様式美大作戦2023~Aya Project
『様式美大作戦 2023』の2番手の登場。
会場内に鳴り響くパイプオルガンの荘厳な音色…そして雷鳴。
Aya Projectだ!
やはりMarshall Blog初登場。
Aya
鈴木広美
水元まりお
堀江睦男
1曲目は「Brug Eltz」。
コレはありがたい!
モロに私好みのサウンド。
天衣無縫、驚天動地、自由闊達、当意即妙、そして問答無用の「Prog Rock」!
紛れもない「様式美」のひとつ。
「Brug」というのは「ハンブルグ」とか「ブランデンブルグ」とか「ヒンデンブルグ」の「ブルグ」。
英語だと「バーグ」になるヤツ。
コレ、「城塞」という意味で、「Brug Eltz」で「エルツ城」のこと。
ドイツの「3大美城」の一角なのだそうだ。
ドイツといえば、私はフランクフルトに10回ほど行ったが、お城なんて一度も見たことがなかったナァ。
目にしたモノといえば展示場のMarshallとホテルの天井だけだった。
するとドイツ人の友達にこう言われたものだ。
「シゲ、ナニをどう間違えてもフランクフルトをドイツだなんて思ってくれるなよ。
ドイツってのは本当に美しい国なんだ」って。
気の毒なフランクフルト…。
結局、「美しいドイツ」はカケラも見ることはできなかったが、毎年1週間Marshallの連中と一緒にいてずいぶん色々なことを教えてもらって楽しかった。
そのフランクフルト関連の記事はコチラ⇒【Marshall Blog】私のフランクフルト(全7回)
いきなり少々脱線してしまったが、ステージの方は続けて2曲目に入った。
やはりAyaさんが弾くスケールの大きいキーボーズからスタートするのは「Night at Oakley」。
地を這うような低音が炸裂するヘヴィなナンバー。
テムズ川の上流ウィンザーにある「Oakley Court(オークレイ・コート)」という19世紀の中頃に建設された貴族の館で、現在はホテル(もちろん超高級です)になっている宿泊施設に滞在。
そして「Royal Ascot(アスコット競馬)」でエリザベス女王に遭遇したAyaさんご経験がこの曲になった。
ナント、映画の『ロッキー・ホラーショウ』のロケ地となったのがこの「Oakley Court」だったのだそうだ。
ブラッドとジャネットが雨の晩に迷い込んじゃうところですな?
何か夜になるとナニか出て来るとしか思えないような歴史的な貴族の部屋でAyaさんは一睡もできず!
しかし、ロイヤル・アスコットに行ったなんて…スゲエなぁ。
あの『マイ・フェア・レディ』でロイヤル・ファミリーの写真を撮り続けたセシル・ビートンという写真家が、オードリー・ヘップバーン演じるイライザのドレスをデザインして「アカデミー衣装デザイン賞」を獲得した有名な「アスコット・ガボット(Ascot-Gavotte)」のシーンね。
アレがロイヤル・アスコット。
Ayaさんは一体どんな出で立ちでご参加されたのであろう?
そして、今度はピアノのソロ。
次から次へと変わって行く情景の中でひと際その音色の美しさが目立つ。
さらにギター・ソロ。
広美さん、久しぶりだナァ…チョット調べてみると、2018年5月のKRUBERABLINKA以来!
広美さんもMarshallを使用。
え?前回の記事と同じ写真だってか?…そう。
要するにこの日は皆さんこのJCM2000 DSL100と1960Aを使って頂いたというワケ。
「こんにちは、Aya Projectです。
鹿鳴館…4年ぶりの『様式美大作戦』です。
Aya Projectはセカンド・アルバムの『Resurrection』というセカンド・アルバムをリリースしまして、コレが東京での初ライブとなります。
皆さま、最後までよろしくお願い致します。
さて、Aya Projectは『中世ヨーロッパの城』をテーマとした曲を作っております。
ドラゴンだったり、魔物たちが住むというイギリスのお城や館、その周りの深い森などをボーカルズなしのインストゥルメンタルでお送りします。
映画を見るような感覚で、映像を想像しながら聴いて頂ければうれしく思います。
それではさっそくその深いイギリスの森を想像して頂きながら女性の亡霊が出るという館についての曲をお聴きください」
この亡霊は上の「Oakley Court」に出て来る予定だったヤツかな?
ココで大脱線。
「イギリスの城」かぁ。
どうしても所在が地方になってしまうので数えるほどしか行ったことがない。
例えばこの「ネブワース城」。
ネブワースはあのフェスが開かれるところね。
もう20年以上も前の写真。
周囲はこの世のモノとは思えないの美しさだった。
2012年に行った「エジンバラ城」。
中はほとんど「戦争博物館」。
シェイクスピアの地元のストラッドフォード・アポン・エイヴォンにほど近い「ウォリック城」。
コレは「ヨーク城」。
ヨークは下のような城壁がキレイに残っている。
よーくできました…ナンチャッテ。
ヨークは大聖堂の他、見るところがたくさんあって楽しい。
ところ替わってロンドン。
ビッグ・ベンと国会議事堂が遠望できるロケーション。
この右の建物も「ランベス城」というお城。
見た目はパッとしないけど、カンタベリーの大主教がロンドンに来ると今でも必ずココに宿泊するらしい。
カンタベリー大聖堂はイングランド国教会の総本山でその大主教といえばもうトップですから。
戴冠式の時、王冠を授けるのもカンタベリー大主教の役目。
2番目にエライのは上に出て来たヨーク大主教。
で、このランベス城の辺りは19世紀の終わり頃までは大変に治安に悪いところで、ウィリアム・マイナーというアメリカから来た男がこの辺りで人を殺してしまった。
そのマイナーが収容された精神病院から投稿し続けた英単語の情報のおかげもあって世界最高の辞書である「オックスフォード英語辞典(OED)」を完成させることができたというのは有名な話。
コレは山谷の「あしたの城」、じゃない「あしたのジョー」。
コレは「ロンドン塔」。
かつては城だったが、後に色々な用途に使われ、しまいには監獄や刑場として利用された。
ココの中で首を落とされた7人のウチのひとりがヘンリー八世の2番目の奥さんの「アン・ブーリン」。
いかにもお城みたいなデザインだけど、コレはサウス・ケンジントンにあるジミー・ペイジの家。
かつては俳優のリチャード・ハリスの家だった。
そのジミー・ペイジの家のすぐ近くにあるのが「ケンジントン宮殿」。
宮殿と城の違いはどちらも偉い人の住み家という意味においては違いがないんだけど、戦争に備えた設備があるかどうかで違ってくる。
ココはウィリアムとキャサリンが住んでいるところね。
コレはどうよ?まるでお城。
コレはオックスフォードのウッドストックというところにある世界遺産の「ブレナム宮殿」。
ウィンストン・チャーチルの実家。
実家が「世界遺産」ってのはいかがなものか?
ウチも古さにかけてはそう負けていないのだが…。
そして、これもかつては家だった。
立場が微妙になった枢機卿のトマス・ウルジーがヘンリー八世のゴキゲンを取るために「どうぞ、どうぞ!」と献呈した「ハンプトン・コート宮殿」。
ヘンリー八世はココを終の棲家とした。
下は何番目かの奥さんが冬の天気の悪い間退屈しないようにと家の中に作った「ギャラリー」。
これが今も「ギャラリー」と呼ばれている設備のはじまりだったらしい。
さっきAyaさんがMCで触れたように、このギャラリーにはそのヘンリー八世の5番目の奥さんのキャサリン・ハワードが化けて出ることが世界的に知られている。
私が行った時はいなかった…ヨカッタ。
他にも3番目の奥さんのジェーン・シーモアも出るらしい。
ヘンリー八世と六人の妻についてはコチラをどうぞ。
↓ ↓ ↓
【イギリス-ロック名所めぐり】vol.28~ヘンリー八世と六人の妻 <その1>(全5回)
脱線終わり。
続けて演奏したのは「Silky」。
Ayaさんが奏でる幻想的なキーボーズ…コレがMCで触れていた深い森。
その森に広美さんのギターが迷い込む。
ボトルネックがとてもいい効果を出していた。
もちろんこの曲も次々と光景が変化していって壮大なストーリーを組み立てていく。
Ayaさんの弾くシンセと広美さんのギターの掛け合いもスリリング!
堀江さんのドラムスが猛然とダッシュするのは「Ominous Dragon」。
「Ominous」とは「不吉な」という意味。
曲調はゼンゼン不吉ではなくて、Ayaさんのシンセサイザーが会場内を駆け巡る爽快なドライビング・チューン。
ギターとベースのユニゾンのピックアップ・ソロもバッチリ。
そりゃ広美さんとまりおさんもノリノリだ!
ビッシリと音符を敷き詰めたようなAyaさんが弾くパートが素晴らしい。
続いては「Fairies on the Eastern Green」。
三連のグルーヴの勇ましいナンバー。
妖精に関する様々な本を著したキャサリン・ブリックズというイギリスの民俗学者がいた。
私は妖精はやっていないのでAyaさんに教えて頂いて初めて耳にする名前なんだけど、この方の著書『妖精Who's Who(Abbey Lubbers, Banshees and Boggarts)』に出てくる「東の原の妖精たち」をテーマにした曲。
イングランド南西部のコーンウォールの北にある村がこの物語の舞台だそうだ。
炭鉱夫のお弁当の「コーニッシュ・パイ」のコーンウォールね。
その『妖精Who's Who』に登場する魔物や妖精にちなんでつけられた題名の曲がセカンド・アルバム『Resurrection』に収録された。
広美さんの少々エキゾチックなギターも大活躍。
この曲も全パートをフィーチュアした圧倒的な演奏。
それだけに会場も大いに盛り上がった。
客席からは「カッコいい~!」の呼び声がかかった!
Ayaさんのア・カペラのソロ。
シンセサイザーから始まり、ほどなくしてオルガンにスイッチ。
リチャード・ロジャースの「My Favorite Things」のクォートするサービスも!
オルガンと来ればレスリー・スピーカー。
やっぱりサウンドがゼンゼン違うからね。
え、コレじゃない?
そう、Ayaさんの奥。
シュインシュインとスピーカーが休むことなく回り続けている。
速くなったり、遅くなったり…コレ、見てるとオモシロいね。
スピーカー自体を回転させてしまうなんて無茶なアイデアをよく思いついたものだ。
そして、こんな大きくて重いモノを持ち運んでいらっしゃる皆さんもスゴイ。
コレはね、ギター・アンプでいえば真空管アンプですよ。
重いし、メンテナンスも面倒だけど、良い音のためには仕方ない。
どんなに取り扱いが大変でも、お金を払って見に来て下さるお客様にはホンモノの音をお聴かせしたい!…というのは演奏家の当然の振る舞いでしょう。
だから「様式美」なのだ!
そんなレスリー・スピーカーを駆使して魅惑のフレーズを弾き重ねていく。
しまいには鍵盤にヒザを乗せ、身体全体で操作して大いに会場を沸かせた!
文字通りAyaさんが壁側を向いて背後にセットした楽器を操る。
曲は「Overturn」。
コレまたどこまでも突き進むドライビング。ナンバー。
堀江さんのドラミングがすさまじい!
でも曲が短い…もっと聴きたい!
続けての「The Chaos」はAyaさんの静かなピアノから始まった。
「chaos」は「カオス」じゃありませんからね。
「ケイオス」ですからね。
Ayaさんは、混沌としたコロナ禍での不安やフラストレーション、挫折、そして会えなくなってしまった人たちへの哀しみなどをこの曲のテーマに据えた。
ご自身で大変気に入っている曲だそうだ。
おお!この曲もギターとベースのディミニッシュのキメがカッコいい!
「イギリスの風景が思い浮かびましたか?
亡霊やドラゴンがたくさん出てきました。
今日も販売しておりますセカンド・アルバムの『Resurrection』には2つ歌入りの曲が入ってます。
一方、ファースト・アルバムには3曲入っています。
歌入りの曲が合計5曲あるんですが、歌ってくださっているのはDead Eyed Spiderの千田忠彦さんです。
そしてウチ2曲は今日の主催のJILL岡垣先生が書き下ろしてくださった名曲でございます。
そして堀江さんがそのセカンド・アルバムから参加してくださってます。
堀江さんは最近、『女子高生命』から『熟女推し』になったそうで…。
熟女の皆さん…そんな堀江さんがドラムスを叩いているアルバムをぜひぜひお買い求めください!
英国王室御用達の紅茶やハロウィンのお菓子もプレゼントしますので、ステージが終わったら物販の方に会いに来てください!」
そして、最後に演奏したのは泣く子も黙る…であろうゴリンゴリンのブギ!
うれしいな、ブギは。
若い人たちの間ではほぼ絶滅しているリズムですからね。
そんな私の好みを見透かしてくれたような4人の素晴らしい演奏だった。
こういう音楽はやっぱりスキ!
Aya Projectの詳しい情報はコチラ
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☆☆☆Marshall Blogからのお知らせ☆☆☆
Marshall Blogの索引『Marshall Blog INDEX』を作りました。
通称「マー索くん」。
過去2,200本に上る記事のタイトルすべてをアーティスト順やカテゴリー順に並べ、リンクを施しました。
調べごとに利用するもよし、マーブロ・サーフィンするもよし、ゼヒご活用ください!
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左の列から行~っちゃって。
☆☆☆Marshall Music Store Japanからのお知らせ☆☆☆
「関西出身」&「インストゥルメンタル」ということで…。
日本が世界に誇るインストゥルメンタル・バンド、D_Drive。
<だるまさんは転ばない(Red Light, Green Light)>
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<Thmbs Up>
<Begin Again>
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