【号外】Jack Bruce逝く
ブリティッシュ・ロック界、ベースの巨人、Jack Bruceが逝去したとの報せが入った。
またか…。
…といっても、正直Creamにすら夢中になったことのない私なのでこうした追悼の号外を出す資格はないかも知れない。
ま、それでもCream時代はMarshallだったハズだし、何枚かは古いソロ作品を持ってはいる。この『Songs for a Tailor』なんかはチョットよそのロックとは違うフィーリングがあってなかなかにいい感じなのだ。
下の1970年の『Thinkgs We Like』というアルバムは好きで、今でも時々引っ張り出してきては聴いている。
このアルバムでの彼は、トレードマークと言える「ジージー」唸るディストーション・ベースではなく、ウッド・ベースのプレイに集中し、ストレート・アヘッドなジャズを演奏している。
コレがCharlie Hadenみたいで実にカッコいい!
もともとはジャズの人というから驚いたり感心したりすることはないのだが…。
それと、John McLaughlin。3曲目の「Some Enchanted Dick」というバッピッシュなブルースなんてなかなかの聴きものだ。
しかも、Mel Tormeの「Born to be Blue」まで演っちゃってる。この曲は「Born 2 B Blue」としてなぜかSteve Millerもカバーしている。
詳しい来歴は知らないが、まさにこの辺りの音楽こそ「Things he liked」だったんだろうね。
ちなみにイギリスのジャズって結構好きで、George ShearingとかMarian McPartlandとかTubby Hayes等の大御所はちょっと聞き方が違うが、John Surmanだとか、Mike Westbrookとか Ian Carrみたいな比較的コンテンポラリーな人たちは、どこか密室で悪いことをコソコソやっているような感じがして好きなの。
Jack BruceはCreamやWest, Bruce and Laingあたりでロック界に名を馳せ、経済的な成功は手にしたかもしれないが、こうしたストレートなジャズ・アルバムを耳にすると、なんかもったいなかったような気がしたりもする。
ところで、今回、【号外】を出したのはちょっとした符号があって、その特段ファンではないJack Bruceのライブ盤を2か月前にタ~マタマ買ったこと。
それと、一週間ぐらい前に三宅庸介さんが「こんなの見つけましたよ!」とTony WilliamsのLifetime時代のMcLaughlinが、ガッツリと1967Majorのフル・スタックを背後に控えさせている写真のベースがJack Bruceだったこと。
「虫の知らせ」だったのかもしれない…と思い、こうして号外を出すことにした。
それにしても、まだ伝承作業が全然進んでいないのにジワリジワリと減っていくロック界の巨人たち。
このままいけば60~70年代に隆盛を極めた本物のロックは死滅することだろう。
拝金主義が殺すのだ。
さようならJack。