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2025年1月24日

2025年1月24日 (金)

Marshallの新製品三部作<作品3>~OVERDRIVEペダル・シリーズ

 
今回のNAMMで発表したMarshallの新商品群のシンガリはペダル。
つい先日「Guv'nor」や「BLUES MASTER」等のビンテージ・ペダルを復刻リリースしたばかりだが、早くも新企画の歪み系ペダルが登場した。
わかりやすく言えば「コレを使えば〇〇の音が出ます!」というヤツ。
今ではデジタル技術を使った「音のソックリさん」の存在が当たり前になってしまったけど、コレはモノが違う。
何しろ本家自身が父祖伝来のサウンドを再現しているのだから…血脈(けちみゃく)がつながっているのだ。
タイプは1959、JVM、JCM800、JCM900、DSLの5つ。
まず、見た目がいいじゃないか。
Marshallのシンボル・カラーである「金と黒」のコントラスト。
05ロンドンの街を歩いていると、パブの看板だけでなくいたるところでこの金と黒のコーディネーションに出くわす。
例えばこの「リージェント・パーク」の門柱。
「ERII」というのはエリザベス女王のこと。Img_0532これは「レインボウ・シアター」だった建物の表札。

Img_1587_2 今は「アサヒビール」になっちゃったけどハマースミスにある「FLULER'S」の工場の看板。Img_1790_3 コレは「セント・トーマス病院」の外壁に取り付けられている「狂牛病の犠牲者」の追悼プラーク。
ね~、金と黒ばっかり。
この2色の組み合わせは一種の「ロンドン・カラー」と言えるのではなからろうか?Img_0638ジムはまさにこのロンドン・カラーを自分の商品に適用した…と思うのだ。
「このことをジムが元気な時にに直接確認すればヨカッタ!」と今頃後悔している…機会はいくらでもあったのにナァ。
それで今回の5種類のペダルが徹底して金と黒。
特に目を惹くのがスイッチ周辺のフレット・クロスのパターンを模したデザイン。
10_3コレ、パッと見た時にはどれも同じに見えるかも知れないけど、全部違うんだぜ。12_fretそれと、ひとつあたりの重量が740gもある。
「も」というのは、以前復刻リリースしたガタイの大きなビンテージ・ペダルより重いのです。
こっちは715g。Guvわかりにくい?
じゃ夏目漱石でやってみるか?
新潮文庫の『吾輩は猫である』、『坊ちゃん』、『こころ』、『それから』の重量を合計すると755g。
今度のペダルはそれぐらい重い。
エ?余計わからなくなったって?じゃ、吉村先生の本でやってみる?…いいか。
熱心な研究家に言わせると、こういうペダルなるモノも重量が大切で、やはり良い音を出すペダルは大抵重いそうだ。
Img_2978「軽薄短小」が優先される今の世の中、小さくないわ、重いわで、マーガレット・サッチャーが聞いたら目を三角にして怒り出しそうなペダルのラインナップ。
でも、Marshallは「良い音」を最優先したというワケさ。
ここまでは「ヨシ」と…。320では、Marshallの新しい歪み系のペダルがどんなもんか順に見てみよう!
はじめに言っておきますが、この類の商品は対象に定めたモデルのサウンドにどれだけ近いか?ということが評価の最大のポイント。
だから「コレを使えば〇〇の音が出ます!」というわかりきったことを述べるのが一番良いワケだけど、そればかりではオモシロくもナンともないし、紹介する意味がない。
それゆえ、以下ではそうした惹句を一切省いて書いたことを予めご了承願いたい。
代りにそれぞれの商品のデモンストレーション・ビデオをリンクしておいたので、結果がどうあるかはそれぞれのビデオを参考にしてください。
では、まずは「1959」から。
あ、肝心なことを言うの忘れていた。
以下の商品はすべてアナログの回路を搭載しています。ノー・デジタル!
アナログバンザイ!
  
1959 PEDAL20_3コントロールは…
 HIGH TREBLE
 NORMAL
 TONE
 VOLUME
の4つ。30_3「HIGH TREBLE」と「NORMAL」というのは「1959」のコントロールと全く同じと考えてよいそうだ。
つまり、インプットをジャンプした状態の「1959」の「VOLUME I」と「VOLUME II」をイメージして欲しい。
そのミックス具合で音のキャラクターをキメるというワケ。
コレは使いやすいし、とてもいいアイデアだと思う。
その後に「TONE」が付いているところがミソ。40_3構造もシンプル。
余計なモノがついていないのがうれしい。
50_3電池稼働もOK。60_3スティーブのデモンストレーションはコチラ。


JVM PEDAL80_4コントロールは…
 VOLUME
 TONE
 GATE
 GAIN
の4つ。90_3コレの最大の特徴は「GATE」。
要するにノイズ・ゲートが搭載されているのだ。
JVMの大ゲインにどうしても伴ってしまうノイズをコレで完全ブロックすることができるスグレモノ。100_3上面以外は1959 PEDALと同じ。110_3もちろん「1959」と同じく電池での使用も可能。
シリーズを通じての共通仕様なので後続のモデルではこの辺りを省略する。120_3デモ・ビデオをどうぞ。


JCM900 PEDAL

140_3コントロールは…
 GAIN
 CONTOUR
 TONE
 VOLUME
の4つ。150_3このペダルはMarshallのお家芸である「CONTOUR」コントロールが付いているのが大きな特徴だろう。
「contour」は「輪郭」とう意味。
「コンター」という表記を見かけることがあるが、ま、片カナで書く時には「コンツァー」だろうナァ。
Marshallが昔、中音域の調整を一手にこの「CONTOUR」に任せて劇的に音を変化させることを思いついたのは、コントロール・パネルの面積を節約するためだった。
結果、そこらのEQとはまたひと味違った音作りを可能にしたのね。
コンツァーすげえや!…なんちゃって。
160_3JCM900 PEDALのデモンストレーション・ビデオ。


JCM800 PEDAL200_2コントロールは…
 GAIN
 SENSITIVITY
 TONE
 VOLUME
の4つ。210ココで気になってくるのは当然左から2番目の「SENSITIVITY」でしょう。220コレはオリジナルの「2203」についている「HIGH」と「LOW」のインプットの音質のミックス具合を可変的に調整できるようにしたイメージ。
要するに「SENSITIVITY」を右に振り切れば「HIGH」にインプットしたことになり、その反対は「LOW」にインプットしたと思いネェ。
ココで「2203 MODIFIED」の時に「2203はLOWにインプットしている人も多い」と言ったのが生きてくるワケだ。
簡単に言うと1959をジャンプした時と同じだね。
800fr2ontデモンストレーション・ビデオはコチラ。


DSL PEDAL260最後は「DSL」。
コントロールは…
 GAIN
 DEEP
 TONE
 VOLUME
と来たもんだ。270低音域を調整する機能が「DEEP」。
「JCM2000 DSL」に「DEEP」スイッチというのがあったでしょう。
アレはオン/オフの選択だけだった。
海外のギタリストなんかはみんなオンにしていたようだよ。
このペダルの場合は「DEEP」の効果を調整できるというディープ好きにはうれしい設計。280スティーブがビデオの中でその辺りを実演してくれています。
以上。
今回Marshallは「STUDIO 900」、「1959&2203 MODIFIED」、「OVERDRIVE PEDAL」と3種類の新しい商品を発表したが、うれしいね~、デジタル技術に関連している商品がひとつもないよ!
「やっぱりギターはアナログで弾くべし!」と啓蒙的な立場に立ったのか、「どうオレたちはアナログよ!」と覚悟を決めて開き直ったのかどちらかは定かではない。
正直その両方なのではなかろうか?
ギターを手に取った時からモデリング・アンプなんてモノが傍らにある若い人たちには是非こういう商品を試してもらいたいと思う。
もっともそういう若い人たちはコレを読むことはないだろうけどよ。
そこが問題だ。
とにかくよくやったMarshall!
 

200_2

Marshallの新製品三部作<作品2>~1959 MODIFIEDとJCM800 MODIFIED

今回のNAMMショウで発表されたMarshallの新商品の2つめは「改造マーシャル」。
本家が「改造」ってのはヘンな話で、普通だったら「進化」とか「発展」とかいう言葉をあしらって元来あった商品を「グレードアップしました!」と喧伝するところ。
でもMarshallは故意にそうしなかった。
「改造」である。
改造されたMarshallは「1959」と「2203」。
今風に言えば「シン1959」と「シン2203」という感じスかね?
我々の世代なら「本郷猛」と「一文字隼人」だ。
商品の名前は「1959 MODIFIED」と「2203 MODIFIED」とそのマンマ。
社内では「Nineteen-fiftty-nine Mod」とか「Two-two-o three Mod」とか呼んでいるようだ。
日本では「ごーきゅーもっど」とか「まるさんもっど」になるかな?55 私が若い頃、つまり1970年代の話。
みんなMarshallのナチュラル・ディストーションでギターを弾きたいんだけど、100W出力の「1959」ではあまりにも音がデカすぎて日本のライブハウスの規模では実用的ではない。
そこで半分の出力であるところの「1987」を重用する人が少なくなかった。
ハードロックに限って言えば、そこにギターを直接インプットして得られる極上のギター・サウンドでライブをするのが当たり前だった…そういう時代があった。
新宿ロフトのBAD SCENEのステージのサウンドなんて忘れられないわい。
その後、「マスター・ボリューム」という概念が出て来て「自由な音量で好きなだけアンプを歪ませることができる」なんて触れ込みにギタリストたちは飛びついたんだね。
20_2Marshallも1978年に「Mater Model」と呼んだ「2203」や「2204」を発表し、ほどなくして1981年にJCM800シリーズがスタート。
時の音楽シーンの勢いに後押しされてJCM800は世界中で爆発的にヒットした。
一方では「そんじゃ1959にマスター・ボリュームを付けたらどうなのよ?」と、その手の改造が人気を呼ぶようになった。
今回のこのMarshall新商品のシリーズはそうした巷間で人気のあった改造を自らの手でやっちゃおう!という「イヤミ」と取れなくもないコンセプト?
イギリス人っぽくていいネェ。
Marshallが付けたキャッチ・コピーは「Inspired by Guitarists, Created by Us」。
なるほど…考えてみれば「ミュージシャンの声に耳を傾けてそのニーズに応える」という精神はピート・タウンゼンドのアイデアを取り入れて60年前に作った最初のMarshall「JTM45」の時と変わっていないのかも知れない。
120_2 
1959 MODIFIED
100_2まずは「1959 MODIFIED」。30_2フロントはこんな感じ。
確かにこういう風に改造されたMarshallを時々見かけるな。
やっぱりいいな、このルックスと色合い。
センター・フロント・フェイス、スモール・ゴールド・ロゴ、ゴールド・ビーディングにレヴァント・カバリング…この組み合わせはもはや「芸術品」の域に達しているんじゃん?
私は事務所の壁に飾ってある「1959」を10年以上、365日、毎日目にしているけど飽きる気配は一切ない。
久しぶりに言うけど、この黒いハコの中には「ロックの伝統と夢」が詰まっているからなんだ。50_2さて、左上に取り付けられたプラークには「MODIFIED 1959/M01 MARSHALL FACTORY BLETCHLEY UK」と記されている。40_2基本的なコントロールは普通の1959と同じ。02modified1959narrow改造のキモはまず4インプットのハイ・チャンネルのLOWをつぶして取り付けられている「MASTER VOLUME」。
1959の歪みサウンドを自由な音量で得られればどれだけうれしいか…ロック・ギターを弾く人なら誰だって思うもんね。
低音量にしてもペランペランにならず、どんな音量設定でも厚みのあるウォームなトーンが得られるように設計されている。
04modified1959 パネルの中央部、ノブの下に配置されているのは3つのミニ・スイッチ。
向かって左から…

①オーバー・ドライブ・モード(「I」か「Ⅱ」)
②クリップ・オンオフ(「0」か「CLIP」)
③ブライト・スイッチ(「0」か「BRIGHT」)

まず③はわかりやすい。おなじみのブライト・スイッチ。
今までになかったのは①と②の機能。
これは組み合わせになっていて、まず②で「クリップ」をするかどうかを決める。
クリップを「オン」にすると尚一層深い歪みを得ることができる。
次に①でモードを選ぶ。
モードは「I(DIOD)」と「Ⅱ(TRANSISTER)」を選択できるようになっている。
コレは整流回路をイジっているのかな?
「I」はタイトでコンプがかったサウンド。
歪み系のペダルをアンプの前に1ケ挟んだようなイメージらしい。
「Ⅱ」はオープンでオーガニックな歪み…「ナチュラル」という表現がふさわしいサウンド。
「Ⅱ」をを選択すると若干音量が下がるため、マスター・ボリュームを調節する必要があるようだ。
何を言っているのかよくわからないでしょう?
スティーブがそれぞれの機能をウマい具合にデモンストレートしてくれているので下のビデオでその効果のほどをご確認頂きたい。60_2回路はハンドワイアード。
ECC83を3本、EL34が4本使われている…つまりオリジナルの「1959」と同じ。80_2以上で説明したサウンドの違いにご注目!


2203 MODIFIED
110_2続いては「2203 MODIFIED」。
130フルフェイスのフロント・パネル、エレファント・グレインのカバリングにホワイト・パイピング…なるほど「JCM800 2203」だ。
140_2コチラのプラークには「MODIFIED 2203/M01 MARSHALL FACTORY BLETCHLEY UK」と記されている。150_2それでは「2203 MODIFIED」の改造っぷりを見てみましょう。
03modifiedjcm800narrow「2203」は元々マスター・ボリュームがついているモデルなのでその改造の必要はハナからなし。
そこで、与えられた改造はコチラもパネル中央にミニ・スイッチが3つ。
向かって左から…
 
①ミッド・シフト(「0」か「MID-SHIFT」)
②ODモード(「I」,「Bypass」,「II」)
③タイト・スイッチ(「0」か「TIGHT」)
 
160_2①は中音域をブーストするヤツ。
ソロの時やシングル・ノートを太く鳴らしたい時に入れてやれ。
今回のはすごく出来がいいらしい。
②で追加のオーバードライブのモードを選ぶ。
3点スイッチになっていて、真ん中のポジションはバイパス…すなわちオフ。
「I」を選んでも「II」を選んでも歪み度がアップするが「II」の方がゲイン度がより高い。
③は低音域をカットして音をシャキッと際立たせる。
ODモードをオンにして歪みを深くした時に使用すると低音の切れ味が良くなる。「2203」を使う時、大抵の人はギターを「HIGH」チャンネルにインプットすると思うんだけど、案外「LOW」で使う人多いんですよ。
03modifiedjcm800narrow2上で紹介したスイッチはもちろん「LOW」インプットした時にも有効で、クリーンめのサウンドで機能させるのもいい感じ…らしい。800in オリジナルの「2203」同様、回路はECC83を3本、EL34を4本使用している。170スティーブ・スミスのデモンストレーション・ビデオはコチラ。
「1959」や「2203」をよくご存じのベテランだけでなく、真空管アンプが身近でない若いギタリストの皆さんにも是非お試し頂くことを願っている。
 
<つづく> 

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