山口"PON"昌人 還暦祭!<後編>~ユキSESSION & EARLYSNAKE
『山口"PON"昌人還暦祭り!』レポートの最終回。
いよいよご本人の登場だ!
と、その前に…以前PONさんがやっていて2019年の『Marshall GALA2』にもご出演頂いた「Gotwee3」というチームのライブ・レポートを書いた時に「ポン」を話題にしたことがあった。
「ポン」というのは牛乳ビンのフタを使って遊ぶ対戦型ゲームのこと。
私が小学校の低学年だった時にコレが猛烈に流行した。
そのレポートに少々詳しく書いたので今回は内容については触れないが、コレが地方によって「ポッコン」とか「キャッポン」とか呼ばれていることを最近知って笑った。
もうひとつ知ったのは、地域によって遊び方に決定的な違いがあって、フタをヒックリ返す際、我々は手の平を裏返し、人差し指の爪をフタの淵に押し当てて転覆させていたが、拍手の風圧や吐息でヒックリ返して遊んでいた子供たちもいたということ。
ナント素朴な遊びだったことか。
ところが、今年の3月を最後にガラスビンの牛乳の製造を終了したんですってネェ。
つまりあの牛乳ビンのフタの絶滅とともに「ポン」というゲームも消滅してしまったことになる。
寂しいね…そうでもないか?こちらのポンは絶好調!
この日のPONさんのNATAL。
10"、12"、13"、16"、24"×2のコンフィギュレーション。スネアは愛用の14"×8"のアルミ・シェルだ。
さて、ステージの方は4番手のユキSESSION。
Yuki
Dio Ken
Aoi
臼井"OZMA"孝文
そして本日の主役、山口"PON"昌人。
オープニングはRainbowの「Kill the King」。
セッション・リーダーのYukiくんが冒頭から大ハッスル!「Kill the King」か…1976年12月、私が中学2年生の時、武道館で生まれて初めて耳にした外タレが生で演奏した曲がコレだった。
その前に武道館で聴いた音楽と言えば母に連れられて観に行った「ケロヨン」ということになろうか?誰もが知るハード・ロックのスタンダードで会場は大盛り上がり!
ナニを演るのか先刻お見通しでも盛り上がっちゃう。2曲目はAoiちゃんのスケールの大きいキーボード・ソロから。
エキゾチックなメロディがトコトンかっこいい「Gates of Babylon」。
PONさんと…
OZMAさんのコンビネーション「POZMA」。
この組み合わせって過去のMarshall Blogにあったかな?
パットンとロンメルが握手をしたかのようなゴキゲンなハードロック・グルーブが押し寄せて来る。気分良さそうにその鉄壁のリズム隊に乗せて来るKenちゃんの張りのある声。
いつも思うけど、この曲ってカッコいいね。
ゴメンね、Rainbowって『Rising』までしか聴いていないの。
だから今、楽しんでいます。そしてYukiくんがステージ中央に歩み寄ってバリバリ弾きまくる。
ワーミー・バーを大胆に揺さぶる激演!
Yukiくんのストラトキャスターを図太い音で鳴らしているのは<前編>で詳しく紹介した1999年製の「1959SLP」と「1960A」だ。
「『PON祭り』ですよ!
でもこの曲順だと半分『Dio Ken』祭りになってるんですよ。
大丈夫です!ちゃんとコレでPON祭りになりますから!
イヤ~、しかしPONさん…還暦ですよ。
どんだけデビューが早かったんだって話ですよね?
ところで、今日はオリジナルのバンドが出て来て、ナンでその後にカバーのセッションが出なきゃいけないのか?と思ったんですけど、2番目のARESZのベースがFEEL SO BADだったり、MOONSHINEは以前一緒にやっていたBLIND BIRDのベースだったりしてちゃんと『PON祭り』になっているんですよね」「楽しいね!
そもそもは、CRIMZON FLAREのYukliくんから『今度PONさん、セッションしましょうよ!』って言われて『いいよ、いつやる?』って答えたら『8月11日が空いてるんですけど…』と言うワケ。
その日が自分の誕生日だということを言ったら『ア~、ちょうどいいじゃないですか!』ってなって決まったんですよ。
ありがとうYuki!」Yukiくんの名前が出るとすかさずKenちゃんが…
「コレ、Yukiくんのアームを見てください。
コレね、若い子たち…若い子はそんなにいないけど。
ボクらの年代で言うと『リッチー・アーム』っていって、普通のよりチョット太くてね、それでこのカックン、グニューンって曲がって…も~リッチー・アームなんですよ!
我々の世代ではコレを使っている人がいなくなってるから一周回ってうれしいね!」「ありがとうございます!
初めてMCで突っ込まれたのでチョット恥ずかしいです!」「Yukiくんはさっき最初のCRIMZON FLAREでもギターを弾いていましたけど、どれも曲がメチャ速かったんですね!
しかし、我々も速い曲を用意してきましたよ!…またチョット『Dio Ken祭り』になっちゃう気がするんですけどPONさんの選曲ですからね!
ココの3人(PONさん、Kenちゃん、OZMAさんのこと)の精一杯の速さです。
CRIMZON FLAREを見ちゃった人はミディアム・テンポだと思うかもしれないけど、私たちにとっては最速の曲…しかもまたDIO!」勇猛なPONさんのドラムスに続いて…
Yukiくんが力強くリフを奏でるナンバーは「I Speed at Night」。
OZMAさんの低音が暴れまくって…
Kenちゃんが猛シャウト!
「好き」を貫き通すということはナント美しいことか。
「♪I speed at night!」のパンチ・ラインはロニーが乗り移っているとしか思えん!続いてAoiちゃんが愛らしいフレーズを奏でて始まるヴァン・ヘイレンの「Dreams」。
この曲はよく耳にするけどヴァン・ヘイレンの曲だったのか。
ギター・ソロはユキくん流で!
PONさんは「PON HALEN」というヴァン・ヘイレンのトリビュート・バンドをやっているからね、もうお手の物です。
「この曲、高いんですよ…ロニーより全然声が高いんです、サミー・ヘイガーは。
疲れましたけど皆さんが手を叩いてくれていたのが見えたのでボクも余計に跳ねちゃいました。
ピョンピョンやりすぎて無駄に疲れましたね。
こんなに楽しいのもPONさんのおかげでございます。
ところでPONさんと言えば、最近は吉川晃司さんと奥田民生さんとの還暦スーパー広島トリオじゃないですか…」「皆さんからすると、吉川晃司、奥田民生って言ったら芸能人でしょうけど、広島の同級生なんですよ。
ボクの実家に集まって来てたの。
『メシ食わしてくれや』みたいな。で、ご飯食べながら練習。
割と吉川と奥田は共通点がなかった。
たまたまオレの中でプランはあったんだけどね。
でも、今回のをキッカケに将来みんなが死ぬまでにはナンかやろうや!みたいな」ココでKenちゃんのリードでPONさんと吉川さんの「幻のバンド」の話が飛び出した。
PONさんが渡米している時に撮影でアメリカに来た吉川さんがPONさんを訪ねて「ドラムを叩いてくんねぇかな?バンドやりてぇんだよ」と提案した。
するとPONさんは「今、ワシはこうしてアメリカに来てるんよ。オリコンじゃなくてビルボードを目指しているんだ。だから吉川、ゴメン…今はできんわ」と吉川さんの申し入れを断った。
吉川さんは「ホォ~かぁ。オマエのドラムで演ってみたかったんだけどな」とPONさんとバンドを組むことを潔く諦めた。
そして「お互いにガンバろう!」って言って別れたのだそうだ。
PONさん曰く「それからボクは、アメリカに打ち砕かれて…コテンパンにやられて…日本に帰ることになっちゃたんですけどね」
その吉川さんがPONさんを誘ったバンドは「COMPLEX」だった。そしてPONさんがユキSESSIONのメンバーを紹介した。
コレ、「ポンSESSION」にした方がヨカッタんじゃないの?…とお思いになったお客さんもいらしたかも知れない。
イヤイヤ、誘ったのはYukiくんだし、「ココは若い人に花を持たせて」…というPONさんの先輩としての心意気なのであろう。
「ユキSESSION」でいいのだ。さぁPONさんのツーバスが炸裂!
イケイケ~!
曲はモトリー・クルーの「Red Hot」。「Kenちゃんがモトリー?」と一瞬不思議な感じがしたが、20年ぐらい前は米軍基地でよく歌っていたのだそうだ。
超久しぶりとのことだったが、ナンノナンノ、その歌いっぷりはスッカリ板についていた。OZMAさんのモトリーもチョット意外だな。
もちろんギンギンギラギラのベース・サウンドをブッ放していた。新旧肩を寄せ合うエキサイティングな演奏。
Yukiくんもうれしそうだ!ココでもしっかりギター・ソロをブチ込んでセッション・リーダーの存在感を示した。
私はモトリー・クルー世代ではないので、一度も通っていない(最近通ってる)のだが、「ピュアなロックのエキス」だけで成り立っているチームであることはわかっているつもり。
そのカッコよさをこの5人の演奏がバッチリ表出してくれた。さて、ユキSESSIONもいよいよ大詰め。
「もう帰ってイイですか?…ダメですか?
じゃ、ココでちょっとレアな曲を演りましょう。
齢を取ってからこういうテイストも好きになりましたね。
ちょっとグッとくる感じ。
Dio Kenの歌をしっかりとサポートしていくっていう感じの楽しみ方でいきたいですね」この曲もAoiちゃんのキーボーズから始まる。
曲はRainbowに戻って「Can't Let Go」。
ここまで6曲中3曲がキーボーズでスタートする曲だ。
80年代はこうスタイルがよっぽど流行っていたんだネェ。
あ、「キーボーズ」と「キーボード」の違いが気になっているんでしょ?
「キーボーズ」はパート名、「キーボード」は楽器…という風になるべく使い分けるようにしております。ロニーが歌っていないRainbowの曲。
Rainbowってこんなに普通のポップ・チューンを演っていたのか…。もちろんこうした曲でもLynn Kenちゃんが熱のこもった歌声を聴かせてくれる。
どうでもいいことだけど、この曲が収録されているのは『ストリート・オブ・ドリームス』という1983年のアルバム。
原題は『Bent Out of Shapes』で。コレは「メッチャ怒る」とか「屈辱を感じる」とかいう意味。
ちなみに「屈辱」といえば、「humble pie」も「屈辱」みたいな意味で「eat humble pie」で「不本意なことを甘んじて受け入れる」という意味合いになる。で、今訴えたいのはその邦題の方。
コレね、同名の曲がアルバムにも収録されているけど、「Street of Dreams」っていう古いジャズのスタンダード曲があるんですよ。
ホッコリとしたとても良い曲です。
ココで思い出すのが、「Deep Purple」というのも同じ時代に作られたジャズ・スタンダードということなのね。
もしかしてリッチーってジャズがとても好きなのでは?…コレはあまりにも邪推の域を出ないか?
そして最後!
PONさんとOZMAさんがファンキーなビートを打ち出して…
「OK!ゴキゲンなパワフル・ナンバーでいくぜ!」ナント最後はPONさんの歌でスティービー・サラスの「Tell Your Story Walkin'」。
今日2度目のボーカルズ。
気合が十分に入った歌声は迫力満点!
コレが還暦パワー!最後にこれまでとはまったく毛色の異なる曲が出て来てビックリしたが、難なく演奏をこなすユキSESSIONの皆さん!
全編を通してKenちゃんの熱唱はPONさんへの強力な祝福となった。
そんな仲間に囲まれて最後までアクセル全開の今日の主役!
バラエティに富んだレパートリーで盛大に盛り上がった~!
最後…この日を締めくくったのは1978~1984年までのWHITESNAKEのトリビュート・バンド「Earlysnake」。
Ray
木下秀幸
芦萓ハンペン正博
ギター2人の背後には「JCM2000 DSL100」と「1960A」のハーフスタックが2セット。
Toshi Shimada
Namie
そしてシンバル暖簾を持ちあげて「毎度!」…山口"PON"昌人。
コレがこの日PONさんが使用したNATAL(ナタール)。
1曲目は「Come on」。
ハナから聞き慣れたRayさんの歌声が爆発!
2曲目には「Sweet Talker」が続いた。
RayさんのMCではまず還暦のお祝いの言葉がPONさんに贈られた。
そして、Earlysnaleはメンバーをチェンジすることなく、結成して11年が経過したことを述べた。
それはスゴイですよ!
またバーニー・マースデンと共演したことはとても感慨深かったとのこと。
曲は「Walking in the Shadow」が続いた。Rayさんの説明によると、Earlysnakeは66歳が2人、62歳が1人、そして今回PONさんが還暦を迎えてメンバーの2/3が60歳以上になったそうだ。
ますます誰かに似て来たといわれていたハンペンさんからひと言…バーニーでしょ?
「今日8月11日は世間では『山の日』なんですよ。でもココは『山口の日』なんです。
ちなみに一昨日はオレの誕生日だったんです!
そんなんで今日は山口くんを大いに盛り上げてあの世に送り出しましょう!」続いて「Ready An'Willing」。
11年もの長きにわたってホワイトスネイクの音楽に対する愛情を注ぎ続けるメンバーの熱演が続く!
そしてこの日初めてのPONさんのドラム・ソロ!
ココまでソロというソロがなかったPONさん。
なるほどこういう演出だったのか!
いよいよ最後で一気に大爆発というワケだ。
しかし、改めて思ったけど、この歯切れの良いNATALの音はPONさんのゴージャスなドラミングにピッタリだね!ホワイトスネイクにこんなドラマーがいたのか!…と思ったらミュートに使っていた黒いビニール・テープが剥がれてしまったのでとりあえず鼻の下に貼ってみたんだって!
スパークスの「ロン・メイル」かと思ったわ!いつものPON節で思う存分ハデハデに叩きまくった見事なソロだった!
PONさん還暦、お客さん感激!そして「Fool for Your Loving」で出番を締めくくった!
これにて本編終了。
PONさん、お疲れさまでした~!アンコール。
巨大な機材を携えて越中富山からお越し頂いたShimadaさんの労をねぎらおうとキーボード・ソロをお願いした。
景気よく、いかにもハードロック盛んなりし頃のドラマティックなサウンドをタップリと聴かせてくれた。
いいね、やっぱりこういうのは。
ああ、それにしても「糸庄」の「もつ煮込みうどん」が食べたい…。
そしてソロの最後を締めくくったメロディは「♪ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~」。前に出てくるように促されたPONさんにサプライズでバースデイ・ケーキのプレゼント。
ケーキを持って来てくれたのは、先日Marshall Blogでレポートした『おれたの』というイベントを企画&上演したAyaさん。
もちろんPONさんもそのイベントに出演した。早速フゥ~。
そしてもうひとつのサプライズ。
ステージのスクリーンに現れたのは…爆発する「バリバリ最強No.1!!」。
ということは…FEEL SO BADの川島だりあさんからのビデオ・メッセージだ!
「♪ハッピバ~スデ~PONちゃ~ん!
還暦おめでとう!
だりあももうすぐ還暦の『あら還』です。
PONちゃん、これからもずっとカッコいいドラマーでいてくださいね!」「だりあ、クリス、ありがとう!
そしてEarlysnakeのみんなもありがとう!
今日は本当にたくさんの人が来てくれて最後までいてくれてありがとうございました!…うれっしいっスね!」 「皆さん、ホント長生きするもんだわ。
配信の皆さんもお身体に気を付けて、ストレスを溜めないように…ボクみたいにこうやって発散していけば悪い病気に罹らないから!
だから楽しんで、元気に、ハッピーに、みんなと仲良く過ごしていきましょう!」最後の最後にもう1曲…「Don't Break my Heart Again」を演奏してPONさんの還暦をお祝いする長い1日が終了した。
PONさん、おめでとうございました!
これからもNATALでバリバリ最強No.1で暴れまくってください!<おしまい>