The Unknown World <前編>~TSPの巻
私も仕事柄都内のほとんどのライブハウスにお邪魔しているつもりでいるが、イヤ~、マダマダだね。知らないお店が後から後からいくらでも出てくる。
私が高校ぐらいの頃、渋谷には屋根裏やヘッドパワー等を先頭に数件のライブハウスしかなくて、確か「今度、公園通りのてっぺんに新しくライブハウスができるんだってよ!」って大騒ぎしていたのを覚えている。そう、Eggmanのことだ。
それが今、渋谷には三十数軒のライブハウスがあるという。でも、この話しを聞いてからもう軽く5年ぐらいは経っているので、今ではもしかしたら四十軒、イヤ、五十軒を超しているかも知れないね。
してみると、渋谷には吉野家と松屋とすきやを足した数よりライブハウスの数の方が多いことになるのか?
イヤイヤ、牛丼屋軍団ににケバブ屋とシュラスコ屋を加えたとしてもライブハウス軍団の数が勝るだろう。タコ焼きも足してみるか?
それにしてもスゲエな、牛丼・ケバブ・シュラスコ屋連合軍よりライブハウスの方が多い街って…。
しかも、そこにいくつかのバンドが毎晩出ているんだから驚きだ。
おそらく牛丼屋を引き合いに出すまでもなく、渋谷ひとつでニューヨークやロンドン全体といい勝負になるんじゃないか?
出演バンドや音楽の質の問題は別ですよ…。
ハイ、こっから先はもう書きません。余計なこと言っちゃいそうだからね!アブね~、アブね~。
さて、今日初めてお邪魔するライブハウスは開店から29年を迎える超老舗のお店。
本八幡のRoute Fourteen。
どうもロックという音楽は「西高東低」という図式がお好みのようで、広くは東京よりも大阪もしくは関西の方に勢いがあると昔から相場がキマっている。
そして、東京の中でもどちらかというと、中央線沿線や狛江とか町田とか、西の方がロックがにぎやかだった印象が強い。
それなのに、もはや東京を突き抜けた本八幡で30年もの長きにわたってライブハウスを続けてきたのはまさにガラパゴス状態。
都心の「つわものライブハウス」と客層が被ってしまう地理的悪条件をハネのけることができなければ生きながらえることはできなかったハズで、おそらく独自の企画やブッキングがよほど素晴らしかったに違いない。
なるほどお邪魔してみると、スタッフの方々は破天荒に親切だし、お客さんへの待遇もかなり良心的だ。雰囲気も当時のライブハウスをそのまま温存しているかのようで、この落ち着いた空気感がタマらない。
もうちょっとで30年。これからもがんばって昔ながらのロック空間を彼の地でキープして頂きたい。
…ということで今日の企画もグー。『The Unknown World』と題してふたつのバンドが登場した。
まずはTSP。
TSPもひっさしぶりの登場だ。
何だか前回とすっかりメンバーが変わっちゃって…。
これは今年6月にリリースしたその新型TSPの初の音源『TSP I』と題した4曲入りシングル。
新たなスタートを示唆しているのであろうか、タイトルが「I」とされている。シングルとはいえ、盛りだくさんの内容だ。
新型TSPのメンバーは…
総帥のShu。
Shuちゃんもズ~っとMarshall。
これがShuちゃんのバックライン。こういうドンズバのラック・システムも最近あんまり見なくなった。
プリ・アンプは名器の誉れ高いJMP-1。パワー・アンプはEL34 100/100。JMP-1は惜しまれつつ引退してしまったがEL34 100/100は現在も製造している。
しかし、このルックスはどうよ。
この美しいゴールド・パネルは王者の証し。Marshallの製品はどれもデザインがいいが、この見てくれはその中でも一、二を争うといっても過言ではなかろう。イヤ、「二」か?やっぱり一位は「1959」だろうナァ。二位は「1960A」か…。三位は「1962」か…ってやってるとどんどんラック・プロダクツの順位が落ちてまうやないけ!
こうしてみるとやっぱりMarshall製品のデザインって素晴らしい。
その美しい機器から発される信号を音にしているのはMODE FOURキャビ、MF400A。
MODE FOURシリーズもとっくに製造を終了してしまったが、SHARAさん、LUKEさん、原田の喧ちゃんとキャビネットの愛用者は少なくなく、根強い人気を誇っている。
ドラムと一心同体のHINAちゃん。すさまじい暴れっぷりだッ!
そのラウドなバックの演奏をものともせずにKouzyのパワフルな声が突き抜けて飛び出してくる!
シンガーとして活躍している傍ら格闘家としても活動している。右目の上のキズはルール無用の格闘だったとか…。
普段はニコニコの超ナイスガイだ。
それにしても素晴らしいのはこのギターの音色!やっている音楽にMarshallのラック・システムとMFキャビの組み合わせを完璧に溶け込ませている。「適材適所」とはこのとこだろう。
ブルータルなまでにラウドだが、粒立ちのよいサウンドでギター本来が持つ魅力的な音像を十分に確保している。これがMarshall!
『TSP I』から「矛盾」。オイオイ、ノドは大丈夫なのかい?後で痛くなっちゃうよ!
HINAちゃんの歌がまたいいんだよね。TSPサウンドに欠かせない重要な要素のひとつだ。
誕生日が近かったKouzy。それで「主役」タスキをかけている。
…と思ったらそのまま歌った。
『TSP I』からは「Ash & Rain」も演奏された。
私はShuちゃんと付き合いも長いこともあって、TAIJIさんの最後のTSPでのステージも拝見し、撮影もさせて頂いた。
あの頃のTSPはチョットこわい感じがした…。
その後ももちろん何回かステージに接しているんだけど、久しぶりに観た今回は今までとまったく違う雰囲気で、正直少なからず面食らった。
問答無用で楽しいのである。
なんかみんなで輪になって踊っちゃう雰囲気で、「小っちゃいことは気にせずに暴れちゃおう!」みたいな。
新型TSP…おススメです!
TSPの詳しい情報はコチラ⇒TSP OFFICIAL WEB SITE