和亦弍亜様御留:松浦カズマ『KAZUMANIA vol.2~誕生前夜~』 <前編>
昨年の9月に引き続き『KAZUMANIA』と題した「松浦和亦」の2回目のソロ・コンサートが開催された。
今日の記事のタイトルの「和亦弍亜様御留」は「カズマニアさまおとめ」と読む。
「御留」というのは、江戸時代の幕府や藩が特定の事柄を一般に公開せず、特定の者だけに独占させたり、部外者の立ち入りや閲覧を禁止したりすること。
ライブの内容は本来であれば実際に会場に赴いた人だけの「御留」となるワケだが、それではモッタイない。
Marshall Blogがその御留を解いて楽しかったライブの一部始終をレポートしようというワケだ。
ナゼこんなタイトルが浮かび上がって来たのかというと、1978年の有吉佐和子に『和宮様御留(かずのみやさまおとめ)』という長編小説があって、「和宮」と「カズマニア」って音がよく似ているな…と思いオモシロ半分でやってみただけの話。
カズマくん、余計なことをしてゴメン。
チョット前に他の記事でやや詳しく取り扱ったので今日はやらないが、「和宮様」というのは「和宮親子内親王(かずのみやちかこないしんのう)」のこと。
江戸時代末期の幕府による「公武一体」の動きに巻き込まれ、有栖川宮熾仁親王(ありすのみやがわたるひとしんのう)という婚約者がいながら第14代将軍徳川家茂に嫁下させられた皇女が和宮。
有吉先生はこの歴史的事実を2人の和宮の替え玉が登場するリアリティあふれるフィクションに仕立て上げ、『和宮様御留』はベストセラーとなった。
有吉先生の作品どれも本当に素晴らしいからね。
ロビーに飾られた祝い花はDamian Hamada's Creaturesと伝々夢史から。
にぎやかな屋台村。
CDやステッカーの類…
Tシャツ類が所狭しと並んだ。
Tシャツはこんなデザイン。
サイン入りのポスターもあるよ。
定刻になりメンバーが登場。
「カズマニアへようこそ!」と雄叫び一発。
カズマくんが弾くシャープなリフで…
『KAZUMANIA vol.2』がスタートした!
ステージに上がったのは…
寺沢リョータ
村田彼方(以下「シャドウ」)
そして本日の主役「松浦和亦」。
1曲目は「Jam on Fire」。
テーマにソロにとノッケからガンガン押しまくるカズマくん!
それにしてもギターの音がスゴい。
「野獣の魂を喰らえ~!」とそのまま2曲目の「Eye of the Beast」に突入。
シャドウが叩きだすストレートなロック・グルーヴに…
リョータくんの低音が絡みつく正統派ドライビング・ナンバー。
ハードながらもメロディアスなパートをちりばめたカズマくんの作曲センスが光る1曲だ。
もちろん極上のギター・サウンドによるソロもタップリと披露した。
「ありがとうございます。カズマでございます!
お足もとの非常にお悪い中、お越しくださいましてありがとうございます!」
前回の「KAZUMANIA」の時も雨だったとか…そうだったかな?
他にもライブ当日が雨に当たってしまうことがよくあるそうだが、カズマくんはそれを「祝福の雨」と呼んでいる。
この日のサブタイトルは「誕生前夜」。
つまりこの次の日がカズマくんの誕生日だった…ということを説明。
もちろんカズマくんのことだから、LOUDNESSの1981年のアルバム『THE BIRTHDAY EVE~誕生前夜~』に引っ掛けたんでしょう。
「ここまでやって来られたのは皆さんのおかげです。
今日はその感謝の気持ちをギターで届けたいと思います!」
カズマくんのギターからスタートする続いての曲は5月にビデオを公開した「From Here on」。
あの建物の屋根でギターを弾いているヤツね。
バッキング・トラックと華麗なギター・アンサンブルを交えて親しみやすいメロディを次々に奏でていく。
「新たに突き進んでいく」という意気込みを込めてこの曲を作り、そして今演奏しているのだ。
続いての「Voice from the Storm」も大変耳馴染みのよい曲だ。
ダイナミックなシャドウのドラミングが大変に気持ちがいいね。
ワウワウ・ペダルを使ってカズマ・フレーズをよどみなくつなげていく。
何回も書いて申し訳ないんだけど…本当にギターの音が素晴らしい。
よし…もういいだろう。
この辺で今日のカズマくんのギター・サウンドについてタネ明かしをしよう。
それは下の写真の右下に写っているMarshallのこと。
コレはいつもカズマくんが使っている自慢のラック・タイプのMarshall。
今日はコレ。
ヘッドはMarshall自らが「JCM800 2203」に改造を施した「2203MS」。
スピーカー・キャビネットはD.H.C.の時にも使っている「1960BV」。
2203MSは通常のモデルよりも歪みを増加させたり、ノブの下についているスイッチによってより幅広い音作りをすることができるようになっている。
カズマくんのセッティングは左から…
PRESENCE=0
BASS=3
MIDDLE=7
TREBLE=1
MASTER VOL=3
PRE-AMP VOL=8
MID SHIFT=On
OD TYPE=I
TIGHT= Off
コレのどこかどういう風にスゴイのかと言うと…とにかく音ヌケがすさまじい。
バンドの中で使うとそれがハッキリとわかる。
どんなに激しい曲でも何しろギターの音が耳元にスッ飛んでくるのだ。
コレは弾いていて相当気持ちがいいにキマってる。
デジタル系の機材には絶対にできない芸当と言ってよいだろう。
というか、コレがよくてわざわざクソ思い真空管のアンプを使っているワケよ。
それととにかく音がカッコいい。
…というワケで次の曲。
「オレは未来しか見ていない!」とスタートしたのは「I Only See the Future」。
コレはカズマくんのライブおなじみの1曲。
サビのメロディがとても印象的だ。
曲のハード加減がアップする中間のパートがスリリング!
そしてカズマくんのソロ。
音のヌケが格段に良いのでカズマくんの思い入れが私の耳元で炸裂しているようだ。
「楽しんで頂けていますでしょうか?
実は今日初めてセンターに立ったんですよ。
ギタリストがセンターに立つのは珍しいでしょ?
どうですか、この感じ?」
もちろん客席からはヤンヤの喝采が送られた。
ココからしばし「メロー・コーナー」。
まずはTORNADO-GRENADE時代の「Time and Love」。
「泣きのギター」のヤツ。
続いてほのぼの風味の「The Dawn is Coming」。
ホントに夜明けがもうすぐやって来そうなムード?
ハードな曲だけでなく、リョータくんも…
シャドウもこうしたソフトな曲を完全に咀嚼して緩急自在に演奏するところが頼もしい。
そんな完璧なリズム隊と鉄壁のギター・サウンドバックに弾くわ弾くわ!
とても気持ちよさそうだった!
お次は衝撃の問題作(?)「Blue Blues」。
メンバー各自が「ブルーな体験」を交えて弾くブルース。
元々「ブルース」ってのは内容がブルーな音楽だからして、カズマくんは「ブルースの原点に戻った」ワケだ…というほどのことでもないな。
カズマくんが曲の趣旨を説明。
まずはシャドウ。
パソコン・デスクの組み立てに失敗した話。
ブルーだ!
続いてのリョータくんはコンビニの夜中のアルバイトの話。
お店のコーヒー・フレッシュを補填する時に店内に誰もいないと思い「♪フレッシュ、フレッシュ、フレ~ッシュ」と聖子ちゃんの「夏の扉」歌っていたらお客さんがいたという話。
ブルーだ!
ちなみに聖子ちゃんは全国で延べ20万人を動員する大ツアーの最中ですが、今年もウチのNATALドラムスをお使い頂いております!
下は日本武道館のステージのようす。
カズマくんは中学時代の体育の石崎先生(アダ名は「ザッキー」)の話。
カズマくんが体操服を普通に着用していたにもかかわらず、ザッキーに「コラ!腰パンをするんじゃない!」と怒られた。
ブルーだ!
そんなブルーな気持ちをフッ飛ばすべくカズマくんが鬼神のようなソロを弾くと…
リョータくんのベースがグリグリとそれに応える。
2人の壮絶なバトルで大いに盛り上がった!
要するにTORNADO-GRENADE時代の「悪だ!」みたいなヤツなんだけど、こういうことをやろうとする精神に拍手を送りたいね。
「みんなのブルーな気持ちも晴れたんじゃない?」
おお、きれいに晴れたゾ!
まだまだ続く演芸コーナー。
続いての曲は「KAZUMAGIC」。
先ずはバリバリと弾いておいて…
シャドウが踏むバスドラムだけになると…。
カズマくんがギターを降ろし、コインとコップを手にした。
そしてシャドウがドラム・ロールを入れる。
♪ダラララララララララララ…
すると気合とともにコインがコップを通過した!…したんだけど残念ながらコレはよく見えなかった。
とにかくお客さんを楽しませよう!という気持ちはよく見えた。
「Kazumagic」というのは要するに手品のかくし芸のことね。
そこでもうひとつ。
今度は長い風船を取り出した。
それをスルスルと口に中へ…
この頃にはリョータくんのベースも加わってBGMがエラくカッコよくなってる。
スルスルスルスル…と全部飲み込んだ!
コレはうまくいった!
客席から大きな歓声が上がった!うれしいね。
あ、曲自体は至ってマジメです。
これにて前半終了。
<後編>につづく
(一部敬称略 2026年6月26日 大塚Herarts+にて撮影)