンと業績と名前が釣り合ってくる。
外人はよく変名を使うよね。
エルトン・ジョン正体がレジナルド・ドワイトだということはよくココにも書いている。ロバート・ジンママンとかマック・レベナックなんてのは有名だ。
スティーヴ・タラリコって誰だか知ってる?コレはスティーヴン・タイラー。
しからば、ジョセフ・アンソニー・ヤコビ・パッサラクァは?コチラはジャズ・ギターの大家、ジョー・パスの本名。
移民で成り立つアメリカは世界中の名前が集まってるからね。耳なじみのない複雑な名前だと割りを食うことになりかねない。ポーランドの名前なんてサッパリ読めないもんね。
そこへいくとシュワルツェネッガーってのはスゴイ。
しかし、ナンだね、私もよく文句をならべるわナァ。「Marshall Blogは写真と脱線と文句でできている」なんて言われそうだわ…あながち間違いではない。
   
さて、いよいよ私の前に姿を現したBOOOOZE。
1曲目は「GET BACK」。

40

CD1曲目のコレを車の中で聴いてヤラれたんだ。
まず…このイントロのカッコいいことよ!
70年代初頭のロンドンからタイム・スリップしてきたみたいだ。

90v_2そして日本語の歌詞。
私の感覚としては、ロック的にはチョット厳しい語感が耳につくが、コレも彼らの世代の感性なのだろう。よかよか!
むしろ堂々と日本語で勝負しているところに好感が持てる。
聞いた話では、英語詞のバンドは若い人が集まるロック・フェスティバルに極端に出にくくなるそうだ。
そういう世の中だから仕方ない。

100vギター・ソロ。
トラディショナルなテイスト。この曲にシュレッディングは必要ない。

Img_0047 やっぱりこういうロックはチャンとしたバックラインで演ってもらわないとマズイだろう。
大きな「画竜点睛を欠く」ことになってしまう。
まず、少なくともホンモノの真空管のギター・アンプが必要だ。
ブリティッシュ・ロック・サウンドだからして、Marshallでなければ話にならん。

1101987を愛用している大貴くんだが、今日はJVM210Hと1960A。
まずはコレでよし…と。

120v足元のようす。
段ボールに並べたコンパクト・エフェクター。アットホーム感満点だ。
JVM2純正のフット・コントローラーを駆使していた。

130芯の太いベースを弾く翔太くんにはEDENのヌケのよいサウンドがピッタリだ。
Billy Sheehanのファンなのかな?Richどうしてるかな?会いたいな。

140vEDENの三段積み。
キャビはD410XSTが2つ。

150vヘッドはWTP-600。
BOOOOZEのへヴィなサウンドにはもってこいの抜け抜けトーン。

160尚音くんはNATAL。

17012"、13"、16"、22"のメイプル。フィニッシュはブラック・スパークル。

180チョットしか見えないけど、茶色いスネアは14"x5.5"のメイプルのステイヴ・スネア。
大二さんも一発でホレ込んだ名器だ。

190続いての曲は「銃声」。
コレまた胸のすくようなブリティッシュ・テイストのへヴィ・チューン。

200陽くんの声は斯界のフォーク調の草食系シンガーのそれとは一線を画しているものの、ハード・ロック仕様のズ太い声というワケではない。
もちろん志村けんのようなハイトーン・ヴォイスともワケが違う。
私には今風な声に聞こえる。
しかし、とにかく曲調にマッチする声と歌い方なのだ。
コレでもう少し歌詞が聞き取れるようになれば文句なし。
そう、歌は音楽の命。
どんなにいい声でも曲にマッチしていなければ意味がないし、どんなにいい曲でもヘナチョコの声で歌われたら台無しだ。
また、その両方がよくても歌い方や歌詞がヘボかったらやっぱり聴けたものではない。
歌詞を別にすると、このバンドはそのコンビネーションがすごくウマくいっていると思う。

210vこの曲はドへヴィなイントロとコーラスから意外な展開のサビに続くんだな。
その意外性がおもしろい。
コーラスでは翔太くんのベースが大暴れ。

260v_2 そして、例によってトラディショナルなギター・ソロ。コレでいいのだ。

230vCDと同じ曲順で演奏は続く。
3曲目は「ねがい」。

240このあたりは7:3ぐらいで今風のサウンドか?
サビ前のメロディが印象的。大サビの展開もおもしろい。
この曲をそこらの今の若いバンドがやっていたら、普通の今の草食系のロックになってしまうだろう。
そうはさせないのがBOOOOZE。
ハード・ロック・テイストが根底にシッカリと流れているのだ。

250vこんなミディアム・ナンバーだとパワー・ヒッターの尚音くんのドラムが一層へヴィに響くね。
そして、やっぱりNATALって音がいい。
新しくドラム・キットを購入する予定や必要がある、違いのわかるドラマーはゼヒNATALをお試し頂いてからナニをゲットするか決めるべし!

270v「右脳」というCDには収録されていない曲も取り上げられた。
しかし、ナンだってこんなトラディショナル風味のハード・ロックを志向しているのかと思い、終演後陽くんに訊いてみたところ、お父さんの影響が大きいのだそうだ。
お父さんったって、私とほぼ同年齢よ。
その影響でブルースをはじめとした黒人音楽をよく聴いてきたとか。
それなら大丈夫だ。

280ギターのカッティングで始まるのは「Naive」。

290vゴキゲンなファスト・チューン。

300CDで初めてBOOOOZEを聴いた時、イギリスのThe Answerを思い出した。
どこか同じスピリットを感じたのだ。
いつも言っている、本来あるべき姿であって欲しい70年代前半までのロックのテイストが今の若者の感性と融合し、見事によみがえっていると感じた。
ただのクラシック・ロックの模倣とは異なり、自分たちの世代を反映させているので、非常に若々しくもあるのだ。
そして、コレが今のロックに対するひとつの提案であってほしいと思った。

310最後を締めくくったのは「静寂が聞こえるか」。
コレも堂々たるドライビング・チューン。
320

へヴィにへヴィに展開する曲調をドラマチックに演出するリズム隊。

340陽くんのシャウトと…

350v

大貴くんのギター・ソロがより一層伝統的な世界をクリエイトする。

330v

昨日、「最近JCM800の活躍がやたらと目立っているのはその時代のロックが戻ってくる兆候だとうれしい」などと書いたが、BOOOOZEのようなバンドを見ると、その期待が叶えられそうな気がしてくるのだ。

370冒頭のライブハウスの案内にあるように、このライブは一昨日のものだ。
記事のアップがライブの1ヶ月後、2か月後も当たり前のMarshall Blogがこんなに早いペースでレポートをアップするなんて珍しいでしょう?
コレは超法規的措置などでも、ネタがないワケでもゼンゼンなくて、単にタイミングを計ったものなのだ。
…というのは来る27日に目黒の鹿鳴館にて我が里村源太朗のバースデイ・ライブがあって、そこにBOOOOZEが出演することになっているのね。
NAKED MACHINEファンの皆さんにはBOOOOZEの鑑賞ガイドに、まだ行こうかどうか迷っている人には決心の足しに…そんなつもりで超特急で記事を書き上げたとうワケ。
でもね~、先約があって私は当日行かれないの!この日、4つ重なってるのよ!この土日集中を何とかして欲しい!あとライブハウスのホール内完全禁煙ね。
ってんで私の分までシッカリ観て来てね!
NAKEDのギター、源ちゃんも杉浦さんもMarshallだし、ドラムスの達也くんはNATALだし…そのあたりもタップリ楽しんできてよ!

390vそれとコレ。
冒頭で紹介したミニアルバムの『GET BACK』。
このバンドはアレンジも凝っているので、スタジオ録音音源も聴きごたえ満点だよ。アタシャもう何回聴いたことか…。
ライブ会場で売っているので興味のある方はゼヒ。

Gb がんばれ若者!ロックは若いキミたちが作っていくのだ!
  
BOOOOZEの詳しい情報はコチラ⇒Official facebook

Img_00371965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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(一部敬称略 2017年5月17日 目黒LIVE STATIONにて撮影)