黒沢ダイスケ Progressive Band
今日のMarshall Blogは初登場となるギタリストの黒沢ダイスケのバンド。
従来型のロック・リスナーの皆さんには馴染みが薄いかもしれないが、黒沢さんはゲーム音楽の分野においては「超」や「大」がいくつもアタマにつく人気の高い「作曲家」であり、「ギタリスト」なのだ。
記事のタイトルにあるように、今日レポートするライブには「Progressive Band」名義でのご登場。
この「Progressive」が「進歩的な」とか「前衛的な」を意味する本来の英単語の意味で使われているのか、あるいは「Progressive (Rock) Band」という意味なのかはわからない。
勝手に「Progressive Rock」を意味することとして、「プログレッシブ・ロック」についてチョッピリ書かせて頂くと…。
アノね、ハードロックだの、ヘヴィメタルだの、ブルースロックだの、数多くあるロックのスタイルの中で私が一番好きで、かつて最も集中して聴いたのが「プログレッシブ・ロック」なんです。
中学2年の時に初めてKing Crimsonを耳にした時には「ダメだ、コリャ」と思ったけど、当時みんなが夢中になっていたKISSやQueenは真っ平ゴメンだったので、自然にYesやELPに興味が移っていった。
そういう音楽が世の中に普通に存在していた時代の話ね。
後はもう片っ端から聴いたな~。
それが今から20年前、イギリスから来たギタリストにプログレッシブ・ロックの話をして大きなショックを受けた。
「ハァァ?『ぷろぐれっしぶろっく』~?ナニ言ってんだ?ぷろぐれっしぶ、ぷろぐれっしぶ…。キミ、もしかして『プロッグ・ロック』のこと言ってるの?Pink FloydとかKing Crimsonとかの…」
私が「そうです、そうです。今イギリスではどんな感じなんですか?」みたいな質問をすると、「あ~?イギリスでそんなもん聴いているヤツはただの1人もいないよ!」だって。
「ナニ言ってんだ?」はこっちのセリフだっつーの。
「Prog Rock」はイギリスの音楽じゃないか!ビートルズに次ぐイギリスの音楽の発明品なんだぞ!
でも、比較的頻繁にイギリスに行っている私が現地で肌で感じる雰囲気としては、「Prog Rock」として受け止めているかどうかは別として、今でもPink Floydなんてのは若い人の間でもスゴイ人気だよ。
イギリス人の友達と食事をしている時、イングランド(スコットランドと北アイルランドを除くという意味)の町のランクというのをやって見せてくれた。
コレがメチャクチャ面白かったんだけど、彼によると1位はケンブリッジだった。
「ケンブリッジ大学がある知的で静かで美しい町」というのが一番の理由で、「それならばオックスフォードでもいいんじゃん?」と口をはさんだところ意外な答えが返って来た。
彼がケンブリッジを1番に挙げたもうひとつの理由は「Pink Floydの出身地」ということだった。
彼は私より20歳ぐらい年下で、そうした古いロックを好んで聴かないタイプなのだが、Pink Floydは別のようだ。
やっぱりイギリスに「プログレッシブ・ロック」はまだ息づいているんだと思った。
プログレッシブ・ロックを聴くなら現代クラシック音楽の方がずっとオモシロいということが発覚してしまったので今ではほとんど聴かなくなっちゃったけど、昔はカンタベリー、イタリアン、フレンチ、北欧、後年は辺境まで聴き漁った。
私が思うに人間が作る「ロック」という音楽の範疇で技術的意識的に最もクリエイティブな作品のひとつはYesの「Close to the Edge」だと思ってる。私がこんなことを言うなんて意外でしょ?
コレが1972年。
60年代後半に始まり世界中で発展を遂げたプログレッシブ・ロックだったが、その後70年代中盤を過ぎてパンク/ニューウェーブのムーブメントが広がるとアッという間に消え失せてしまったのは残念なことだ。
10年ももたなかった。
大仰な音楽だけに飽きられた時点でイチコロだったんだね。
一番好きなのはイタリアのAreaかな?
そして、最後に好きになったイギリスのプロッグ・ロックはGenesisだった。イギリスに行くようになってからGenesisがケタ違いにオモシロくなったんだな。
閑話休題。
プログレに関してはもっと書きたいことがあるんだけどキリがないのでこの辺で止める。
黒沢ダイスケProgressive Bandは…
黒沢ダイスケ
スネアはアルミ・シェル。
少し前にSanovaさんのステージで使って以来のお気に入り。
もちろんプログレは浴衣で演奏するモノ…とキマっているワケではない。
コレ、まだ8月下旬の暑い盛りのライブだったのね。
ま、冬に目にする浴衣姿ってのもオツなもんでしょ。
30年ぐらい前、以前の仕事の関係で長野に移り住んだ時、晩秋に花火大会をやっているのを見てビックリしたことがあった。
「寒い、寒い」と言いながら楽しむのが信州式…と教わった。
でも、空気が澄んでいるので花火って冬の方がキレイなんだよね。
しかし、この人はスゴイ。
NEO-ZONKもそうだったけど、この手の複雑極まりない音楽から、スイングしまくるシンバル・レガートを聞かせてくれるビッグ・バンド・ジャズまで、タマらないドラミングを聴かせてくれる。
また音がいいんだよな~。
ホント、NATALでヨカッタ。しみじみそう思います。
「ありがとうございます。
今日は『夏』ということで浴衣で登場しました。ああとは謎…そんな感じでやっていきます」
メンバー紹介とこの日のショウの構成を説明した。
2曲目は喜子さん作の「Breaking the Limit」。
先日リリースされた3人の女性鍵盤奏者を中心としたオムニバス・アルバム『池尻家×SHOKO solo project "Sonicscape"×深井麻梨恵』の1曲目に収録されている曲。
ま~、この曲もスゴイわね。
「ダフ屋」と言われていた上田さん。
トンデモない!
ダフ屋さんにはこんな演奏ムリです…イヤ、スゴイ人もいるかもしれないか?
「ダフ屋」はナンで「ダフ屋」っていうか知ってるよね?
「札(ふだ)」、つまり入場券から来てるんだけど、IT化となった今はどうやって仕事をしているのかしらん?
あ、買い占めちゃうヤツか。
上田さんそんなことしてんのかな?…してないってば!
そのCD収録のこの曲でギターを弾いているのが黒沢さん。
ドラムスはショボンちゃんが叩いている。
上田さんも他の曲で参加している。
この日はまだ『Marshall GALA2』が開催される2ヶ月チョット前のことだった。
GALAにご出演頂く喜子さんの事前PRのネタとして、以前レポートしたシルバーエレファントの『よし子セッション』とこの日のライブを取材させてもらったのね。
結局、このレポートは『Marshall GALA2』の後になっちゃったけど…。
ところで!
鍵盤楽器奏者って写真撮影がムズカシイんですわ。
Marshallの現場というとギターばかりでキーボーズの撮影に慣れていないということもあるかも知れない。
まず、大抵ポジションがハジっこで照明が暗い。
動き回ることができないのでどうしても似たような写真が多くなる。
譜面台が顔を遮ってしまうことが多い。
下を向けば暗いし、上を向くと照明がモロに当たって飛んでしまうし…。
そういう時に役立つのが普段の音楽のお勉強。
例えばコレ。
コレは天才ジャズ・ピアニスト、フィニアス・ニューボーンJr.という人の『Please Send me Someone to Love』という特に有名でも何でもないアルバム。
この人、天才すぎて精神を病んでしまったというほどの天才なんだけど、こういうジャケット写真なんかの構図をマネてみる…というのは写真撮影のひとつのアイデアでしてね。
こんな感じ。
この写真は本当に上のジャケットを意識してシャッターを切った。
「ゼンゼン違う」って?
ま、気持ちの問題ヨ。
コレは?
ジャズ・オルガン界のスーパースター、ジミー・スミスの『Jimmy Smith at the Organ』。
カッコいいじゃないの?
コレをマネるつもりでシャッターを切る。
こうなる。
喜子さん、実際にはジミー・スミスより格段に複雑なことをされています。
この曲でもショボンちゃんが惜しげもなくすさまじいドラミングを見せてくれた。
「この曲は3、4年前にできた曲です。
『限界突破』という意味で、調子に乗っいて限界を超えられるんじゃね?という感じで作りました」
と曲の説明をして、前掲のオムニバス・アルバムの紹介をした。
メンバーのオリジナル曲で構成した第1部の最後は黒沢さんの新しい曲「Kill Trap」。
まずは喜子さんからシットリと。
浴衣がピッタリだ。
「速くてスゴイの演やります」という事前の説明通り、曲はハードに展開し、すごいことになっていく!
第1部の仕上げに持って来いのド迫力ナンバーだった。
待ってましたのドラム・ソロ。
ダラダラとやられるドラム・ソロはまっぴらゴメンだけどショボンちゃんのドラミングなら大歓迎だ。
ソロの中盤にさしかかると…
すると、お店の菜摘ちゃんが何やら運んで来たよ。
菜摘ちゃんもスゴ腕ドラマーで、昔NATALのイベントに来てくれたことがあったんだよ。
いいね、こういう意味のないことを演るってのは。
もちろんドラミングがカッコいいから成り立つ話。
ところで、ショボンが来ているのは浴衣なのか?
なんか中国の要人みたいな…。
第2部はDream Theaterのコピーで固めるという構成。
若い人好きね~。
以前「Dream Theaterの音楽を受け止めることができるか否か」はひとつの世代の分かれ目ではないか?…ということをどこかに書いた。
私は向いていない世代のようでして…なので以下は演奏した曲名を記すのみとさせてくだされ。
でも、昔教則ビデオの仕事をしていた時にマイク・ポートノイの『Liquid Tension Theater』の字幕の監修をしたんだけど、コレは売れたよ~。
大ヒットだった。
DVDがこの世にあらわれる前の話。
もちろん本作はその後DVDになって再発されたけど。
背表紙はこんなだったか…。
こんな文章を書いたの全く覚えてないわ。
このビデオのプロデューサーのひとり、ロブ・ウォリスとは今でも仲良くさせて頂いている。
来月NAMMでまた会えるのを楽しみにしているんだ。
ショボンちゃんのドラム・ソロに続いての第2部の1曲目は「ACOS-Acid Rain」。
続いて「Erotomania」。
ナニ、「エロトマニア」って?!
そして「Hell's Kitchen」。
「Hell's Kitchen」というのはマンハッタンの真ん中へんの8番街から西側のエリアのアダ名だわね。
私が2回ほど続けて行った20数年前は8番街を超えて西、つまりハドソン川方面にはいかない方が無難とされていた。
確かに、5、6、7番街(アヴェニュー)と東から西に向かってストリートを歩いて、8番街に当たると、辺りは急に黒人だらけになって驚いたことがあった。
ココと東南のアルファベット・アヴェニューというエリアに行ってはいけない…とされていた。
アルファベット・アヴェニューは今はゼンゼン大丈夫みたいだけど。
ま~、どれもこれもガッチャガチャに込み入った曲ですな~
本当はアンコールに演ろうとしていた「Dance of Eternity」を本編で続けて演奏してしまいアンコールはなし…というダイナミックな結末でこの日のライブを終了した。
しかしナンだね。
Dream Theaterを受け付けないせいもあるけど、私なんかには第1部の皆さんのオリジナル曲の方が断然ヨカッタな。
コレからもバッキバキの自作曲で徹底的に複雑でハードな演奏を期待しております。























