【春のオガンちゃん祭り<後編>】 MONK SESSION BAND "TOUR2015"
『春のオガンちゃん祭り』の<後編>。
オガンちゃん、今日はMONK SESSION BANDというバンドでの登場だ。
その前にひとチーム紹介させて頂く。
「小南数麿&清水一雄DUO」というアコースティック・デュオ。
「アコースティック・ギターが2本集まるとマジックが起こるんだ」…みたいなことを言っていたのは『Spaces』の「Rene's Theme」でのLarry Coryellだったか、John McLaughlinだったか…。
この「Rene」とはベルギーのジャズ・ギタリスト、Rene Thomas(ルネ・トーマ)のこと。
ベルギーのギタリストといえば、私の場合、完全に大好きなPhilp Catherineにトドメを指すが、この人もCoryellと組んで『Twin House』というアコギ・デュオの名盤を残している。
Rene Thomasも豊富なアイデアで弾き切るなかなかいいギタリストだ。
Super Guitar Trioのヒット以降、こうしたアコギのユニットもすっかり一般的になってしまったが、『Spaces』やMcLaughlinの『My Goal's Beyond』の頃はかなり新鮮だったんだろうね。
でもね、考えてみると同じ楽器2つだけで何かを演奏するっていうのは、確かに案外珍しいシチュエーションなのかも。
ピアノあたりだとChickとHerbieのデュオがあったりするが、ま、ナニも楽器の王様であるピアノを2台並べて弾く必要もそうなかろう。音数が多すぎちゃって…。ChickはKeithとも何かやってたね。
他はどうだ?
サックスだのトランペットだのは楽器の特性上バッキングがほぼできないに等しいので成立しにくい。
じゃ、ドラム・デュオ?ん~、少し観たいような気もするけど10分も持たないだろうナァ…。ElvinとPhilly Joeの共演アルバム『Together!』ってのがあったけど、ドラムの音だけじゃないからね。
擦弦楽器はありそうか?チェロとかコントラバスとか…。コントラバスという楽器はハーモニクスを使えば最も音域の広い楽器らしいからね。
結論…ギターしかない。しかも手頃にしてネタが豊富。ソロもバッキングもバッチリできる。
ギターって楽器はホントにすごい楽器だ。
アコギなのにMarshall?…といわれると、そいつはチョイと違う。
ASを使っているワケでもない。
ア、言っておきますが、日本ではラインばっかりで相変わらずアコギ・アンプの需要が少ないようだけど、海外は圧倒的にアコギにアンプを使う確率が高いのね。
で、MarshallのAS(Acoustic Soloist)シリーズはスゴイ人気なのだ。特にヨーロッパ。
「Marshallのアコギ・アンプなんて歪んじゃうんじゃないの?」なんて思っちゃダメ。
「Marshall=歪み」なんて言ってるうちはまだMarshallを知らない証拠。Marshallはクリーンがいいからこそディストーションもスゴイのだ。
かつてホンモノのJimi Hendrixを2度見たというUli Jon Rothが私に言っていた。
「Jimiの音はものすごくクリーンだった!」って。
ASはそんな人気のアコギ・アンプなので、1959等のビンテージ・モデルやキャビネットを別にするば、最も長い商品寿命を誇るモデルなのだ。
で、このおふたり、今回はアンプをお使いではない。でも、エレクトリック・ギターを弾く時はMarshallなのだ。
今日はマヌーシュ・ギターをお使いだが、清水さんなんかJCM900が出た時すぐにゲットしたというのだから!
さて、このデュオ、やはり楽しいマジックが起こっていたよ。
「It's a Small World」だとか「The Third Man(第三の男:ハリーのテーマ)」等を取り入れてさながらギターで巡る「世界の旅」。
Coltraneの愛奏曲として有名な「My Favorite Songs」はといえば…京都!なるほど!あのCM、寺の肖像権でモメたんだよね、確か。
ハワイからは「Diamond Head」なんてのも出て来て大ウケ!
最後は「Spain」で〆る。
スリリングなテクニックの衝突、、ユーモラスな掛け合いを名曲の数々で味わう楽しいひと時だった!
さて、しばし休憩の後に登場したのがヘッドライナーのMONK SESSION BAND。
「MONK」なんていうからThelonious Monkの曲でもズラリと並べるのかと思っていたらさにあらず。
ジャズ、ブルースをソウルフルに演奏する…とでもいえばよいのだろうか?
各人の熱っぽい演奏が素晴らしかった。
メンバーは;
ギターの三浦央。「Monk」とは三浦さんのこと。
ピアノに柴田 敏孝。
ドラムはSUDAPONY。
そして我らがオガンちゃん、小笠原 義弘。
今日のオガンちゃんのEDEN。
WT-800とD115XSTの小規模セット。
今日のオガンちゃんは座奏なのでどれも写真が似通ってしまうけど、コレは1曲目冒頭の名フレーズを弾いているところ。
曲は「Chiken」。
三浦さんのこの表情!コレを見ればだいたいどんなプレイかわかるだろう。
三浦さんが「本当の天才!」と評していたが、柴田さんのピアノがホントにスゴイ。
中身の濃いフレーズが後から後から止めどもなく出て来る!無駄な音がないのだ。
さすがPONTA BOXのピアニスト。佐山さんの後任だけのことはある!…なんて言っちゃナマイキか…スミマセン。
今日は残念ながら違うが、三浦さんもMarshallプレイヤーだ。
淡々とバッキングに徹するオガンちゃん。しかしその存在感は相変わらずデカい。身体もデカい。
1曲はさんで「Summertime」。
ん~、やっぱり深いオガンちゃんのEDENサウンド。
すごくアコースティック感があるんだよね。
Joe Zawinulが初めてJacoのベースの音を聴いた時に「ウッドベースで弾いているものかとばかり思っていた」そうだ。ちょっとしたexaggerationだとは思うけど、こんな音を聴くとZawinulが聴いた音ってこういう音だったのかな?と思ってしまう。
確実に言えることはオガンちゃんとEDENのコンビは最強ということだ。
一音、一音、なぞるように、歌うようにソロを織り込んでいく三浦さん。
出て来るサウンドは実にソウルフルだ。
PONYちゃんは以前何度もMarshall Blogに出てもらっている。そう、Rockamencoのパーカッショニストとしての登場だ。
さっきもカホンを叩いてくれたが、もちろんこうしてドラムもバッチリ。最高にクリスピーなサウンドをプレイを見せてくれる。
三浦さんのオリジナルで「Pink」。
そして、もう1曲三浦さんの曲で「FACE」。
最後はHeadhuntersの「Chameleon」。こういう曲となるとオガンちゃんの良さがより一層引き立つね。
お~!Buddy Richばりのスティック・トリック!
最後まで入魂のソロ!
今月末、中野のシゲさんと共演すると言うのでビックリ!残念ながら東京ではないので取材に行けないが、ふたりしてこの表情でHendrixナンバーを奏でるのかと思うと…観たい!
思い入れたっぷりの三浦さんのソロを受けてのピアノ・ソロ。まだまだジャンジャン出て来るおいしいフレーズ!
オガンちゃんのソロも炸裂!
見どころ満載のいいライブだった!
これからもオガンちゃんはベースという楽器の魅力を最高のサウンドで我々に伝えてくれるだろう。
夏にはChris Duarteと全米を回るオガンちゃん。
我々は簡単に観に行くことができないのでシュラプネルのライブ・アルバムでガマンしておこう。
クドイようだがジャケットの写真はすべて私が撮っている。
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