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2016年11月24日

2016年11月24日 (木)

Sound Experience 22~ Strange,Beautiful and Loud編

毎度おなじみ三宅庸介の『Sound Experience』。
今さら説明は不要だろう。
ナニせ今回で22回目!  
今回はStrange,Beautiful and Loudと足立祐二率いる3 tea 3のダブル・ヘッドライナーだ。
断じて「ツーマン」では断じてない。
「ダブル・ヘッドライナー」だ。
おかげさまでMarshall Blogも意地を貫き通して、最近では「『ツーマン」という言葉はおかしい」という賛同のご意見を頂戴するケースが増えてきた!
せっかく「ダブル・ヘッドライナー」って言っていたのに「ツーマン」に戻っちゃった人もいるけど…ネェ~、Sさん!
せっかく止めたタバコをまた吸いだすようなもんですぞ!
滑稽なのは「Two Man」とアルファベットで表記したりしているケース。
何でも貪欲に吸収しちゃう日本語のことだからして、「ツーマン」をもはや純粋な日本語として捉えるのならまだしも、間違えた英語をアルファベット表記するのは二重に恥ずかしい。
ま、とにかく一度張った強情は最後まで貫き通すぞ!
次は「参戦」だな…。
そうそう、アーティスト・グッズなんかを指して「戦利品」なんて呼んでいるのを見かけるけど、アレもすごくイヤな気分になるナァ。
戦争に関する本を何冊か読んでみるといい。
「戦利品」とはナニか、どうやって手に入れるか…。戦争が民間人に一体何をもたらしたのか…。
史実を知ったらたちまち「戦利品」なんて言葉を軽々しく使えなくなるハズだから。
イカンイカン、また書いているうウチに燃えてしまった!
  
林先生ほどではないけれど、私は言葉に関するウンチクが結構好きでしてネェ。
先日KRUBERABLINKAの赤尾和重さんと英単語に関することをメールでやり取りしていて、スゴイことを教わっちゃった!
その内容はTerra Rosaのライブ・レポート(gig review)の時にでも!

Img_0001三宅庸介

S41a0007 山本征史

S41a0011金光健司

S41a0041この黄金のトリオ、あるいは「魔のロック・バミューダ」が奏でる三宅ミュージック。
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楽器の重要な成分を占めるのはMarshallと…

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NATALで構成されている。

S41a0338今日の1曲目は「Ring」。
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三宅さんの作品の中でも作るのに最も時間を要した曲だという。
ギター一本の指板の中にどれだけのメロディーやハーモニーの可能性が潜んでいるか…ということを探求したというのだ。
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その作業は本当に少しづつ、細心の注意を払い、何度もやり直しながら進められたそうだ。
その甲斐あって、曲の構成の面でも、ありがちなのロック・インストとは全く違うとても独自性の強い曲に仕上がっている。
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この3人で演奏した三宅さんのセカンド・アルバム、『orchestral supreme』の収録曲の中でも「マジカルなテイク」として自身もとても誇りに思っているとお聞きした。
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続いて「mani」。
征史さんと並走する重く暗いリフ。
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「70年代初期のマーキー・クラブ」が曲のイメージ。すなわちハード・ロックがものすごいスピードで熟成されていた時期だ。
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この曲を演奏する時の心構えは「バンドでどれだけリズムの伸縮を表現できるか」ということだそうだ。セクションごとにテンポが変わり、それぞれに適切なムードを与えられるか?ということを頭に入れて演奏している。

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いつも通りの緊張感の中、3曲目に移る。「bloom」だ。
レパートリーの中では古い部類でSBL以前から演奏している、双方も含めて三宅エキスが詰まった曲。
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ソロの後半に繰り返されるアルペジオなんかは20歳の時から取り入れている弾き方で、三宅さんの特徴的な弾き方のひとつだ。
「弾き方」と聞いてチョット思ったんだけど、三宅さんの左手、指板への親指の乗せ方が深いとは思わない?
どんな時でもグッと握りこんじゃうの。
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 まタマにはこういうのもある。
これは思い切りアームダウンして弦を動かしているから指をフィンガー・ボードから離している。

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ホラまた、ギュッ!
2弦の5フレットをチョーキング(へへへ、ここは「ベンド」って言わないの。人間が古いから)する時ってこんなに握らないんじゃない?
親指が長いのかな?

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…と思って、昨日おとといと三宅さんと一緒になったので、手を見せて頂いた。
親指が長いのかと思ったらさにあらず。
それよりも手の甲が長いというか、親指のついている位置が下の方というか、手のひらが細長いということだけは言えそうだ。
ちなみに、ガバっとネックを握るのもジミの影響かと思ったら、それは関係ないそうだ。

9_2img_2970 この汚い手はワタシ。
三宅さんのと違って横幅が広くなんと不格好のことよ!
この親指の付け根がシッカリしているのは「お金が入ってくる手」と言われているけど、ウソこけ!
まったく入って来ねーじゃねーか!

Lf

 


4曲目の「devil」は比較的新しい曲。
この曲も「Ring」に似た発想で作らている。
「リフがあって、ハイ、次はメロディ」という展開の形を採らず、リフそのものを大きなメロディとして捉えているという。
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ココでも既成のロックにとらわれない三宅さんの気概が見て取れる。
しかし、それは決して奇を衒ったモノではないところがスゴイところだ。
ま、こういう音楽を聞き慣れていないとなかなかそうは感じないかも知れないけど…。

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リフの弾き方についても「Ring」に倣ったところがあるそうで、それはとにかくMarshallでストラトキャスターを鳴らす楽しみであり、『限りなき探求(Infinite Research/Miroslav Vitous…ギターはJohn McLaughlin)』なのだそうだ。
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そう、このトリオって3つの楽器のうち、2つMarshallから音が出ているせいか、ものすごく音色のコンビネーションがいいんだよね。

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もちろん金光さんが叩くNATALのサウンドもすごくキレイに溶け込んでいる。
ちなみに…邦楽の打楽器は「叩く」とは言わないで「打つ」と言います。
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「♪シャ~バダ~、シャバダダダシャバダダダ、シャ~バダ~、シャバダダダシャバダダダ」…コレな~んだ?
クロード・ルルーシュの『男と女』の主題歌。主演はジャン・ルイ・トランティニアンとアヌク・エーメ。
作曲したのはフランシス・レイ。
今の若い人はフランシス・レイなんて知らないだろうな…。
フランス映画をあまり観ない私でもココまでは知ってるけど、もうひとり、この映画の音楽を担当しているのがブラジルのギターの大名手、バーデン・パウエルだったとは知らなんだ!
フランシス・レイは『パリのめぐり遭い』、『白い恋人たち』、『雨の訪問者』、『ある愛の歌』といったフランス映画を代表するような作品の音楽を担当し、数々の名曲を残した。
『なつかしの映画音楽』みたいなコンピレショーン・アルバムには必ず何曲かが収録されるであろう大作曲家だ。
フランス映画についてはまたどこかで触れることにして、今日は先を急ぐ。
さて、三宅さん自身も「大切な曲」と呼ぶキラー・チューンで、必ずステージで演奏される曲がこの日の5曲目「if」だ。
「if」もフランシス・レイもご存知の方はにわかには信じられないであろうが、三宅さんは子供の頃から大好きだったというフランシス・レイの影響が強いのだそうだ。
  
チョット思い出したんだけど、上に挙げた『白い恋人たち』という作品は原題を『13 Jours en France』と言って、「フランスにおける13日間」という意味で、1968年冬のグルノーブル・オリンピックの記録映画だった。
この大会で滑降、大回転、回転で金メダルを獲得したジャン・クロード・キリーが世界的大スターになった。小学校に上がるか上がらないかの私でも名前を知っていたぐらい。
それで、その次が1972年の札幌よ。
この札幌オリンピックの主題歌で「虹と雪のバラード」ってのがあってね、この曲を小学校の音楽の時間に徹底的に歌わされた。
「みんなでこの曲を歌ってオリンピックを迎えましょう」…みたいなヤツだ。今では信じられないでしょう?
あんまりコレばっかりやらされすぎて、当時この曲がものすごくキライになったよ。
東京の小学校だけかと思って家内に尋ねてみたところ、横浜でもさんざんやらされたそうだ。
そもそも、オリンピックは札幌で開催するなんだから東京や横浜の子は関係ないだろうに。
おかげで家内も私も今でも歌えるよ。
でも、へへへ、今聴くと実にいい曲だナァ~。昔の曲は本当にヨカッタ。今の巷の曲とは土台クォリティが違う。
作曲は村井邦彦。
慶応のライトミュージックソサエティ出身で、数々のGSのヒット曲を世に送り出したアルファ・レコードの創設者、つまりYMOの生みの親だ。
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繰り返されるメロディと下降するコード、そして曲の後半では更にメロディも一緒に動いてドンドン転調していく。
「同じ場所にいながら過去の様々な出来事を思い出してる…そんな世界観が創れたんじゃないかと思っています」というのは本人弁。
曲を作りながら「オルゴールで聴くような曲」という発想を交えたそうだ。
中間部のリフやソロのパートには伝統的なブルース・ロックの施法を挿入した激しいワルツだが、三宅さんの作品の中ではもっとも親しみやすい曲であろう。
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この曲では征史さんのすさまじいアクションも見逃せない。

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アタマを激しく前後に揺さぶるサマにはいつも鬼気迫るものを感じる。

2_img_0079「作曲」という作業と「演奏」という作業をを切り離して作った曲…というのが「petal」。
その時、人生で「作曲をする」という言葉を最も意識したというだけあって、三宅さんもかつて愛奏曲のひとつに挙げていた。
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曲は大きく分けて4つのパートで構成されており、「A」のパートのメロディとソロの前半のそこかしこにGary Mooreの影響が表れている。
「今も好き」というGaryは、三宅さんの子供の頃からのギター・ヒーローだ。そういえば、Garyがなくなった時もいち早く私に情報を発信してくれたのも三宅さんだった。
それにJim Marshallの時もそうだった。
あの時、私はすでに前職を辞していて、Marshallとは何の関係もなくなっていた時期であったが、三宅さんは私の気持ちを慮って世間が騒ぎ出すよりはるか前に連絡をくれたのだった。
私は夜更かしができないので、時差のある海外での出来事に関する情報にはどうしても出遅れてしまうのだ。
それで、この「petal」には、子供の頃に持っていたGaryに対する「なんて素敵なメロディーと表現!」という印象を素直に反映させた。
2つのパートでは、Marshallの三宅さんが「クリーン」と呼んでいる浅いクランチがとても重要で、Marshallのトーンあってこそ具現化した曲という感覚が強いそうだ。
ここでもGary Mooreの薫陶を受けているに違いない。
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レギュラー・グリップの金光さん。
三宅さんの意図を酌んだサトルな表現が素晴らしい。

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そして「murt'n akush(マラケシュ)」。
「ストラトキャスターで低音弦を使ったリフ」という着想で作られたこの曲は5/4拍子。
リフを弾いた時からすでにこのリズムが決められていた。
アウトロのワルツ以外は全て自然な5拍子でまとまった。
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「if」やこの曲、さらに「mani」や「Ring」は特にリズム隊の2人とどれだけ楽しみ、そして挑発しながら演奏できるか?というテーマも含まれている。
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当然、作曲する時も2人のプレイを完全に頭の中で描いて作業が進められた。
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その結果、リズムの骨格がクリアに浮き出ることとなった。
作曲者自身もその仕上がりに満足しているようだ。

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今回のクローサーは「virtue」。
今演奏しているレパートリーの中では「bloom」と並んで一番古い曲。

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キャリアのある曲だけあって、SBLのステージでもとりあげられる頻度が高い。

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それだけに猛り狂う溶岩のような猛烈な演奏が楽しめる一作。
この日もスゴかった!

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三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Official Blog

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<3 tea 3編>につづく

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1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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※本日は祭日ですが更新しました。その分、Marshall Blogは28日の更新をお休みします。

(一部敬称略 2016年9月29日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)