LIVE INCLUSIVE 2026の田川ヒロアキ<前編>
今日の記事は神奈川の逗子から。
かなりの時間が経過してしまったが、3月22日に開催された『LIVE INCLUSIVE 2026』という素敵なイベントに田川ヒロアキが出演したのでその模様を2回にわたってレポートする。
我々の仕事は「inclusive」の反対の「exclusive」という言葉を時折使うことがある。
コレは「排他的」という意味で、例えばMarshallブランドのギター・アンプしか使わない人…まさにヒロアキくんなんかがそれに当たるワケだが、そういうギタリストを「Marshall exclusive guitarist」なんて呼んだりするする。
他にも輸入品の代理店がひとつしかない無競合の状態を指す場合も「エクスクルーシヴ」という言葉を適用する。
しからば「inclusive」は?…「包括的」という訳語が当てられていて「全てを含む」という意味合いを持つ言葉。
この『LIVE INCLUSIVE』は様々なバックグラウンドを持つアーティストが音楽のジャンルを超えて集まり、同じステージで共演する2024年にスタートしたコンサートだ。
出演するすべてのアーティストが対等に自らの音楽を奏で、主役も脇役もないステージが観る者に大きな感動を与える。
そんなすべてを抱え込む「インクルーシヴ」なコンセプトが逗子から発信されているのだ。
会場となったのは「逗子文化プラザなぎさホール」。
個人的に逗子といえば…脚本家、映画監督の新藤兼人。
新藤さんは大船の松竹撮影所に近いということもあって女優の乙羽信子と共に逗子に住んでいたことがあった。
私は新藤さんが設立した独立プロ「近代映画協会」で乙羽ちゃんと組んだ作品がどれも好きで、その他にも新藤さんの監督作品はかなり観たし、本職である脚本を手掛けた作品は無意識の内に数えきれないぐらい観てきた。
簡単に言えばファンなワケね。
著書も古本屋で見つけては買い込んできてよく読んだ。
だから新藤さんや乙羽ちゃんについては書きたいことが山ほどあるが、キリがないのでコレでとどめておくことにする。
さて会場のロビーにはイベント関連のグッズがズラリと並び…
公式Tシャツ等が人気を集め…
祝い花の傍らに展示された出演者の寄せ書き入りのTシャツが来場者の目を惹いた。
もちろんヒロアキくんの最近作『THE ROAD SEEKER』他もバッチリ展示。
コンサートの冒頭、司会の3人が登場してご挨拶。
司会は「MITSUMI」さん。
そして「ケーマトーマ」さんが手話通訳を務めた。
そしていよいよお待ちかねのライブ・パフォーマンスがスタート。
まず最初は「ディズニー・プリンセス・メドレー」。
マイクを握ったのは「麻生かほ里」さん…
「小此木麻里」さん…
そして「伊東えり」さん。
この3人の美しい歌声で「輝く未来」、「愛の芽生え」、「ホール・ニュー・ワールド」の3曲をメドレーで聴かせてくれた。
この日、全編を通じて伴奏を務めたバック・バンドの皆さん。
コンサートの音楽監督、構成も担当したピアノの「進藤克己」さん…
「帆足彩」さん…
「細川圭一」さん…
「大和田ハルヲ」さん…
そして「中村皓」さん。
この5人がインクルーシヴな演奏で全出演者を支えてくれた。
次にステージに上がったのは…
我らが「田川ヒロアキ」。
もちろんヒロアキくんをサポートしているのはMarshall。
愛用の「JVM210H」と「1936」が今日もお供を務める。
まず演奏したのはこうしたビッグ・イベントでは冒頭に取り上げられることが多いインストゥルメンタル・ナンバーの「Seascape」。
いつ聴いても美しいギター・サウンド。
もちろんヒロアキくんの指と演奏技術がモノを言っているのだが、Marshallというギター・アンプがハードロックやヘヴィメタルのためだけの楽器ではなく、全ての音楽に適していることを繊細に、そして華麗に示してくれる。
そう、Marshallはまさに「インクルーシヴ」なギター・アンプなのだ!
そして曲は上で紹介したヒロアキくんの最近作『THE ROAD SEEKER』から「翔KAKERU」へと続いた。
「JAFツーリングカー選手権 ロードスター・パーティレースIII ジャパンツアーシリーズ」のテーマ曲。
和風テイストのイントロに導かれるドライビング・ナンバー。
ギター・ソロ炸裂!
誰にもマネができないエクスクルーシヴなプレイング・スキル!
「♪イエ~!」
そして戦いに臨む男たちへ気合の入ったエールを送って…
キマった~!
場面がガラっと替わって「わたなべちひろ」さんがピアノの前に座り深遠な音色を聞かせ…。
弾き語りでAdeleの「Make You Feel My Love」を披露した。
何たる魅力的な声!
客席は水を打ったような静けさ。
全員がこの美しい歌声に耳をそばだてた。
2人の演奏に続いてはインタビューのコーナー。
「今のちひろちゃんの歌にスッカリ感動して、私の演奏はなかったことに…」
そんなバカな!
全ての会話が同時に手話通訳される。
ヒロアキくんは演奏した曲を解説。
「私は生まれも育ちも山口県の下関市なので『Seascape』という曲はその下関の海をイメージして作りました。
もちろん私には海を見た記憶がほとんどないので『こういう感じかな~?』と。
私には他にも『Sky』のように自然をテーマにした曲が多いんですが、それらはそういうイメージから生まれた曲なんです」
「そして2曲目のアップテンポの『翔KAKERU』とう曲…皆さんに盛り上げて頂きました。
コレはモータースポーツのテーマ曲なのでスピーディなサーキットのイメージで作りました。
今回このコンサートへの出演オファーを頂いた時、どういう選曲にしようかな?と考えてこの2曲を選んだのですが、バンドの皆さまが手伝ってくださるとは知らなくて…きっと皆さん大変だったのではないかと思います。
そして影で何人かの皆さんがコーラスで私と一緒に歌ってくださってゴージャスな感じになりました。
お客様に盛り上げて頂いて私も本当に楽しく演奏することができました。
ありがとうございます!」
そしてちひろさんへのインタビューが続いた。
場面が替わって「手話コーナー」。
ステージに登場したのは…
俳優で手話パフォーマーの「三浦剛」さん。
元横浜DeNAベイスターズ監督の「三浦大輔」さんのご実弟。
このコーナーは即席の手話教室。
基本的な手話のしぐさを説明する三浦さんのお話がとても面白くて夢中になって聞き入ってしまった。
もうひとりは「難聴うさぎ」さん。
うさぎさんは生まれつき聴覚に障害があり、ろう学校で発音の勉強をされたという。
たとえば唇を合わせて開いて発声すると「ま」の音になるとか、舌を上の歯の裏につけて口を開きながら声を出すと「た」になるとかを教わるのだそうだ。
こうしたことを考えてみたこともなかったのでうさぎさんの話に興味が尽きなかった。
そして、手話パフォーマーの彼女が今流行りのギャルの言葉を手話でやって見せてくれたのもとてもオモシロかった。
本当に時々ではあるのだが、NHKの手話通訳ニュースなどを見るにつけ、この手話通訳ってスゴいと思っうことが多く、この2人のコーナーは実にタメになった。
ちなみに「高峰秀子」と「小林桂樹」が主演し、デコちゃんのご主人の「松山善三」が脚本を書いて初めて監督した1961年の東宝映画『名もなく貧しく美しく』なんかは1人でも多くの人に観てもらいたいと思う。
そしてまた場面が一転。
会場に威勢の良い太鼓の音が鳴り響く。
太鼓を打ちながら客席を練り歩き…
ステージに上がったのは「ヒダノ修一」さん。
豪快に桶太鼓を打擲するヒダノさん!
「♪沖のカモメに潮時きけば~」と飛び出した歌は「ソーラン節」。
当然即座に客席から手拍子が沸き起こる。
イヤ~、ヒダノさん久しぶりだナァ~!
…というのは、今から20年ぐらい前になろうか?
ヒダノさんが『太鼓は最高!!』という和太鼓の教則ビデオを発表されことがあったのだが、実はこのビデオのタイトルを考案したのが私なんです。
ヒダノさんは身体もデカいけど、当時からいつもニコニコ、ハキハキととても心の大きな方で、「大人になったらこういう人になりたい」とお会いするたびに思っていた…私の方がはるかに年上だけど。
そして15年ぶりにぐらいにお会いしたヒダノさんは全く以前と寸分もお変わりがなくてとてもうれしかった!
あの時から齢が重なっていてもバチさばきは以前にも増して鋭く、力強く、会場を大いに盛り上げた。
またまた場面が大きく替わって今度はジャズ。
まさにインクルーシヴ~!
ヴィブラフォンの向こう側に立ったのは「宅間義之」さん。
宅間さんも知り合いで、これまで2度ほどこのMarshall Blogにご登場頂いている。
でもお会いするのはかなり久しぶり。
「渡辺えり子」さんのコンサートで宅間さんが鶯谷の「東京キネマ倶楽部」の階段で出番待ちをしていた時にバッタリ出くわした時以来。
アレも随分前のことか。
このヴィブラフォンとかマリンバのような鍵盤打楽器は、打楽器の技術を使ってピアノを弾くようなモノで、「すべての楽器の中で最も習得するのが困難な楽器のひとつ」という説がある。
そんな厄介な楽器にはチャレンジする気すら起きないが、ジャズやフランク・ザッパの音楽が大好きな私はこの鍵盤楽器の類が大好きで、宅間さんにお会いするたびにこの楽器について色々と教わって来た。
以前のMarshall Blogの記事では宅間さんが楽器を組み立てるところからレポートしたぐらいなのだ。
今回教わったのはコレ。
スタンドに付いているキャスター4つをそれぞれ斜めに外側に向けておくと音が広がる感じがするそうなのだ。
そんなバカな!とは思うが、ミュージシャンのこうした楽器に関する妙なこだわりが大変にオモシロいではあるまいか?
宅間さんが演奏したのはオリジナル曲の「ショットガン」。
宅間さんが巧みに操る4本のマレットが華麗に鍵盤の上を舞うスリリングな1曲。
大和田さんはアップライト・ベースに持ち替え。
ピアノ・ソロがフィーチュアされて…
ストレート・アヘッドなジャズ・ビートに乗って宅間さんが華やかなソロを展開した。
そしてドラム・ソロが大いに曲を盛り上げて…
宅間さんが再びテーマを奏でて曲は幕を下ろした。
この続きは<後編>で!
さて、実際にインクルーシヴな音楽活動を続けているヒロアキくん。
「よさこい」のフィールドでも大活躍で、その分野の盟友である下関のよさこいチーム「馬関奇兵隊」の結成25周年を記念する『晋作・長州・下関』という9曲入りCDに参加した。
そして、Marshall Blogでもレポートした『EXPO 2025大阪・関西万博』で共演を果たしたカナダのよさこいチーム『APPARE Yosakoi Vancouver』に招聘され、5月の中旬からヴァンクーバーを訪れて来た。
下の写真はその時のようす。
話を聞けば、それはそれは楽しかったそうで…そりゃあそうでしょう。
SNSに上がっている写真を見れば話を聞かなくてもわかるわ。
もちろん公演も大成功!
ところでヒロアキくんがカナダのよさこいチームのために作った曲、「APPARE」の中では「♪鳴子両手によう踊る」と歌われる。
鳴子とは下の写真で踊り子さん達が手にしている、元々は田畑を荒らす鳥や獣を威嚇するための農具で、それが転じて踊りの時に使う打楽器になった。
テレビのニュースを見てタマタマ知ったんだけど、今、この鳴子がナフサ不足問題で作れなくなっているのだそうだ。
正確に言うと、シンナーが不足していて色を付けることができないという。
ポテトチップスの袋みたいな話。
音を出すことができれば本来の用途としては問題ないのであろうが、踊り子の手先を彩る装飾具でもあるワケだからできれば華やかな方が良いに決まっている。
ナ二からナニまでスッカリ世の中がおかしくなっちゃって…昔のようなノーマルな日々が戻って来ることを願ってやまない。
そしてそのカナダ・ロスが癒される間もなく、今週末に恒例の『MUSIC TRAVELING』が開催される。
まぁ、MCはカナダの話だらけだろうナァ。
皆さん、ゼヒ聞きに行ってあげてくださいな。
毎回ショウの内容を入念に作りこんでくるヒロアキくんのバースデイ・ライブ…今回も楽しみだ。
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano
<後編>につづく
(一部敬称略 2026年3月22日 逗子文化プラザなぎさホールにて撮影)