LEGEND OF ROCK at日比谷野音 vol.6
昨年もレポートした世界に冠たるトリビュート・プロジェクト『LEGEND OF ROCK』の日比谷野音公演。
今回で6回目を迎える。
出演者はホンモノになりきって、観客はホンモノを見た気になりきって、和気あいあい、実に楽しいイベントなのだ。
そして、多くの人がいまだに黄金時代のロックを希求していることを実感させてくれる。あの時代の息吹をナマの音で伝えるという意味でもこのプロジェクトは重要な役割を果たしているのだ。
しかしですよ、最近テレビのコマーシャルを気を付けて見ているんだけど、オリジナル音源やクラシック音楽を除けば、なんと多くの60~70年代の曲が使用されていることか。
使用料の問題もあるのかもしれないが、やはり人の耳を惹きつけるだけの魅力を持った曲がその時代に集中していることの表れに違いない。
今、音楽が進む方向は「温故知新」しかない…ステージを見ていてまたぞろそんなことを考えていた。
実はこの日、前々からガッツリと先約が入っていて、当初はコチラの取材は諦めようと思っていたのだが、せっかく大イベント…その一部だけでもレポートしたい思い、他の現場を抜け出してきた。
したがって今回のレポートは抜粋となることをお許し願いたい。
ワガママな取材を快くご了承頂いたLEGEND OF ROCKの主宰者にこの場をお借りして御礼申し上げる次第である。
まずはAD/CD。エ、コレ「アーダー・コーダー」って読むの?ウマイな。
何のトリビュート・バンドかはバンド名、写真を見れば一目瞭然だろう。
AC/DCを初めて聴いたのは『Let There Be Rock』の国内盤が出た時だった。
それまでオーストラリアのバンドなんてついぞ見かけたことがなく、珍しもの好きな友人が試しに買ったLPを聴かせてもらった。詳しくは知らないんだけど、このアルバムが日本のデビュー盤だったのかしらん?
「なんだコレ?変な声。ウワ!ギターのヤツ、半ズボンでランドセルしょってるわ!それにえっらいシンプルなハード・ックだナァ~」という印象だった。
まさかこれほどまでのビッグ・ネームになるなんてあの時は思いもよらなかった。
AC/DCといえばAngus Youngのギター。AngusのギターといえばMarshallとSG。MalcomもMarshall。
Marshall抜きにしてはAC/DCのサウンドは万にひとつも実現しなかったろう。
もちろんAD/CDもMarshall。
AngusやMalcomのようにはいかなくてもMarshallなら万事OK!Marshallってそういうもんだ。サウンドとルックスですべてをロック色に染めてしまう。
以前のブログに書いたことがあったように記憶しているが、前回の来日公演時、さいたまスーパーアリーナでバックステージを見せてもらった。
コンサートの運営スタッフ以外は一切立ち入り禁止ということだったが、ツアー・マネージャーが「ナニ、Marshallの人?おいでよ、バックステージを案内してあげよう!」と言って、ステージの下から裏からすべて見せてもらった。最高におもしろかった。
AC/DCは舞台やPAシステムを含むすべての機材を自家用ジェット機で運んで、世界中持ち歩いている。
感動したのは、あの巨大なRosieや大砲の出番前の姿見たのもさることながら、ステージの下にはギターやアンプを修理する部屋があったり、1959のタワーがいくつもそびえていて、スケールの大きさが尋常ではなかったことだ。
AC/DCの機材についてはまたどこかで触れたいと思っているが、フィル・ウェルズも私のインタビューで触れているのでコチラもご参照いただくといいだろう。
下はその時ツアー・マネージャーからお土産にもらったピック。
それにしても『Let There Be Rock』なんていいタイトルだよな。後年、『Bacl In Black』がロック史の頂点をなす大ヒットとなったけど、私はこっちの方が全然好き。
今回、この記事を書くにあたり「let There Be Rock」を聴いていたんだけどサ、あんまりカッコいいね。何回も鳥肌が立った。
この人達、もしMarshallがなかったらどうしてたんだろう…。ま、その手のバンドはAC/DCだけではないけれど、困っていた、もしくは存在し得なかったバンドの最右翼であることは間違いないだろう。反対にMarshallも自分のサウンドがこんなにカッコいいロックに昇華してよろこんでいるハズだ。
このタイトル曲、聖書の文句を引用した歌詞が最高にイカしてて…
Let there be light…There was ligjht (光よあれ、と神は言った。すると光があった)
Let there be drums…There was drums(ドラムよあれ、と神は言った。するとドラムがあった)
Let there be guitar…There was guitar(ギターよあれ、と神は言った。するとギターがあった)
Let there be be rock(さぁ、ロックよあれ!)…か~ら~の~Angusのソロ。
カッコよくない?
願わくばこんな一節を入れて欲しかった。
Let there be Marshall There was, is and will be Marshall!って!
ま、でもこの聖書ネタはFrank Zappaがもっと前にやってるんだけどね…。
そういえば、Bad Sceneにこの曲のリフに似た「In the City」というイカしたナンバーがあったのを思い出した。1981年のシングル「SAHARA」のB面。
前から言っているが、日本はAC/DCのコンサートのチケットが売り切れない珍しい国になってしまった。
オーストラリアに住む友人にこのことを話すと、やはり「信じられない!」と言っていたし、現実的に国内のコンサートのチケットをゲットするのは至難のワザだそうだ。
ホームだから当然なのかもしれないが、同じことはロンドンやニューヨークでも起こっているに違いない。
日本の音楽マーケットは洋楽の比率が20%を切ったという。もはや洋楽は絶滅危惧品種の域に達した。
これは世界の目からすると、「日本という国はは自分たちの国のロックしか聴かない『ロック鎖国政策』を採るロック後進国ということになっている」に見えているハズだ。それでいいのかネェ?
若い人たちにはLEGEND OF ROCKでロックの魅力を発見してもらいたいナァ。
AD/CDの詳しい情報はコチラ⇒AD/CD facebook
今回も司会はコンク勝二。
勝二さんとお会いできるのもこのイベントの私の楽しみのひとつだ。
もうMarshall BlogではおなじみのRonnie James Dioのトリビュート・バンドだ。
ボーカルはDIO KEN。
ギターの里村源多朗。
今日も愛用の1959を持ち込んでの素晴らしいサウンド。
大歓声で迎えられ、観客も段取りがよくわかっているもんだから凄まじい盛り上がりよう!
華麗なテクニックを必要以上に出しすぎない抑制の効いた「音を選ぶギター」。こういうギターは外国でウケるハズだ。
まるで自分の作品であるかのように完璧に曲になじむ至極音楽的なギター・プレイなのだ。
熱唱につぐ熱唱!DIO KENの絶叫がビルの谷間にこだまする!
今日も「Heaven and Hell」を唱和させていただきました!
aDIOsの詳しい情報はコチラ⇒Dio Ken facebook
今年はセットリストがヒット・パレード状態でメチャクチャ盛り上がった。
Queenの絶頂期、私はアンチ・クイーンだった。完全にアイドル状態でね、硬派な私は例え「Keep Yourself Alive」がメチャかっこいいと思っていても口に出すのが恥ずかしかったのだ。
それでも当時、コッソリとシングル盤を買いこんでいたりして…。
後年「好きだ」と抵抗なく言えるようになって、来日公演を見逃したことを悔いた。
そして、とうとう今年のSummer Sonicでホンモノを見た!これでもう満足。別にFreddieでなくてもいいの。
その時の模様はコチラ。
しかも、Freddieの家まで行ってしまった。それはコチラ。
それにしてもQueenってスゴイいいバンドだったんだよな~。最近1975年当時の海賊盤のライブ音源を立て続けに聴いたんだけど、曲のクォリティの高さは言うに及ばず、何しろ演奏がウマイ。
そしてメンバー各人の声や楽器の音色が破天荒に素晴らしい。Marshallじゃなくても許す!
「もうこんなバンドは永久に出てこないだろうな…」の最たるもののひとつがQueenであることは間違いない。
野音の女王様も大喝采で持ち時間を終えた。
Queerの詳しい情報はコチラ⇒Queer WEB SITE
しかしね、トリビュート・バンド数あれど、ナンダカンダいってもビートルズの再現が一番難しいんじゃないかな?
今では実際に使った機材やレコーディングの秘密、演奏方法など色々な情報が簡単に手に入るようになったものの、どうしても乗り越えることができない大きな障壁があるからだ。
それは「声」だ。
ビートルズほどの存在になるとジョンの繊細な声、ポールの太い声、ジョージの優しい声、リンゴの鼻声のすべてがリスナーの耳に記憶されていて、どうしてもそれが邪魔してしまうのだ。
そんな障害を吹っ飛ばすようなTHE BEATMASTERSの自身に満ちあふれた演奏はとても魅力的に聞こえた。
最近の日本の若い人はビートルズの4人の名前が言えないのがもはや普通らしい。こんな話しを聞くと「世界の終り」も近いような気がするね。
LEGEND OF ROCKの重要性をますます感じざるを得ない。
THE BEATMASTERSの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト
…ということで、ここで野音を後にした。
今回レポートできなかった当日の他の出演者を記しておく。
THE BEGGARS
JIMISEN
TOWNZEN
Gunmen Showers
LEGEND OF ROCKのますますの発展を期待している。
LEGEND OF ROCKの詳しい情報はコチラ⇒LEGEND OF ROCK WEB