amber lumber~森永JUDYアキラ今年も誕生50周年! vol.5?!<前編>
今回で5回目となるアキラさんの生誕50年をお祝いするライブは珍しくマチネーとなった。
12:30開宴のランチタイム・ショウだ。いつものソワレと大きく時間帯が異なるため、いつも停めている駐車場に空きがなく、少しでも割安なパーキングを求めて神田美土代町の方まで足を延ばすことになった。
この辺りの地名にはみんなアタマに「神田」って付いていますからね。
コレは神田の人々の誇りだから省略してはいけません。
誇り高いのは地名だけではなくて、神田のエリアは駐車料金がベラボーに高い!
運よくそれなりの駐車場を見つけ、歩いて神田淡路町に戻る途中、神田司町でこんな石碑が目に入った。
やっぱりメンドくせ~な「神田~町」は!もうヤメる。
コレは「斎藤月岑(げっしん)」の居宅がココにあったことを示す碑だった。
こういう住居跡を示す碑に出くわした時にいつも思うのだが、果たしてその住居は石碑の向こうにあったのか?、はたまた手前にあったのか?…ということ。
石碑の向こうは道路でしょ?
でも手前ならば石碑を裏返しにして今の歩道の反対側に建てるべきではないか?その点ロンドンなんかが実にわかりやすい。
100年や200年前の建物が平気で残っているのでこうしたプラークをポコっと取り付けるだけでOK。
下の場合は「かつてココにあった建物にアマデウスが住んでいたよ」ということで、実際の建物ではないが、それでも道路の拡幅で建物が消滅してしまうなどということはまずない。
私は「インバウンド」だとか騒いでいるなら長崎市を見習って東京もコレを見習うべきだと真剣に思っている。
残念ながら東京は関東大震災と東京大空襲とオリンピックで昔の街並みが壊滅してしまったのでやりにくいのはわかるが、何がしかの形で行政が歴史を可視化してもっと観光のネタを作るべきだ。
外国人は知ったかぶり屋さんが多いから、史跡を説明する英語の案内板が立っていればみんな見ていくよ。
それでその隣に抹茶の店でも作れば繁盛すらぁ。
長崎市なんかはそうした歴史をアッピールする事業にものすごく熱心で、街中が博物館みたいなものだ。
だから街を歩いていてオモシロくてしょうがない。
多分、長崎市の「面積あたりの見どころ率」はニューヨークやロンドンを凌駕するのではなかろうか? 話しを戻して…この吉原に近い「樋口一葉」の旧居跡もそう。
でもコレには正確な位置を知らせる説明が施してある。
それには「この碑の位置は、一葉宅の左隣り酒屋の跡にて、一葉と同番地の西端に近く碑より東方6メートルが旧居に当たる」とある。
「悪文」と言ってよいのではなかろうか?
コレを読んで一葉の旧居がどこにあったかをにわかに特定できる人が果たしているのか?
『樋口一葉に聞く(文芸春秋社発売)』という一葉の評伝を著している井上先生なら間違いなく私に賛同してくれるであろう。
それで色々な石碑を目にして考えた挙句、この手の「住居跡」とか「生誕の地」という碑は背面が道路であろうと海や川であろうと、はたまた山や林であろうと、基本的に碑の後ろ側を指している…と考えることにした。
上の「斎藤月岑」の碑を例に引けば、そもそもどこも昔は今ほど道幅が広くなかったハズで、かつて月岑の住居があったところも「外堀通り」ではなく宅地だったと思うからなのです。ところで、「斎藤月岑」というのは誰じゃろかいな?ということになると思うんだけど、月岑のおジイちゃんが書き始めた「江戸名所図会」という今でいう「東京のガイドブック」を完成させた人。
例えば下はその「日本橋」のページ。
スゲエ人の数!
挿絵は「長谷川雪旦(せったん)」という人。
斎藤チームは解説文の方ね。コレはお茶の水。
当たり前のことだけど、昔からこんな風になっていたのね?
神田川をこんな船が上り下りしていたなんで風流だネェ~。
ところでこのガイドブックのタイトルの「図会」は「ずかい」ではなく「ずえ」と読む。
元々は「ずかい」と読んでいたらしいが、どこかで「ずえ」になってしまったらしい。この江戸名所図会をガイドした「杉本苑子」の本を読んでみた。
杉本さんは女流歴史作家の大御所「永井路子」先生が「歴史的な事実しか書かない」と太鼓判を押す歴史作家。
杉本さんの著書では「図会」の挿絵を細かく分析し、現在との差…と言ってももう50年前に上梓された本なのだが…を解説するという内容。
かつて「玉川上水」を造った「玉川庄衛門」と「清右衛門」兄弟を描いた杉本さんの著書を読んだことがあった。
文庫で600ページに及ぶ大著。
これがですね~、驚くことに400ぺージを越えても工事が始まらない。
「このままだと玉川上水は完成しないぞ~」と心配しながら読み進めると、最後の100ページぐらいでチャチャチャと造り上げちゃう。
こっちは難工事の苦闘がこと細かく描かれているとばかり思っていたので、キツネにつままれたようだった。
「あとがき」を読むと、玉川兄弟に関する資料がほとんど現存していないため、工事について詳しく書くことがないらしいのだ。
そのためそうしたアクロバチックな話の展開になってしまったのだそうだ。
やっぱり「事実しか書かない作家」なのね?
今度は川上音二郎の奥さんの「マダム貞奴」の本を読んでみようかと思っている。「図会」の他にもうひとつ、江戸の町を描いた書物に「江戸切絵図」という地図集があった。
下はそれこそ神田SHOJIMARU近辺の地図。
あ、コレはいつか紹介したことがあったね?
「池波正太郎」のエッセイにあったのだが、江戸についての小説を書く時、歴史小説家たちは漏れなく「江戸名所図会」と「江戸切絵図」を参考にするそうだ。
一時期、池波先生は外出する時に「江戸切絵図」を肌身離さず持って歩いたのだとか。ところで、月岑を含む斎藤家三代の墓は東上野の「法善寺」というところにある。
法善寺はウチの上の子の中学校の先輩の家で、数年前に山門不幸(住職が亡くなること)あったため、そのセガレである友人が現在住職を務めている。
1663年に開山した古刹ですからね、スゴイもんです。
ココからはamber lumberのホーム「神田SHOJIMARU」。
今回の屋台村のようす。やっぱり目につくのはこの「JUDY OSBOURNE」のTシャツ。
アレ?ココには「55th Birthday」って入れたんだ?今回のおさとし。
「人たらし」なんて言葉は最近全く聞かなくなったね。
人たらしでありたいものです。今回は「ランチタイムのショウ」ということでカレーライスが振る舞われた。
アキラさんの特製だよ!
客席のアチコチで「おいしい!」、「ウマい!」の声が上がっていた。そして、今回はニュー・アルバム『スターズ』の発売記念も兼ねた。
そういえば昔「Starz」というアメリカのバンドがあった。
ジャック・ダグラスがプロデュースしていることから「エアロスミスの弟分」を標榜し、鳴り物入りでデビューした。
セカンド・アルバムに収録されていた「Cherry Baby(1977年)」という曲のシングルをオレンジ色の盤面に惹かれて買ってみたけど、その後はどうなったんだろう?定刻にステージに上がったamber lumerの2人。
「まだ早いか?…昔は相撲も時間いっぱいになる前に立っちゃうことがあったんだってね。
普通は『待ったなし!』って言ってからだからサ」「うれしい!昼間なのにこんなにたくさんお越し頂いてありがとうございます!
『カレーの予約して』って言ったじゃん?…仕込みの加減があったんだよ。
今日は余裕で余って、後でみんなに配ろうと思っていたぐらいなんだけどもうないって!
皆さんに食べて頂いてうれしいです。
ありがとうございます。
今日は新衣装を着て、歌いたい歌ばかりを演ります。
山本さん、チョット旅人っぽくない?」今年は去年の新曲を改作して「うっかり」という仮題がつけられた1曲(ややこしいな)。
「♪ウッカリ、ウッカリ」とホンワカ繰り返すパートが何ともカワイイ。森永JUDYアキラ
山本征史
もちろんこの「ウッカリ」は免許の更新時期にご注意という意味も含まれている。
アキラさん、めでたく2回目の初心者マークを卒業したそうです!
曲の中でアキラさんは「昔より時間が経つのが早い」と歌っているが、子供の時に感じた時間の経過の速度は齢を重ねると3倍の速度になるそうです。
「歳をとるとトキメキがなくなるから時間が早く感じるようになる」とNHKの番組でやっていたが、コレは理解できん。
何かにトキメキを感じることが少なくなったのは事実だけどね。
そんなことより短くなって来た残りの人生を案ずることの方がよっぽど重要なのだ。そのまま続けておなじみ「ランデヴー」。
10/8拍子のリズムを超自然に歌いこなすアキラさん。征史さんが抜き足差し足でアキラさんに忍び寄っていく。
もちろんアキラさんはそれに気づいている。そしてバァ~。
でも歌に集中してシカトを決め込むアキラさん。
このコントラストがステキ。アキラさんが小気味よいファンク・ストラミングを聴かせてくれるのは「ドウシテコンナニコワインダロウ」。
そのアキラさんをやはりファンキーに盛り立てるベースライン。
「♪そのプライド、プライド、プライド」
曲がグングン盛り上がったところで…征史さんのソロが炸裂!
ココまで3曲続けてツカミはバッチリ!
今日もamber lumberは絶好調。「なんかそっちはエライことになってるね…どういうことだ、コレは?」
「いつも自分のMarshallを車に積んでいて、ココでのワンマンの時に使っているんですけど、今回は新幹線で来たので『ベース・アンプがないナァ…、ベース・アンプがないナァ…』と3回ぐらいMarshallのシゲさんに話したんですよ」
「そうしたら『こういうのありますよ』、『こういうのもありますよ』、『こういうのはどうですか?』って提案してくれたヤツ全部が来ちゃった!」
「リハーサルで全部試した結果、この100Wのヘッドとこの12インチのスピーカーがひとつ入っているキャビネットを2つ鳴らしています。
コレが超優秀なんですよ!
ギター用のキャビネットなんですが、セレッションの『B150』というベース用のスピーカーが入っているんですね。
かつてRCサクセションでもギターを弾いていた故小川銀次さんが生前『世界で一番低音が出る1x12"キャビネット』とおっしゃっていたそうです」実は征史さんはそんな「アンプを持って来て欲しい」のようなオネダリは一切されなかった。
ただ「新幹線で行くからMarshallを持っていくことができません」と申し訳なさそうにおっしゃっただけ。
ヨッシャ!それじゃギター・アンプでよければ…と私の方から水を向けたのだ。
すると征史さんは猛烈に喜んでくれるじゃないの!
こっちもキライじゃないのでアレコレと提案させてもらった…と、こういう話。
しかし「瓢箪から駒」、試してみるとホントにいい音が出てきてビックリしてしまったのです。初めは上段のビンテージの50Wのヘッド「1987X」を試したが、少々音が小さかった。
そこで下の「JCM800 2203」で鳴らしてみると、さすが100W!、シッカリとした音が飛び出して来て超バッチリ。スピーカー・キャビネットも初めは2x12"の「1936」に「2203」をつないでみた。
コレもバッチリだった。
「でもせっかく持ってきたんだから」と、下の1x12"の「1912」を2台鳴らしてみると…ナンじゃ、コリャ~!
「1936」とはゼンゼン違う引き締まったサウンドで、ナンというか、私には征史さんのアコースティック・ベースの「アコースティックな要素」がすごく強調されているように聞こえた。
昔、ウェザー・リポートにジャコ・パストリアスが加入する時、ジャコがプレイする音源を耳にしたジョー・ザヴィヌルが「とてもいいね。でもキミはエレクトリック・ベースも弾けるのかい?」と訊いたという。
ザヴィヌルはジャコが弾いたエレクトリック・ベースの音を完全にアップライト・ベースの音だと思い込んでしまったというワケ。
この話を思い出してしまった。「私もまたMarshallを使っています!」
アキラさんのMarshallはいつものヤツ。
アコースティック楽器用のアンプ「AS100D」。
我ながら安定の最高のアコギ・サウンド。アキラさんの衣装…肩が出ていることを征史さんに指摘されて…
「コレね、そろそろチョット色気を出してみようかなと思ったワケですよ。
ナイショだけど『痩せ見え効果』っていうヤツ…痩せて見える効果があるんだよ」「今、世の中はお盆休みらしいじゃん?
病院なんて18日くらいまでどこも開いていないの。病院ってサボり過ぎじゃね?
イッパイお金をもらってる人はもっと働けっちゅうんだよ。
参議院選挙もあったじゃん?
みんなとにかく経済、経済…そしてみんな貧乏だ、貧困だって言ってるのを聞いてると、なんか心が貧しくなってくるね。
それでその『貧困の定義』っていうのが『1ヶ月10万円以下で生活してる人』って言っていて…ガ~ン!
私は貧困だ! 」実家にお住いの2人の食費事情で話が盛り上がる。
結論…やっぱり親ってありがたい。「こういうの『子供部屋オジさん』とか『子供部屋オバさん』っていうんだよ。
それではお盆にピッタリの曲を…さっきも演りましたけど人生は思っているより短い。
まだ私は30歳くらいの気分でいるけど、もう50歳とか意味わかんネェし…と思っている。
ということは、50歳の気分でいたら70歳、80歳になるワケでしょ?
意外とすぐだと思うよ。みんな、やりたいことやっておこうね!」「貧乏も大丈夫だよ」とギターをつま弾きながらお客さんに語り掛けて始まった曲は「ウートートゥ」。
「お盆」を念頭に置いてこの曲を聴くと…沁みるナァ。
「♪あなたは海 わたしは舟」
アキラさんの声でジックリと歌い上げられて感動を覚えない聞き手はいないだろう。続けて「呼吸とテレパシー」。
アキラさんの力強いストラミングに…征史さんのワイルドなベースがカラんでくるイントロ。
amber lumberのレパートリーの中で1、2を争うハード・ドライビング・チューン!
もちろんそんな曲では征史さんのベースが大暴れするのは必定だ。
「♪ア、ウン」のパートを経て間違いなくテレパシーは届けられた。
「お昼間ですが2部構成でお届けします。
飲んでる?
ウチの弟の嫁さんが今年居酒屋を始めたんですよ。
それが昼の1時オープン、夕方の6時閉店。
ランチもコーヒーもなくて、本当にただの居酒屋なの。
それがサ、以外と流行ってんのよ!
昼間から飲みたい人って結構いるもんなんだね。
お年寄りが集まってるの。
群馬県桐生市本町っていうところにあります」
いいね~、そんな居酒屋、健康的で!
「桐生」といえば、今年の猛暑のニュースで最も数多く名前を耳にしたところ。
アキラさんに様子を訊いてみると、「ホントに暑いッ!」って。 「先に誕生日プレゼント渡しておくか。
1個ずつ欲しい?それともいっぺんに?
じゃ、小出しで…」「ニーナ・シモンのCD。いいでしょ?
中古で買ってんけど、チャンと缶に入ってんのよ。
車ン中がすごい乱雑でCDがかわいそうなことになってるから、缶に入っていたら大丈夫かな?と。
ツアー行くとき一緒に聴きましょう」
マーブロ読者の皆さんは「ハハン、コイツここで絶対ニーナ・シモンで脱線するな?」と思ったことでしょう…でもしない。
もちろんCDは何枚も持ってはいるけど脱線をせずに先に進める。
エリントンのヤツなんかはヨカッタけど、私の場合ブラックすぎちゃって少々ニガテなのです。「あとコレは『免許更新に気を付けてくださいネ』っていうジップロックの小っちゃいヤツみたいな警視庁からの注意喚起」
そして、3番目に手渡されたプレゼントの包みを豪快に開けて…
「あ!あ!あ!ああッ!コレ、欲しかったヤツだぁ~!」征史さんからの最後のプレゼントはカラフルなカズーだった。
「アナタ、すぐ失くすでしょ?
amber lumberで使う時も『今日、持って来ていない』とかサ。
首からブラ下げるヒモも付いてるからコレで大丈夫。
気に入ってもらえたようで良かったです」本当にうれしそうなアキラさん。
さっそく「ズ~ズ、ズズズズ~ズズズズ!(どうもありがとうございます!)」
一旦カズーを口にしたら征史さんへの返答は全部カズー経由となった。「曲、ガンバります。
わかった人がいたかどうか知りませんが、第1部は一番新しいアルバムの曲を演っています」ということで次も新しいアルバムからのチョイスで「Eしか弾けない」。
amber lumberの昔からのファンは誰しもこの曲を一番最初に耳にしたハズ。
私も初めて聴いてビビビと来たものだった。
このチームの礎石のような1曲…だから新しいアルバムでも取り上げられた。そんな曲だから2人の演奏にも力がこもる!
ハイ、皆さんご一緒に!
「♪Eっていい、カッコE!」第1部の最後には「とりあえずハッピー」を持って来た。
アキラさんの5回目の「50歳の誕生日」とニューアルバムのリリースを記念するイベントはいつも通りハッピーに進行中!
締めくくりはやっぱりアキラさんの~……「ヨイショ~!」
コレができるように新しい衣装はスカートの裾が広がるようにしてもらったそうです。
相撲への愛情はヘタな新米力士よりよっぽど濃いのだ!
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site<つづく>
(一部敬称略 2025年8月10日 神田SHOJIMARUにて撮影)