おれたの <前編>~MOONSHINE
『おれたの』というイベントにMOONSHINEが出演した。
副題にあるように「オレが楽しむ為のイベント」のタイトルが『おれたの』。
ナンダ?…「おれたの」って?明治生まれだった私の父方の祖母は信州上田の出身で、自分のことを「オレ」と呼んでいた。
子供の頃、それを耳にして「女のクセにオレって言ってら!」と驚いたモノだった。
で、この『おれたの』の「オレ」が誰のことを指しているのかと言うと…やっぱり女性のAyaさん。
いつもかいがいしくNATALの現場を手伝ってくれるAyaさん。
2019年の『Marshall GALA2』の時にも大いに活躍してくださった。
そのAyaさんが自分の誕生日に好きなことをやったイベントのタイトルが『おれたの』で、今回と次回の記事がその記録。
「おれたの」という言葉自体については<後編>でグズグズとやらせて頂きます。当日は4番目にステージに上がったMOONSHINE。
MOONSHINEはこれまで『DEMO』と称する3曲入りのCDを3枚発表してきた。
タイポグラフィ仕立てのわかりやすいジャケット。
この日はそれらのCDに収録されている曲のみを取り上げた。1曲目は『SECOND DEMO』から「Ride the Wind」。
藤井重樹
河野充生
Charlie Tanaka(以下「チャーリー」)
チャーリーの背後にはMarshall。
「JCM2000 DSL100EC」と「1960BV」だ。
久しぶりに引っ張り出して来たのはこのモデルを発売した時のチラシ。
2004年ぐらいっだかしらん?こういう印刷物にも発行した年月を入れておくべきだったナァ。
とにかく懐かしい。
今、Marshallには「デザイン・ストア」というセクションがあって、外観に限っての特注品を1台からオーダーできるようになったが、この頃はそんなシステムは夢のまた夢だった。
ただのカラー・モデルもMarshallが赤とかオレンジとかの何100メートルものカバリングのロールを仕入れた時にしか製造しなかった。
このDSLは、確かヨーロッパのどこかの国のリクエストを受けて限定で作ったモデルを、私がMarshallの工場に行った時にタマタマ見つけて、それに少々アレンジを加えて日本向けに作ってもらったように記憶している。
「ビンテージ仕様のDSL」なんて誰も見たことがなかったので、アッという間に予約枠がイッパイになってしまった。
いい時代だったネェ。
20年近く経ってチャーリーのような優秀なギタリストに愛用してもらっているなんてとてもうれしいことだ。そしてMarshall GALAのTシャツを身に着けてステージに上がってくれたMOONSHINEのドラマーは金光健司。
金光さんはもちろんNATAL。
この日も12"、16"、22"のブビンガのキットでギンギンに「金光ビート」を打ち出してもらった。
2曲目も同じく『SECOND DEMO』から「残像」。
魅惑の河野さんのベースと…
金光さんのシャープなグルーヴが絶妙のコンビネーションを醸し出す急速調のワルツ。
歌メロの展開の仕方も独特で聴きごたえ満点!
藤井さんがチャーリーの肩に手を置くと…
チャーリーさんがスウィープ・ピッキングを巧みに取り入れたコレまた独特のソロを炸裂させた。
この曲のエンディングがまたシャレてんのよ!
「こんばんは、MOONSHINEです。よろしくお願いします!
今日の『おれたの』は、主催のAyaちゃんが自分の観たいバンドをズラリと揃えたというイベントです。
本人にとってとてもゼイタクなバースディ・イベントになっているのではないかと思います。
MOONSHINEです!」「何度もMOONSHINEって言うと思うんですけどね、それはひとえにMOONSHINEというバンドを覚えて行って欲しいという気持ちの表れですからね。
MOONSHINE、覚えて行ってくださいね、MOONSHINE。
よろしくお願いします、MOONSHINEです」チャーリーがハーモニクスを効果的に交えて弾くトリッキーなリフは「がんじがらめ」。
藤井さんが(藤岡)幹大ちゃんと一緒にやっていたNight Buzzのレパートリー。
この曲は『THIRD DEMO』に収録された。藤井さんがノビやかな歌声を聴かせてくれるミディアム・テンポのヘヴィ・チューン。
また藤井さんがチャーリーの肩に手をかけると…
チャーリーならではのフレーズが次から次へと飛び出してくる。
ワーミー・バーの使い方も独特だ。そのまま『THIRD DEMO』の曲順通りに「街並」。
ジックリと藤井さんの歌を味わおうじゃないか。サブ・ドミナント・マイナーでやる歌メロの最後の「♪色褪せない勇気」のところ…ココがヤケクソに感動的なんだわ。
私はこのパートでプロコル・ハルムの「As Strong as Samsom」を連想してしまう。
わかるかナァ?わっかんねぇだろうナァ。
とにかくいい曲なのだ。となると、チャーリーがそういう曲にピッタリのソロを真空管アンプの極上のサウンドで聴かせてくれるという寸法。
満開のバラのようなソロだ。となると、エンディングの藤井さんのポーズもバッチリとキマるというもの。
「MOONSHINEはCDをこれまでに3枚出しています…大事なことだね。
1曲目から4曲目まで、今日演った曲はすべてそのCDの中に入っています」きっと出て来る金光さんの補足説明。
「正確に言うと今日演る曲は全部それらのCDに入っています。
出番が終わったら物販のところにセットリストを置いておきます。
それには今日演奏したどの曲がどのCDに入ってるかが全部書いてあります。
この後に演る曲も入っていますので、『何曲目が良かったナァ』とか、『アレが印象に残ったナァ』とかいう曲があったりしたら物販のところで確認をしてCDをお買い求めください」
そういうこと。金光さんが案内したMOONSHINEの屋台村。
終演後、ココにセットリストを置いておくのでチェックしてね!ということ。
さて、次の曲は金光さんが叩くシンバルからスタート。
そして頻繁にパターンが入れ替わるリズム。
それらはすべて金光さん特有の「金光ビート」で叩き出される。そして河野さんのベースが深~いところで鳴り出すのは『SECOND DEMO』から「ひび割れた記憶」。
今日のセットリストはすべてCDからの曲ということなのでまた「アレ」を演らないんだな。
ベースがアホほどカッコいい曲があるのよ。
河野さんのベースはどれもカッコいいんだけど。頻繁にパターンが入れ替わるリズムに藤井さんが情感豊かな歌を乗せる。
チャーリーのソロから…
ドライビング・リズムに合わせ、エンディングに向けててグイグイと曲のテンションが上がって行った!
続けてミディアム・テンポの落ち着いた1曲「明日が壊れても」。
MCではいつも金光さんに助け舟を出されちゃうけど、藤井さんが一旦歌い出せばもう何人も寄せ付けない。
藤井さんのボーカルズってもうこれ以上ないぐらい丁寧なんだよね。
1小節ずつ、イヤ、1拍ずつ丁寧に丁寧に歌のメロディを織り重ねていく。
どんなタイプの曲を歌っても「オ~ラ!」みたいな乱暴なところが一切ない。
その仕上がりは極彩色の千代紙を使って几帳面に作られた「折り鶴」のようだ。このチャーリーの表情。
うれしいことにMarshall Blogには自分だけの言葉でギターを弾いて聴かせてくれる個性豊かなギタリストが何人かいる。
間違いなくチャーリーもその1人だ。
そういうギタリストたちは「自分のスタイル」を余すところなく表現するために必ず真空管アンプが出すピュアなギター・サウンドを用いている。「ありがとうございました。
『おれたの』のMOONSHINEのステージは次の曲で終わりです。
今日はAyaちゃんのバースデイ・イベントにお招き頂きどうもありがとうございます。
Ayaちゃん、ハッピー・バースデイ!
イベントはまだまだ続きますので皆さん、体力の続く限り楽しんでいってください。
ムリしちゃダメですよ!
家に着くまでがライブですからね!」MOONSHINEの出番の最後を飾ったのはバンドの名前を冠した曲「Moonshine」。
最後の2曲は『FIRST DEMO』からのチョイスだった。
今日演奏した曲の歌詞は全部藤井さんの作品。
一方、作曲は幹大ちゃん作の「がんじがらめ」を除いてすべて河野さんのペンによるもの。 3連のリズムでやさしいメロディが会場を満たす。
最後まで緻密で完璧な演奏を聴かせてくれた4人…
そして感動のコーラスのパートがやって来る!
「♪Dancin' in the moonlight」「♪You're always on my mind」
「♪Dancin' in the moonlight」
この曲を最後に演奏した時のレポートの終わり方がいつも同じでゴメンね。
でも我ながらこのやり方がとても気に入っているのです。確かな腕で自分たちだけの音楽をクリエイトするチーム、MOONSHINE。
まだこういうチームが日本にいてくれることに安心するわ。
ひとりでも多くのロック・ファンに見てもらいたい。「ありがとう!」
ところでレコーディングはどうなったのかしらん?
アルバム、楽しみにしていますゾ!コレが金光さんが紹介していたセットリスト。
アナタのお気に入りの曲はどのCDに入っているかな?金光さんがデモンストレーターを担当してくれたNATALドラムスのビンテージ・モデル「ZENITH」のビデオ。
見てね!
<つづく>