MATS LEVIN featuring JIEN TAKAHASHI~FACING THE ANIMAL TOKYO 2025<後編>
マッツとジエンくんの『Facing the Animal』再現ライブのレポートの<後編>はMarshall Blogらしく学識豊かにスタートしようではないか。
下の美しい庭園は駒込にある「六義園(りくぎえん)」。
第五代将軍「徳川綱吉」の側用人にして大親友だった「柳沢吉保」の庭園だ。
実はこの庭は今でいう「テーマ・パーク」になっている。
ナニをテーマにしているのかと言うと…それは「和歌」。
「万葉集」や「新古今和歌集」に詠われている和歌にインスパイアされて庭園をデザインしたという。
その内のひとつが新古今和歌集のこの歌…
和哥の浦に月の出汐のさすまゝによるなくたづのこゑぞさびしき
この歌を詠んだのは平安末期から鎌倉時代初期の天台宗僧にして歌人の「慈円」だ…コレが言いたかっただけである。
さて、ステージでは順調にプログラムが消化されていく。
インストゥルメンタルの小品なれど、ジエンくんが思い入れタップリに美しいメロディを紡ぐ「Air on a Theme」。
そのよく歌うギターのサウンドを出しているのはMarshall。
ヘッドはジョー・サトリアーニのシグネチャー・モデル「JVM410HJS」。
スピーカー・キャビネットはMODE FOURシリーズの「MF400A」と「MF400B」。
Kohtaくんのピアノから始まるバラード「Like an Angel – For April」。
当たり前だけど、マッツの声はバラードでも素晴らしい。
声を聞いているだけでもホントにグッとくるわ。
マッツの歌にギターで泣いて応えるジエンくん。
イングヴェイが愛妻「エイプリル」に捧げた1曲。
コレはMarshall Blogに何度も書いたことだけど、私は今はなき「赤坂BLITZ」が山の上にあった頃から来日時のイングヴェイをMarshallでサポートしていて、厚生年金会館やら日本青年館やらロンドンのウェンブリー・アリーナやら、色々なところでご一緒させて頂いた。
とりわけ印象に残っているのは2009年にディープ・パープルとのダブル・ヘッドライナーで来日した時のこと。
後に「YJM100」となるイングヴェイのシグネチャー・モデル最初の試作機を本人に見せにMarshallのエンジニアと一緒に東京フォーラムに行った時のことだ。
試作機のチェックやリハーサルが終わって本番までの間、楽屋でマルムスティーン家の皆さんとご一緒させて頂いた。
ご夫婦はとても仲がよく、イングヴェイは色々な話をしてくれるし、エイプリルもとても親切だしでアレは忘れることのできないとても楽しい1日となった。
さて、ステージの方はというと…2人の「Like an Angel」の感情のぶつけ合いはショウを通しての大きな見どころのひとつになっていた。
マッツが「On guitar, Jien Takahashi!」とジエンくんを紹介して「Only the Strong」。
ミディアム・テンポに乗ってジックリとマッツの声に酔いしれる。
ジエンくんも容赦ないプレイを突っ込んで来た!
美河さんのドラムスから…
『Facing the Animal』のクローザー「Casting Pearls before the Swine」。
名盤の最後を飾るにふさわしいパノラミックな1曲。
次から次へと変わっていく音の情景。
その様々なシーンが完璧なプレイで再現された。
ちなみにこの曲んタイトルの「Casting pearls before the swine」とは「ブタに真珠」や「ネコに小判」という意味だ。
続けざまに「Another Time」。
お客さんは大合唱!
マッツがジエンくんが持っていた小さな人形見つけて手にしているところ。
振ってみるとジャラジャラと硬貨が入っている音がする。
「コレは一体ナンだ?」ということでジエンくんが説明。
「ポムポムプリン」とかいうらしいが、マッツは大層気に入った様子だった。
本編最後のMC。
「次は『Facing the Animal』からの最後の曲です。
コレはイングヴェイからリフが入ったテープをもらって、スウェーデンの家に持って帰って聴いたところとても良い感じだったのでそれに歌のメロディと歌詞を付けたんです。
それでイングヴェイのいるマイアミで簡単なデモを作り、プロデューサーに聴かせたところ『スローすぎる。もっと速い曲の方がいい』とあまり感触が良くなかった。
ところが数日後、イングヴェイから電話があって、彼はこう言ったんです。
『あのデモ曲のタイトルを知ってるか?…[Facing the Animal]ってんだよ!』って」
つまりイングヴェイのツルのひと声でその曲が採用され、アルバムのタイトルにまでなった…という話。
「私はそれがとてもハッピーでした…そんな曲を最後にお送りします」
本編の最後を締めくくったのがアルバムのタイトル曲「Facing the Animal」。
全く手を抜くことがないマッツの魂を焦がすような熱唱と…
それを完璧に支える4人の名手たちの技で彩られたショウは最後までアッという間だった!
本編を終えた5人がアンコールで再びステージに姿を現すまでこんな話をお届けしよう。
ジエンくんが紹介してくれて、終演後マッツと2人きりで少し話をさせてもらった。
ちょうどいい機会だと思って気になっていたことをマッツに訊いてみた。
それは彼の「Mats」というファースト・ネームについて。
スウェーデンには「Mats-Morgan Band」という超絶技巧をウリにしたバンドがいて、当然マッツもそれを知っていて「Oh! They are crazy!」なんて言っていたが、この「Mats」という名前がスウェーデンでは一般的なのかどうかを教えてもらった。
マッツは「ホイ来た!」とばかりにとてもうれしそうに話してくれた。
「Mats」という名前はスウェーデンでは60年代生まれの人にやたらと多い名前で、マッツが小学校に行っていた頃はクラスには必ず何人かの「Mats」がいたのだそうだ。
ところが、1970年代に入るとスウェーデンでは自分の息子に「Mats」という名前を付ける親がピタリといなくなってしまった。
本当に「ゼロ・マッツ」になったらしい。
確固たる理由はわからないが、単なる流行りすたりだったらしい。
そんなこんなで彼とは歳が近いせいもあってとても楽しい会話になった。
マッツは1964年生まれで私より2歳若いが、下っ腹は全く出ていないし、髪もフサフサ、最後の最後まで声はバッチリ…実際の本人はその年齢より10歳以上若いのではないか?という感じだった。
そこへいくと自分のこの「おそマッツさま」ときたら!
マッツにその秘訣を問うとこういう答えが返って来た…「Young wife!」
さて、アンコール。
Kohtaくんのシンセサイザーがガツンとフィーチュアされる。
アンコールはマッツのキャリアを俯瞰するバラエティ・パック。
本編で『Facing the Animal』を再現するのはDAY1とDAY2の共通のプログラムだが、アンコールの演奏曲目はガラリと替えられた。
お客さんが快哉の声を上げたのは…
Vandenbergの「Hit the Ground Running 」。
演奏している方も楽しそうだ。
続いてはSwedish Eroticaの「Rock ‘n’ Roll City」。
まだまだ気合が入りまくるオリ―!
最後まで最高に力強いスティックさばきを見せてくれた美河さん!
マッツが叫ぶ「♪アーライッ!(Alrightのことね)」がカッコよすぎる!
「Tokyo rock'n' roll city!」
「いい人たちばかりだし、食べ物はおいしいし…日本最高!アーライ!」
最後のあいさつをして…
いよいよこの日最後の曲に取り掛かる。
At Vanceの「Fallen Angel」。
今回もギターに通訳に和歌にと大活躍だったジエンくん。
全編を通してのよどみないギター・プレイとMarshallが発する轟音は圧巻だった!
感動のフィナーレ!
しかし、「本当にカッコいい声」ってのはあるもんだね。
そんなことわかっちゃいるけど、今回のマッツにはトコトンそれを思い知らされたわ。
「どうもありがとうございました!」
お客さんから花束を受け取ってうれしそうなマッツ。
本当にアッという間に終わってしまった素晴らしいショウだった!
Jien Takahashiの詳しい情報はコチラ⇒VIOLET ETERNAL OFFICIAL WEBSITE

