LMFAO Redfoo & The Party Rock Crew
私はすこぶる運動神経が鈍い。それでも幼いころはご多聞にもれず「大きくなったら野球選手になりたい」などと思ったこともあったように記憶している。子供の考えることは恐ろしい…。
映画に夢中になり、ロックにのめり込み、ギターを手放さなくなった頃からは、運動らしい運動などしたことがない。その頃になれば運動神経が鈍いことも十分にわかってくるし、その分動いても無駄だから余計に身体を動かさなくなる。いよいよ運動から遠ざかってしまうようになった。指はみるみるうちに速く動くようになったけどね…ナンチャッテ。
でも、楽器がウマイ人って運動神経が発達している人が多いんよね。日本のジミヘン、中野のシゲさんなんか器械体操の国体選手だ。 そして、ダンスがウマイ人は運動神経がいいに決まっている。運動神経が鈍ければ、♪ダンスはうまく踊れない…ってか?私のことだ。
『サタディ・ナイト・フィーバー』が日本で公開されたのは1978年。ものすごく流行った。猫も杓子も「デスコ、デスコ」って大騒ぎしてた。アレ以降このディスコティック文化が若者の間にすっかり定着したように記憶している。私は高校の頃で、おませな子たちは学校にバレないようにセッセと新宿あたりに通っていたようだった。
私は、そんなロック・バカのギター小僧だったのでまったく興味はなかった。それでもナンカの機会にCHICの「おしゃれフリーク」を弾かなければならなくて、どんなに一生懸命カッティングをしてもホンモノに似ても似つかなかった…そりゃそうだ、相手はナイル・ロジャースだもんね。いずれにしても自分の演るべき音楽でないことはよくわかっていた。
とにかく私はディスコというものにトンと興味がなく、ウシャコダのシングル『愛の水中殺』のB面の「田舎デスコ」で十分だったね。そういえば、天中殺っていうのも流行ったよね~。もちろんこのA面曲のタイトルは松坂慶子の「愛の水中花」のパロディ。レガエ調(昔は「レガエ」って言ってた)のウシャコダらしいコミカルな曲だ。藤井さんもメッチャお若い!
で、このシングル盤の袋に入れてあったのはこの頃の週刊ポストの巻末カラー・ページのスクラップ。確か、「今年ブレイクする(当時この表現はなかったが…)バンドたち」みたいな記事で、このウシャコダの裏のページにはダディ竹千代と東京おとぼけキャッツが出ている。当時の日本のロック界には本当にいいバンドがたくさんいたもので、4つの個性的なグループが紹介されていた。ひとつは子供ばんどだったような気がする。
そしてもうひとつは、なぞなぞ商会だった。スクラップは残っていないが、「尾張名古屋は芸どころ。名古屋からすごいバンドがデビューした」という書き出しの記事と写真がとても印象的だった。写真には遠藤豆千代さんを先頭に各メンバーがあのすさまじい格好で写っており、「こりゃ絶対に観に行かないと!」と、その記事を見て心に決めたものだった。あのページも保存しておけばよかったな…。
交通網が発達し、今は簡単に「ツアー」と称してみなさん日本国中気軽に楽旅にお出かけなさるが、昔は大変だった。地元や近場以外で演奏するといったら、もうかなり名が通っているのが普通だったからね。何しろ地元以外では十分に宣伝する手段がなかったからね。ファンがひとりもいない土地へ乗り込んだってお客さんなんか来るワケないんだから。その点、今はスゴイ。
それで、なぞなぞ商会が東京にやって来るというのですかさず屋根裏に観に行った(今の屋根裏じゃないよ)。初上京コンサートよ。今でもその時に録音したテープを大事に保管している。
このスクラップのウシャコダの写真はその渋谷の屋根裏で撮られたもの。なつかしいナァ。奥に見える菅野さんのギターのサインは確かマディ・ウォーターズからもらった…って言っていた気がする…いい時代だ。この当時、屋根裏でもっとも集客力のあるバンドはRCサクセションとパンタ&HALとスタッフの方が言っていたのを思い出す…いい時代だ。
さて、強引にウシャコダの話しもさせていただいたので本題に戻るか。ただ自分のディスコ体験に触れてるだけなのにエライすんまへん。それで言いたかったのは、高校の時、「どうしても一緒に行ってくれ」と友達に頼まれて新宿の「USA」っていうディスコに行った。やっぱダメだったな。そりゃそうでしょ、ダンスにてんで興味がないんだから。まるで、白木葉子に強引に連れてこられた矢吹丈みたいだった。あれはゴーゴー喫茶かな?
それから、だいぶ経って、もう1回だけどっかの「ブルーなんとか」っていうディスコに連れて行かれたような気がするな。
そして、まさか3回目がめぐってくるとは思わなんだよ。会場は代々木第一体育館。
登場するは、LMFAO Redfoo & The Party Rock Crew。
マーブロの読者は知ってる人、少なさそうだな…。私…失礼ながら存じ上げませんでした。
すさまじいアウェイ感!さすがに長年にわたってこれだけライブに行っていると、たとえはじめてお邪魔するバンドでも必ず知っている人に出くわすも んだ。しょっちゅう顔を出しているバンドともなると、ありがたくもお客さんにも仲良くしていただいていて、プレスピットの私に声をかけてくれたりする(いつもありがとう!)、 が、今回は皆無。プロダクション・サイドの方々を除いてダレひとり見たことのある人がいない!
しかも、若い!お客さんが若い!
昨日もあるイベントの楽屋で年がひとつしか違わないミュージシャンと干支の話しをしていた。それを聞き
つけた若いバンドのボーカルの女の子がそのミュージシャンに、「え、わたしといっしょです!」なんて話しに加わってきた。ちょっと前まではさ、「ひと回り
下なの~?ワッカ~イ!」というのが普通であった。それがサ、最近こっちから「エ、もしかしてふた回り下?」なんて訊くことが当たり前になってきた。次の
質問は「お父さんいくつ?」だよ!ホント、ふた回り下の人たちが増えてきて、ふた回り上の方々が減ってくるゾーンに入ったわ。
ショウが始まった!
ナンカしらんが、ものすごい盛り上がり感だ!
メッチャ軽い!
ところが、何とも明るくて楽しそうなんですね~。会場のお客さんはもちろん踊って騒ぎまくってる!
LMFAOというのは「Laughing My Fucking Ass Off」の頭文字だそう。インターネットのスラングなんだって。そんなのあんの?
正直言って、私が常日頃聴いている音楽とは似ても似つかぬ極北の世界だが、何しろにぎやかだ。思わずニヤニヤと観てしまう。「オレももうチョット若けりゃナァ~」とは思わないけどね。だってどうせ踊れないもん。
いろんなもんが出てきてエンタテインメント性は抜群よ!
このお方が、Redfooさん。
この人、モータウンの創設者ベリー・ゴーディJr.の息子さんなんですって!道理でカッコいいと思った!(もう遅い!)
さて、なんでマーブロに?ということなんだけど、ギターのデヴィッドがマーシャルなんですね。
TSL100と1960Aを使用。
よくテレビで「こんなところにも日本人が!」みたいな番組あるでしょ?何か、アレを見たような気がしたよ。マーシャルってスゴイ。
もちろんこの手の音楽なのでデヴィッドがガリガリ弾くワケではないが、バッキングにリフにRedfooを鼓舞する的確なプレイでマーシャルを使いこなしていた。
次から次へと矢継ぎ早に替わる場面はよく計算されており、観ていて飽きない。
それにしてもマーシャルってスゴイな…。まさかこういう機会で惚れ直してしまうだなんて想像しなかった!
たまにはこういう音楽もいいもんだ。
もちろん帰り道には「♪ナイットフィーバー、ナイットフィーバー、」って口ずさんでいたよん。
ちなみに今は「ディスコ」なんて言わないで「クラブ」っていうんだったっけね…失礼しました。今日は「はたらくマーシャル」の一編でございました。
(一部敬称略 2012年11月7日 東京代々木第一体育館にて撮影)