Harvest Moon Live "梵天 & Strange, Beautiful and Loud"
毎度おなじみ孤高のギタリスト、三宅庸介率いるStrange, Beautiful and Loud。
演奏会場は三宅さんのホーム、三軒茶屋のGrapefruit Moon。
すると三宅さんがレギュラーで展開しているシリーズ・コンサート、『Sound Experience』かと思うえば、本稿のタイトルにあるようにさにあらず。
今日は三宅さんの盟友、チャーリー田中のバンド、「梵天」のコンサートに客演しているのだ。
ま、主演だろうが客演だろうが、三宅さんにとっては関係ない。MarshallとStratocasterがそこにあって、意思が通じる仲間がいればOK。後は自分の世界を作り出すだけ。
しかも、今日は背後にフル・スタックが控えていてゴキゲンなのだ!
もちろんいつものMarshall SUPER BASS 1992を使用。プレイもさることながら、このベース・サウンドが実にシックリくる。
素材+プレイ+サウンドで音楽が完結している好例だ。
Marshallのアンプはそうした状況を作り出す名人だと思う。ま、人じゃないけど…。
この人もこのバンドに与える色彩感も必要不可欠なもの。ギターにも造詣が深いKK。三宅さんのとベクトルが同じなのだろう。
三宅さんから「最近シゲさんはドラムのことばっかり…まさかMarshallのことを忘れてしまったのでは?」と言われてしまった!
イエイエ、私は根っからのギター族。やっぱりギターが大好きよ、Marshallが一番よ。でもドラムもおもしろいな~。
Zappaマニアの私にとっては、ドラムは重要な楽器ですからね。
そして、バンドでギターや他の楽器を活かすも殺すもドラム次第。
ロックバンドならドラムとボーカルがうまければ何とか乗り切れる。ビッグ・バンドならリード・トランペットとくドラムだ。
家ではCDをかけることが禁止されている、「世界最悪のロックンロール・バンド」の誉れ高いThe Shaggsだって、ドラムをVinnie Colaiutaに、ボーカルをRay Whiteに変えたらメッチャかっこいいバンドになっちゃうハズよ。もちろん、それではThe Shaggsの芸術性(私は受け容れられんけどね)は微塵に砕かれて何の意味もなくなっちゃうんだけど…。
それぐらいドラムという楽器はバンド全体の良し悪しを左右するのね。
だから、時にはドラムのサウンドを決定づけるキットのクォリティがいいかどうかは、ドラマーに訊くのはもちろん必要不可欠なことだけど、ドラム以外の楽器の担当者の意見を聞くことも重要だと思う。
その証拠に優れたドラマーほど「バンドやボーカルからのウケがいい」と自分以外のメンバーの感想に多くを言葉を費やすようだ。自分達がクリエイトしている音楽の完成度を第一に考えているのだ。
鬼がいい耳を持っているのかどうかは知らないが、「地獄耳」という言葉があるくらいだからきっと耳がいいのだろう。
その点、三宅庸介のように鬼のような耳を持つ求道者の評価は気になるところだ。しかも、ドラムのサウンドには滅法うるさいときてる。
実はStrange, Beautiful & Loudの3人は間もなくニュー・アルバムのレコーディングでスタジオに入る。
三宅さんや金光さんのNATALに対する評価の言葉はまた別の機会に譲ることとするが、そのレコーディングに使用されるドラムのチョイスはまったく迷うことなくNATALだった。
これだけでNATALのパフォーマンスを推して知るべし。
あ、イカン、またドラムの話しになっちまった!
NATAL(ナタール)は1965年創業のイギリスのパーカッション・ブランド。現在ではMarshall社の傘下でドラム・キットを中心にビジネスを展開している。ペダル類もNATAL。
NATALはハードウェアの開発にも熱心で、その製品への評価もすこぶる高い。
キットはアッシュ。
ギター族にとってはおなじみの材だが、ドラムには珍しいとのこと。Brian Tichyも愛用するアッシュのキットは乾いたサウンドが特長だ。
壮絶なギター・プレイ!やはりMarshall Full Stackはギタリストを燃やすマジックがある。
オープニングの「virtue」から新曲の「murt 'n akush」。「Bloom」、「Stratify」…
「Solitary Pat」等、三宅スタンダード8曲を演奏してステージを梵天に譲った。
代わって梵天の登場。こちらもギター・トリオのインスト・バンドだ。
「梵天」とはバラモン教から仏教に取り入れられた一柱。ブラフマン。手塚治虫の『ブッダ』にはゴータマ・シッダルタのお師匠さんとして登場する。
神様のことを数える際に使われる単位ってなぜか「柱」なんだよね。それは日本では柱が神様の観念に結びついているかららしい。
長野の諏訪には7年に一度開催される「御柱祭」というのがあるでしょ?これも7年に1度開催される善光寺の「御開帳」という神事も、境内に大きな柱を立てて、そこに本殿からひもを結ぶ。その紐の先は善光寺の御本尊に到達していて、その柱に触れれば御本尊に触ったのと同じご利益があるとされている。
チャーリーさんは今回Marshall Blog初登場だが、実は前から存知上げていた。
あるバンドコンテストの決勝戦にエントリーしたバンドにサポートで参加していたのを拝見したのだ。深めにディレイをかけてギンギンに弾きまくる姿が印象的だった。だから覚えていた。
星山さんもKelly SIMONZさんのBlind Faithの時に初めてお会いした。現在はトシヒケタさんと活動を共にしたりされている。
「尊敬する三宅さんの後で演奏しにくい…はじめに出ればよかった!」なんてMCで言っていたが…。
トンデモナイ!
このバンド、すごいよ。もはやStrange, Beautiful and Loudの曲がポップ・チューンに聴こえて来るぐらいストイックな音楽なのだ。
かといって特段フリーだとかノイズだとか、アヴァンギャルド的な要素はまったくない。
例えて言うとJohn AbercrombieとかTerje Rypdalのような感じに私の耳には聞こえる。ECMサウンドっぽいというか…。とにかくこちらもかなりワン・アンド・オンリー。
リズム隊もかなり強力で、「一体どうやって曲を覚えるんだ?!」というシビアな演奏。
さすが百戦錬磨のテクニシャンたち…と演奏を聞いて唸ってしまった!
アンコールはお約束のセッション。
今日はTony Williamsの「Red Alert」。
実際の動画がアップされているので是非ご覧いただきたい。
オリジナルのギターはAllan Holdsworth。
…なんてことはお構いなしに自分のスタイルで表現を積み重ねるふたり!
よ~、こんな曲選んで来るわ。そういえば開演前の楽屋で『Emergency!』は果たして名盤か?で盛り上がったんだったっけ!
梵天の詳しい情報はコチラ⇒Charlie Tanaka's Website
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful and Loud