【Marshall GALA2】vol.6:GOTWEE3 with KAZUE AKAO
「Take it away, PON!(まかせたぞ、PON!)」
PONさんのドラム・ソロでスタートした5番手、GOTWEE3 with KAZUE AKAO。
ココいらへんでNATALサウンドをフィーチュアしておこうと思ってPONちゃんにドラム・ソロをお願いした。
PONちゃんのハデで豪快なドラミングは絶対にその目的を果たしてくれることを確信していたが、果たして結果はその通りとなった!
もうね~、この遠慮のない暴れようが大好きなのです。
コレが『Marshall GALA2』後半一発目のGOTWEE3 with KAZUE AKAO。
『Marshall GALA』でしか観れない豪華組み合わせ!
ノンちゃん、オガンちゃん、PONちゃんの3人が「Gotwee3」の名の元、タッグを組むと聞いて色めき立ったのは1年チョット前のこと。
「渋谷のライブハウスに出る」というのでさっそくカメラを持って観に行った。
しかし…アレからもう1年かよ。
ま、最近は1年ぐらいの「時の流れの早さ」にはそう驚かなくなったけどね。
ま~、その時もスゴイ演奏だった。
小さいお店だったので完全に生Marshall、生NATAL、生EDEN(「生エデン」なんていうとナンカ食えそうだな)。
音もすさまじかった。
Van Halenやゲイリー・ムーア、「Madrake Root」や「Wring That Neck」等の古いDeep Purple等のレパートリーもヨカッタ。
そして、すぐに頭に浮かんだのが『GALA2』のこと。
その時より6か月前には『GALA2』の開催日が既に決まっていて、出演者の構想を毎日練っていたからね。
メンバーはみんな仲良しだし、言うことなし。
何しろオガンちゃんはHandwiredシリーズの発表会の時からのお付き合いなのでカレコレ15年になるし、ノンちゃんは1959HWの発売の時だから2006年からことあるごとにご一緒させて頂いて来た。
そんな2人にNATALのトップエンドーサーの1人であるPONちゃんが加わっているんだから、もう一種の私のドリーム・チームだったワケ。
ただ、やっぱり専門のシンガーに歌ってもらいたいな…という希望があった。
『Marshall GALA』って放っておくと、やたらインストゥルメンタルになっちゃうんですよ。
器楽演奏の名人芸と楽しい歌モノをいい具合に混ぜているつもりなのが『Marshall GALA』のプログラムなんです。
ゴッツイ3人と渡り合えるシンガーのアイデアは瞬時にして浮かんだ。
問題はその人が受けてくれるか否か。
GOTWEE3の皆さんの了解を取った上、すぐに連絡をしたのがクルベラブリンカのCazさん。
「私なんかでよければ」…と殊勝なお言葉を頂き、即決定。
後は演奏を楽しみにしていればよし…と。
そして、当日…。
1曲目はRitchie Blackmore's Raibowの『虹を翔ける覇者』から「Do You Close Your Eyes」。
コレはうれしかったね~。
実はこの曲は私のリクエストだったのです。
イヤ、「リクエスト」したという意識が私にあったワケではなくて、Cazさんやノンちゃんが集まれば当然Deep Purple系のレパートリーになることが容易に予想されるので…「他のコピー・バンドがあまり取り上げていない曲を選んで頂けたらうれしいですね~。例えばパープルなら『Mary Long』とかレインボーなら『Do You Close Your Eyes』とか」…なんてことはお伝えした。
もうひとつ、「少なくとももう『Burn』だけは止めて欲しいです」…コレはハッキリ言った。
やっぱり基本的には「他では観れないこと、聴けないこと」を演るのがMarshall GALAとしているもんスから。
そういう意味ではガーシュインの「Fascinating Rhythm」をCazさんの歌で…なんてのはメッチャ聴いてみたいな~。
そしたら、Cazさんがこの曲を選んで歌ってくれた…というワケなのです。
ノンちゃんのソロ。
使用したMarshallは愛用のMAJOR1967。
スゲエ音よ…ハッキリ言ってデカいわ!
でもちっともうるさくない。
リハの時には若いギタリストがMarshallの前に集まって来てノンちゃんの出す音をジックリ聴いていたからね。
ノンちゃんもGALAは2回目。
今回はリッチー役で実に楽しそう!
オガンちゃんも楽しそう。
ナ~ニ、方向が違うバスに乗ってしまってリハの時間に間に合わなかったなんて、言わなきゃ誰にもわからないって!
もちろんCazさんも!
胸のすくような熱唱が最高に気持ちいい!
やっぱりこういう演奏はイスに座ってジックリ味わいたいよ。
1曲目が終わった後の大きな拍手や歓声がそれを物語っていたね…間違いない。
昔はこうやって「音楽を聴くために」コンサートへ行ったもんです。
しかし、いつから今みたいになっちゃったんだろうね~。
2000年だったかな~?ジェフ・ベックが来日した時、DSLでサポートをしてショウを拝見させてもらったんだけど、演奏が始まった瞬間にみんな立ち上がったのには驚いたね。
ハァァァ?…ジェフ・ベックの音楽で、一体何の必要があって立ち上がるのかがわからない…いまだにわからない。
数年後のクラプトンとのスーパーアリーナやJCBホールの時にはみんな座っていたけどね。
2曲目は同じくRainbowの『虹を翔ける覇者』から「Stargazer」。
しかし…単なる『Rising』という原題からよく『虹を翔ける覇者』なんて大仰な邦題を導き出したよな~。
ま、前作の『銀嶺の覇者』つながりなんだろうけど。
「銀嶺の覇者」なんていうと、我々世代ではトニー・ザイラーとか、ジャン・クロード・キリーとか、ロジ・ミッターマイヤーとか、そんなイメージもあるぜ。古いな~。
チョット脱線しますが、来年オリンピックじゃない?
我々が小学校4年生の時に、札幌に冬季オリンピックが来たのね。
開催の前の数か月間、毎日毎日、来る日も来る日も、学校でトワ・エ・モアの「虹と雪のバラード」ってのを歌わされたんだよ。
ウンザリするぐらい。
言っておきますが私が通っていたのは東京の学校で、札幌なんでラーメンの他には何の関係もないのに…ですよ。
アレは子供時代の「Burn」だったナァ。「耳にタコ」どころじゃなかった。イボも魚の目も出来たわ。
今聴くとヤケクソにいい曲なんだけどね。私と同世代の人ってほぼ全員今でも歌えるんじゃない?
そして今、来年のオリンピックに備えてのそういうみんなが歌える曲なんてのがあるのかしらん?
今、世間では音楽が盛んなようなフリをしているけど、この国における「音楽の力」っていうのはその頃に比べてどうしようもないぐらい脆弱になったな。
PONちゃんのフィルに…
ノンちゃんの長い長いピック・ポルタメントがかぶさる。
やがて、オガンちゃんのヘビー級の重低音が加わる。
なんてGOTWEEんだ~!
Cazさんもいい加減スゴイ!
このパワー!
「Cazさんが歌う『Stargazer』を聴きたい」と誰かが言っていたのを覚えているんだけど、なるほど、逸品ですわ。
スゴイ迫力なんだけど、丁寧に丁寧に情感を込めて激唱するCazさん。
アッという間に最後の曲。
PONちゃんが導き出す3連のリズムに合わせてノンちゃんが「Long Live Rock'n'Roll」を弾き出すと、Cazさんが「ウン、それでもエエけどね!」なんていう場面があって…
2つ前にGENKIさんとKellyさんがLed Zeppelinの曲を演奏したでしょ?
我々は何てことなしにLed ZeppelinもDeep Purple等のハードロックを聴いているけど、コレ、Marshallがなかったらこの世に存在しなかったであろう音楽なんだよね。
あるいは似ていて非なる音楽になっていたかも知れない。
一説によるとハードロックのアイデアはジェフ・ベックによるもので、それをパクったジミー・ペイジにジェフが激怒したとか…。
こうしたハード・ロックはMarahallが生み出す大音量と魅力的なディストーション・ギター・サウンドなくしてはあり得ない音楽だから。
ま、その前にThe WhoとかSmall Facesとかの音楽が伏線があったことは言うまでもないんだけど、それもまたMarshallがあってこそ実現した音楽なワケだからね。
でも、そうしたクリエイティブなアーティストがいたからこそ、Marshallが役に立ったこともまた事実。
いい音楽がなければ、また弾き手がいなければ、Marahallなんて黒くてい重いただのデカいハコなんだから。
そうしたすごいオリジナリティ同士が化学反応を起こしてできた音楽がハードロックなんだねェ。
そこへいくとデジタル機器は楽器ではなく機械なので、スタートが「モノマネ」でしょう?
「Marshallにソックリな音が出る」とか「よそのアンプの音を保管しちゃう」…みたいなね。
便利かもしれないけど、それじゃ悲しくない?寂しくない?
オリジナリティをもっとも表現しやすい音楽が「ロック」なんじゃないの?
この世にデジタル機器しかなかったら「Stargazer」も「Black Night」も聴くことができなかったハズ。
ところで、あの『イエスタディ』って映画観た?
ビートルズがいない世の中になっちゃうヤツ。
アレのMarshall版を誰か作ってくれないか?
私にとってあの映画の中で最も感動的なのは、ビートルズのことを知っている夫婦が主人公を訪ねて来るシーン。
怒られて真実をバラされるのかと思って主人公がビビっていると、「ドンドン演ってくれ」と頼まれる。
そして訪ねて来た夫婦がこう言う「ビートルズのいない世の中なんてツマらない」。
「Marshallがない世の中」がどんなだか考えたことがありますか?
え?静かでいいって?…そ、そんな。
私は少なくとも職を失うナァ。
イヤ、そういうことではなくて…PurpleもZeppelinもない世界へ行ってみろってんだ!
『イエスタディ』についてはまた別の機会に取り上げさせてくださいまし。
アクションも軽やかに徹底的にリッチーを演じ切る!
私はね、地球温暖化も心配なんだけど、もしリッチー・ブラックモアに何かあった時のノンちゃんが心配なのだ!
タンバリンを振って更に雰囲気を盛り上げるCazさん。
やっぱりNATALコンガが必要ね?
もうチョット待ってて!
3連はオガンちゃんの得意パターンだ!
スゴいグルーヴ感!
これが世界のオガン・ベース。
またクリス観たいな~。
PONちゃんのスネア・サウンドも聴きものだった。
NATALんのMETAというシリーズのアルミシェル。
サイズが14"×8”!
ノンちゃんもオガンちゃんもステージ狭しと暴れまくったよ~。
こんなん、他では絶対に見れません!
イヤ~、スゴかった。
ま、こうなることは想像に難くなかったけど素晴らしい演奏だった!
拍手や歓声も予想以上の大きさだった。
「あ~、いい湯だった!」みたいなお客さんの満足感が十二分に伝わって来たな。
皆さん、私のワガママにお付き合いくださって本当にありがとうございました。
ココのインタビュー・コーナーは転換の都合でチョット長めに時間を取らせて頂いたよ。
GOTWEEの4人もバッチリそれに対応してくれた。
オガンちゃんは前回、イの一番にオファーをしたのだが、クリス・デュアルテのグループの全米ツアーに参加することがキマっていて断念。
今回、初登場と相成ったが、バスに乗り間違えてリハ遅刻。
「イヤ~、東京わからへんのですわ~」
ナニ言ってんの!月の半分ぐらいは東京で過ごしているでしょうに!
…と思ったけどいつも車だから公共の交通機関には弱いのかな?
今回、物販コーナーには出ていなかったけど、オガンちゃんの最近作。
元クリスタル・キングのキーボード・プレイヤー、今給黎博美(いまきゅうれいひろみ)さんとドラムスの常松満蔵さんのトリオのアルバム『LOCK LEAD』がよい。
プログレッシブ・ロック風味からパット・メセニーの世界を思わせる心地よい音まで、オガンちゃんのボーカルズまで楽しむことができる。
ちなみにジャケットのイラストはオガンちゃんのお嬢ちゃんの作品だ。
また、今給黎さんはCMソングの作曲でも活躍されていて、「♪ハッピー・ライフ、ハッピー・ホーム、タマホーム」は氏の作品。
『北斗の拳』の「ユリア・・・永遠に」なども手掛けている。
「音が大きかったでショ?あのね、真ん前の人が耳をふさいでいた。日頃からそれを狙ってるんです。座席にお客さんをノメリ込ましたいんです。だから今日は大成功です。
でも、今日は少しボリュームを下げたんですよ!
赤尾さんが歌うから…赤尾さんの声がMarshallですから!」
そう、同じMarshallでもノンちゃん同様MAJORね…200W。
ノンちゃんは新しいシンガーを加えてレコーディングしたセルフ・カバーアルバム『OUROBOROS』を持参。
このアルバム、勝手ながら「バンドの声が変わると音楽がこうも変わるのか!の好例」と紹介させて頂いたが、大評判なのだ。
PONちゃんはココのところBLIND BIRDの直志さんとFEEL SO BADの冬樹さんという2人の盟友を失ったという話。
残った我々で盛り上げていきましょう!
例のNATALのスネアも紹介してくれた。最初に登場したTHE CORAL CANDIESのシンガー、大山まきちゃんが持って来た『MONSTER』というフル・アルバムのドラムスはPONさんが叩いている。
オリジナル曲のまきちゃんもとってもいいからね。
このコンビでいつかMarshall系のイベントのステージに立ってもらいたいナァ。
そして浮世のウサをすべて吹き飛ばすかのような熱唱を聞かせてくれたCazさんのクルベラブリンカは『The Deepest Place』が最新作。
ジャケットは赤尾画伯によるもの。
いいんだぜ~、コレ。
こういうね、ギターのリフがあって、野太い声の歌があって、ギター・ソロがあって、リズム隊がヘヴィな音楽を「ロック」っていうのよ。
こういう音楽をシッカリ残していくのがMarshallの使命だと思ってましてね。
コピーじゃダメなの。
こうしたオリジナル曲をもってしてこそ「伝承」ができると私は考えている。
だってコピーは絶対にオリジナルを超えられないんだもの。それならオリジナルを聞いていた方がいいにキマってる。
そして、クルベラブリンカのファースト・アルバムも持って来てくれた。
今でも頻繁に実際のステージで取り上げられている収録曲のベースをこのアルバムで弾いているのはオガンちゃんだからだ。
そして、Ritchie Blackmore's Rainbowのお話。
私は中学2年生の時に武道館に観に行った。コレが生まれて初めての外タレのコンサートだった。
Cazさんも大阪でその時の来日公演をご覧になっている。
小学生の時だったそうだ…知らんけど。
なんでもCazさん、Sweetも観てるっていうじゃない…それでRainbowが小学生?
そんなの計算がおかしくないかしら?…知らんけど。
Sweet観たかったナァ。
チョット脱線で…このコンサートプログラムの中ね。
年明けにLynyrd Skynyrdにロビン・トロワ―が来るってよ!
チッ、両方見逃したゼ!
いい時代だったナァ。
1976年、今から43年も前の話だ。
「安全バンド」の新作が宣伝されているのは、この時Rainbowの前座を務めたから。